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美貌の錬金術師×別の世界の記憶を持つ青年の、異世界トリップ・ファンタジー!!
renkinjutsushi to fusho no deshi
BL臭のない美しいカバーイラストの本。
内容的にもBL的描写はかなり少なめです。
なので、エロ重視の方には全く物足りないかも知れません。
むしろファンタジーとしての設定がしっかりしていて、ファンタジー好きとして、とってもおもしろかった。
作者後書きに好きな物をめいっぱい詰め込んだとある通り、錬金術師の生活や、王位継承争い、竜との契約などなど、ファンタジー好きにはおいしいネタがきれいに盛り込まれ、そこに更に、少年と美しい錬金術の初恋と、時空を越えたその成就が盛りつけられているなんて。
yoco先生の美しいカラー口絵にも萌プラスして神です。
不器用だけど優しい堅物と天然だけど真面目な不思議ちゃんのボケ×ボケカップリング、何気に新鮮でとても可愛い。
二人のツッコミ不在なやりとりは読んでて思わずニヤニヤしてしまう。
全体的にはBL作品というより童話風の異世界ファンタジーに近い感じというべきだろうか。
緻密に練られた設定や壮大な世界観がすごく魅力的で、散りばめられた伏線もきちんと回収されてすっきりした。
錬金術師や竜の話の比重が多い分ラブラブ要素は控えめだけど、それを抜きにしても転生物語としては最高におもしろい。
終盤の三つ編みを編む場面での「会えた、会えた」は鳥肌だった。
とても楽しめたし、面白かった。
謎が謎を呼んで、それらがどう繋がっていくのか先が読めないミステリアスさにワクワクさせられました。
そして一つも破綻せずにそれらが繋がっていくところがお見事で、最後まで物語の世界にとっぷり浸かったまま読めました。
謎めいた錬金術師や空飛ぶ竜が登場するファンタジーものでありながら、BGMがけたたましいハリウッドの超大作!みたいなド派手なやつではなく、表紙のイメージそのままのどこか静寂がつきまとう、丁寧に編み込まれたお伽話とか海外の児童文学のように感じたところも好印象。
攻め受けのどちらも世間知らずっぽいちょいズレた言動も良かったし、エレズ、フリッツ、レナート、カナル、アビー、ダレンといった周囲のキャラが皆、ユニークでそこが本当に良かった。
もっとこのお話を読み続けていたかったなぁ。
一冊で終わらせるにはもったいない世界観、そして魅力的なキャラたちばかり。
そして「不肖の」弟子という意味。
ググると「(親や師に似ず)おろかなこと。」とありますが、リクトは特に「不肖の弟子」というわけではないので、何なのかなぁと思ってたら……。
忌み子とされながらも王子としての誇りがあり、反逆者としての烙印を押されてもいいから……真実は自分だけが知っていればいいというあれに繋がるんですね。
どこまでも不遇すぎて、そしてその気高さに泣ける。
だからこそ、あの「会えた、会えた」にはもう涙腺決壊しましたよー。
リクトは王子の真実を打ち明けてくれるよね、きっと。
でもアダルバートが真実を知ったら、気も狂わんばかりになるよね。
でも汚名を晴らしてほしいし、歴史書も正しく直してほしいけれど、それは可能なんだろか……。
続編希望です、もしくはスピンオフでもいい、脇キャラの誰が主役になっても楽しめるはず。
残念ながら電子には口絵も挿絵もなくて、そこが超絶残念で心残りです。
見たかったー。
キャラ文庫アンソロジー2 翡翠に番外編が収録されているようなので、そちらも読んでみようと思います。
charaバースデーフェア2020で円陣先生が推していたので購入。こういう世界観好きなのと、すっとぼけた印象の受けも堅物無器用そうな攻めもサブキャラもみんな好きだったので神にしました。円陣先生、おススメしてくださって本当に有難うございます。
