はだれ恋 ~拾われ男の妄想~

hadare koi

はだれ恋 ~拾われ男の妄想~
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神20
  • 萌×224
  • 萌13
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
15
得点
237
評価数
60
平均
4 / 5
神率
33.3%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズ文庫
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784801907072

あらすじ

「帰るとこねぇんだろ?」
そう言って、家出少年だった白石了(しらいしりょう)を拾ってくれた八尾貴文(やおたかふみ)。八尾の家や職場でともに過ごすうちに、白石はどうしようもなく彼に惹かれていく。しかし、その想いは決して叶わない、そして伝えることさえできない、ある『理由』があった。八尾の無骨な手で触れられることを夢見て過ごす日々。だが、思いもよらない出来事が二人の均衡を大きく崩してしまう。
「お前、俺としたいのか?」
秘めていた想いが引き摺り出されて!?

表題作はだれ恋 ~拾われ男の妄想~

旧車専門の修理工場の社長,妻帯者
17歳→25歳,家出少年→修理工場社員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数15

最後にバタバタくっついたような

既婚者に惚れてしまった不憫受けのお話。途中で逃げてあっさり時が過ぎ、最後にバタバタくっついた感じがちょっとモヤる。話としては面白かったが、八尾には白石以外と幸せになって欲しいと思ってしまった。主人公に悲恋エンドを願った作品。

白石は八尾夫婦に拾われ、初めて幸せを知り、当然の流れで八尾に惚れる。リアルでも妄想世界でもエロにまみれており、感情より肉欲を強く感じる。それを男らしさと言うかのごとく、男なら当然~、男として〇〇といった表現がそこかしこに散りばめられている。

こうした文言の多さは、白石の内心か作者の観念かは知らないが、男性性への主観を強く主張しているようであり、無用のこだわりを感じる。ついでに、何事もしつこく書かれすぎると読みづらさにつながってしまう。

八尾はものすごい善人だと思う。一昔前、もしくは田舎の社長っぽい気質。土下座して支払いを待ってもらっている状況で、従業員にボーナスを出す経営者。妻に先立たれた後に、白石に手を出す人間とは思えない。

結果としてそこには妻の願いがあったわけで、芙実の言葉を勝手に誤解していた白石を、手紙に後押しされた八尾が追いかけてくっつく。芙実と白石の性別が逆なら総叩きになっていたであろうお話で、話の筋は良くても納得感はあまりない。

出て来た当初から、八尾は幸せになって欲しいキャラだと思って見ていた。そしていつからか、白石には八尾を解放して欲しいと思ってしまった。
社長である八尾が、従業員かつ拾った子供である男に手を出すほどの魅力が白石にあったのか、私には分からなかった。

1

No Title

定期摂取、小山田あみ先生。
初読み作家さんでしたがアンリミのレビューが良くて読みました。

女も抱ける攻め、奥さんいる攻めは基本性癖対象外なんですが、これはとーーってもよかったです♡
奥さんは病気で亡くなってしまい
もちろん忘れることはできず、
ずーっとふたりの間に存在しているのですが
その加減が絶妙でした。
了が想いを持て余してこれでもか!!ってくらい
夜遊びしちゃうのはソワソワしたけれど。
最後、八尾さんがちゃあんと迎えに来てくれ、
エロオヤジな面に笑い、
あったかい気持ちで終わりました^ ^

0

切ない思いが成就する時

元々乱れた生活を送っていた了が八尾と出会ったことによって人生が変わっていく、、、、。
ゲイの子にとって、好きな人が女性の人生の伴侶を既に持っていて、さらにその人も良い人で自分を可愛がってくれる。辛いんだろうな。自分の思いは打ち明けられない、そして二人が良い人だけに、離れるのも難い。
そして八尾への思いをダメなこと、悪いことという負のスパイラルに陥ることで、どんどん悪い方向へ向かう受け君。

だからそばにいながら、爛れた私生活を送ってしまう受けが切なくてかわいくて…何とか八尾に振り向いてあげて欲しいと思いながら読んでました。
奥さんが亡くなる際に出張先で側にいることの出来ない八尾から頼まれた了は最期の見取りをするんですが、そこで最後の言葉を聞いて誤解しちゃいます。。。
だから八尾から離れるんですが、奥様がよく出来た人で、八尾への手紙を残しています。

