疵と蜜

kizu tomitsu

疵と蜜
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神25
  • 萌×229
  • 萌24
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
12
得点
315
評価数
81
平均
3.9 / 5
神率
30.9%
著者
遠野春日 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
疵と蜜
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784199007897

あらすじ

幼い頃に両親を強盗に殺害された過去を持ち、いまでは派遣会社の若き青年社長となった
里村。その陰には、里村の身体を担保に、無利子の貸し付けを引き受けた金融ローン会社の
社長・長谷の存在があった。里村の美貌と身体に魅せられ、取り引きを始めて半年──
ある夜、二人は政治家のパーティーを訪れる。そこで里村は、両親を殺害した犯人と思しき
男と衝撃の再会を果たし…!?

表題作疵と蜜

32歳,金融ローン会社社長
27歳,長谷から融資を受ける派遣会社社長

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数12

官能み強いサスペンス

表紙がめちゃくちゃカッコいい、色っぽいですよね。
そして内容がこのイメージにぴったりでした。

冒頭から、白昼堂々の行きずり濃厚スケベinオフィスで始まり、”おぉぉっ!”と引き込まれました。遠野先生の作品は、高等遊民たちがブルジョワ的な恋愛するようなものばかり読んでいたので、個人的にはちょっと新鮮なテイストでした。

受さんがビッチで、攻様が絶倫なので、エロ多めなんですけど(♪)、サスペンス要素(受さんが幼少期に遭遇した強盗事件の真相にせまる!)が強めな展開でした。正直、サスペンス要素はなくてもいい派なのですけどw、攻受のキャラと笠井先生のイラストが最高だったので、不得意要素に引っかからずに楽しむことができました。

事件を通して絆を深めた二人が、さらに絆を深めるお風呂場での出来事、受さんへのおしおき”剃毛”がかなり性癖に食い込んできました。攻様の執着の証、つるつるにされて誓いをたてる受さん(ビッチは卒業)、厳かな二人の愛の儀式に最高に萌えました。

0

サスペンスとラブの絡み合い

もうページを開いて1行目からどエロいセックスの描写!
一気に物語世界に引き摺り込まれた…さすがだなぁと思いました。

社長室に近所の工事現場の若い作業員を連れ込んで荒々しくヤってる線の細い美形。
その最中に冷ややかな表情を動かさずに平然と入ってくるもう1人の逞しい美形。
咥え込む誘い受けは人材派遣業の社長・里村。
部屋に入ってきたのは、里村に融資をしている金融会社の社長・長谷。
長谷は里村に個人的な融資をする代わりに、自分の言う通りにカラダを差し出せ、という条件をつけていた…

里村は大変な負けず嫌いで、長谷との時間以外は自由だろ、とわざとビッチな振る舞いをしているわけです。
そんな感じで、嫌々抱かれているテイの里村と、傲慢な君主としての長谷の姿が描かれていくわけですが。
里村の見る悪夢から、里村の子供時代のエピソードへと続き、とんでもない不幸な事実が炙り出されてくる。
里村は、強盗殺人事件で両親を殺された犯罪被害者、だったのです。
そこから物語はグッとサスペンス寄りにスピード感を増していき、それは私の好みにピッタリ!
ページを捲る手は止められず、一気に読んでしまった。
もちろん、長谷と里村の関係性もどんどん変化していきます。本音を見せなかった長谷が実は執着的溺愛男だったり?
里村の超有能な部下・青柳や、長谷の同級生の超エリート警察官など、脇役も魅力的。サスペンス的にも読み応えがあり、大変面白かったです。
萌x2で。

2

サスペンス要素強し

2015年刊。
最初は華やかさとは程遠い印象だなぁ…といった第一印象を受けた。
攻め受けどちらも同じ起業家で若社長だというのに、片やヤクザと勘違いしそうなローン会社経営のコワモテな男だし、もう一方はIT企業に特化した派遣会社経営ながら多額の借金を背負っている美貌自慢のビッチだ。

借金の見返りに"期限付き契約愛人"の条件で長谷となし崩しのセフレ関係を持っていた里村だが、ある日、19年前に両親を殺害して姿を眩ませている犯人らしき男に出逢った偶然から二人の関係に変化が現れる。
里村は警察を当てにせず独自で犯人と思わしき男を探っていくが、その男がヘテロだった為、彼が色仕掛けを使わない追跡だったのが逆に読み易かった。
展開がサスペンス要素に切り替わっていったおかげで印象が好転する一冊となった。

