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itteki moshikuwa takusan
奇病・枯れ人症候群を治療する水師の話。
九里保嵩 水師。枯れ人の治療後に、水人から水の提供を受けないと萎びて動けない。
九里響二 保嵩の弟。眼鏡をかけた会計士。水人。
堤 朔眞 地上げ専門の不動産屋社員。水人。響二に招かれて商談に来る。
九里兄弟が住む屋敷を地上げに向かった不動産屋、堤。
弟の響二が商談に応じて、家を訪問する堤。
堤は、玄関前の階段で兄の保嵩が倒れているのを発見。助けたのに、怒鳴られる。
水師協会に属さないフリーの治療師、九里保嵩。
水師の水治療の後、失った水の補給は「水人」の誰かから貰うしかない。
貰う方法は、水人と体のどこかの接触。
堤は、庭の掃除をして、偶然保嵩が弟から水を貰っている現場をみて、理由を知らず驚く。
館を売る商談の前に、交渉相手の九里響二から条件を出される。
兄の水師の仕事に同行して、枯れ人と二人きりにしない事。
半信半疑だったのが、目の前で元気になる枯れ人を何人も観て、堤は治療を施す九里の兄に惹かれていく。
展開を読みにくくしているのは、響二の行動。心情が掴みにくい。
響二は兄を館から引きはがそうと考えていた。
でも、兄が不動産屋の堤に惹かれるのは想定外。弟も兄を愛している。
「水師の血が薬になる」という展開で、保嵩が囚われてしまった時、
・・ これは吸血鬼の変形版か?と思ったけど、そうじゃなかった。
この話は、水の補給=体液交換と、サンドイッチ 3pがテーマだった。
水師の保嵩を、二人の水人が癒すという結末。ややこしいわ。
キャラ文庫バースデーフェアの時に購入して、ずっと本棚で眠ってました。
そして今回読んだ訳ですが、想像していた内容と違っていました。
途中まではあらすじで惹かれた設定通りで、めちゃくちゃ面白かったんです。
ですが保嵩の弟の響二が家に帰らなくなった辺りから、彼の存在に違和感を覚えるようになってしまいました。
そして監禁された保嵩を堤と響二が協力して助けてからのアレを読んで、残念ながらスッと冷めてしまいました。
出来るなら兄弟はお互いに自立して、それぞれが幸せになってくれた方が好みでしたね。
残念ながらそういう事に萌を見出せないんです。兄弟が離れた方が自分的には萌えたと思います。
凄く面白いお話だっただけに、その点だけ残念でした。
それからあらすじに弟が居ると書いて無いところが狡いなと思いました。まあ、書いてたら買わなかったですから。
いやはや、さすが沙野さん!
とても面白い設定で、
時間も忘れて一気に読んでしまいました!
いや、ホント、めっちゃ面白かったんですよ!
ラスト直前まで‼︎‼︎
もう、ホント、ほんとにね……そうくるか〜……でしたよ……
やはりこの辺はもう好みの問題なのですけれどね。
私的にはちょっと時が止まりました。
本当にラスト直前まで、わくわくどきどきしつつ
実に気持ち良く読んでいたのです……
でも作者さんがそこを書きたかったのなら仕方ない。
まぁ分からないでもないですよ。
そうなるのもありかなと思わせてしまう
説得力のあるストーリー展開とキャラクター。
何よりベテランの筆力にねじ伏せられるように
最後まで読まされてしまいましたよ……orz
色々思うところもあるのですが、
とにかくラスト直前まで
神に近い勢いで楽しく読ませていただきました!
