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yukizuri
4タイトルの短編が入っており、その全てはつながっている。構成と仕掛けが面白く、一つ一つつながりが見えてくるたびにテンションが上がった。
最初の短編「ゆきずり」はキャラ名が出ず、“男”ד彼”の話として語られる。タイトル通り一夜限りの関係を持つお話。
続く「アッシュ」はその後の登場人物の紹介を兼ねたもの。ここまで読んだだけではまだ何も見えてこない。
「ふたたび」で、ゆきずりの関係だったはずの二人が再会する。ここで初めて彼らの名前が明かされ、仕事中の姿や背景が描かれる。関係が始まるシーンはあっさりしていたが、シチュエーション萌えが爆発しそうだった。
「これから」は人間関係があっちもこっちも複雑で、ちょっと読み辛かった。謡は日本舞踊を嗜んでおり、その世界のことも絡んでくるため、本名の他に流派の名前を持つ人物が複数出てくる。加えて謡の家庭環境が複雑。
さらにはページ数に対して出てくる人物が多すぎ、現在過去と各所でカプが乱立していてこんがらがってしまった。人物相関図を描けばものすごいことになりそう。キャラは他作品とリンクしているようなので、合わせて読めば理解が深まるのかもしれない。
常葉は謡に惹かれながらも昔の男への未練を再燃させ、彼がいる海外への派遣希望を出す。BLとしては最終的にどういう決断をするのか?が気になるところだったが、なんとも曖昧な終わらせ方だった。
とはいえ余韻はとても心地良いもので、その先がどういう結果であっても、二人とも自らの手で幸せを掴む大人だと思える。とても良い蜜月とその終わりを見れたと、満足して読み終われた。
4編に分けて書かれたストーリーの構成と、タイトルからも見えるテーマから、描きたいもの・表現したい萌えがすごく分かりやすい。商業誌にはない、このストレートさにハマる。淡々とした雰囲気も好き。
他の相手と関係を持ったり女嫌いを示すモノローグがキツめだったり、祖母の発言がわりと酷かったりするため、万人に薦められる作品ではないかも。まあそれも人間味を表す要素として、私は魅力的に思えた。