それがあったから、八尾は了を探し出してでも側に置きたいと思う訳で。
最後は了、良かったね、って言ってあげたい。珍しい?形の関係でしたが、これから幸せになって欲しい思うストーリーでした。

他のレビューにもありましたが、八尾の「やり方わからないから教えろ」ってシーンはめちゃくちゃ萌えました。

0

即物的なのに純でいじらしく、切なくて地に足がついてる

世話になった愛妻家の男が好きで好きで、その男を思い浮かべる自慰や一夜のセックスを繰り返す美青年なお話。即物的なのに純でいじらしい、めちゃめちゃ良かったです。
冒頭からモブと絡んでるのですが、“尻が震える”「なんだ、このはしたないマゾ尻は」という言葉が最高でした(笑)
白石了と、白石が喘ぎながら呟く「八尾さん」、名前も素敵です。

母や血の繋がらない父に愛されず、早熟に育てられてしまった白石が、八尾と良妻に拾われて食事と良心と仕事を与えられ、一方で八尾への欲望に罪悪感を感じるという、白石の人生と精神の描き方が好きでした。
八尾の声や仕事中に盗み見た大きな手、新しく見つけた彼の部分があれば急いでそれをオカズに自慰にふけるような彼は、側から見てちょっと笑ってしまうくらい滑稽で、でもその強すぎる恋心が可愛くて、八尾が良い人間だからこそ共感させられる部分があります。
白石にとっては助けてくれた人で仕事や仕事に対する姿勢を教えてくれた八尾を何重にも好きで忘れられる訳がないし、同時にその妻に嫉妬を感じても裏切られる訳がない。切なくて結構地に足がついている…
遊び相手に殴られ青痣が出来ても、翌朝八尾が笑顔を見せればそれで良かったと思える彼の恋心は純愛でした。

白石が何度も繰り広げるS八尾の妄想も楽しくてHで、それがあるから実際襲いかけたシーンと結ばれた時はより濃厚に感じました。でもラブラブなのもう少し見たかったな。
八尾の
「ちゃんと手解きしてくんねぇと、わかんねぇだろうが。俺はお前が初めての男なんだぞ、了」
という言葉の破壊力!!!すごかった。
題名と表紙の花は違和感がある気がしますが、しかも表紙のデザイン渋いですが、小山田あみ氏のイラストも美麗で、白石のしなやかさと変態さが眼福でした。

0

はだれ=まだら 

薄雪の斑を表す春の季語「はだれ」には、寂しい意味合いの和歌が多い。
でも、冬が去り、春が来ていることを示す季語。
寂しく冬枯れしていた主人公の了に、やっと春が訪れる物語。
---
はだれ:
「はだれに」はナリ活用の形容動詞「斑なり」の連用形
雪がはらはらと降るさま。雪が薄く積もるさま。また、その雪。はだら。
〔名〕 「はだれゆき(━雪)」の略。《季・春》
---
斑な恋、という題名。スキマが有るってこと。
冒頭は、主人公の白石了が、片思いの相手の代理=行きずりのその日限りの男と愛し合う場面。

了は、儚げな印象の美形。
ずっと、片思いをしている「八尾」という男性が居るけれど、想いを告げられ無い。
想いを隠して、病身の妻を持つ八尾に尽くしている。
・・出だしから主人公の辛い立場の説明があって、かなり苦しい恋愛を描く作品だと理解できた。

了は帰巣する家族を持っていない根無し草。
了は、家庭の温もりを知らない、自分を癒す巣がない寂しい生い立ち。
八尾の死んだ妻は、優しい母性愛を注いでくれた。
虐待されて育った了の愛する八尾は、男っぽい父性愛が豊かな人。
了が愛を求める方向性に悲しいものを感じる。

幼い頃から、母親の愛人に仕込まれたせいで、了はセックス依存症。しかもドM。
了が愛されたい欲求を消す妄想や自虐行為が増長していく。
了の体の傷を観て、さすがに八尾が気づいて動く。その陰には、妻が遺した手紙があった。
優しかった八尾の妻は、了の気持ちに気付いていた。

