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……まだ、謝んなくていいか。
kanashimimasen ashita made wa
とまどいと、疾走と、ためらいと苦さが混じった高校生の青春記です。
受けがゲイで悩むのですが、自分のセクシャリティに対して悩みだけではなくブレない部分があって、それがとても良かった。
男として男が好きだから、女の子になりたいと思えればどんなに楽かと。でもやはり、女の子になりたいわけではない、という部分はブレない。
男女の恋愛にも悩みが多いのに、受けクンは高校生で軽いとは言えない課題を、狭くて濃い田舎町で逞しく乗り切ろうとしています。
攻めクンも、大いなる悩みを抱えてる。二度三度と、強姦未遂も含め体を重ねるも、二重丸の二つの線が重なるまで試行錯誤していきます。
実は、個人的に栗城さんの文体がBLで最も好きです。登録漏れが多いので、この作品が栗城作品で初登録になりますが。
すっきりとした文体で、だけど状況心理描写は丁寧で、しつこくないのに抜けてない。クセがないけど栗城節。
ストーリーやキャラで「外したな」と思う作品でも、文体が好きです。なので、萌×2評価ですが文体は神です。
このカバーイラスト、小嶋ララ子さんだと思わなかった。
カラー扉も、随分雰囲気違う。
でも、このさらっとした感じが、このお話の、高校生の恋のお話に、とても似合っていた。
町民の半数以上は50代以上、子どもは保育園から中学までずっと1クラスのまま。
要はそんな田舎の町で、隣の家のお兄さん達哉への恋心を隠して暮らしている。
夏休み直前、横浜からやってきた同い年の優吾と知り合うが、優吾は達哉の結婚相手の連れ子だった。
不器用で無遠慮な子どもの恋。
だけど、打算も裏もない。
欲望にも素直に突き進む。
あっさり軽めですが、そこが爽やかでよかったです。
あらすじ:
田舎町の高校生・要(受け)は、隣家の13歳上の幼なじみ「たつ兄ちゃん」のことが好き。
ある日、横浜から来たという同級生・優吾(攻め)と知り合う。
彼の母親は「たつ兄ちゃん」の結婚相手で…。
小さな田舎町を舞台に、高校生男子の等身大の恋を描いた青春物語。
受けも攻めもそれぞれに未熟なところがあり、ときに相手を傷つけることもあれど、次の日には何事もなかったかのようにつるんでいる。
そんな男友達二人が、次第に互いを意識し恋人になるまでの過程が切なく甘酸っぱく描かれています。
要は、偏見の多い田舎町で、ゲイであることを隠して生きる高校生。
好きな人に失恋した矢先、彼の結婚相手の連れ子にいきなり押し倒され…と
結構可哀想な目に遭いますが、
あまりクヨクヨせず明るく振る舞える強さのある人物です。
ストレートの優吾は、「お前ホモなの?」等デリカシーのない言葉で要を傷つけ、興味本位で強姦(未遂)しようとする俺様ですが、成長するにつれ包容力のあるいい男になっていきます。
膝の故障でサッカーをやめ尖り気味だった優吾が、要とつるむうち、彼の明るさに影響を受け変わっていく様が良かったです。
自転車の二人乗り、花火大会の夜、初めて身体を重ねる瞬間…等、
一つ一つのシーンが瑞々しさに溢れていて、青春の素晴らしさを実感できます。
少し残念に思ったのは、後日談で一足飛びに二人が大学生になり、同棲編に突入してしまう点。
ダラダラ書いても冗長になるのでこれでいいのかもしれませんが、二人の関係が安定期に入るまでの過程や、進路を決めるエピソードなど、もっと途中経過を見せてほしかったです。
しかし全体としては、青年期特有の脆さやひたむきな強さがリアルに感じられ、とても引き付けられる作品でした。青春を追体験したい方にオススメ。
読んでだいぶたつので、印象が薄れつつあるんですが、所々の高校生らしい風景が残っています。自転車二人乗りしたり。
ただ、もっと切ないのかなって思っていたけど、そこまでではありませんでした。
大人でもなく、それでいて子供すぎない。
17歳という多感で非常にアンバランスな年齢の高校生の男の子達が繰り広げる、ひと夏の出逢いと不器用な恋のお話。
文体が読みやすくさらっと読めるのだけれど、描かれているものは青さを感じる青春と、田舎特有の狭いコミュニティの中でマイノリティを抱えて生きる息苦しさと、まだ子供な自分ではどうすることも出来ないもどかしさだったりと、ややシリアスめなもの。
都会からやって来た大人びた雰囲気の少年・優吾と、小さな田舎町で暮らす、ゲイだということに引け目を感じながら生きる少年・要。
良くも悪くも、悩める少年達が手探りでもがきながら真っ直ぐに向かい合い、感情を持て余して混乱のままにぶつかり合う…なんて印象が強いかもしれない。
途中までの展開に、これはちょっと苦手な雰囲気か?と思いながら読み進めるも、気が付けばあれよあれよと読了してしまいました。
優吾が抱えているものも要が抱えているものも、いわゆる高校生ものの爽やかさとは少し離れたところにある設定のはずだというのに、そこまで鬱屈とし過ぎてはいないんですよね。
アブラゼミがやかましく鳴く、夏休みの田舎町を駆け抜ける2人乗りの自転車。
ソーダ味とコーラ味のアイス。田舎町での数少ないイベントの花火大会。
このワードだけでも青春を感じて好き。
でも、ごく普通のパッと明るい爽やかな青春ものではないです。
どうしたら良いか分からない気持ちのまま向き合う優吾と要の、時に痛みを感じる若者ゆえの不器用さと未熟さと、男子高校生ならではの甘酸っぱさがぐるぐると混ざり合い、彩度が低めのくすみのある色味になっていく。
読み終えて見ると、小嶋ララ子(仔縞楽々)先生のカバーイラストの色合いはぴったりだななんて。
読みやすさとお話の雰囲気は良かったのですけれど、メインキャラクター2人にそこまで入り込めず、大きな萌えがあったかというと微妙なところ。
本編よりも優吾視点の短編の方が好きでした。2人の穏やかな関係性が見えて、こちらの方を長く読みたいくらい良かった。
ただ、いきなり数年後に飛んでしまった感じはするので…出来ればその間だったり、その後をもっと読んでみたかったかも。