肝心の二人については、身体の関係を続けている中で、長谷も里村もお互い相手の事を気にかけているのにツンツンしている可愛げの無さが逆に微笑ましく感じた。
長谷の友人・野上、里村の片腕・青柳といった他人を介してようやく距離を縮めていけるまどろっこしさってのもいい。

野上曰く、長谷にも早いうちに両親と死別しているといった里村と共通する過去があるらしいが、彼の過去については作中では詳しく触れられていない。
今回は事件解決後に二人の関係が上手くまとまったので長谷の生い立ちは分からず終いだが、もしかしたら彼の過去には拘らなくてもいいのかも知れない。
いざ両想いとなってからの里村へのお仕置きが剃〇ですか…
もうこれだけで長谷の執念深さが垣間見えてしまう気がするのだった(笑)

1

定番、好きですv

情熱シリーズの遥と佳人に通じる、もどかしさと安定感v

お互いに心の距離は保ちつつ、身体は濃厚に繋がっているという。
そんな関係から始まるわけですが、
遠野さんのパターンからして攻様が受に夢中なのはわかる。
(そっけない態度を取るほど中身はめろめろv)
問題はどうやって受が、憎からず想っている自分に気づくのか。
そして、どうやって自分でそれを認めていくのかの展開なのですが、
その辺が今回は結構はらはらさせられました!

確かに里村の、甘い軽率な行動は、おいおい!と思いますが、
真実が分かり全てが終わるのなら、
最悪死んでもいいとさえ思ってしまう心情にほろりとさせられてしまいました。

長谷は、入り口はサイテーですが(借金のカタに身体って!)、
後半は安定のスパダリ感。
なにやら、過去や背景に色々背負っていそうですが、
このお話もシリーズ化すれば今後つまびらかにされるのではないかと期待v

ちょっと色々軽率すぎ(行動も男関係も)の里村さんと、
表に出さないにも程がある!な長谷さん。
そして、やっぱり気になる青柳さんと野上さんv
この辺は次巻が出ているので、楽しみに手に取りたいと。

定番でありながら、どきどきはらはらと一気に読破。
その辺は遠野さんの持って行き方の上手さで流石です。
今後にも期待しつつ、評価は「萌×2」で!

1

長谷さんはテクニシャン♂

笠井あゆみ先生の表紙を見ただけでテンション上がります。
1ページ目からハードな展開で、そのまま一気に読み進められます。

長谷さんは相当な手練れで 里村くんを和室の座卓に組み伏せて、泣こうが喚こうがよがらせつづけます。
ファインダーの麻見と秋仁のようなお似合いのカップルと思います。

電子で読んだのでイラストなし コレは失敗。
面白かったので、紙にすればよかったなぁ〜 (・∀・)

5

愛人ご無体ものではなく読みやすい

帯のあおり文句「俺が脚を開けと言ったら開け。お前の都合は聞いていない」に慄きつつも評価が高かったので購入。

わたしは受けが精神的肉体的に虐げられるお話は嫌いなのですが、このお話は攻めの執着愛や受けの満更でもない様子が伝わってきて大丈夫でした。

肝心のストーリーもハラハラする展開です、、、が!
受けの里村がうかつなお馬鹿ちゃんすぎて若干イラっ。
普通強盗殺人犯に真偽を質しに単身ノコノコ行きますかね?
それに、最初のライターを警察に提出して指紋を取ってもらえば即解決したんじゃないかな〜、と思います。
キャラもスリルのある駆け引きもよかったのですが、里村にもう一段高いレベルの活躍をしてほしかったのでお話単体では萌評価です。

でも、笠井先生の美しすぎる表紙でさらに評価を一つ上げました。
はあー、眼福です╰(*´︶`*)╯♡
笠井先生の挿絵はたまに小説のキャラとイメージが合わないことがあるんですが、この表紙絵はイメージ通りです。
2人の間に漂う空気感までも作品通りで素敵です。

3

責任とれよ!

