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count down
積み本箱から発掘。
発掘基準は、適度な厚さ。
帯の惹句の印象だと、それなりに年配のおっさんがショタレベルのお子ちゃまにひっかき回されるお話かと思いきや、至極まっとうな大人同士のお話でした。
そもそも小田倉は、30歳過ぎて、目指してきた仕事にも見切りをつけて、本人的には余生感バリバリのつもりでいるだけで、はたから見れば全然ひよっこの若造。
方やユウキの方は21歳とは言え、それなりにちゃんと仕事して自活して生きているしっかり者。
そんな二人が偶然出会って、大企業の相続争いに巻き込まれ、そこに真っ向から挑むハラハラドキドキ。
二人それぞれの生い立ちから、身の丈に合わないお金は不幸の素って姿勢を貫くところが清々しい。
短時間でサクッと気持ちよく読み切れて満足の1冊でした。
大学の助教の小田倉(攻め)は先のない状況に嫌気がさし、大学に辞表を叩き付け帰宅途中、運転する車の前に青年が飛び出してきた。
青年ユウキ(受け)はいきなり助手席に飛び込んできたと思ったら「逃げて」と叫ぶ。後ろを見るとヤバそうな車が追いかけてくるので慌てて青年を連れて逃げることにする。
ユウキは先に亡くなった大富豪等々力老人の隠し子で遺産相続させないように命を狙われているという。遺産が欲しいわけではなく、本当に父親かどうか知りたいのと葬式に出たいだけだというユウキに、ちょうど暇になったことだし,乗りかかった船だと手伝うことにする。
小田倉は実家は裕福なのですが、若いころはそこそこやんちゃをしており、バイオテクノロジーの研究をしたくなったため、実家に帰らず実家から半ば縁を切られている状態です。
初めは成り行きで手伝うことにしたのですが、もともとゲイだし、顔は好みだし、性格も明るくて前向きなところにどんどん惹かれていきます。
ユウキは父親の顔を知らず(父親が海外に行っている間に父親の親族により母親は手を引かされたため)、母親はその後の男に金を使われたあげく早くに病死してしまい、高校は中退してバーテンダーとして働く苦労人です。でも、それを不幸だとか卑下したりせず普通のこととして受け入れています。逆にお金があるとしがらみが多くて不便だくらいにしか思っていない。だから、大富豪の等々力老人が自分の父親だと知っても遺産がほしいとかあまり思っておらず、本当に等々力老人が父親
なのか知りたいため遺髪がほしい、お葬式に出て後々後悔したくないと思い行動を起こします。
バーテンダーをしているだけあり、同性愛者にも理解があり、頭の回転が速く洞察力もあるので速攻で小田倉がゲイだと見抜きます。
小田倉視点で進むので、ユウキの考えはユウキの言葉しかありません。小田倉は結構すぐにユウキが好きになるのですが、手をだしてしまわないように、ユウキにも注意を促します。試してみようと初めて触ったときは、もともとノンケのユウキに恐がられないように緊張し気を使う姿が30歳の大人とは思えないくらいか
わいかったです。好きだと告白されて有頂天になる小田倉がこれまたかわいいです。
ただ、ユウキの考えが本当に自己申告通りなのかわからず騙されてないかちょっと心配になりました。
何度も思わせぶりな言葉がでてきていたので、小田倉は何か秘密でも持ってるのかと思いましたが、たまたま知り合った二人に意外なつながりがあり、それも手伝って解決できたのでちょっと出来過ぎの感もありますが、それは縁ということで。
ユウキはお金を持たない生活をしてきたにもかかわらずお金に執着がありません。そこがお金持ちたちに気に入られてしまったようで、あとがきでも書かれていましたがお金を持っていないのに最強になりそうな予感です。
それにしても、なぜユウキがこんなにお金に執着がないのか、管理が面倒だと言い切るには、何かあったのかなとも思わないでもないのですが、さばさばしていてとても好感が持てました。
たびたび頭の回転が速いと感じる場面があり、状況を判断できる能力にも長けていて、金銭的な理由で学歴がないため知識はないですが、勉強しなおせばきっともっともっと優秀な人材になることでしょう。
小田倉がユウキと知り合ってからは、転がるように話が進み、引き込まれるように読み進んでいき、一気に読みました。ちょっとした映画のようでとても面白かったです。
あらすじ:
大学助教授の小田倉(攻め・『俺』)は、大学のコネ社会に嫌気が差し、退職。
辞表を出し、帰る途中、何者かに追われる青年・ユウキ(受け)を保護する。
ユウキは先日亡くなった財界大物の隠し子で、遺産争いで命を狙われているらしく…
小田倉は、長髪に派手な顔立ち、遠慮のない言動で、年長者には受けの悪いタイプ。
クールな性格ですが、ユウキのような見ず知らずの青年を助けてやる面倒見の良い一面もある、所謂やれやれ系主人公です。
ユウキは21歳という年齢の割に、見た目も中身も子どもっぽい印象の青年。
このキャラとバーテンダーという職業が最初はいまいち結びつきませんでしたが、話が進むにつれ意外としっかり者な一面が判明。
遺産に興味がなかったり、小田倉がゲイと知ってもサラッと流したりと、分別ある大人な態度が素敵でした。
亡くなった父親の髪の毛を入手し、自分と本当に血が繋がっているのか確かめたいと言うユウキ。
乗りかかった船でユウキに協力する小田倉が、人脈や機転を活かして活躍する展開です。
小田倉があまりに達観していて、主人公としてちょっと面白みに欠ける感はありましたが、ユウキへの接し方には萌。
ユウキとの初Hの際、ガッつくでもなくユウキを初心者扱いするでもなく、どこまでも真摯に対応しているところが素敵だなと思いました。
遺産争いの件は随分穏便に片付いたなという印象。
出棺までのカウントダウン!と煽っている割に緊迫感もあまりなく、やや淡々とした展開です。
しかしカップリングとしては、年の差カップルの割にあまり年の差を感じさせない対等感ある関係性が面白く、なかなか面白く読めた一冊でした。