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plastics to futatsu no kiss
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
魚住くんシリーズ2作目。
情報がたくさん詰まっている文体なので、そんなにサクサク読める作品じゃないと思うのですが、面白くて早々に読了しました。
魚住の育ってきた環境がまた少し明らかになって、魚住という人物を形造ることとなった背景がまだぼんやりとですが見えて来て、少しだけですが魚住に近づけたような気になります。
別に死ぬ事など怖くない、感情をどこかに忘れてきたような魚住が久留米や友人たちと過ごす中で何かを取り戻していく。そんな兆しの見える巻でした。
魚住の不安定さに引き寄せられた者たちの1人、日下部という心理学講師の弟の訪問や、魚住初の海外研修、久留米の会社のるみ子の登場などの出来事が起こる中で、前作より2人の距離が近づいたような近づいてないような…まだまだもどかしい関係です。
ただお互いへの気持ちはもうハッキリしてきていて、自分の気持ちより身体が先走ってしまいそうなのを必死でブレーキかけてる状態ですかね。
友達以上だけど恋人にはならない2人の距離感とブレーキをかけながら進むような、ささやかなスキンシップに萌えさせられました。
サリーム目線の最終話はとても切なく痛みの残るお話で、心に響きました。
3作目も楽しみに読みます。
魚住くんシリーズ2巻目です。私が買った時点での帯に、「エンタメにして文学。これが恋愛小説の進化形」とありますが、正にそうだなと。しみじみ納得なのです(因みに夏の塩の帯は「いま、一番読みたいキャラクター文芸はこれだ!」でした)
手紙形式から始まる「プラスチックとふたつのキス」、これはドキドキしました。
魚住くんは凄い美形にも関わらず、感情のネジが何個か欠落してしまってるような、ある意味子供のような人。にも関わらず美貌ゆえに周りが放っておかないというか、やっぱりいろいろあったんですね。
かつて魚住真澄に魅入られるように恋した男、日下部槇彦と彼の弟貴史。過去絡みの兄弟と、魚住くんの現在を担う久留米の対決の話でもあります。
プラスチックの手錠で魚住を拘束する貴史と、あっさりそれを壊して魚住を解放する久留米。
貴史との妙な具合のキスと、バター飴を巡る魚住くんから久留米にしたキス。
過激な場面などはないですが、非常に色気を感じました。
「死ぬのは怖くないんか?」と問いかける貴史に微笑で答える魚住。
続く、この男はいったいどんな荒野に立っているのか。の一文。
ここですね!忘れられない、グッときた場面です。
ラストの、数年後が描かれたところは、シリーズ後半になって意味が分かります。
次は「ハッピーバースデー」のその一。魚住くんが自分で自分の誕生日パーティーを企画して、実行するお話です。「何なの、お前」って突っ込む久留米がナイス。
「彼女のwine、彼のbeer」、徐々に距離が縮まっていく魚住くんと久留米の間に、久留米の同僚の女子が絡んできます。
この女子が最初はちょっと余計な、苦手な感じがしましたが読んでいくうちに好感がもてました。
この巻のラスト、「月下のレヴェランス」はサリームが主になった話です。
サリームと出会う少年がなかなかに切ないのです。
総じて、魚住くんがますます好きになった2巻目でした。
魚住くんシリーズ第2巻。
魚住くんと久留米、そして二人を取り巻く仲間たち。
それぞれが抱えている問題も含め、お互いに尊重しあっていていいですね。
それにしても、魚住くんはまだまだ感情が欠如しています。
味覚障害がなおったり、表情が多少豊かになったり、これでも改善しているんですけどね(笑)
こんな憎めない魚住くんだからみんなが集まって(引き寄せられて)くるんだと思います。
引き寄せられる人が負の過去を背負ってしまっているのが辛いとこですが・・・。
早く久留米の力で魚住くんに幸せという感情を与えてあげてほしいです。
ちなみに、自分がゲイかを確かめるべく、研究室の仲間(男)にキス実験したのは笑えました。
魚住くんの思考回路って(笑)