おまえを俺の后にするーー剛胆な王×勝気な毒姫の淫靡なお伽話。

蠱蝶の殉情

kochou no junjou

蠱蝶の殉情
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×29
  • 萌12
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
7
得点
104
評価数
31
平均
3.5 / 5
神率
19.4%
著者
和泉桂 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784796406727

あらすじ

男ながら女として生きる王女・苓鈴は、政敵暗殺のため、接吻で命を奪える「毒姫」と呼ばれる存在に育てられた。だが、謀反が起こり、首謀者の神開に囚われる。国を強奪した彼は苓鈴を后にすると宣言し、無垢な躰を蹂躙するが・・・!?

表題作蠱蝶の殉情

謀反の首謀者・28歳
聯の王女で「毒姫」と呼ばれている・20歳

レビュー投稿数7

短編集 三番目以外は面白かった

「蠱蝶の殉情」
「広陵散」
「残灯一盞野蛾飛」
「蜜契」


「蠱蝶の殉情」
男ながら女として生きる王女・苓鈴
神開・謀反の首謀者・28歳
親を討たれて、敵討ちをするはずが、人柄を知るにつれ愛してしまった毒姫。

「広陵散」・・これが、一番好き
千年前の駆け落ちをして王に処刑された想い人の霊と琴を弾く
恋人の名を思い出した時に、罪が消えると伝えて消える幽霊。
想い人の名は、花の名だったことを霊が消えた後に思い出す。

「残灯一盞野蛾飛」
犬として生きることになった、貧しい家の少年が体験する惨たらしい話

「蜜契」・・惨たらしい話の後の口直し。
第17王子の英信(えいしん)
他国から人質・美しい王子芳蘭(ほうらん)
二人の恋物語。

どれも短い話で、中身の物足りない部分を笠井先生のイラストが補ってます。
笠井先生の絵の効果はスゴイわ。

1

挫折したけど、再読で神評価!

電子書籍で購入。
挿し絵、あとがきあり。

あらすじもレビューも読まず、作家買い。
もちろん、短編集ということも知らずに購入しました。
表題作を読み始めたところで、「しまった(汗)」と苦手な中華ということに気付き、読書意欲が下降。
さらに、内容も最初の数ページで結末が予想でき、そのわりには特筆すべき事件も起こらないし、中弛み感半端ないし……で途中で挫折。
積ん読本に。
で、削除する前にとりあえず、購入したことだけでも記録しておこうと、こちらのページをひらきました。
すると、評価もそこそこ良いし、なにより、短編集だし。
ということで、意欲を取り戻し、最初から読み始めました。

結果、「神」評価。
いいじゃないの、これ!!

表題作は、長くてちょっとダルかったけど、2話目も好きだし、3話目のメリバなところも、なかなか攻めこんでていい感じ。

そして、最終話にやられました。
あ、こーゆー甘いの好き。

読み返して良かった!
これも、皆さんのレビューのおかげです。
ありがとうございました。

4

やじゃ

笠井先生挿絵のおっかけで短編集とは知らず購入。
表題作が萌、4つ目の短編が神 で全体として萌2.

表題作の攻めさんは、お利口ライオン、生まれ持った王者の風格漂う、
謀反とはいえ王になるべくしてなったという感の笠井先生の黒髪男子の
絵がぴったんこな感じ。絵がさきか、キャラ設定が先かといつもながら感動。

受けさんは、毒姫と言われて、ボディタッチなく育ってきたので
本人は慣れた風でいるけど、実は寂しかったんじゃん!という役どころ。
攻めさんとキスしてぎゅしてもらって、実は嬉しかったんじゃーん。
いや親の仇なんだけど さ。

ということで王道なストーリとおもいます。
笠井先生の絵も うわあ という構図まではなかったはずなので
笠井先生入門編にはいいじゃん!と思ったのだけど、3作目が痛すぎる。
救いようがなく終わってしまった、まじか とやや呆然。

