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Charaレーベル創刊20周年記念企画、高遠琉加が贈るファンタジック・ミステリー!!
sayonara no nai kuni de
初読みの作家さまでしたが、タイトルやあらすじ、そして葛西さんの美しい表紙に釣られ手に取ってみました。
死者に会える場所があるという。
自分のピアノの教え子からそんな都市伝説的な話を聞いた春希。そんなことあるわけがないと思いつつ、それでもそんな不確かな噂話にもすがる思いで会いたい人がいて…。
過去の回想、現在、そして死者に会えるという『天国ホテル』。それらが交互に出てくるので初めは話に入り込みづらかったのですが、そこを乗り越えるとするんと感情移入できました。
バスで山に向かった春希と康はバスに乗車中に事故に遭ってしまいます。意識を取り戻した二人は同じバスに乗っていたサラリーマンの広瀬さん、そして藤枝さんと名乗る女性と彼女の幼い娘・紗彩と出会い、不思議なホテルに辿りつきます。この5人が体験する出来事やそこで出会う人たちとの交流の中で、そのホテルが『天国ホテル』であり、そのホテルのもつ本質が徐々に分かってくるのですが。
孤独な子ども時代を過ごした春希。その春希に居場所を与え、広い世界を見せてくれたピアノの恩師でもある月彦。月彦亡き後、恋慕の気持ちを隠しつつ春希を支えてきた康。
月彦に恋をし、そして彼亡き後も月彦を忘れられないでいる春希と、そんな春希を愛した康。
二人の恋愛感情のベクトルが交わることなく進んでいくストーリーにハラハラしつつ、『天国ホテル』とは一体何なのか、という謎解きの面も持ち合わせていてページを捲る手が止められず一気に読みました。
かなり長いお話なのですが、出てくる登場人物はそう多くありません。春希と康、広瀬さん、そして藤枝さんと紗彩。この5人を軸に話が進んでいくのですが、文章の組み立て方が非常にお上手で彼らの感情やストーリー展開が手に取るように分かります。
大切な人を失くした喪失感。
大切なものを守りたいという愛情。
人間の生と死。
重いテーマで、登場人物たちもそれぞれ大きなものを抱えているため楽しく読めるストーリーではありません。『生きる』ということ、そして『人を愛する』というのはどういうことなのかを問う、非常にスケールの大きいストーリーでした。
ただ残念だったのは、春希が康に対する気持ちの変遷が分かりづらかったこと。春希のなかで月彦への気持ちとは全く別の情が徐々に育っていっている、その過程は読み取れましたが、「恋愛」という意味での情がどこで生まれ、そしてその気持ちをどう温めていたのか、そのあたりがもう少し詳しく描かれていたらなお良かったなと思いました。
最後、康が自身の命をなげうっても「春希のために」と取った行動に思わず涙腺が崩壊しました。そこまで春希を愛した康の気持ちが報われて本当に良かった。
そして広瀬さんと藤枝さん。この二人も、両人にとって良い結末を迎えたと思いたい。
死者に会える『天国ホテル』と、そこでの経験。ファンタジー要素が強く、ある意味ホラー的な面も持ち合わせたストーリーでありながら、非常にリアリティの強い、読み応えのある1冊でした。
葛西さんの繊細な絵柄もストーリーに合っていて、とても良かった。
文句なく、神評価です。
帯に書かれていた「ダークファンタジー」とは何ぞや?
