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oretachi ningyo hime
タイトルも帯もネタバレなんですが、私は結構楽しめました。
火崎先生の作品はちょっとした謎解きが入っている場合があるのですが、今回こちらは誰が人魚姫か、ということでしょうか。いやまぁクレイプ(攻)だというのはタイトルからすぐに推測できるのですけれど、人魚姫というのが例えているだけなのか、それとも…と考えるのは面白かったです。
花澤(受)の視点のみで進みます。
花澤はコミュ障で恋愛に疎く、仕事で会った黒木という男に「好きだ」と言われて、押されるように付き合いを始めます。
中盤は、黒木とデートしている場面や、先輩同僚の土佐への相談場面が結構多いのですが、花澤王子様が戸惑い悩み、クレイプ人魚姫が打ち明けられずにじりじりしていると思うと楽しかったです。クレイプは感情を態度に表すので、花澤を大切に思っているとは分かるので安心して読めました。ただ、花澤は黒木を好きかもと思いますし、キスもされますのでそういうのが苦手な方はご注意ください。
頭から人魚姫の話があり、イラストレーターの仕事も人魚に絡むものですが、それ以外に花澤にも人魚姫を彷彿とさせる過去があるという、人魚姫というテーマをふんだんに盛り込んだ話でした。
デザイン会社に務めるデザイナーが主人公のお話です。
この主人公がかなり苦手な性格のキャラクター(うじうじ系)で最初の方はわりとイライラしながら読み進めていたのですが、途中から心配の方が勝りました。
メインの恋愛部分よりも、仕事関係の方が心配になるストーリーだと思います(恋愛と仕事が密接に関係している内容ではある)。
危機管理能力も自己肯定感も低い主人公が、デザイナーの同業者である黒木にコロッと騙されてしまう様子に終始ヒヤヒヤ。
この黒木というキャラクター、当て馬と言うより詐欺師に近い存在です。
初心な主人公を弄ぶ形で、主人公の未発表のイラストを見たり、コンペに提出したデザインについて聞き出したり、第三者目線では主人公を利用していることが丸わかり。
そのため、これからどんな大変なことになってしまうのかとかなり胃が痛くなりました(主に仕事関係で)。
本文中黒木関連の描写がとても多く、その間本来の相手は深く話に入り込んで来ません。
そのため、メインカップルは最後の方にスルッと成立してしまったような状態で少し物足りなさを感じました。
タイトルとあらすじに惹かれて購入。どれだけ俺様な人魚姫なのかとドキドキしながら読み始めるも、途中で「ちょっと待った」と言いたくなった。
主人公と彼にちょっかいを出してくるヤツとのパートが多すぎて、本命の攻とのパートが少なすぎる。主人公は初めから攻に憧れめいた気持ちを持っているけれど、すぐに当て馬と2人のシーンばかりになってしまう。なので2人の気持ちが通じていくのが読み取れない。
最後は主人公と攻がとってつけたように出来上がって、はいメデタシメデタシと終わってしまう感じ。満足感がなくがっかり。