お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
yasashikunai nami
自分の嗜好を全面に押し出した「神」です!
一般的には「萌」かもしれませんけど(及び腰)。
亡くなった兄・渡の恋人だという高羽が気になった航平は、高羽が経営する喫茶『渡海』にバイトすることになります。高羽を知るうちになんだかイライラしてくる航平。そんな中、高羽の友人・有田が、高羽と航平の二人で京都に取材旅行に行って欲しいと言い出して…という内容です。
丸ごと1冊表題作です。
航平が高羽に好意を抱くまでが半分、残り半分が京都旅行の話が出てからになります。
航平目線で話は進みます。
航平が高羽を好きになっていくまでの過程が自然です。冒頭に、航平の長兄・渡と高羽の幸せな恋模様が書かれているので、高羽が渡を10年間忘れられなかったというのもそれなりに納得できますし、渡と航平で比較もできます。
航平が良いです。
他人のために笑う高羽の感情を爆発させようと、京都旅行中に航平は尽力します。しかし、風呂場で一人になっても泣くことのできない高羽に、航平は最後の手段とばかりに強姦します。
高羽が渡に助けを求めることを狙ってだったため、高羽が泣き出すと航平は途中で止めます。受けがぐいぐい抱かれながら泣く作品は結構読みましたが、目的を達したとはいえ挿入途中で止めるっていうのは珍しいと思います。
「強姦した相手を好きになるのはAVの中でぐらい」「入浴剤の入った湯を舐め続けたら腹を壊すかも」と冷静なのも、イイと感じました。
傍から見れば健気な行動なのですが、本人は、もうダメだろうな、と男らしい諦めっぷりなのも魅力的でした。
しかし何より私が好きなのは、ラストです。
一足先に京都から帰った高羽が、航平ときちんと話をしたい、新しい関係を作りたいと願いながら喫茶店で待つというものです。幸せへの道筋を示しながら、その手前で「お楽しみはまた今度」とばかりにドアを閉めるというにくい手口にメロメロになりました。
二人が思いを語り、幸せに抱き合い…と最後まで欲しい方にとっては物足りないでしょうが、両想いになるまでの過程が一番好きな自分にとっては、この作品の余韻を感じるラストに大満足でした。
渡・三波・航平と槙野家三兄弟の名前が海つながりなことも、「波」という題名にかかっていて良かったと思います。かくいう私はずっと題名を「優しくない彼(かれ)」だと思っていたのですけれど(笑)
航平の次兄・三波が主人公の「優しい獣」がスピンオフとして発売されています。そちらに航平・高羽のその後がちょっと載っていますので、二人を気に入られた方は、必読です!