特筆するべきは4作目!(短い!けどこの長さだからこそのスパイスの効き方!)
受けさんの毒のない、すばらしい愛らしさ!
無垢(無知ともいう)ってきょわいー(笑)
挿絵で、ツインシニョンの受けさんが描かれてるのですが、もうたまらーん!!!
私も撃沈。
他のお姉さまが書かれてますが 
「やじゃ」 
と言われてみたい方、ぜひ読んでみてください(笑)

3

中身はぎっしり

 ざっくり言えば全編、なんちゃって中華ファンタジー、というくくりだけれど、かなりテイストの異なる四つのおはなしが盛り込まれた短編集。表題作は、敵国への刺客となるべく、男でありながらその身に毒を湛えた「毒姫」として育てられた聯国の王子苓鈴と、叛乱によって聯国を手中にした神開の、文字通り命懸けの初夜から始まります。

 王を殺した謀反人の神開が王位に就くには、民心をまとめるため前王の姫を娶る必要がある。苓鈴にしてみれば相手は「親の敵」以外の何者でもない。苓鈴のはらむ毒は、実の親すら懼れて寄りつかぬほど強力で、その体液ばかりか呼気でも人が殺せる。殺意を秘めて、くちづけをねだる苓鈴。濃密に応えながら、なぜか毒が効かない神開。その遠慮のない手はついに苓鈴が男であることまで暴いてしまう。死を覚悟する苓鈴。なのに神開は、だまされたと憤るでも、たじろぐでもなくその身体を征服しにかかる。毒姫ゆえに、誰とも肌を合わせたことなどなかった苓鈴は、その肌の熱さ、愛撫の激しさに翻弄されるばかり・・・

 一夜明けて、あれほど濃密に毒姫に触れた男は、息絶えるどころかますます生気を漲らせていて、苓鈴をさらに混乱に陥れる。男だとバレているのに側近にすら知らせず、あくまで正妃として丁重に扱われるし、夜はその腕に抱かれて眠る。苓鈴のこれまでの人生はすべて刺客としての使命を全うするためだけにあった。暗殺が成功すれば、自分も無事ではすまない。死はもとより覚悟の上で、恐ろしくはなかった。むしろ、無為に生かされてしまった今の方がつらい。うつろな心を持てあます苓鈴を、神開は忙しい公務の合間を縫って野に里に連れ出す。陽に当たり、風を感じ、民とも接し、なにより生命力のかたまりのような神開から伝わる熱と光に、生まれて初めて生きている実感が湧く苓鈴。そんな矢先、神開が病に倒れ、暗殺の疑いを懸けられた苓鈴は城を追われる・・・
 
 「毒姫」という過酷な運命をひきずりつつ、常に民のため、国のために自分の出来ることは何かを考え続ける苓鈴がけなげ。尺の都合上どうしても後半駆け足になってしまったのは惜しい。ラストで神開が「実は一目ぼれだった」と白状して、ツンツンしながらもデレがあふれてくる苓鈴をもっと見たかった。

 2話めは耽美なホラー。よくまとまっているけど、どこかで読んだ感あり。逆に第3話は、最後の最後までどこに着地するのか、誰に心寄せて読んだらよいのか、まるで見当がつかないまま。近年の商業BLでは稀に見る、一片の救いもない結末で、「冷血」の看板に偽りなし。暗澹たる読後感を覚悟の上でなら、一読の価値はあります。

 そして特筆すべきは第4話。ほんとにSSといってもよいほどの分量なのですが、受けの芳蘭がめっぽう可愛いんだ! そりゃあ攻めの英信もほだされるよなあ。
 芳蘭は聯国の元王子で17歳。たぶん1話目の苓鈴の弟で、すえっこの甘ちゃんゆえに到底武力で国の役に立つこともないと、10歳で隗の国に人質に出された。叛乱で聯王朝が滅びた今では人質としての役にも立たないのだけど、隗王にはわが子同然、否それ以上に溺愛されていまだ隗にとどまっている。英信は隗の第17王子で、一つ下の16歳。兄弟同然に育ち、出会ったときの英信は芳蘭に求婚までしたくせに、最近はなぜか距離を置かれている。のみならず明後日には別の女に婿入りするという。矢も盾もたまらず、決起する芳蘭。全く腕に覚えはないが、父からもらった自慢の宝剣を寝ている英信の鼻先に突きつけ、言い放つ。「私と駆け落ちせよ」

