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電子書籍版を購入。
挿し絵なし、あとがきありです。
表題作の「まちがいねえな」と、その後の二人を描いたSSの「まちがいねえ!」が収録されています。
2002年出版ということで、時代背景は古いです。
さらりと「Y2K」なんて出てきて、わかる人は少数派じゃないかな??
でも、問題なし。
肝心のストーリー的には、古さは感じられません。
もう、青春映画を見たかのような、爽やかな読後感。
前半の高校生時代の描写がスゴくいい!!
これこそ、THE 青春って感じ。
泣きました。
人が死ぬ訳でもないのに、泣きましたとも。
高校時代の羽島の格好良さったら、もう、言葉に出来ないほどです。
これこそ、正真正銘のスーパー受け様です。
強いて言えば、最後の方のグダグダ具合がちょっと、私の好みから外れましたが、人間臭さを出すためには仕方がない演出だったのかもしれません。
いい作品に出会えた!
ありがとうございます!!
ちょっと古い作品ですが今回も義月作品を楽しませていただきました。
好きな作家さんでも自分の萌えを外れることがあって当たり外れの激しい作家さんもいらっしゃるのですが、相性がいいのか義月さんの作品に外れがないです。今のところ当たりか大当たりかといったところです。
スポーツ観戦が好きな方はより一層楽しめることとおもいます。
プロを目指すほどの実力を持っていた高校サッカー部のエース木原が練習中の事故で選手生命を失う。
自失のあまり乱れた生活を送るうち夜の街で出会った同級生の羽島。
多分木原は一目惚れだったんでしょうね。
自覚はなくても気になって仕方がない、でも何の接点もなくどうしていいかわからずに「男とホテルに入ったって噂流すぞ」なんてケチな脅し文句で気を引こうとするなんて子供ですね。
まあ、子供なんですけどね17歳ですから。
対する羽島の大人な対応。言いたければ言えばいい、犯罪でもないしかくしてもいない、と取り合わないもんだから思惑が外れた木原は誰でもいいなら俺とも付き合えと変な理屈で二人の付き合いが始まります。
腕っ節も強い羽島が、木原のことを密かに好きだったから手を振り切れなかったわけです。
羽島はタイプだから付き合ってやるなんて軽く言いますが、相当本気っぽいです。
サッカーをなくし将来の夢も希望も失った木原が荒れてジタバタもがく姿を受け流し、説教するでもなく叱ることもなく居心地いい逃げ場にしてるんですね。
そうしているうちに心の整理ができた木原はコーチ役としてサッカー部に戻り落ち着いた後、また連絡するといった後2度と連絡することも話すこともなく卒業することになります。
それから10年。
木原はそれとなく羽島に勧められたスポーツカメラマンの道を進んでいた。
いい写真を撮ることを知った羽島は自分が務める会社の子会社(出版社)に紹介し、担当者を通してアドバイスを与えたり陰ながらいろいろしてあげてしまうのですが、面とむかってはケンカ腰だったり冷淡です。
自分が悪者になったり無関係を装って密かに応援してしまう姿が不憫でした。
高校生の木原は幼すぎて、羽島の思いやりや鬱屈した感情を受け止めてくれたことなどあまり深く考えていなかったんだと思う。
その点、羽島は性志向のことも含めていろいろあったでしょうね、随分精神年齢が大人で、好きな人が道を外し混乱している時ちゃんと軌道修正してあげ自分は何の見返りもなく与えるばかりなんですから。無償の愛の崇高さを見ました。
高校生の木原が羽島との関係やそこでみっともなく足掻いた姿も隠したくて、学校で会っても羽島を無視したり、最後役目が終わったら捨てていくのも、大人になっても同じように羽島の存在を隠したがるのは本当情けないちっちゃい男です。
羽島はもっと怒っていいと思う。
本当の恩人が羽島だと知った時いきなり指輪をはめるっていうのも、俺が嫌われるわけないという自信がいやらしい。
だけど羽島はこんなダメダメな男がいいんでしょうね。
