snowblack
wonder wall
本編、『ワンダーリング』は、甘くないのに甘い話だったが
早くも3冊目になるこの同人誌は、もっとわかりやすく甘い。
そして、本編のどこか仄暗くヒリリと物騒な雰囲気は残しつつ
もっと陽性の突き抜けたテンションで読者を巻き込む。
同人誌を読み進むうちに、本編の評価もどんどん上がるのが
一穂マジック。
この一冊も、藤堂という男を作った背景や思想、
それらを描くことで物語に膨らみと厚みを与えながら
彼がどれくらい雪を丸ごと愛しているのか、
さらには、雪にとって「飼い主」藤堂がどれくらい絶対なのか、
彼らのやりとりや行動やエピソードの積み重ねで伝えてくる。
ただし、それは雪自身同様決して素直じゃなく分かりにくいが、
(いや、ぐるりと一周してメッチャ分かりやすいとも言えるが)
その一癖ある感じがなんとも魅力的。
内容に関しては、すでにお書き頂いているので
後書きで触れられていた藤堂さんはヘタレかスーパーか問題について。
彼は単に雪に振り回される育ちが良いボンボンヘタレ紳士じゃあない。
あのとんでもない一族の中で、よくも悪くも世の中の普通とは
違ったものに晒されながら育ってきただけあって
捻りが効いている(捻くれているとは違うのだ)スーパー。
自分のアイデンティティをめぐる思いや、
甥っ子の英海を巡って、彼によぎる痛みを含んだ思い。
海千山千の中を、品行方正育ちの良いお坊っちゃま紳士ヅラして泳ぐ彼が
雪にだけ見せる強い執着と少年のような青臭い思いが
なんとも萌える。
そして、そんな彼にわがまま放題で乱れる雪にもまた萌える。
OASISの曲名からとった『Wonder wall』というタイトルも
(日本の楽曲からタイトルを取られていることが続いていたが、
今回はまた〜off you goに出てくる〜OASIS登場。)
それぞれのサブタイトルも、意味深くそして洒落ていた一冊だった。
『ワンダーリング』三冊目の同人誌。
まず感想としては、もうこの二人ほんと好き!!!
一穂さんの書かれる意地悪受けが大好きなので雪はドタイプだし、藤堂のヘタレ紳士ぶりもとても素敵です。
本編より雪のデレが増え、魅力的な登場人物も増えたことから、このシリーズに対して愛着が増してきています。
■「わるいこみつけた」
いくつもの言葉を操り、世界を股にかけ活躍する藤堂が、自分や雪は何人なのかふと考える話。
父の財力により兵役を免れたことや、
シンガポールの同性愛を禁止する法律など、
短いけど勉強になる一篇。
■「ワンダーウォール」
英海の再登場が嬉しい!!
中学生になった英海。
大人になった部分と、たまに見せる子どもっぽく純粋な部分とのアンバランスさが可愛いです。
バイトとして逸の仕事を手伝う殊勝な姿を見せるけど
雪のことで藤堂に複雑な気持ちも抱いているようで。
まさか前回来日したとき、雪と藤堂のの情事をこっそり聞いていたとは!
友達に日本のコンドームを買ってくるよう頼まれたことを恥ずかしそうに告白する青少年にはさぞ刺激が強かったことでしょう!!
ディーラーの雪に、チップではなく海で拾ったありったけの貝殻を渡す英海。
そんなまっすぐさに、藤堂がちょっと嫉妬しているのも良かったです。
■「毒りんごを食べさせて」
雪の女王様キャラ炸裂の話。
↑の後、ご機嫌斜めな雪は土足で部屋に上がりこみ
寝転がって藤堂にブーツを脱がせるw
英海なんかのことで何を心配しているのかとか、
嫉妬するならするでそれを表に出せとか、
雪に一方的に色々言われたあげく
僕が悪かったと謝っちゃう藤堂、
やはり素敵ですw
偉そうな雪だけど、藤堂のことを
自分の飼い主と言ったり、
その後のHで思いっきり乱れたりと
藤堂への愛はすごく伝わってきました。
最後の一穂さんのあとがきにも笑いました。
藤堂はスーパー攻めだと思いますよ(雪のいないところでは…… w)。
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