 どこまでもわがままでとことん自分に甘く、他人には高飛車。世智に疎く、不器用なうえ体力もないので武芸はからっきし。およそ実用性には欠けるが、芳蘭にはただ一つ、傑出した才があった。それは「愛されること」。そう、パンダのような奴なのだ。王だけでなく城じゅうの人間が彼のとりこ。英信もまた例外ではなく、芳蘭のことが好き過ぎて、無体を働いてしまうのが怖くて距離を置き、縁談も受け入れたのだ。なのに英信の結婚を阻止しようと、体当たりで飛び込んできて、こどものように駄々をこねる芳蘭。それで自分の要求が通ると本気で思っている、というか、そのいとけなさに相手が陥落してしまうから、本当に通るのだ。

 英信は年下だけど策士で、第17王子としての自分の立場もちゃんと考えて手に職をつけていたりする周到なタイプ。芳蘭の本心を知ったからには遠慮は無用とばかり、いろごとにも全く無知なのにつけこんで手取り足取り、あんなことやこんなことまでしちゃう。英信の出まかせを信じ込んで感心しつつ、素直に身を任せる芳蘭。でも、無知ゆえに巧まずして随所でハンパない破壊力の攻撃を繰り出すので、実は翻弄されているのは英信の方かも。「一度抜きますよ」「やじゃ」こんなノリで離れたくないと訴えられたら、どんな百戦錬磨の勇士も撃沈間違いなし。

7

短編集

表題作をはじめALL中華風ファンタジーで仕上げられていました。
全て読み切りとなっていて正直なところ、自身の好きなテイストとマジ無理と思うテイストがいっしょくたにされているのが嬉しいような悲しいような複雑な気分です。
表題作とその他三篇入っていたのですが、表題作で全話まとめて話を濃密にしてほしかったです。
幸せな話だけでなく著者の後書きでも触れていますが『冷徹』お題のお話も間に入っておりまして何とも救われない感が居た堪れなくて居たたまれなくて辛かったです。
表題作がいい感じのハッピーエンドで絞めてくれたところからの落とされっぷりに自身は言葉を失いました。。。
お話は面白く入り込めて読めたのでその分入り込み過ぎて落ちたとも言えますね。
全作繋がってないので、ハッピーエンドのままで終わりたい方は二話目と三話目に入っている話を飛ばしてもいいかもしれません。
ともあれ、次作に期待します。

1

中華風短編集

笠井あゆみさんの挿絵と毒姫という設定に惹かれて購入しました。
書き下ろし作品に同人誌作品を加えた中華風短編集です。
舞台背景は同じ中華風であっても多数のキャラ、そして様々なシチュエーションで笠井さんの挿絵を楽しむことができます。

表題作の「蠱蝶の殉情」は親の仇をとる為、毒で育った体を使って攻めを殺そうと男の身でありながら后にまでなったのに、あろうことか毒が全く効かなくて困惑しちゃう受けのお話です。
仇をとらねばならないのに、いつの間にか大切な存在になってしまった…。
それは常に傍らにいて攻めの本来の姿や真意に触れて、また自分自身を見てくれようとした攻めの情の深さに頑なに閉ざされた心が溶かされたからだと思います。
情交のシーンの挿絵ときたら、もうそりゃ艶っぽすぎてゴクリと喉を鳴らす勢いでした。
短いお話なので毒姫という設定が少々埋もれてしまった気が致しました。
そこがちょっと残念でしたね。
だけど、本来、憎むべき相手を憎み切れずに愛に変わるのはやはり萌えます。

「広陵散」
本当に短いお話でしたが、こちらも面白い設定でした。
寂しくも切ないのだけれど何処か温かな気配があって、二人の結ばれる時代がくるといいなと感じました。
挿絵も美麗すぎてうっとりです。
こちらのお話ももっとじっくり読んでみたいです。

「残灯一盞野蛾飛」
ちょっとこちらのお話は受けがあまりにも可哀想で読むのが切なかったです。
痛いし、救いもないような…。
手に負えない三兄弟に折檻やらなにやらされ、人間の扱いを全くされない受けが不憫すぎます。
感情移入なんてとてもできませんが、笠井さんの挿絵を見るだけでこれはこれでいいかなって気分になってきます。