と思いながら手に取った作品なのですが
読み終えたら、その意味するところが理解できました。
この作品は、ふわふわ甘くて明るいファンタジーとは真逆。
重たくて苦くて仄暗いファンタジーでした。
読後感は幸せ気分とはほど遠かったです。←注意:私の場合は、です。
これまでに大切な人を亡くした経験がある人や
自身が死と直面したことがある人なら
必ず共鳴できるであろう心情が淡々と綴られています。
心に浸みる作品でした。
読むべき作品だと思います。
「生きていくこと」と「死ぬこと」の真の意味が、真正面から問われていて
色々なことを考えさせられました。
「残された者」と「残して逝く者」それぞれの想いが丁寧に綴られているから
共鳴できて何度も泣いてしまいました。
一番印象的だったのは
最後の最後で、康(年下攻め)がした選択です。
自分の命と引換に、春希の幸せを最優先しようとする姿に
愕然とし心打たれました。
康の大きくて深い愛情は、無償の愛と言っても良いのではないかと思います。
葛西リカコさんの表紙イラストが本当に素敵です。
春希を抱きしめる康、ピアノの鍵盤と楽譜、波紋、
そしてカバー折り返し部分を埋め尽くす音符たち。
作品内容が的確に表現されているように私は思いました。
死者と生き残った者が出会える「天国ホテル」という壮大な設定の不思議なお話しでしたが、とても引き込まれました。
読み始めは、過去と現在の視点が度々切り替わるので少し疲れるなと感じましたが、後半は気ならなくなりました。
亡き月彦を思い続ける春希。
そんな春希に思いを寄せながら、傍で支え続ける康。
ようやく同意してもらえた旅行も、月彦に会いたいがためだった知った時の康が可愛そうで切なかったです。
それでも春希の幸せを願い自分の命を差し出そうとする康が健気で泣きそうになりました。
BLという枠を超えて面白かったです。
攻め視点、受け視点とところどころ変わります。
受けは、攻めの叔父に片思いしていました。その叔父が亡くなっていてというお話です。
受けは、幸せになりたくないとか、笑いたくないとか、食べ物の好き嫌いが多く歳上なのに未熟な行動を遠慮なくしています。無意識に、攻めがいる安心感があるからそういう行動をしていたのかな、と。
私は、SFのようなファンタジーという印象が強いです。
時間感覚の曖昧さにぼんやりして、読者のこちらとしても不安定になり、登場人物たちの疲労が存分に伝わりました。時間単位というのは、大事なのだなと。
「天国ホテル」ではなぜ「時間」が曖昧なのか(あるいは存在しないのか)、死者の時間が止まってるからなのですね。
そんな不安定で疲労する世界で、攻めは受けに対してだけでなく、他の人たちにも面倒見がよく格好いいです。
Charaレーベル創刊20周年を記念して発行された高遠琉加先生のお久しぶりの新刊にして初のファンタジーものです。
内容はボリュームたっぷりの2段組で文庫本2冊分だとか。時間に余裕のあるときに読むのをお勧めします。
お話の舞台は『死者に会えるホテル』。
ピアノ講師の春希と、春希に想いを寄せる同居人の康。しかし春希は、今は亡き恩師であり康の叔父でもある月彦への想いに囚われていた。
そんな彼らが旅行中のバス事故の末に辿り着いた不思議なホテル。
そこには乗客に縁ある死者たちが現れて…。
コレ、本の帯にけっこうなネタバレが書いてあるので、嫌でも内容が見当つきまくってしまうのですが、そこは高遠先生の叙情的で繊細な文章で幻想的な雰囲気を表現し、まるで本当にそのホテルに自分も居るかのようなリアリティを感じさせてくれます。
なのでストーリーの予想はついても、飽きずにサクサク読めちゃう。と、思うのはわたしが特別に高遠先生の文章が好きだからかも…
話は、攻めの康視点と受の春希視点が交互に組まれていて、過去と幻想の世界を上手く織り交ぜながら進行して行きます。
慕っていた月彦の死により前に進めなかった春希と、そんな春希を支え導こうとする生命感溢れる康。
都市伝説の世界で、悲願の月彦との再会に違和感を覚えながらもその誘惑に抗えない春希を、康は引き留め現実に戻ろうと奔走します。
大切な死者との永遠を生きるか、愛する人との未来を望むか、主人公たちだけでなく、様々な登場人物のエピソードを交えて『幻想の館』の謎が明らかになって行きます。
肝心の現実の世界への脱出は、若干駆け足気味だったかな〜と思いました。
あと、春希の月彦への想いの印象が強かったので、康とのラブラブなシーンがもちょっとあれば、BL的にもっと萌えれたかなぁ。
高遠先生は、常に男達のエロとtnkのことで頭がいっぱいなわたしがナッスィンエロでもオケな数少ない作家様なんですが、今回もエロ少なめあっさり。(当社比)
ボーイズがラブしてるというより、ファンタジー小説BL風味的な感じでした。
レストランシリーズや、世界の果て〜のときのような体の芯に震えが走る文章がちょっと無かったのが残念。
なので、萌評価というより5段階中3〜4という評価でしょうか。
それでも久しぶりの高遠先生の新刊楽しめました〜!