金髪黒髪イケメン複数+竜?可愛いトカゲ?まで出てくる本編+後日談(電子限定っぽい)+あとがき。残念なんだけどho○toさんでは挿絵が無かったんですよう、ううう。無念。
幼い頃奴隷として売られていたのを、錬金術師のエレズに買ってもらい、山の村で我が子のように育ててもらったリクト。エレズが「病気になった、先行き心配だから王都に行ってアダルバートの弟子になりなさい」というものだから、しぶしぶ訪ねていったのに、「弟子は取らない、居候として置いてやる」と言われ・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
エレズ(攻めの師匠、受けの養い親、ウェービー金髪ロン毛イケメン、フリッツとは仲悪そう)、フリッツ(錬金術師、錬金術師のギルド長、見た目は若いがじーさん、美少年好き)、レナート(金髪碧目イケメンな神人、多分S)、カトル(美少年になるトカゲ、多分M)、アビー&ダレン(近所の食堂をやっている兄弟、良識ある方々)、エリオット(故人、ウェルアーザー王家の王子)、その他エリオットの兄弟王子。イケメン多いけど、みんな、どこか変(笑)
** 好きだったところ
受けのリクトが大好き。まっすぐ純粋培養されたからなんだろうけど、物おじしないタイプで、直球勝負で「男色家ですか?」と聞くわ、もしそうだったらどうすんのと問われると「緊張はするけど研究だし精液あげるぐらいは前向きに」と考えるような方。言葉はそんなに多くない直球タイプ受けが、不器用な言葉足らずな攻めと、上手くコミュニケートできるわけがない!ずっと爆笑している訳ではないお話なのですが、うっかりするとせつなくてどよーんとなってしまいかねないお話を、「そこでそう言う?!」と笑わせてくれて、とても楽しかったです。
無器用攻めも良かったですが、何より周りのサブキャラも秀逸。トカゲもどきにしかなれないカトルは、主と思っているレナートにけちょんけちょんに言われて涙目になっても主のことを良くしか言わないし、ちょっとおだてたら木に登りそうな子だし、主のレナートと合わせてめちゃ可笑しい。フリッツとエレズが犬猿の仲っぽいのも興味深々。「どっかに同人誌転がってないかな、探さなきゃ」と思うぐらい面白かったです。
ファンタジー大丈夫で、ちょっとセツナめお話が大丈夫な方、是非是非。ちょっと時系列入れこんだ箇所もありますが、とても良かったです!
大作ですね。
久しぶりに「読んだ」という感覚。
このページ数に比してBL濃度は薄め。
だけどそれが上品で良い。
そのさじ加減で良い。
あれ?このあたりでBLの香りが漂うんだけど勘違いかな?くらいの奥ゆかしさが丁度良い。
なぜなら、主人公は純真無垢の拾い子であり、高貴で悲運な王子でもあるから。
明け透けにガツガツと見せつけられては、逆に興ざめしてしまう。
男の子たちの「ラブいちゃエロ」だけが楽しみなら、そこに辿り着くまでの時間は長すぎるでしょう。お勧めしません。
でも、男の子たちが出てくる「面白い小説」が読みたいのならこのページ数は裏切りません。
壮大な世界観×魅力的なキャラ×センチメンタルトリック
がこの本の魅力の三大柱
まず世界観はザ・ファンタジー
魔法のような錬金術、幻影、ギルド、ドラゴン、契約、結界、不老不死、前世の記憶…
え、そんなのもアリ?ってくらいに様々な設定が登場します。
普段現代モノばかり読んでいる者にとっては、その凄まじい総合格闘技っぷりにまずは圧倒される。
でも大丈夫。
ちゃんとついて行けました。
きちんと読みさえすれば、自動的に文章が空想の世界へ連れていってくれます。
そうして気付けば
無垢な少年のほのぼの新生活を応援し
彼の記憶の謎に夢中になり
王子の回想で涙し
厄災に息をのみ
一見落着の安堵とともに主人公のラブを全力で祝っていました。
現代モノでは表現しにくいスケール感に大変満足。
ただ、設定だけでは長い小説を読み続けられないですよね。
それを支えているのが魅力的なキャラたち。
1冊のBL小説としては登場人物が多い方ですが、みんな存在感があります。
