ココナッツ
kataomoi to koibumi
『雪よ林檎の香のごとく』2016年夏コミの同人誌です。
まず開いてすぐ、ハートの凹凸のある紙が使われていてすごく可愛いです!
ずっと触っていたい感触でした。
再録の商業本が出たのでもう一穂さん林檎は書かれないのかなと残念に思っていたので、サプライズ。嬉しかったです!
今回は志緒ちゃん(受け)の妹・美夏を中心に進みます。
美夏がスピンオフで主人公だった嵐と手紙のやり取りをしているのですが、そこから志緒ちゃんが美夏の友達と文通もどきのことをし始めたことでトラブルが…という感じ。
志緒ちゃんは相変わらず頑固だし懐に入れる相手は少ないけれど、それでも桂先生には甘えを見せることが出来るのがすごく微笑ましい。
意外に甘え上手ですよねえ。
そして桂先生が志緒ちゃんに対し真摯で、その愛で目を曇らせることなく志緒ちゃんを律することが出来る相手で良かった。
やっぱりこの二人大好きです。
ちなみに作中にクーピーなんて懐かしい単語が(苦笑
今も子供さんは使ってるのかしら。
昨年、同人誌などの番外編が二冊にまとまった、『林檎』こと
『雪よ林檎の香のごとく』。
それは嬉しかったことながら、なんとなく一区切りついちゃった感があり
非常に寂しく感じていたのだが、また彼らと出会えて本当に嬉しい。
装丁がとても凝っていて、見返しというか一ページ目が
ハートのエンボス加工がずらっと並んだピンク色。
なんともキュートでスイートなのだが、
中身は甘いだけじゃなく、心に沁みる苦みや酸味があるのが
『林檎』の魅力。
一番最新情報によると(笑)志緒は大学院を出て就職しているのだが、
時は少し遡り、彼はまだ学生、妹の美夏は小学校2年生の夏、
ちょっとしたきっかけから妹の仲良しと文通することになった志緒の話。
怖いほどに潔いが一方で繊細な感受性を持つ若い志緒が、
どうしようもなくなった時に桂に頼る。
(それが多分他の人が頼る場面とは違うのがまたいい。)
かつて「志緒ちゃんが殴り込みをかけた時」の桂の思い、
(『感情教育』、数ある同人誌の中でも、大好きな一編!)
志緒にとってはずっと大人でも、桂もまた悔いを抱えて成長している。
そんな風に彼らの過去のエピソードがチラッと散りばめられ
歴史が積み重なる中での、過去も未来もある一冊、
志緒の手には余った事案がなんとか解決し、
二人は、夜の水族館でデートした後、ラブホテルで抱き合う……
「桂しか知らず死んでいく、この心と体が志緒のラブレター」
という台詞に胸を打ち抜かれ、
最後に桂が綴った「届かないで欲しいラブレター」に涙が滲んだ。
※
最後の『届かないで』の中で、桂が触れている小説は、
絲山秋子さんの芥川賞受賞作『沖で待つ』だと思われます。
『雪よ林檎の香のごとく』の番外編同人誌。
大好きな志緒と桂先生のお話が読めて嬉しいです。
本編で幼かった志緒の妹「美夏」ちゃんがもう小学校2年生になっていました。
美夏ちゃんのお友達の小春ちゃんと志緒が文通をするお話しでは
志緒が美夏ちゃんを妹として大事にしているのが伝わってきてほっこりしました。
文通相手の小春ちゃんにひそかに嫉妬する桂先生もよかったです。
桂先生が志緒にかけた電話に美夏ちゃんが出ちゃうお話は最高でした。
DVDの一コマのくだりは笑っちゃいます。
確かに「XOXO」は小学生の子供には意味不明な記号ですよね。
でもカタナカ読みした幼き志緒を想像すると可愛すぎます。
桂先生も絶対想像してにやけているはず!
手紙にまつわるお話。
小2の美夏ちゃん。
女の子特有の可愛いおませさんだけど、しーちゃんのことが大好きなのは変わらない。
志緒の決断も、志緒に寄り添ってくれる桂先生も素敵。
そして、先生が見せた未来への不安と自己嫌悪。
「それでも好き」と言い切る志緒。
可愛くて、切なくて、ほっこりするお話でした。
最後の「届かないで」で、自分でもびっくりするほど号泣。
読む機会がないことを願いながら書いた、桂先生から志緒へのラブレター。
実際には志緒が直接読むことはないのかもしれないけど、読んだ時の志緒の気持ちになっちゃって、涙が止まらなかった。
二人の幸せな未来を、もっともっと読みたいです。