了が八尾の会社を辞めて、バー「スイートレモン」で働いていると、八尾が了を探しに訪れる。
・・色々あって、やっと寒い了の心を温める巣と人を得る事ができた。
バーのママたちが、痛みが分かる人達で良かった。

0

呪縛と深読みに追いつめられて辛すぎ

数年振りの再読です。あの時なぜ萌にしたのか!今なら神に近い萌×2です。

心から好きな人。

了はクソなシングルマザーにネグレクトされ、母が連れ込む男達に犯され、心より体が大人になり、とうとう母に男との情事が見つかり、泥棒猫!と言われて追い出されます。
ここまではBLでよくある展開ですね。

ただ了がいつまでも母から言われた言葉に呪われて囚われて、母の男に仕込まれてその道に進んでしまったのが不憫で。

八尾との運命的な出会い。夫婦から家庭の温かさを教えられ。おかわりしても怒られない、自分が食べるところを嬉しそうに見てくれる。美味しい手料理。泣けます。
そして八尾の計らいで八尾が営む中古車修理工場に住み込みで働かせてもらえることに。
そして八尾の妻から手料理を教わり。ここが大事なポイントです。妻から教わったオムレツと生姜焼きが。

了は八尾を好きになり、その気持ちは押さえがたく八尾や妻に罪悪感を持ち、行き場のない想いを行きずりの男に抱かれることでなんとか逃がして。
でも妻が亡くなる時にいわれた「あの人のことをよろしくね」との言葉を深読みし(あの人を盗らないでね)と思い込んで、さらに苦しむ了。

とうとう八尾のシャツを嗅ぎながら自慰をしている所を見つかり、もうおしまいだと八尾を押し倒し襲い受けする。
そしてもう会わせる顔がないと逃げ出して。
ここからが読むスピードがあがりました。

遠くの街でオカマバーのコックとしてやっと居場所を見つけた了。せつないです。八尾に教わった技術を活かさず、見つからないようにひっそりと生きて。

でも!約1年後?八尾がとうとう了を見つけ出して。後輩の恭一に見つかりそれを聞いた八尾が一軒一軒しらみ潰しに探して。
了の作ったオムレツと生姜焼きを配達先の店で食べて八尾は了の居場所を確信し。
土下座して了に会わせてくれとママに頼む八尾。
泣けます。八尾の声を聞いてたまらない了にも泣けます。

そしてその夜、了の部屋で八尾が主導権を取ってとうとう抱かれます。
妻の遺言は何も他意が無かったんですね。了になら八尾を任せられると本心から思っていたんです。
了の深読みから拗れて辛い想いをして。
他の男に抱かれ八尾にすりかえて妄想したり八尾で自慰ばかりしてたのに。

そしてもう2度と八尾に大切な人を失う辛さを味わせないと誓います。

はー、長かった。途中まではひたすら了が辛くて。
でも初めて全うな大人に出会えて夫婦共にいい人で、生き生きと汗をかいて働くかっこよさを知って。

長々とすみません。心から好きな人だから大切に大切に、気持ちを知られないよう必死に生きてきた了が報われて良かった!

八尾も中原作品ならではの不良中年で情け深くて本当は顔も男前な、まさに牡、雄、男っぷりが良かったです。

個人的に辛すぎて最後のハッピーエンドでも回復出来ず萌×2で。

0

最愛の妻を持つ相手への抑えられない感情が切なくツラい(;///;)

まさか泣けるとは思わなかった…(;///;)

ラヴァーズ文庫なのでエロ特化してる側面もあるんですが、
抑えられない性的欲求がますます恋心を拗らせていく描写につながり、
拗らせた恋心がキューッと切なくてとても良かったです(;///;)

しっかし、なんでこんなサブタイつけたんだろ?
確かに妄想シーン多かったけど。
良い意味で裏切られたのもグッときて良かったけど。
(正直タイトルだけならそそられなかったです;)
(中原さんのネームバリューと小山田あみさんの美麗イラストのおかげ♪)

さて。あらすじに書いてある通り、
受けは幼少時より愛情といえるようなものをかけられず、母親の男に性的虐待をうけ、17歳になったころには母親(とはとても呼べない産んだだけの女)に家を追い出され。受けが行くアテがない家出少年だった頃に攻めと出会いました。
攻めは家に連れ帰り、温かい食事と寝場所を与え、職を与えて仕事を教えます。
今までまったく知らなかった"ごく普通"のことは、受けが攻めに焦がれる理由としては十分すぎました。