まず脇役が総じて良い。
彼らの言動に思わずクスっとしてしまう。
食堂の美形兄ダレンの穏やかな突っ込みとか。
神人カトル君のご主人に向ける崇拝っぷりとか。
師匠エレズの人の世をはばからない俯瞰した雰囲気とか。
しかし一番はやはり主役の二人ですね。
攻のアダルバートさんは男らしく艶っぽいのに抜けているんだか、年長者っぽく構えている風なんだか、ただの不器用さんなのか。そんな一面的に語れないところが魅力な男です。
受のリクトくんは好奇心旺盛な無垢ボーイ。自分なりに色々考察して一見論理的な結論を出すんだけど、それが浮世離れしていているから完全に突っ込み待ち状態。微笑ましくて笑えちゃいます。
二人とも程度の差はあれど、とにかく天然さんですね。
さて、そんなフワフワした二人には、所々不自然で謎な行動が散りばめられています。
例えば「ん?お金がたんまりあるのに稼がなきゃ?」という違和感。
実は、その秘密は二人の悲しい過去にあって…
でも本人にその記憶はありません。
遠い過去に持っていたはずの強い感情が、本人のコントロールを超えて意志を持たぬ習性として現在に残ってしまっている。
なるほど、伏線だったのかと頭で納得するより先に、胸が切なく苦しくなるこのトリック。
とっても感傷的な演出です。
結論、やはり大作ではなかろうか。
普段ファンタジー系には見向きもしなかったのに、BLという理由だけで手に取り出会えた世界。
BLジャンルの懐の深さ、そしてBLを通して見たことのない景色を見せてくれる作家さんに感謝したくなる作品でした。
胸がキューっと絞られる様な切なさを綺麗な文体で綴る杉原理生さんがとても好きだったのですけれど、新しいお話を発表しなくなってから3年とちょっと。気にはなりつつも、何となく読めないでいた今作を読んだら……とても良かった。
リクトの一番古い記憶は、7歳位の頃に人買いに捕まえられて奴隷として売られていたところを錬金術師のエレズに買われたこと。それ以前のことは覚えていません。
これは『自分は一体誰なのか?』そして『自分の居場所はどこなのか?』をリクトが探し、そして見つけるお話です。
リクトのキャラクターが秀逸でねぇ……
推定17歳、プラチナブロンドの美少年で、いわゆる『天然』なんでしょうけれど、どこか達観している様な所があるんですね。
なんて言ったら良いのかなぁ。訳が分からない例えですけれども『人里離れた田舎でおじいちゃんに育てられたフェミニン系の長男』っていう感じ。
常に敬語混じりの丁寧な言葉遣いで、感情は細やかなくせにその振り幅は小さい。
抑制的なので、動揺していないみたいに見えるんですね。
でも、心の中は結構、波立っていたりするんです。
だから、すっとぼけている様に見えるのに、すごく切ない。
なんだかズレているから、可笑しいのに、とても悲しく感じる。
リクトが自分の出生の秘密に近づけば近づくほど、こんな相反する感情を同時に抱いてしまうのですよ。
この感情の交錯がお話をとても複雑で奥深いものにしていると思います。
絶妙です。
リクトの出生の秘密は、養い親と言っても良いエレズ、エレズの弟子でリクトが居候をするアダルバート、そしてこの2人と過去に因縁のあったエリオットという王子の3人が関わった過去の悲しい出来事に由来するものです。
これね、知らない方が面白いと思うのですよ。読んだ時に。なので伏せます。
かなり辛かったですよ、読んでいて。断片的に出て来るので『ガッツリ辛い』と言うより『書いてあること以上を想像させられちゃって辛い』という。
ただ、救いがあって『リクトはリクトである』のです。
それは良かった。とっても良かったんです、そこが。
このお話で「神だ」と思ったのは、何と言ってもラブシーンのロマンティックさですよ。
かなり年上だけれども、寡黙で感情表現が苦手そうな攻めが「俺の持っているものはなんでもおまえに与える。だから、代わりにおまえは俺のものになってほしい」なんて言っちゃうんだよーっ!
