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妖狐族の跡取り×偽りの花嫁の愛の逃避行の行方は…!?
youko to wakeari kakeochichu
作者さんお得意の、斜め上にズレた常識から繰り出される笑えるネタ満載の物語。
クスッという笑いから爆笑ものまで、そこにしっかり切ない成分が足され、読み応えのある作品に仕上がっています。
「ウサギの王国」がお好きな方は、ハマるものと思われます!
ごくごく平凡で地味な25才の小説家・遥人(受け)は、友達の妖狐・藜(攻め)から望まぬ結婚を破談にするために恋人のふりをする事を頼まれます。妖魔界を訪れるも、藜の父親から結婚を反対され、成り行きで駆け落ちをする事になり…というあらすじ。受け視点です。
藜は20才で年下攻め。枝葉を除いちゃうと、おっとり&ぼんやりながら芯は強い受けと、一途で紳士的(時々暴走)な攻めによる、両片想いものです。
妖魔界で逃避行と言うと、辛そうというイメージが先に来ますが、実際にはほのぼの&笑える内容。妖魔界には妖狐だったり天狗だったり、妖兎だったりと妖魔が種族ごとに暮らしており、「願いを叶える宝珠」を捜しながら「駆け落ち」という体でそれぞれの種族を訪ねます。
その妖魔達がですね、常識が斜め上にズレています。これは実際に読んで笑っていただきたいので、ネタバレは避けますが、常識のズレからくる笑いが大変効いています。
とりあえず、私達が想像する妖魔とは180度違うと思って下さい。そしてそこでは、平凡で地味な受けが「小悪魔的魅力」を持つとしてモテモテといった所。人間とは美意識が違うのですね…。
恋人として扱われるうちに、受けはどんどん攻めの事を意識し始め、自分の本当の気持ちに気付いてしまいます。しかし、「好き」だと言われても、「恋人のフリ」の延長で言われているだけ…という思い込みですれ違い展開です。そんな時に、藜の婚約者が遥人の所に乗り込んで来て…といった所。
ここでのシリアス展開や切なさがしっかり効いていて、ただ単に笑えるだけの単調な作品では無くしているんですね。
落とし所をどうするかと思っていたら、ありがちではあるのですが想像とは違ったハッピーエンドで。
最後がちょっと駆け足なのが残念だし、正直二番煎じ感は否めないのですが…。それでもエンターテイメント性の高い、面白い作品だと思います。楽しく笑って、最後はハッピーエンドでほんわかしたい方にお勧めです!
こういったストーリーは好みではあるのですが、この作品は結構ライトな印象です。
昔から遥人が好きだったであろう藜に対し、遥人の方はだいぶん優柔不断です。
先の読める展開は私としては許容範囲なので問題はありません。ただ、物語の奥行きがあまり感じられず、“身分違いの恋”に“駆け落ち”や“宝珠”という、とても魅力的な設定が生きていない様な気がします。
特に宝珠。柿を降らせたり、元々イチャイチャしてたカップルをさらにラブラブにさせなきゃいけなかったり、やり甲斐ないだろうなぁ、と。
コメディタッチなので、読みやすくはあると思います。
私は、空飛ぶ油揚げが気になった。お腹空いたら食用にもなるのかな?そして、狸がパラグライダーがわりにするといえば、やっぱり自分のキンt…いや、なんでもありません。
小説家の井上遥人(受け)は中学生のころ怪我をして困っていた妖狐の藜(攻め)を助け仲良くなります。5歳年下の藜が成人の儀を迎えたことを祝っていると、意に染まぬ相手と婚約させられそうだから恋人のふりをしてほしい、その代わり、探してみたいと言っていた「伝説の宝珠」を一緒に探しに行こうと誘われます。恋人のふりには戸惑いますが宝玉に惹かれて恋人として妖魔界へ一緒に行くことを承諾します。ドキドキしながら藜の父で妖狐族長の天狐に挨拶するのですが、案の定反対され駆け落ちすることになります。
遥人はあまり口が上手くなく就活にも失敗した結果、小説家として生活しています。
数千年の寿命を持つ藜とは寿命が違うので、自分が生きているうちは会えなくなるというようなことは考えていませんでした。
遥人は小学生の時、難病の女の子に告白されうまく返事できないうちに転校されたことを気に病んでいて、自分本位に告白するものではないと思っています。
それもあって、藜のことを好きだという気持ちに無意識に蓋をしていたため、気が付いていません。今回の駆け落ち生活で自分に向ける顔とほかに向ける顔の違いを目の当たりにして、藜のことを好きな気持ちを認識してしまい戸惑ってしまいます。
藜は妖狐族長の息子で次期天狐になる妖力の強い妖狐です。
8歳の時、通れないと思っていた人間界への通り道をうっかり通ってしまい、怪我をしてしまったところを遥人に助けられます。