「密契」
こちらも短いお話ではありますが、私個人としては一番好きなお話です。
収録作品の中で異色の可愛さがありました。 ぽわっとした無垢で無邪気で無知な受けが何とも可愛いです。
こちらの受けは「蠱蝶の殉情」の受けの弟なのかな。

笠井さんの挿絵で美しい受けをたくさん見ることができて、非常に眼福でした♪

4

短編集でした

初読みの作家さまでしたが笠井さんの描かれた表紙に釣られ購入してみました。BLの小説で短編集って初めて読みました。ので、2話目に入った時に理解するのにちょっと時間がかかってしまった…(恥)。全部で4話入っています。内容をざっくりと。

表題作「蠱蝶の殉情」
父親が一国の王である苓鈴。男ながら王女として生活しています。敵国を滅ぼすために、幼い頃から毒を体内に取り込み呼気からも体液からも毒を出せるように育てられた苓鈴は「毒姫」と呼ばれ、その毒ゆえに両親からも疎まれ、また周囲の人からも恐れられ孤独な生活を送っています。
そんな中、国王の政策に不満を持った兵士たちが謀反を起こします。そのリーダーが攻めの神開。神開は国民や隣国への体面を保つ意味もあり苓鈴と婚姻関係を結ぶというのですが、父親の仇を取るため、そして本当は男だとばれる前に神開を殺そうとする苓鈴ですが…。

というお話です。

神開は国王の政策に不満を持ち謀反を起こしますが、粗暴者といういうわけではなく、自身が国王の座についても贅沢をするわけでもなくあくまで国を思い行動します。また苓鈴のことも男と気づいても大事にし、愛情を注ぐナイスガイでした。

対して受けの苓鈴も両親の意向を受けて毒を身にまとうようになりますが、それも国や両親を思うあまりの行動で、結果毒姫と言われ人から疎まれ、また自身が誤って生き物を殺めてしまうことが無いようにと気遣うことのできる優しい子です。人から触れられ、優しくしてもらうことのなかった苓鈴が、武骨ながらも愛情を注いでくれる神開にだんだん惹かれていく姿が非常に可愛らしかった。

「毒姫」とか「謀反」という殺伐とした背景ながらも、二人の相手を思う愛情がほんわかと滲み出ているので全体的に甘い空気にはなっています。ただ何というか話にひねりが無く先が読めちゃうんですよね…。結末もなんだかあっけなく失速感が否めなかった。このお話丸々一冊で、もう少し話に広がりがあったら萌×2だったなあ、と思いました。

「広陵散」
気ままな一人旅をしている恵光。寂れた宿場で一人の幽霊に出会います。首を切られている幽霊ですが、とてもきれいな青年で。
幽霊にも動じず話をする恵光ですが、この二人は実は…。
というお話でした。
物悲しくそれでいて愛情深い、なんとも趣のあるお話で個人的には凄く好きです。

「残灯一盞野蛾飛」
凄く貧しい家の子が、家族を救うために「犬」として裕福な家に飼われることになり…、というお話でした。
う~ん、痛い話が好きじゃないのもあるのですが、これはちょっと受け付けませんでした。ごめんなさい。
結末としては「え、そうくる?」という終わり方でびっくりしましたが、受けの子が可哀想すぎて感情移入できませんでした。

「密契」
とある国の第十七王子である英信。彼には人質として他国からやってきた元王子の幼馴染・芳蘭がいるのですが、英信が結婚すると芳蘭に告げた途端、芳蘭がとんでもないことを言いだして…。
というお話です。
わんこちゃんな攻めに、天然ちゃんなくせに女王さまな受け、という可愛らしいお話でした。

あとがきで和泉さんも書かれていますが、どのお話も中華風です。なんちゃって中国史、ていうんでしょうか。レビューを書くに当たり、登場人物の名前やタイトルを書くのがちょっと大変でした…w。

そしてその中華風な雰囲気に笠井さんの挿絵がぴったり!今回も美しい挿し絵をごちそうさまでした。

9

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う