笠井先生の挿絵狙いでget。
萌2にしたかったんだけど、やっぱ萌。
受けさんに「あほか、お前」的怒りがあって、それで萌。
おんなじように考えた攻めさん(いやマジで怒ったと思うよ)から
お仕置き(じょりじょり)されてますが(笑)
そんだけですんで、ラッキーだったと思え、このバカたれ!と
おばさんは怒ってます。
まあ小説で、大切な要素ではあるんですが、
危ないからするなと言われていることを
すんなよなーとつい思うわけ。

大好きツンデレさんですが、ちっとお利口じゃなかった分、
萌がへっちゃいました。
ツンデレといっても、スーパーツンデレまではいかず、
割と早い段階から、あんた好きなんじゃーん と読者には
ばればれで、こっちは くふくふ楽しませていただけるレベルでした。
責任とってもらってからのラブラブ話がもうちょっとあると、なおうれしかったんだけどなあ。

それより、ツンデレの横にいる クール美人秘書
(眼鏡ちゃん、スーパーSEさん)がいい感じー!
こっちは、なかなかハイスペック(=手ごわそう)そう(笑)
手こずる攻めを是非見てみたいーっ
もちろん攻めさんは今回ご登場された警察関係の方でお願いします。
出していただけますよねー、先生?
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
期待させた読者のために、責任とってください! ですね(笑)

5

表意買い!

​遠野さんの作品は最近ではシリーズ物の新しいものが出たときくらいしか読んでませんでした。
以前は作家買いするくらいに好きだったのに、読みたいと思う作品に出会えなくて…
イラストが笠井さんだったので衝動買いしてしまいました。

予備知識なしにあらすじも読まずに読み始めたのですが、カバー絵の殺伐とした雰囲気から事件ものかヤクザ関係か熾烈なビジネスかなどと思いました。
実際はそれらをミックスした感じでした。

里村は子供の頃に親が強盗に殺され事件は未解決のままという過去に苦しめられていました。
経営している会社の資金繰りのため体を担保にするという出会いは、よくある話と言えばそうなんですが、この設定でビッチな受けというのは珍しくてどんな展開になるのか興味が惹かれました。

処理のため呼び出すといった感じの長谷も義務だから来たという里村もちっとも甘くないエッチだけれど実は相手が気になってしょうがない、恋に鈍感&好きな子をいじめちゃう小学生並みの恋物語です。

長谷の友人の野上と里村の右腕である青柳の関係も気になるので是非スピンオフを希望します。
ガタイが良くてかっこいい美形のキャリア警察官の野上も、訳ありそうな眼鏡美人の青柳もいいなあと思います。

2

言ってくれなきゃわからない

 遠野作品に時々見受けられる、不器用な攻めと察しの悪い受け。思わず、往年の大瀧詠一氏の名曲「さらばシベリア鉄道」を思い出しちゃいました。
「ぼくは照れて愛という言葉が言えず 君は近視まなざしをよみとれない」
 ーある意味恋愛モノの王道なのかもしれませんが、両想いというゴールにたどり着くまで、えらく難儀する組み合わせではあります。

 受けの里村は、派遣会社社長、27歳。攻めの金融会社社長・長谷(32歳)とは半年前、融資の見返りに「いつでもどこでも足を開く」という契約を結んだ、愛人と呼ぶのもはばかられるようなきわめて殺伐とした関係にある。里村から見た長谷は「ヤクザまがいの悪徳高利貸し」で、自分を抱くのは単に綺麗なみてくれが気に入っただけだと思っている。
 
 里村は19年前の強盗殺人事件で両親を殺され、以来独りで懸命に生きてはきたが、心のどこかに大きな空洞を抱えていて、自分自身に対して酷く投げやりな部分がある。だから仕事上必要なら身売りも平気だし、行きずりの男を手当たり次第オフィスで咥えこむのもやめられない。その現場を長谷に見られても「いまさら恥ずかしくも申し訳なくもない」と開き直る。長谷の方も「返済さえ滞らせなければ何をしようがお前の勝手だ」と突き放す。少々威圧感のありすぎる風貌だが、金も力もある男前で女も放っておかないだろうに、わざわざこんな可愛げも、貞操観念のカケラもない自分を愛人にしておく長谷の気が知れないと、里村は本気で思っている。

 そんな2人の「愛人エッチ」は、神楽坂の料亭といういかにもなシチュエーションで、濃厚に繰り広げられる。金を貸した側の長谷は立場的に強いのは当然、普段の言動からしてどんだけゴーマンでえげつない攻めぶりかと思えば、意外とそうでもない。里村の身体をとても大事に扱っているし、自分の快感優先でなく里村にもそれ以上に感じさせてる。絶倫の長谷に毎度抱きつぶされて気を失ったように眠る里村。事件以来、睡眠薬が手放せなかった里村だが、長谷と付き合いだして必要なくなった。でも眠ると必ず事件の夢を見てしまう。泣きながら眠る里村の貌をせつなげに見つめる長谷。この場面、笠井あゆみさんの挿絵が秀逸で、うまく口にはできない長谷の想いが伝わってくるようでした。

