迷宮のリコリス
doukyusei
『同級生Blu-ray&DVD』の特典Disc2、『もうひとつの』のドラマCDです。
原作は24ページの短編で、草壁視点だった『同級生』の第1話【夏】の、佐条視点からのお話です。『卒業アルバム』に描き下ろされた短編ですが、2月に発売された『卒業アルバム 増補版』にも収録されているので、今からでも手に入れることができます。
明日美子先生はモノローグの少ない作風なので、草壁視点だった【夏】も草壁自身のモノローグも多くなく、佐条のモノローグに至ってはたったひとこと「だって…?」のみでした。
だから『もうひとつの』は佐条が言葉を交わす前の草壁を、そして歌を教えてくれる草壁をどんなふうに見ていたのかが感じ取れる、あの時の瑞々しい気持ちと熱さを再び味わえるお話なのです。
ドラマCDは映像がないので原作にはないモノローグがとても重要なのですが、これまでには聞くことができなかった、長い佐条の一人語りがとても魅力的でした。
”高音でかすれる佐条の声”というモノローグを思い出させる、ちょっとかすれた声がたまりません (*´д`*)。初めて『同級生』のCDを聞いたときは、佐条のイメージと違う気がしていたのですが、今ではこの声以外には考えられないです。
草壁のちょっと陽気な声に佐条のモノローグが重なって、草壁の姿が生き生きと瞼に浮かんでくる。その屈託ない姿がすっごく可愛いんです。佐条にはこんな風に草壁が見えていたんですね。これは気になるし、好きになっちゃうよなぁ。
そして原先生との出会い『はじめての人』の佐条視点までが追加されていました!!『もうひとつの』ではひとコマだけ顔を出していた原先生の、佐条への愛おしさが隠しきれない表情が、このシーンでその顔をするのかって泣けてしまうぐらいに切なかったので、ハラセン来たーと舞い上がってしまいました。
佐条の原先生への気持ちは『空と原』でのデートの場面で、佐条が赤面したひとコマでしか描かれたことがなかったので、はじめて出会った日の思い出が佐条の口から語られているだけで、あの時の赤面に感じた原先生の確信は、間違っていなかったんだなぁと再確認できたような気がして、とっても嬉しかったです。ここまでCDにしてくれて本当にありがとうと言いたいです。
そして炭酸ソーダのキスシーン…。うわぁ、なんだろうこの気持ち。恥ずかしくって顔がにやけちゃう。このCDもとても人前では聞けないな。なんだかたまらなくきゅんとして、隣で寝ていた愛犬を思わずぎゅーっと抱きしめた。どこか似てるんだよなぁ、この甘くて愛おしく、なのに切ない感じ。
同級生DVD限定版特典のドラマCDで、18分間のミニドラマ。
内容的には佐条とハラセン、佐条と草壁の出会いのエピソードを佐条目線で振り返っており、
(本編CDを聴き返して確認はしていないが)本編と重複するシーンもある。
佐条の訥々としたモノローグがメインなので、佐条ファンや野島弟ファンはうれしいかな?
新規エピではないし、演技的にも特筆すべきものはないが、
好きな作品の再構築を丁寧な仕事で聴ける。
「何度聴いても良いものです…」という心境になる。