あたしはこのシーンでクラクラ来ちゃったですよ。
ここまでのアダルバートのキャラの積み上げを読んで来たら、もう、たまらんです。だって、こんなこと絶対言いそうにないんだもの。
ずーっと色っぽくないのですよ、この2人。
でも、本当に最後の最後の最後に、とっても甘くてロマンティックになります。
これがねー、とっても良かったのですわ(鼻息)。
杉原さん、もう書かないのでしょうかねぇ。
新しいお話が読みたいなぁ……
キャラ文庫アンソロジーの翡翠を読むに辺り再読しました。
実は読んだ時も神評価にしていたのですが、レビューはしていませんでした。
でも素晴らしい事に再読してみても神評価作品でした。
2016年の発売当時に読んだきりでしたが、読むに従って段々と思い出したりこんな内容だったかと再確認して驚いたりして新鮮な気持ちになりました。
初めはリクトの世馴れない感じが微笑ましくて、錬金術師のアダルバートの偏屈さの陰に見え隠れする優しさにドキドキするんです。
そして終盤に行くに従ってのリクトの秘密や、アダルバートの過去に絡められた真実に至るまでのお話が秀逸で夢中になって読みました。
登場人物の全てに役割があって、結末も納得が行く読後感の素晴らしい作品でした。
お話の特性上エロはとても少ないです。でもそんな事どうでも良くなる面白さです。
むしろ無くても良いくらいでした。でもアダルバートのリクトへのちょっとした愛情表現にとても萌える作品でした。
今回は電子で購入しての再読だったので、電子限定SSも読めて更にその後の2人が読めて最高でした。
ストーリー重視の方に読んで欲しい名作です。
yoco先生の挿絵も楽しみた方は紙の方をお勧めします。
そして最近、杉原理生先生のお名前を拝見しないと思っていたら2018年の同人誌と「小説Chara vol.30」に収録された商業誌の番外編からの活動が無いのが寂しいです。
Twitterのアカウントを拝見したら何年も書かれてないみたいですが、これから書けたらいいなとあったので楽しみに待ちたいと思いました。
リクトは、育ての親であるエレズの体調不良を理由に、エレズの錬金術師の弟子であったアダルバートの元に修行に行かされます。
リクトは幼いころから、自分の意識の奥底に別の記憶があることを感じて不思議に思っていましたが、アダルバートの元にいき、神人にあったり古い書籍を目にする中で、過去の記憶がより鮮明に思い出されるようになります。
自分は50年前に忌み子として扱われていた王子なのか、それとも異国から来た別の存在なのか、アダルバートが自分に向ける目はかつて愛した王子に向けたものなのか。
本当の自分が何者なのか知りたいけど知るのが怖いと葛藤するリクトが切なかったです。
二人が50年の時を超えて体も魂も形を変えたけれどやっと結ばれてよかったです。
引き込まれるファンタジー作品でした。
評価、悩みました。
ファンタジーとしては本当に一級品。
竜のいる世界観も面白いし、錬金術師について書かれている箇所も読むのが楽しかった。
先が気になってわくわくして、色々と想像をめぐらせながら楽しく読ませてもらいました。
なので、わくわく感の評価を付けるなら悩むまでもなく「神」作品。
ただ……主人公たる受けの問題はクローズアップされて詳細が明らかとなるのですが、攻め側の問題は色々と残ったままハッピーエンドに至るので、攻めの心情にいまいち納得ができないんですよね。
そこがちょっと残念でした。
でもすっごく面白かったしなー、こんだけ面白いのに「萌2」にするのも……ってことで結局「神」評価に。
そのくらい面白かったです。
記憶が定かではなく、自分が何者か分からないリクト。
アダルバートの錬金術師としての仕事の謎、育ての親のエレズの不可解な言動等、ページを捲る手が止まらずどんどん物語に引き込まれました。
リクトという存在で欠かせないのが50年前の王子・エリオットですが、悲しすぎる生涯です。
彼がどうリクトと絡むかをネタバレすると本の面白さが激減するので書きませんが、なるほど…と唸る絡み方でした。
アダルバートもリクトも良いキャラなんですが、脇役が魅力的です。
エレズ、フリッツ、レナート、カナル…スピンオフいくらでもいけそう(笑)
残念なのが、BLとしての萌えはかなり低めです。
でもファンタジーとしては映画化できそうな面白さだったので『神』で。