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黒豹か人間か――どちらとの交尾が好きだ?
kuroho no teiou to sabaku no ikenie
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
動物の言葉がわかる人間と、
黒豹姿にも人間姿にもなれる種族と、
前例のない発見に躍起になる身勝手な人間と。
なんとも複雑な気分になるお話でした。
攻めと受けに共通しているのは"孤独"
完全な人間でもなく、動物でもなく。
どちらの種族にも溶け込めない。
けれど立場が似ているようで似ていない。
2人の間にある足りないモノを埋めるには価値観が違いすぎるのですね。
発情を持ってして強く惹かれ何度も身体を重ねるけれど
孤独が解消されることのない序盤の展開がなんとも言えない…。
で。生涯を誓う場面のセリフが
「砂漠の生け贄となって生きていけ」なんですよ…(;ω;)
攻めは愛や人間的情緒を知らないゆえに冷たい言葉なども見られるのですね。
(感情を知らない、教えられていない、知ってても言葉として表現出来ない、等 理由がある)
なので最初はタイトルの「砂漠の生け贄」はさもありなんといった感じだったのですが…。
作中にこの言葉が出るのは徐々に愛がわかりはじめた頃。
まだ理解が追いついていないけれど受けへの好意がみられます。
そんな相手に対し愛を囁くわけでもなく、
自分とつがいを結ぶのは生け贄同然だとマイナスに捉えてるようで遣る背ない気持ちになりました。
その後 いろいろ気持ちの変化が有り、
受けを人間社会に返したい・今までのように暮らして欲しいと願う姿も切なくて…;
愛を知らなかった帝王が相手を想う心を持ちジンワリしました(;///;)
少し残念だったのはラスト一番の盛り上がりで
つがいになるのを了承→俺には無理、やめる→やっぱりはなれたくない!
の繰り返しが受けの芯の弱さのようでこの先大丈夫か!?と不安がよぎる;
相手のことを考えたあまりに出た言葉なんですけどね(ФωФ;)
最後はスッキリバシッと決めて欲しかったな~と少々萌えが削がれました。
黒豹姿の獣姦や発情シーンで人外設定が存分に楽しめたのは嬉しかったです←
タイトル通り、黒豹の帝王と砂漠の生贄のお話です。
お話の根底に悲しく切ない背景があるので全体的に明るさよりも憂とか切なさが漂う雰囲気の内容ではありますが、最後はバッドエンドではなく幸せなひと時が待っています。
すべてが丸く収まりハッピーエンドというわけではありませんが、主役の本人たちが最終的に幸せと感じられる状況を掴めたのならばあとはもういいかなと。
そう思わないと切なさをずっとひきづってしまいそうで…
そして、物語の憂い満載の世界観をさらに引き立てるのが葛西リカコ先生の美しいイラスト。
憂いや切なさと美しさの相性は抜群ですよね…。
憂い全開の気分で話を読んでいると、急に砂漠の帝王が素直だけどわがままな子供みたいなかわいいことを言う瞬間があって不意を突かれました(笑)
不器用だけれどもとても素直な帝王で、話を読み進めていくうちにだんだんと可愛く見えてきました。
本編のあとに番外編SSがあるのですが、本編であまり味わえなかった幸せで甘々なだけの2人を味わうことができてよかったです。
欲を言えば、もう少し甘い時間を味わいたいなと思いました。
華藤さんの得意分野である欧州を舞台としたドラマチックな出会いや燃え上がるような恋を中心としたお話は大好きです。
今回はタイトルとイラストからしたらアラブモノ系?かと思いましたが、ちょっと違いました。
動物保護と新種発見の研究者であった養父が病死しその遺品の整理のためモロッコへやってきた大学生の立樹が主人公です。
しかしそこで待っていたのは、信用していた養父の助手が実は自分を研究対象の動物として確保しようとしていたことだったのです。
ネコ科動物の声が聞こえる
幼いころに両親と死別し、実の父は砂漠の少数部族の血を引く
というキーワードからファンタジックなイメージに惹かれて手に取りました。
カイルが「愛している」という感情がわからず、つがいの相手として大切にするが愛は不要と言い切った時、立樹自身がカイルに愛されたいと思っていることを自覚します。
だからこそ愛してもいないのに体目当てで側に居ろというカイルが許せないという気持ちがカイルに伝えられないもどかしさに苦しむ立樹が切なかったです。