くどいようですが好みの問題です。
さすが沙野さんという一作です。
しかし、やはり私的には時が止まった……
本当は神になってたかもしれない中立なんだけど、
でも面白く読んでしまったのも事実なので、
めちゃくちゃ迷って「萌×1」で……orz
沙野風結子先生の2017年作品。
特殊設定ものです。
生気を失い枯渇して心が乾く「枯れ人」という奇病が蔓延している。医学的な治療はできず、唯一「水師」という能力だけがその渇きを治すことができる。「水遣り」という行為によって…
不動産会社のエース社員・堤は、一つの大きな案件を任される。
それは兄弟だけで住んでいる広大な屋敷の売買。
弟は公認会計士、兄が「水師」で、堤は不動産売買どうこうよりも水師の世界に取り込まれていく…
…という設定で、堤は自分には口が悪いけれど「枯れ人」には真摯に向き合い自分の身を削って水遣りをする水師の保嵩(ほだか)に惹かれていくわけですが。
保嵩のスタイルは、能力を限界まで使い水遣りの後は自分の生体エネルギーを使い果たす感じ。それを補うのがエネルギー=水を与えてくれる相手との性的な接触…
それを今まで担っていたのが実弟の響二。濃密な近親相姦の気配。
堤は生体エネルギーに溢れた「水人」。当然保嵩は本能的に堤を求め、ノンケだった堤もエロティックな保嵩との行為にのめり込み。
響二と保嵩の関係を邪推する堤、堤に頼るしかないが昏い執着を抱える響二、中心にいるのに恋愛的には無頓着な保嵩のアンバランスな三角関係。
終盤、物語が大きく動き、一気にアクション的サスペンス的テイストに。
保嵩が陥れられて狂信的な人物に監禁され命の危機に晒されます。
ここはハラハラはするけれど、前半の雰囲気とちょっとチグハグな感じがしました。
…という間も無く、ラストはもっと驚きのシーンが。
これははっきり言って無理筋だと感じる。
響二の想いの強さがこういう形で表される事への違和感。堤が応じるという違和感。
保嵩は…一人だけラッキー?
最後がほのぼのしいのもなんだか…響二が一人だけ可哀想な気がして。
枯れ人と水師、水師と水人の間で交わされるエネルギーの受授を、ガッツリエロスに変換して描かれた、ちょいサスペンス風味BL。最初から最後まで薄暗さしか感じられないところに安心感すら覚えました笑
「枯れ人」とは精神疾患の病理を指した造語です。もちろん、フィクション。でもリアルにひきつけてなんかわかる!感覚を催させるのが本当にうまい。急速に蔓延しはじめた現代病、「枯れ人」を癒す水師が本作のメインキャラクターです。
物語は、とある高額物件に不動産仲介業者が交渉に訪れるところから始まります。
ガタイがよくてコワモテの堤は、顧客信頼度の高さから、九里邸の売却案件を任されます。美しい兄の保嵩と彼に傅く弟・響二が住む古い大邸宅を訪れた堤は、彼ら兄弟の妖しい関係にずぶずぶと巻き込まれていくことに…。
水師をしている保嵩は、自らが犯した罪の贖罪として、枯れ人を癒すことを使命としています。ですが、のめり込むあまりに消耗が激しく、一日中眠っていることも。水師の疲労は水人からエネルギーをもらうことで回復可能。実の両親と死別し、養父母にひきとられて以降、保嵩はたった一人の肉親で水人だった響二からエネルギーをもらっていました。……堤が現れるまでは。
これね、もうちょい前だったり他レーベルだったら、ガチ兄弟でしっかりヤッてたと思うの。(はしたなくてごめんなさい笑)
だけど、保嵩が響二に一線を引いていたことで、ガチ兄弟の切なさが何倍にも高まって、しかもあの3Pには至らなかったと思うの…!めっちゃ切なエロいの!!
(ちなみにサンドイッチプレイスタイルはレビュータイトルの配置と異なりますのでご注意ください。)
あのプレイがストーリーの到達点だったとしたら、先生ムッツリ過ぎ。そのシリアスエロがツボなんですけどね♡
兄弟萌えとしては物足りず、もうちょっと保嵩と響二に踏み込んで欲しかったけど、あのプレイで満足したことにします…。実はキャラクターにもあまり肩入れはできなかったんですが、歪んだハッピーエンドに妄想も捗るということで!