父である天狐の妖力が急速に衰えてきたことで天狐を継がなければならなくなり、天狐を継ぐにあたって勢力を安定させるため、政略結婚させられそうになります。
駆け落ちするという名目のもと、倉で見つけた手がかりを元に、宝珠を探してほかの種族を渡り歩きます。
妖魔界には8種族ほど住んでいますが、その中で、天狗、妖兎の里を訪ねます。
妖狐の里では人間は恐れられいて、その理由が驚きです。否定しようとしてもこっちの話を全然聞かないでどんどん話を進めてしまいます。ほかにも天狗の里、妖狸の里、妖兎の里それぞれ違う認識をされているのですが、どの里でも遥人はもてもてです。
世界観は違うはずなのに、「ウサギの王国」シリーズを彷彿させる展開でとても楽しいです。言葉のチョイスも独特で「ウサギの王国」シリーズが既読の人には既視感のある楽しめる展開だと思います。
二人は両片想いなのですが、そして藜などしょっちゅ嫉妬して暴走するのですが、風習の違いやトラウマなどですれ違っているうえ、意地を張ったりするせいでなかなか想いが通じあいません。
途中、婚約者が強襲してくるのですが、遥人が襲われた瞬間に女性に対して手加減はしたものの躊躇なく攻撃する藜の遥人への想いの強さがわかります。
最終的に二人が想いを確かめ、宝珠も見つけるのですが、私としてはもう少し先まで読みたかったと思いました。
遥人が子供を産むことができることがさらっと書かれてありましたし、天狐になるという選択肢もあるらしいし、情報をさらっとぶっこんできて終わったので、せめて二人が妖狐一族に認められて晴れて夫婦になったところくらいまでは読みたかったな。
遥人に対するモテモテぶりから判断するに、妖には人間は抗いがたい魅力があるようです。結局、人間が恐れられている理由は、人間界に行ける妖は少ないとはいえ一定数いるようなので、妖力のある妖が勝手に人間界に行って連れ去ってくるのを避けるための対策だったのかなと思います。が、それにしても妖たちの遥人に対する態度かおもしろくて笑ってしまいました。
私、松雪さんのコメディは殆ど読んでいる様です(自信が無い書き方なのは今、調べてみた結果だったからです)。多分、松雪さんの書かれる『社会習慣の違いから生まれるギャグ』が好きなんだと思うのですよ。
日常的に「あたりまえ」と思っていることが、根底から崩されると不安になりますよね?
だから文化の違いって、結構不快感に繋がってしまうものだと思うんです。
松雪さんの書くお話では、主人公は得てしてこの『あたりまえ』が通用しない世界に飛び込まされて、一気にマイノリティになっちゃったりする。
これ、不快ですよね。下手すれば怖い。
でも、そういう嫌な面を強調せずにパンチの効いたギャグにして笑い飛ばすのが爽快だと思うのです。
今作でも主人公の遙人は、子どもの頃に助けてあげてから25歳になるまで友達づきあいをして来た妖弧の藜に、恋人のふりをして意に沿わない婚約を潰すのに手を貸して欲しいと頼まれ、妖の国に行きます。
そこで人間が妖弧に、天狗に、妖狸に、妖兎に「どう思われているか」を知ることになるのですが、これが『かなり面白い誤解』なもんですから笑える。
例えば『きつねうどん』。
確かに、例えばですよ、あまり馴染みのない国に旅行に行ったとして、食べ物屋さんのメニューに『人の指炒め』という料理があったとしたら……多分ギャグだろうと思いつつ、結構ギョッとすると思うんです。「実はウィンナーを炒めたものでした」って解ったら……笑いますよね?緊張が解けて。
遙人は繰り返しそんな誤解の中で翻弄(笑)される訳なのですが、結局「文化が違うんだから仕方がないなぁ……」と怒らないのですよ。目くじら立てない。
こういう所が好きなのね。
「異文化コミュニケーションの教科書として、とっても優れているんじゃないか」と思うのですよ。
何と言っても笑えるし。
(今回は妖兎が遙人を見て「エロい~」と叫びながらバタバタと失神するシーンでかなり笑いました。BL界ではエロい生き物の代表とされるウサギですが、考えてみれば人間の方がもっともっとエロい生き物だよね)
残念ながらLOVEの方はあっさり目。
遙人の素直な感じは好きでしたが、藜のキャラが『いい男』設定過ぎたからか、さらっと終わっちゃった感じがします。
また『宝珠探し』のエピソードも「さらっとしすぎかなぁ」と。
ただ、松雪さんが某名作少年マンガを読み込んでいることはよく解りました。子どもの妖兎に「パンツ、おくれ」という科白を言わせなかったのはやはり『大人の事情』でしょうか?
恋愛ものとしての評価は『萌』ですが、異文化との接触ドラマとしては相変わらず面白かったです!