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reincarnation
リインカーネーション(転生)をテーマとした作品。
前世の昭和初期の話と、現代の話が平行して語られます。
大学生の純(受け・「俺」)は、文芸サークルの2学年上の先輩・蔵王(攻め)に片想い。
勇気を出して告白したら受け入れられ、付き合うことに。
ある日、度々見る夢の話を蔵王にすると、彼も同じ夢を見ていると告げられ…
夢の中で、純は昭和初期の青年・洋二郎になっており、二つ歳上の兄・圭一郎(=現世の蔵王)に片想いしています。
子供時代の兄との思い出、大人になりなかなか会えなくなった寂しさ、そして哀しい別れ……
現代編の合間合間に挟まれる夢のエピソードは、昭和という時代も相まって非常に奥ゆかしく切ない物語となっています。
前世からの縁と知り喜ぶ蔵王とは逆に、純は、自分たちの恋が自分たちのものでなくなってしまうことを恐れ塞ぎ込む。
就活のストレスもあり、つい蔵王に当たり散らしてしまい…というすれ違い。
いつもながら、改行が多いのにスカスカ感はなく、読み応えあるストーリーとなっているのは流石。
大学時代の話、前世の話、卒業後の話…と構成も工夫されています。
しかし、別れてヨリを戻すまでの展開が盛り上がりに欠けるのが残念。
前世で兄に想いを打ち明けられなかった洋二郎と、現世で蔵王に告白しゲイの同僚まで庇う純との対比は良いですが、
別れた蔵王と偶然再会→ゲイの同僚に励まされ元鞘に…という流れはちょっと他力本願すぎるような(巡り合わせというほどの因果関係もないし…)。
前世関係なく現世の二人の意志で結ばれた、という結論にするのなら尚の事、偶然や他者の助けに頼らない展開でないと説得力に欠けるのではと感じました。
また、洋二郎/純に比べ圭一郎/蔵王の気持ちは詳しく描かれていないため、前世での無念も現世で結ばれる喜びも今一伝わってこず……。
素材は良いのに味付けに何か足りない、昭和風に言うと隔靴の憾を免れず…な作品でした。
中立寄りです。
電子書籍版を購入。
えーと、本作、購入前に悩みました。
というのも、あらすじも表紙も見覚えがある気がして。
電子書籍版を主に購入しているせいか、はたまた、乱読しすぎるせいか、同じものを購入してしまった経験数知れず。。。
で、いろいろ確認して、きっと未読であろうと、エイヤーと購入。
読み始めると、「夢」や「前世」というキーワードや、「攻めが、自分のなかに前世の自分を見ていると悩む」点に既視感があるものの確かに未読作品でした。
が、思っていたよりもあっさりとした内容にがっかり。
否、あっさりとは違う。
ウジウジと受けは悩むんですよ。
ですが、その悩んでいる時間の割には、数日寝込んでいる間にあっさりと別れちゃうし(数行?)、再会からよりをもどすのも数ページ(数行?)。
とにかく、要所要所のイベントがあっさりとしていて物足りない印象。
求めていたのと全然違う~ってことで中立評価です。
ちなみに、冒頭の勘違いの元となった作品は、同作家様の『恋の片鱗 記憶の欠片』。
探しに探して、見つけましたよ。
こちらは、神評価です。