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主人公は社長のボンボンです。苦労知らずの大学生。
父親の会社が経営難に陥り、主人公のお姉さんが政略結婚することになる。
それに反発する主人公。
で、お姉さんと一緒に、行儀見習いとして、お姉さん結婚相手の男の家に住み込むことになります。
はじめは反発を覚えてた結婚相手の男のいろんな顔を見るうちに、わだかまりが解けてきて――。
とにかく主人公の性格が良かったです。
恋愛感情を自覚するまでかなり時間がかかるんですが、逆にそれが良かった。火崎勇作品のキャラクターは、恋愛感情を自覚すると、モノローグでひたすら恋を語ってて、それがしつこくて苦手なので…。この作品にはそれがなくて読みやすかったです。
前向きで明るくて優しくて、わがままなボンボンだったけど、それを自覚したあとは必死で克服しようとして。微笑ましくて気持ちのいい主人公でした。
面白かったです。
丸ごと1冊表題作です。春来(受け)の視点で進んでいきます。
ある日、春来は大学から呼び戻され、その時初めて父親の会社が倒産の危機であると知ります。雑貨屋を営む姉が、融資を申し出た梶(攻め)と結婚すると聞き、姉に好きな人がいる春来は反対します。しかし、他に手段がないことから、梶に言われるまま、春来は姉と一緒に、梶の家で花嫁修業に励むことになり…という話です。
もっと「姉の身代わり」という展開になるのかと思えば、梶の会社に有能な人材になったら姉との結婚を止める、というまっとうな内容で、身代わりエロを期待した方は拍子抜けしてしまうと思います。
春来は同居している中で、梶の優しさや、若社長としての有能ぶりを知って、最初の反感から尊敬に変わっていきます。ただ、そこから恋愛感情へというのはちょっと唐突に感じましたけれど。
そして、特筆すべきは、後半に登場する、春来・梶・姉・相良(梶の秘書)の4人で出かけた旅行です。台風の中でクルーズに出かけ、春来と梶は海へ飛び込み、無人島へ漂流します。それで二人きりのサバイバルという、突然すぎるビックリの展開でした。しかし、そこからは梶が可愛らしかったです。「俺はどうでもいい」とうなだれたり、「チクショー」とふてくされたり。梶の魅力全開でした。
イラストも良かったです。サブキャラも格好良かったですし、梶が春来の足首をつかむイラストはちょっとしたインパクトがありました。
和装好き、不器用な年上攻め、世間知らずだけど素直な年下受け、実は腹黒なサブキャラ、無人島で二人きり、がお好きな方にお勧めです。花嫁モノという感じはしませんでした。