しかし攻めには最愛の奥さんがいて、受けにとっても奥さんは大切な恩人でもあります。
受けは奥さんを裏切るような罪の意識を抱きつつ、せめて片想いだけでも許されたいと苛まれています。

攻めに抱かれたいという願望と罪の意識がごっちゃになり、行きずりの相手に攻めの代役をお願いして手酷いセックスをされると堪らなく興奮を覚える受けー。同時にセックスが終わればどうしようもない虚しさを抱えて生活をしていました。

攻めの奥さんは病を患っていて入院しており「奥さんが亡くなればーーー」と一瞬よぎってしまった考えがますますマイナス感情へと走らせ…。そんな折りに奥さんの容態が急変しーーーと展開します。



・「最愛の妻がいる攻め」
・「攻め妻にも恩がある受け」
妻も含めた3人の関係性からしてBLになるのかな?と思いました;
攻めが心変わりするとは思えないし離婚するなんてあり得ないくらい温かな夫婦なのです。

だから…、まぁ、うん、そういう形になっちゃうよね。
奥さんが攻めに遺した手紙には号泣しました。
こういうの弱いんだよーーー。゚(゚´Д`゚)゚。

後半になると、一気に数ヶ月後に飛んだり、半年飛んだり、1年飛んだり
時系列がバンバン進むのでちょっと飛ばしすぎじゃない???と思ったんですが、
最終的に奥さんが亡くなってから3年の時間が置かれたのは良かったです。

完全ノンケで妻一筋だった男が
喪失感から立ち直り、回りを見る余裕が出来て。
弟のような息子のような存在の受けを"恋愛相手"として意識をする。

そう簡単にはいかないですもんね。
3年という時間が短いかどうかは分かりませんが、
奥さんの手紙が後押しになったという点も後味の悪さがなくて良かったです。
受けが長年雁字搦めになってた罪悪感がようやく消えてホッとしました。

個人的にめちゃくちゃ泣いたのは
受けが攻めの元を立ち去ったあとからのシーンです。
離れても尚、恋心を募らせている受けの孤独感や痛々しくて切なキュン(;///;)
それを見守るゲイバーのママやベンガルさんの優しさが沁みて泣けるッッ!!!

攻めが受けを探し回ってるくだりは、もぉぉ~~!!!(;///;)
萌えるし泣けるし萌えるし泣けるし感情大忙し。
攻めが受けを探し当てた理由も(前半が既に伏線だったのか)説得力があって良かったです。

また舞台になってるのが旧車の専門業者というのも萌え的にヒット。
つなぎの作業服・滴る汗・腕の筋肉、どれも大好きです///
中原さんの男臭さを表現する文章は色気がつまってるから更に良し◎
これを小山田あみさんの美麗な挿絵で見られるなんて!!
最高としか言えない+゚。*(*´∀`*)*。゚+

余談ですが、
挿絵で登場しなかったゲイバーのママやベンガルさん。
『ラブコレ 12th』小山田あみさんの漫画(3P)でお姿が見られます♪
ママは性格だけじゃなくお顔もイケメンで惚れるし、
ベンガルさんの筋肉質な脚と黒ハイヒールが美しい+゚。*
(おっさん攻めのキス待ち顔は笑えますw)

小説部分は攻めと受けの幸せな後日談(+玩具の伏線回収w)になってました。

6

家庭の味

小山田先生のイラストが本当に美しくてセクシーでした!