特殊能力を持つタイプと、彼を癒す補佐役のタッグはすごく好きなカップリングなんですが、最近注目しているセンチネルバースに近いものがあるよな〜と思いました。
2017年刊行当時、カバーイラストとタイトルのイメージが作者にしては新鮮で、もしやほのぼの・穏やか系の新境地かしら〜と思っていたんですよね。(思い込みに騙されて3年も積んでました…。)本作がキャラさんお初作品だとあらためて知って、ちょっと意外でした。湖水きよ先生大好きなので、少しはダークな要素があるのかなと想像していたけれど、実際読んでみると全然作風変わってなかった笑
ストーリー重視が前提なのは無論、『疵物の戀』は作家様にしては割とマイルドだったので、あー、キャラレーベルだな!っていう実感がありました。『一滴』の方が何気に本来のカラー出てますよね…。
キャラさん、読者を誘導して掴むの上手いです。いつも罠にかかってます。
レビューをまったく読まずに読みはじめたので、ラストはまさに驚愕、「えーっ、そうなるの!?」だった。もう想像の斜め上、まさに度肝を抜かれてしまった。いやー、たまげたなあ…。
まず、なんといっても受けとその弟の関係にめちゃくちゃ萌え! こんな兄弟萌えの話だと思ってなかったので、ドキドキし過ぎて序盤から中盤にかけては、なかなか読み進められなかった。弟の兄へ執着、兄の葛藤なんかが、もう本当に切なくて。
体内の生体エネルギー「水」が枯渇する病気「枯れ人症候群」が蔓延している世界。それを癒す力を持つ「水師」の保嵩は幼いときに両親をなくし、弟の響二と養父母のもとへ引き取られる。枯れ人だった養母を癒すため、水師としての力を使わされていた兄。力を消耗した兄に自分の体内の水を分け与えるため、弟は兄にキスをする。そうして、兄弟のちょっと爛れた関係は始まり、段々と深まっていく。
なぜそういう触れ合いをするかと言うと、「水師」のお仕事は手を握っての水やりだけど、粘膜からの接触の方が効率がいいそうで。つまりお口の中やら性器やらの接触で、兄は弟から水を補充し、大人になってからも仕事終わりにはいつもふたりでエロエロしていたってことで…。いやー、なんて素敵な設定(笑)
兄は養父母を救えなかった過去のトラウマから、いつも仕事で限界まで力を使おうしてしまい、家のなかでもよくぶっ倒れてしまう。弟はそんな兄の安全確保のために、家中にカメラをつけて兄をつねに監視。
実は水を無限に湧き出させることのできる「水人」という特異体質だった攻めを、兄の仕事の際の「水筒係」として宛がったのも、すべて弟の策略だった。まさに、何もかも兄のために生きているような弟…。
とは言え、兄弟は最後の一線だけは越えることなく、兄は攻めといい感じになり、一度は弟は攻めに兄を託して身を引く。やっぱり兄弟だし、もう大人なのにいつまでも兄弟でエロエロしてちゃいけないと二人とも思ったりする。この辺り、本当に苦しくて。だから、そのまま弟は蚊帳の外で離別エンドかなー、と私も思ってた。
そこからの「えーっ、そうなるの?」なオチなので、もう意外過ぎて、でも萌えて萌えてしょうがなかった…。弟の発想もすごいが攻めもすごい。懐が深いわ、としか言えない。
どんな変則的プレイでもどんとこいな方に、是非読んでみて欲しい。兄に執着する弟が好きという方にもおすすめ。
「お前は俺の水筒だ」
そんなトンチキな口説き文句を吐かれたら、ふつうまとまるカプもまとまらないだろうと思うのですが、本作の攻め、堤は結構喜んじゃってます。(まったくBLとは関係ないのですが、昔読んだ貴志祐介さんのホラー小説「クリムゾンの迷宮」に「お前は俺の弁当だ」という台詞があったのを思い出しました。こちらはまさに額面通りの意味で、言われた方も読んでる私も総毛だちました)
さてお話を堤に戻します。そのビジュアルは黒いシベリアンハスキーに例えられるほど、ガタイが良くてこわもて、かなり迫力のある面構えなんですが、中身もまさにワンコ、それも相当な忠犬なんです。彼自身は普通の不動産会社社員ですが、受けの保嵩は「水師」というとても特殊なお仕事。異様な渇きを覚え、ひたすら水を求める「枯れ人」に自分の内なる水を分け与えて癒やすという特殊能力の持ち主なのですが、いつも限界を超えて与えてしまうため常に命の危険にさらされている始末。そんな保嵩の危うさと、綺麗な顔に似合わぬ毒舌に惹かれ、最初はただのビジネス目的で近づいたはずが、いつしか彼のサポート役を務める羽目に。実は堤、自分でも気づいてなかったのですが、その身の内に汲めども尽きぬ豊潤な水をたたえた「水人」という特殊体質の持ち主だったのです。水師の水分補給にこれほどうってつけの人材はいない。水の受け渡しは粘膜の接触により行われ、しかも濃厚なほど効果も覿面。堤の水をたっぷりと注がれた保嵩は「枯れるどころか溺れそう」なありさまで、めでたく堤は保嵩の「水筒」認定されたというわけです。