願わくば、オトナの事情?でなかなか出る気配のない『世界の果てで待っていて』の続編を生きてるうちに読みたいもんです…泣
snowblackさま
こんにちは。『世界の果てで待っていて』心待ちにしている方たくさんいらっしゃると思います。なにせ続きが気になって悶絶モンの終わり方でしたから…
出版社事情ってなんなのか私には検討もつきませんが、この際どんな形でもいいので続編を出して欲しいです〜…
『さよならのない国で』は、仕事で疲れ果てた冴えない頭で読んでしまったので、もっとベストコンディションで読めばレビューも変わったかもしれません…
なにせ2冊分の内容なので、体調万全のときにもう一度再読したいと思います。
コメントありがとうございました!いつもレビュー参考にさせてもらってます。これからもよろしくお願いします^ ^
みんみ様、こんにちは。
この素敵な本、単行本は持ち歩きに不便なこともあり
まだ読んでおりませんが、葛西先生の絵も美しく
今までとは一味違う久しぶりの高遠先生ということで、
楽しみにしながらレビュー拝見いたしました。
そして!
最後に大きく大きく頷いてしまいました。
みなさん、声を大にして叫びましょう。
『世界の果てで待っていて』、待っております!!と。
亡き恩師への仄かな恋心を何年たっても忘れられず恩師の死と共に生きる気力をなくしているピアノ教師。
恩師の甥でピアノ教師に密かに恋する年下の好青年。
そんな二人が、不思議な経験を通して心が通じ合うまで。
都市伝説的に話題になっている死んだ人に会える場所『天国ホテル』が舞台です。
春希の恩師 月彦への想いは恋というより父親への愛情だと思います。
つまりファザコン。
けれど、両親の離婚、生活に追われる母親、学校でのいじめなど居場所がなかった春希にとって初めて好意を持った大人で自分を大切にしてくれる人への父性愛を取り違えたように思うのです。
そして、月彦の急死でたった一つの希望のようなものを失ってしまいどうしていいかわからなくなってしまったんじゃないでしょいうか。
そんな時に、そばで支えてくれたのが居候していた月彦の甥でした。
食べさせ仕事を与え甘やかさず生活を立て直そうとする康の健気さに若いのにエライと褒めてやりたくなりました。
春希にしてみれば迷惑だったりいらぬお節介だったとは思うけれど、そうしなければ死んでしまうんじゃないかと危ぶみ不安を一人で抱えて康はよく耐えたと思う。
それも愛のなせる技というのかな、春希が月彦のことを好きなことを知っていながら自分の想いを封印して尽くすのですから。
バス事故にあい、気がついたら『天国ホテル』にいた二人はそこで月彦に再会することになります。
再会を喜ぶ春希は嬉々として創作途中だった合作のピアノ曲を作り始めた。
けれど、死者は変わらずい続ける、生きているから変わっていける、新たな何かを生み出すこともできるということに気がついた康はこのままここにいることの危険に気が付き、康の命をかけた決断によって呪縛から解き放されて新たな生活を始めることになります。
同じバスに乗って事故にあった乗客のエピソードも悲しいお話でしたがよかったです。
子供を思う母の愛が起こす奇跡と、好きな人を幸せにできなかった悲しみを後悔し続けている男性の想いが切なかったです。