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kinyokuteki janai
B-PRINCE文庫新人大賞受賞作とのこと。
20代後半のゲイ×ノンケの恋を丁寧に描いた日常系ラブストーリーで、堅実かつ軽妙でお洒落な世界観が素敵でした。
あらすじ:
会社員の銀(受け)は、美形ながら歯に衣着せぬ物言いのせいで誤解されやすい人物。
女性社員にセクハラする上司を罵倒したことで謹慎処分を命じられ、飲んだくれていたところを、交番勤務の警察官・皆藤(攻め)に介抱されます。
それがきっかけで友達付き合いを始めますが、ある日、皆藤がゲイで銀に気があることが判明し…
銀は、作中で「毒舌」と言われていますが、実際はそうでもない気が。
単にピュアで嘘のつけない性格というだけで、むしろ皮肉の才能はあまりないように思えました。
そんなわけで、期待していた毒舌キャラとはちょっと違いましたが、まっすぐな気質は好感度大。
皆藤の気持ちを知り一度は距離を置くものの、その後は前向きに受け入れようとする姿が可愛くも男前でした。
皆藤は、物静かで硬派な頼れるお巡りさん。
プライベートでは元遊び人だったり、ずっと前から銀に目をつけていたりと抜け目ないところがありますが、銀を大切にしたいという気持ちがブレないところはカッコいいです。
本来無口な性格なのに、銀に対してはやたら「綺麗」を連呼する等、例外的に甘々になるというギャップも萌ポイントでした。
銀の姉たちや皆藤のゲイ仲間など、脇キャラも美形揃い且つキャラが濃く、とても華やかな雰囲気。
それでいて、警察官としての皆藤の真面目な仕事ぶりや、銀の恋愛に対する身持ちの堅さなど、見た目の派手さを裏切る堅実な一面が描かれているところが好印象でした。
大きな事件や、意外な展開があるわけではありませんが、スタイリッシュかつ親近感あるキャラ立てが良く、空気感も素敵で、読んでいて何となく気分が華やいでくる作品でした。
次回作も楽しみな作家さんです。
美人なのに口が悪く、敵を作りがちなサラリーマン銀(受け)は、職務質問を受けたのをきっかけに交番警官の皆藤(攻め)と知り合いに。ある日、やけ酒でグダグダになり、警察に保護された銀は、身元引受け人に皆藤を指名してしまい…。
寡黙な強面の攻めと、美人で毒舌の受け、というカップリングです。
何やらビープリの小説賞の大賞をとった作品であるらしく、デビュー作ながら読み応えのある話でした。
受けは、美人なのに直情径行というか、気が強く、思ったことをそのまま口にしてしまう性格。そのせいで、会社の飲み会で女子社員がセクハラされているのを見て、取引先の部長に暴言をかましてしまい、自宅謹慎することになります。
謹慎中、気分転換に飲みに行き、前後不覚になるまで泥酔してしまった受けは、保護された交番で、街のおまわりさんである攻めの名刺を出します。そして、次に目が覚めたら攻め宅。
平謝りの受けですが、攻めは鷹揚に許してくれ、そのまま2人は飲み友達になります。
受けは攻めをかっこいい、筋肉ナイス、と思っていて腹筋を触ったりやりたい放題。最初はツンデレ美人だと思っていましたが、攻めと仲良くなってからはワンコタイプにシフトチェンジした模様。
攻めは寡黙で、胸板の厚いガッシリ体型。実はゲイで受けが好きな攻めは、ノンケ受けの天然の誘惑に強面の下で耐えています。しつけの行き届いたドーベルマンのようにひたすら耐えていたのに、酔った勢いでうっかり手を出しそうになり、受けに逃げられちゃいます。
攻めが受けを好きになった理由が「顔」なのがちょっと引っかかりました。最初は顔で、深く知り合ってから内面に強く惹かれた、とかならまだしも、顔しか知らない状態で結構真剣に好きだったので、あー…面食いなんだ…と思ってしまったのは否めません。