自分が側にいて引張ってやらないとダメだって。
きっと将来はエンジニアとしてもっとスキルを磨き海外に行ってもやってけるそうに地盤を固めて木原についていくんでしょうね。
できた嫁です。
攻・木原慎也 カメラマン
受・羽島芳久 ソフト会社のエンジニア
将来を有望視されていたサッカー選手だった木原は、練習中の事故で選手生命を絶たれます。
それ以来、サッカーから目を逸らし自暴自棄になっていました。
羽島は地味な優等生でありながら「ゲイ」であることを隠していない、冷めた高校生。
偶然それを知った木原は、半ば強引に羽島を誘います。
木原にとっては酒を飲んで暴れることと同レベルの自暴自棄な行動でしかなかったんですよね。
羽島はサッカーが出来なくなって居場所を失った(と思い込んでいる)木原を、実にさりげなく癒してゆくんです。
羽島とのセックスを逃げ場にしていた木原は、学校では無関係の他人を装っていました。
毎日のように呼び出してセックスするのに、両者に繋がりがあることを周囲から隠すことにこだわっていた。
やがてサッカーを失った傷が少しずつ癒され、立ち直るのと同時に、木原は羽島から離れてゆきます。
ノンケに惚れても報われるないと知っていて一方的に好きになった自分が悪いと、関係が始まった頃から別れの瞬間を覚悟していた羽島。
覚悟してても、傷つかずに済む筈はないのです。
8年後に偶然雑誌を見て、子会社の編集部に木原をカメラマンとして紹介した羽島。
親しい編集者には自分の紹介であることを厳しく口止めて。
それがきっかけで木原はカメラマンとして頭角を現しはじめ、編集者を経由した羽島のアドバイスで売れっ子になり、賞を取るほどのカメラマンになりました。
2年後に再会してからも友人づきあいを続けていますが、羽島は木原をずっと好きなんですよ。
高校時代の関係は恋愛関係ではなかった。今更同じような関係を持つのは、恋愛感情のある羽島には辛すぎる。
だからさりげなく木原に誘われたとき、「恋人がいる」と嘘をついて突っぱねたんです。
その後も影から木原を支える羽島がね…健気過ぎて切ないです。
昔のサッカー中間達に囲まれている木原の側で、疎外感を感じてる羽島もイイ。
高校生で全身全霊をかけていたものを失った木原の行動って、決して特別ではなくて当たり前だと思います。
むしろ羽島が高校生にしては老成しすぎてる。
ゲイであることを自覚した時にいろんなことを諦めたり悟ったりして、周囲よりも先に大人になっちゃってたんだろうなぁ(そこも切なくてツボだ~)。
10年たって、やっと木原の心(精神)が羽島のところにまで成長してきた。
報われて本当に良かったね~。
派手な場面はほとんどないのに、心に強く残る作品でした。
受けの健気さとオトコマエっぷりに、メロメロになってしまいました。
義月さんの作るキャラクターの魅力は、たいてい受け>>>>>>攻めなんですよね。
たまに、「腐女子は受けの側に自分を置きかえながら読む」という意見を目にします。これ、一理あるとは思う。少女漫画における恋愛ものと同じような感じ。やたらかっこいい攻めにひたすら溺愛されてる乙女受けな作品も多いし。
けど、私の場合、受けが「攻めと対等に張り合えるだけの男である」ってことのほうが大事だ。そして、そのほうが萌えるのだ。
また私はリアルに男の趣味が悪くて、一時期流行ってた「ダメンズ」に惚れてしまうタイプなもんで、攻めがダメダメのアホアホでも、萌えを削ぐ要因にはならなかったりする。
前置き長くなりましたが、この話もそういう話です。
攻めはけしてダメ男じゃないんだけど、BLによくあるような包容力に満ちみちて受けが好きで好きでたまらないような攻めではないです。
対する受けは、包容力の塊だ。潔く身を引くこともできる健気なタイプだ。とにかくオトコマエ。
高校時代、そして大人になってから再会するまでの、長い長ーい受けの献身と健気さが、ひたすら切なかったです。
ラストはあたたかくて、キュンキュンしました。
続編は攻めも頑張ったw
あー、こういうリアルかつアダルトな話、ほんと好きだな。