この堤、人としての根っこがとてもすこやかで強靭。だからこの世界に蔓延する枯渇性症候群の毒気にあてられることもなく、常に清冽な水を宿し続けることができる。恋愛においても、「好きになるのはどこか尊敬できる部分のある人」「セックスするのは本気で付き合いたい相手だけ。身体だけの関係なんてもってのほか」等々、沙野作品の主人公には珍しいくらいゆがんだところや世をすねたところが見当たらない。こんな男にそばでこまやかに世話を焼かれ、水と愛情をたっぷり注がれたら、さしもの保嵩の毒舌もツンツンも矛先が鈍ろうというもの。当初緊急避難的な身体の関係から始まった二人だけど、次第にお互いをなくてはならない存在と認め合ってゆく。
ここですんなり終わればめでたしめでたし、というところでしたが、ラストにアレが待ち構えてるんです。そう、例の「サンドイッチ」…沙野さん的にはこれが本作の一押し、メインディッシュ的扱いで、ノリノリで書いてるのも伝わってくるんだけど、わたし個人としてはつらかった。苦難を乗り越えた理想のカプの記念すべき両想いエッチに有無を言わさぬ異物乱入。突如酢豚の中でパイナップルに遭遇した時みたく、「なぜお前がここに」「お前さえいなければ完璧なのに」やくたいもない泣き言が口をついて出てしまいました。よって評価も「神」をつけられませんでした。無念!
沙野先生の作品は好きなものが多いのですが、攻めの受け行為が最後にあったため、かなりのショックを受けました。
複数プレイがあるのは分かっていましたが、そうくるとは…。
派手ではないけど、特殊設定のファンタジーBL。最初はちょっと山岸凉子先生の「甕のぞきの色」的な設定のおはなしかな……? などと思い読み始めたのですが、結末には驚かされたというか、こう来たか!というか。
あそこにたどり着かせるための、あの設定、あの展開だとしたら、なかなかに潔くて素晴らしいな!などと思いました。
あの関係が本当に「愛」なのかどうかは分かりませんが、それはそれでありなのでしょう。
性愛的な面での充足をもって、ストーリーが締められていますので、話の端緒として出て来た主人公の仕事とか会社のことがなんとなく置いてけぼりになったよう気はしないでもありませんが。
しかし、このページでは「攻め」の欄に二人の名が書かれていたりするのですが、そういうの見ずに読む方が面白いよなぁ…なんて思いました。
沙野さんのお話を読む前はいつもワクワクします。ストーリーがきちんとしていて読ませるお話だというのと同時に、毎回何らかの(特殊な、と言って良いのか?良いような気がする)エロ描写にチャレンジしてくれるからです。まさに「商品も良し。おまけも良し」。
大流行の『枯れ人症候群』という病(欝の重いヤツという理解で私は読みました)を煩う人たちに、自分の水(「気」みたいなものと思います)を与えることで癒す『水師』は、失った『水』を、他者との粘膜接触で補給することが出来ます。与えすぎると水師も枯れてしまう。だから多くの水師は、水量をコントロールしながら仕事をするのに、保嵩はセーブしません。枯れ人を癒すことに殉じようとしている様に見えます。
堤はそのこと自体に感動しちゃうんですね。
最初に保嵩に惹かれたのは、その儚げな見た目だったのだろうけれども、恋愛感情を自覚するのは「尊敬できる人だから」。ここ、グッと来ました。堤、いいよ。いい男だよ。
堤は自らの中に湧き出る泉を持つがごとくに、大量の『水』を持つ『水人』。だから、これだけなら「相思相愛な上にお似合いの組み合わせですね」ということなんだけれど「そう簡単にはいきません」ということで、そもそも2人の出会いをしくんだ保嵩の弟、響二の思惑も絡んでくる。枯れ人症候群に係る事件が多発した所為で日本全体がパニックに陥り、行政の怪しい動きも絡んでくる……って感じで、なかなかにお話のスケールはでかかったです。でも、広げた風呂敷はちゃんと畳む所は、沙野さん、お上手。
さて、今回のおまけはM/MではなくてM/M/Mでした。
それも、あまりにも不憫でせつない。
そこを読んだ時、思わず「そう来たかぁ~っ」と口に出しておりました。
家で1人で読んでいて良かった……
事件は解決したのですが、恋愛に関しては不安定な関係のままお話が終わってしまったような気がします。
でもある意味、そこがいい。
彼らのその後について妄想する楽しみも込み込みの作品だと思っております。