でもそれを差し引いても楽しいお話でした。受け攻めのキャラは個性的だし、脇キャラも楽しい。寡黙な攻めがエッチの時はムッツリ絶倫だったり、美人でモテ男の受けが意外と純情だったり、そんなギャップにも萌えられました。
くっついてからの話も短編で載っていて、そちらは「性格や考え方の違う者同士が結ばれたあと、どういう点が違うかを確認してすり合わせていく」的なお話でした。リアリティがあり、作品に深みが増したと思います。
文章の癖や、普通は平仮名にするべき言葉が漢字になっていたり、ちょいちょい気になる点もありましたが、今後も楽しみな作家さんです。
寡黙でストイックな攻め×勝ち気な美人受けです。
帯の毒舌家に、皮肉屋なクールビューティ受けを想像した私は飛びつきましたが、毒舌では無いです。口が悪いという感じですね。
受けはまっすぐで裏表の無い正義感の強いタイプですが、口の悪さから誤解されやすいです。そして子どもっぽい! そもそも攻めと親密になったきっかけが、会社を謹慎処分になった事で落ち込み、無茶飲みをして泥酔した受けを攻めが介抱したからなんですね。そして会社を謹慎処分になった理由が、取引相手が会社の女の子にセクハラしてるのに腹を立て、取引相手にビールをかけ「ハゲ!」と言ってしまったからです。
ちょっとこの対応は大人げなく、社会人としてどうなんだ!と青臭い受けにゲンナリします。このタイプの受けが苦手なんです。
しかし、ここからが面白くなります。ストイックで仕事に対して真摯に取り組む攻めと親密になる事により、少々子どもっぽい受けが変わっていきます。仕事でも落ち着きを見せ、カッとなる前に自制するようになるんですね。そして尊敬の眼差しで仔犬のように攻めにまとわりつきます。攻めは最初から受けに恋愛感情を持っているので、無邪気になつかれて理性との戦い!みたいな。ここがかなり萌えました。無防備に甘えてくる受けに、硬派な受けが理性を試されジリジリしているパターンが大好きなんです。辛抱たまらず襲ってしまい、怯えた受けに逃げられて、深く反省する所までセットで身悶えます( ´艸`)
そして二人が結ばれてからの続編となる『忍耐強くない』が最高でした。
二人で買い物に行ったところ、店員に口説かれているのに気付いてない鈍感で無防備な受けに攻めがジリジリしたり、店員に、攻めは難しい男だから君とは合わないよと言われた受けが、自分ではなく攻めを狙ってると勘違いして憤慨したりと、二人そろってバカップル丸出しで可愛らしいです。
その後はエッチになだれ込むんですが、かなり濃厚です。ページ数がいっぱいとってあり長いです。堪能させてもらいました( ´艸`)
絡みは全編通して2回ですが、かなり濃厚です。事細かく、ネチっこくという感じでしょうか。エッチの時にも寡黙な攻めですが、言う事がいちいち殺し文句でキュンキュン来ます。普段は寡黙なのに、受けに対しては照れる事なく惜しみなく愛をささやく所にも非常に萌えます(//∇//)
気になるのが、文章でちょっと唐突だったり不自然な所があることですね。さっきまで絡み合ってたのに、急に背中を向けて座ってる!みたいな。これ、行間を開けておくべきじゃないのかと思うんですが。たまにこんな部分がありますが、全体的にはスラスラと読みやすい文章です。
小説の発行部数がどんどん落ち込んでいるなか、頑張ってほしい期待の新人さんです。
2016年刊。
攻めキャラだけが肌を見せている表紙って珍しいね。
逆(受けのほうが表紙で肌を晒している)のパターンなら良く見かけるけれど。
タイトルからしてエロ寄りな話なのかと思いきや、なかなか地に足の付いた感がある日常系BLだった。
内容をかいつまんで説明すると、交番のお巡りさんと美人なリーマンが交友を深めて恋人同士になるといったシンプルなものだ。