 2人の関係が動くのは、事件の犯人と思しき男、塚本が現れてから。自分を餌にしても真相を暴こうとする里村を案じる長谷。高校時代からの友人である警視庁捜査一課のキャリア・野上の力も借り、里村が暴走しないよう陰であれこれ手を尽くす。でも相変わらずふたりきりで向かい合うとお互い素直になれない。嫌みの応酬の挙げ句、里村は長谷の金、長谷は里村の顔と身体が目当てみたいな言わずもがなのことを言ってしまってなんとも気まず~い雰囲気に。まったくもう、これが27と32のいいオトナで、しかも双方会社経営者という立派な肩書を持ち、色事に関しても人並み以上に経験値は積んでるはずのひとたちのやることか、とじれったいを通り越して少々呆れてました。性技はさておいて、おそろしく恋愛のスキルが低い。中学生の初恋でも、まず自分の気持ちを正直に伝えて、相手のもちゃんと聞いて、そこからお付き合いって始まるものでしょうに。そこすっ飛ばしていきなりお布団シーンから始めちゃったから、後々こじれるんですよ。(そもそも長谷はどの時点から里村を恋愛的な意味で意識してたのか? 初対面でいきなり愛人契約を持ち掛けるくらいだから、それ以前に萌芽はあったってこと? まさか会社HPに載った里村の顔写真に一目惚れ!?)

 なので本当の意味での告白は、ラスト近く、塚本に殺されそうになる里村を間一髪、長谷が救い出すまでお預けです。最近では王道を通り越して些か陳腐になってしまった感もある「壁ドン」ですが、ガタイがよくて俺様の長谷がやると憎いくらいサマになってます。言われた里村の方の反応は・・・これまた、口下手な当人の代わりに、笠井さんの挿絵が全てを物語ってくれてます。剃毛シーンでうつむく里村の貌が恥じらってるんだけどなんとも幸せそうで・・・ツンツンキリリが通常モードなのに、この時ばかりはホワワンとしちゃってまるで別人です。長谷は見かけによらずお世話体質で(救出の時、どさくさにまぎれて弱った里村の洟をかんでやったりシートベルトをつけさせたりとそれはそれはまめまめしかった)実は料理もうまかったりするので、晴れて愛人から恋人に昇格した今後は結構受けをおおっぴらに甘やかす攻めになるのかも。作中のイラストはいずれも見事な出来でしたが、特に表紙! 不機嫌にタバコをふかす里村のつりあがった眦にやられました。

11

表紙に釣られ

買おうかなあ、どうしようかなあと思ってたのですが、はい、笠井さんの表紙に釣られました。カッコいい…!思わずがん見してしまうカッコよさです。

初っ端から受けの里村が行きずりの男を職場に連れ込んで情事に耽っているというシーンから始まっていて、個人的にビッチ受けが苦手なので最後まで読めるか危惧したのですが。イヤ、面白かった。

派遣会社を経営している里村は、経営難に陥りローン会社を経営している長谷から個人的に無利子で融資を受けている。融資を受ける条件として長谷が里村に突き付けた条件は「いつでも脚を開くこと」。
金貸しと愛人の話かと思いきや、ミステリの展開もあり中々に読みごたえがありました。

里村は8歳の時に強盗に遭い、家族を失っています。その事件は自分のせいだったのでは、という懺悔の気持ちから事件から19年が経った今も犯人を捜し続けています。
行きずりの男と寝るとかお金のために長谷と関係を持つとか、ビッチさんの要素は持ち合わせていはいますが、それでも根底に幼少期からのトラウマによるところも大きく、根本のところは非常に可愛らしいキャラでした。
それでいて、自分の信念はしっかり持っているところとか、長谷と同じ立場で立っていたいという男気も持ち合わせていてかっこよかったです。

対して攻めの長谷ですが、彼も非常に分かりづらい男でした。何しろ口数が少ない。傍から見ると里村を大事にしているのがもろ分かりなのですが、それが里村には伝わってないんですよね。
というか、むしろ里村にはばれないように裏で助けてるんです。表面的にはお金で言うことを聞かせてるというポーズをとりつつ、実は里村にメロメロな長谷にキュンときました。

それと里村の部下の青柳さん。いい味出してました。長谷の大学時代の友達の野上さんと幸せにして上げてほしいです☆

里村の両親の事件の犯人探しは若干ご都合主義なところがあったり、長谷がそこまで里村に執着した理由って他にもっと何かあったんじゃないの?と思ったり、長谷の過去に何があったのか、とか色々突き詰めてほしいところもありましたが、何とも言えない大人の男の色香にあふれた作品でした。

7

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