母から育児放置され、たびたび変わる母の男に身体をしこまれて育った了(受け)は、母の男と寝ているところを見つかり「この泥棒猫!!」と母に叩き出されてしまいます。
帰る場所もなくうろついていたところを八尾(攻め)に拾われ、住み込みで八尾が経営する旧車専門の修理工として働くことに。

八尾は愛妻家で、病弱で心優しい奥さん・芙美がまるで母親のように家庭の味を教えてくれるんです。
そして人の優しさ、家庭の暖かさを教えてくれる八尾と芙美。

次第に了はどうしようもなく八尾に惹かれていくのですが、奪う気も家庭を壊す気も到底なく、秘めた思いは他の男と寝ることで紛らわせる日々……。

しかし入院中だった芙美の容態が急変し、出張中の八尾のたっての願いで了が看取ることになってしまいます。
ようやく聞き取った「あのひとを、よろしくね」という今際の頼み。
しかし、その言葉を了は「私の愛した人を盗らないでね。」という意味だと捉えてしまうんです。

かつて母親から「泥棒猫!」と詰られた了。
そんな自分がまともな生活を送れるようになったのも、金髪頭のすさんだ自分を偏見なく受け入れてくれた優しい芙美と八尾のおかげだと思っている了は、「絶対に盗るまい」と固く心に誓います。

この誓いというか呪縛に捕らわれた心を、必死で他の男や妄想で紛らわせるのですが、「拾われ男の妄想」とあるように本当に妄想炸裂してます。
代替え品で一生懸命我慢している姿が健気なのですが、モブ男達との濡れ場は二回目以降は流し読みしちゃうので、もう少し少なくても良かったかも。

気持ちがバレてしまい、恩を仇で返すようなことになってしまった……と思った了は、八尾の前から完全に姿を消すのだけど、そんな了を見つけるきっかけとなったのが、かつて芙美が了に教えた「だし巻きオムレツ」というところが、この作品の一番いいなと思ったところです。

奥さんの存在がこの話には欠かせないのですが、女性が出しゃばって……的な疎ましさは一切ありません。
懐が広くて素直で優しくて、攻めが心の底から愛した女性だというのも納得できる素敵な人でした。

わさびで食べるだし巻きオムレツ、レシピ知りたいです。
「スイートレモン」のママ、いいわ。
そして「たけると祐三」というお店、気になる(笑)

2

ガテン系の中年おじさんってセクシー…!

みなさんの言われている通り、小山田先生のイラストの美しさといったら…
もちろんお話も素敵なのですが、相乗効果で素晴らしいです。

旧車の整備工として働く了くんが、上司のイケオジさん・八尾に抱かれる妄想をしちゃう、でも八尾には病気の奥さんが!
というストーリー。
中原先生の車に対する愛が文章にあふれ出ていて、あまり車に対して興味はなかったものの
「ほうほう」と感心して読んでしまいました。
恋愛の方は、基本的に一方通行なので、なんともやるせないです。
了はほかの男に抱かれることで、八尾への愛をごまかし続けます。
また八尾の奥さんへの愛が大変に深く、了の奥さんに対する罪悪感も相当な物。
読んでいて、辛かったです。

最後はちゃんとハピエンなのですが、もう少し二人の和解が早ければ、と思わずにはいられませんでした。

1

了くん、昭和の漢だねぇ……

電子書籍で読了。挿絵有り。いつも思うのですが、小山田画伯のイラストは電子でもとても美麗。

自動車整備工(それもこだわりのクラシックカーだっ!)で愛妻家の八尾、被虐待児(と言っても内にこもるタイプではなく『昭和の不良』の香り)で家出中に八尾に拾われる了、この二人に無償の愛を注ぐ、病弱な八尾の妻芙美。こんな登場人物で構成されるお話を中原さんが書いたら、面白くないわけがないじゃないですか!

「了の生い立ちが悲惨だなぁ」と思うのは、母親の男に性的虐待を受けながら、17歳になるまで、誰も助けてくれる人がいなかったことに尽きると思うんです。だから八尾夫婦は了が出会った初めての『優しい大人』。八尾に対して思慕の念を抱かない方がおかしい。でも、了は芙美のことも大好きなんです。裏切れないんです。「義理と人情、秤にかけりゃ、義理が重たい」訳なんです。でも、慕う気持ちはなくせない……

了の八尾に対する想いは、間違いなく肉欲を伴う恋なんですけれども、でもどっか「男心に男が惚れた」的な匂いがします。だから前述の「義理と人情」も相まって、東映ヤクザ映画の様な雰囲気。「悟られてはいけない、我慢しなくては」と思う了くんのその心持ちが、男の色気をムンムンと醸し出すのでした。
小山田画伯の挿絵効果も絶大で、大したことやっていないのに(笑)エロく感じましたよ。

3

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う