奇をてらった話ではないが、代わりに攻め受けの生活上のこだわりの見せ方ってのを嫌味に感じずにじっくりと読む事ができた。
最初の部分では銀に対してじゃじゃ馬娘のようだと思ったが、次第に活きの良い娘さんみたいな印象に落ち着いたかな。
彼自身、美人姉妹に引けを取らない美貌だってのもあるし、歯に衣着せぬ言動で社内の顰蹙を買うのはともかく、そこで男1人vs女性陣のはずが何故女同士のイザコザめいた空気になっているんだ?、と感じたせいある。
そんな言動、性格からして恐いもの知らずってのは確かだ。
ちなみにこの話では女性キャラが幅を効かせている割には悪い印象はなかった。
双子のお姉さん達に心底可愛がられている様子にはほっこりしたし、銀の女上司もまずまず好感が持てる。
但し、銀に相手にもされなかった同僚の子だけはそりゃあかんやろ!!的な娘さんだったが。
そんな銀も、知り合った交番のお巡りさん・皆藤と親しく打ち解けていくうちに次第にしおらしくなっていくけれどね…
と書くと、何だかお嬢のように感じるかも知れないが、女々しくはなく男らしさもある。
それにしても皆藤ってば、顔良しカラダ良しセンス良し綺麗好き料理上手ときたところにゲイだと言われると、まさに理想の攻めキャラすぎる。
寡黙で堅苦しいのは職務上好ましいが、意外にも昔はナンパした男をとっかえひっかえしていたらしい。
銀に一目惚れしてからは浮ついた交遊関係から足を洗ったそうだが、ちょいワルな過去があったなんてニヤリとするね~。
末永く一緒に居たいと思っているお二人さんらしいが、皆藤の恋人を束縛したがる性格だけは注意、かもね?(^_^;)
毒舌美人サラリーマン・銀が寡黙な警官・皆藤と知り合い、
一緒に飲んだりするうちに居心地がよくなって…というお話です。
毒舌と言うから結構気が強くて
ツンツンしているのかなぁと予想していたんですが
わりと冒頭の方だけの印象でした。
しかも毒舌というのとちょっと違うような…。
綺麗な面立ちだからこそキツイ事を言うと数倍威力がありそうですけども。
皆藤巡査は、怖そうな見た目に似合わず家事も料理もしっかりやり、
喫煙する際に銀へ承諾を得るあたりなど
細やかな気遣いが出来る人間でした。
口数が少ない男が、銀のこととなると…っていうね、ギャップ!!
うおー!!って痺れましたね…。
ウイスキーが香るキス、ゲイだと銀に打ち明けたところは
とてもぞくぞくきました!
でも残念ながらその後の銀の自問自答が…。
銀はノンケなのでテンパるのもわかるんですが
26歳にしてはちょっと幼い感じのような気がしてしまって…すみません。
皆藤さんの誠実な対応と頼もしさは
これもう皆藤さんに身も心もあずけてしまうしかないじゃないか!となりました。
ヤリ捨てに似たようなことをしていた意外な過去も
銀と出会って恋をしたことで一生を誓えるくらいだとは…卑怯だ!ww
銀を素直でまっすぐだとベタ褒めでしたが
もしかして銀が綺麗な男じゃ無かったらここまで惚れなかったのかな…??
それは好みだからしょうがないんだろうなー…。
初めて体を繋げた夜の、手慣れた様子の皆藤さんに私も嫉妬しましたww
銀の初々しさは可愛らしかったんですが
「抱いてて……離さないで!」は
いくらなんでも乙女過ぎなのでは……。
ここに引っ掛かるのはもしかしたら私だけかもしれませんし
皆藤さんにしてみたら嬉しい事この上ないとは思うのですが。
ああ、ベッドに行く時銀を抱き上げたりするから
やっぱり大歓迎かもしれない…。
タイトル通り、“禁欲的じゃない”皆藤さんが最高なわけですが
“毒舌”な受けを期待するとちょっと肩透かしかな。
なにはともあれ、デビュー作との事でおめでとうございます!
読みやすい文章でしたので次回作も楽しみにさせていただきます☆