王であるなら女性と番って子孫を残すべきだと思った立樹でしたが、カイルが砂漠に住む黒豹の血を引く一族の帝王であり最後の一人でもあることがわかります。
消えゆく種属の末裔としてやがて寿命が尽きたとき、砂漠でスカラベに弔われることを願い二人で生きていくことを心に決めます。
想いが通じ合ってハッピーエンドだと思いますが、この先どういう風に生きていくの想像するとちょっと悲しくなりました。
血筋のことは隠して獣医になった立樹は動物保護に力を尽くすでしょうか。
それとも、人里離れた砂漠の奥地でひっそり二人きりで生きていくのでしょうか。それだときっと残された方はきっとすぐに追って行ってしまいそうです。
それだとなんだか寂しくて儚すぎるな…。
葛西さんのイラストがいつもながら素敵でした。
華藤さんの作品との相性がとてもいいと思います。
この二人の組み合わせだと内容に関わらず即買いです。
毛並みの良い黒豹と立樹の全身にヘンナで描かれた護符がとても美しかったです。
また、黒豹姿のカイルと立樹の交わる姿にも萌えました。
立樹は、大型のネコ科の声が聞こえる。
他の人には聞こえない故に独りであり続けた。
20歳になった立樹は養父が亡くなったため彼が務めていた
モロッコへ赴く。そこである青年に出会う。
その青年こそ、黒豹でありながら人へも姿を変えられるカイルであった。
カイルのひたすら綺麗な心では、今の世界では生きにくい。
でも立樹と一緒なら、愛する人と一緒ならきっと大丈夫。
異なる種族だとしても人と動物という境をも超えて幸せになれるでしょう。
このお話の中で、立樹は黒豹の血が混ざった異質な存在だった。
動物界では種の違う生体を交配すると極端に生命力が弱い2世が生まれる。
猫でも犬でもペットに適した遺伝子にするとか、もっと可愛くするためとか
そんな理由で生まれてきた子たちは欠陥を持ち生まれてくる。
たとえば病気がちとか。
生命の摂理に反している、だから弱くして一代限りで終わるようにしてあるのではないかとも思えてきた。
生命そのものだけでなく動物たちの居場所すら人は奪っていくのだと
思うと、胸が痛くてたまりません。
豹に変身する人間といえば、コミック『闇のパープルアイ』とか映画の『キャットピープル』等思い出されるが、それらは豹の獰猛さや美しさ、そして他者とは異質な存在である哀しみなどを連想させる。
主人公、仁科立樹は育ての親である伯父の死をきっかけに、モロッコを訪れる。
動物学者である伯父の研究資料を整理するためだ。そして運命の人カイルに出会う。カイルは自由に豹に変身することのできる『砂漠の帝王』であり、じつは立樹は豹人の父と人間の母の間に生まれたハーフで、カイルの義弟だった。
かつて、世界のあちこちの動物園で、ライオン、豹、虎などの猫科の大型獣の異種交配が試みられたことがあった。自然界においてあり得ない組み合わせによってうまれた子供たちは、その親によってライガー、レオポン(日本でうまれたのはレオポン)、タイゴンなどと呼ばれたが、生命力が弱く、成長できても生殖能力は殆どなかった。あくまで自然に背いた存在だったのだ。
立樹も同様、性差の感じられない美しい容姿。生殖能力はなく成人した彼の命数はつきかけていたのだ。豹人としても人間としても不完全な立樹は生き延びるためには砂漠の帝王のつがいとなり、彼のエネルギーを注がれ続けなければならない。足りないものを補うために。
美しく謎めいたカイルに惹かれます。「愛など知らない」と言い切るけれど、それは彼が超越した者であったから。彼は守る者、王なのだ。
立樹に対して冷たい言葉を言っているようだけど、けっして見捨てることなく立樹が生き易いよう気を配ってやりもする。
その美しさと幻惑の能力で時に人間を従え、あやつり、彼の民と王国を守ってきた『砂漠の帝王』。けれど古代から続いてきたその王国は人間が運んできた病原菌によって滅んでしまう。
二人は最後の王と民であり、兄と義弟、他に替わる者のない運命の相手なのだ。
立樹を生きた研究資料として追う人間達。彼らにとって立樹は人間ではなく人類に紛れ込んだ異分子なのだ。悪役のような存在だったが、見方を変えれば、彼らもまた人間という種を守るための研究に取り組んでいたといえなくもない。
滅び行く種族であるカイルと立樹。彼らを哀しく思いながら、種を残すこと守ること、今現在人類を脅かす病気と戦う人たちのことまで思いを馳せずにいられないような物語だった。