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yuai
2007年のノベルスに
書き下ろし短編「凪の夜」を加えた文庫版。
夫の死後、男に依存し子供に暴力を振るうようになった母。
兄の海理は、母の暴力から弟を庇い
弟の翼久は、夜の闇に怯える兄を抱き締め守っていました。
肩を寄せ合って生きる幼い二人の姿はいじらしく
そしてエロい!!!
9歳と11歳が、戯れに脚を絡ませ
欲情し合っているシーンの背徳感にドキドキしました。
それから十数年後。
食品メーカーに勤める海理は
売れっ子ホストになった弟と仲良く暮らしていました。
しかしある日、兄が会社の先輩(男)にキスされる場面に遭遇した弟は、嫉妬に狂って兄を強姦し…。
この弟、鬼畜年下攻めのテンプレのようで
とても兄想いな一面も。
兄と同じく女性は苦手なのに、幼い頃から女に身体を売り
内緒で兄の生活費や学費を稼いでいた。
食べ物に「生かされている」と
食品関係の仕事を選んだ海理ですが、その食べ物を買っていたのは翼久で、実は翼久に「生かされて」いた。
この兄弟は、それぞれの人格形成から職業選択に至るまでガッツリお互いに影響されていて、離れがたい関係なのです。
巻末の短編で、幼い頃母親を慕っていたのは
ただの刷り込みだというようなことを翼久が言いますが
それは海理と翼久の関係も同じだと思います。
幼い二人の世界にはお互いしかいなくて、今の関係が当時の刷り込みによるものでないとは言い切れない。
母親と違うのは、ときに負の感情を抱きつつも、互いを大事に思う気持ちの方が勝ることでしょうか。
海理が、強姦されようが
尿道にピアッシングされようが
翼久の泣き顔を見たら
愛しくて全てを許してしまうこと。
翼久が、どれほど怒っても決して海理に手は上げないこと。
(強姦は立派な暴力だと思いますが、一応彼の主義として
自分の代わりに母親に殴られていた兄に手は上げないと決めているのです)
兄弟モノや年下攻めが特に好きってわけではないのですが
このあたりの兄弟愛や、ズブズブすぎる関係の説得力に
大変引き込まれました。
シリアスなようで
過激なプレイや、キャラの突き抜け感が楽しい沙野作品。
今回は、尿道ピアスと、
「にゃんこ攻」だという翼久のキャラにツボりました。
海理が他の男にピアスを触られイッたと知り、
怒るのかと思いきや
「イッたのか?」と呆然として泣き出す!!
所謂シリアスな笑いが訪れた瞬間でした。
それを見てほだされ、優しくて男前な先輩をフってしまう海理も筋金入りのブラコンだと思います。
流されるばかりかと思いきや、
弟のため危険な場所に乗り込んだり
巻末の「凪の夜」で、電話中の翼久にエロいイタズラをしかけるなど、意外と度胸があり積極的な性格が良かったです。
近親相姦や年下攻めに興味がなくても
ストーリー性のある(エロ的にも)濃い話を求める方には
楽しめるのではないかと思います!
沙野さんファンで、いそいそと手に取った一冊。
最初兄弟ものと知らず読み始めました。あんまり得意じゃないんですが、全く嫌悪感なく読めた。
作品のクオリティはさすがの沙野さん。
幼い頃、母親に放置されどん底を味わった兄弟。お互いに相手を助けようと二人で生き延びます。弟は、兄には内緒で自分を男娼に落としてお金を稼ぎ、兄を大学に行かせます。
今では兄は一流企業に就職していますが、弟はホスト稼業。しかし成人しても同居し続けています。
兄に横恋慕する上司の存在が切っ掛けとなり、弟は長年想い続けてきた兄を抱いてしまう。
一方、切っても切れない兄弟の縁、ダメだとは分かっていても、弟を愛してしまう兄。
ホスト仲間が起こした薬物事件なども経ながら、最後は自分の気持ちにけりをつけ、兄弟で生きていくことを選ぶ。
心理が丁寧に描かれていて、無理なく作品に入り込めました。
兄の上司がちょっとかわいそう。そういうお役目なんだけどね。
大事なところへのピアスがちょっと苦手だったので★1個減らしました。はは。
兄弟ものでこれはなかなかの良作ではないでしょうか…!!
細かな描写が登場人物たちの容姿や感情を色濃くし説得力があるからこそこちらも本気で世界に溶け込める。
一般的には宜しくない方向に進んでいくのですが、その流れも丁寧に無理なく書かれているため一緒になって心を痛められる。
各シーンが印象深いため容易に想像できて楽しかったです。
ガチな兄弟ものですが、兄視点では一貫してこの関係は正しくないことという括りに入っていたところが好感もてました。
弟と同じ愛の形を確かにもっても、薄暗い闇寄りな世界…。
でも堕ちているわけではなく異常が日常へと変化していった。
それを幸福な闇と締め括った作者のセンスが好きです。
体は正直で実の兄弟同士でいけないと思ってもあっという間に肉体から陥落し…なんていうそこらに転がっているありがちな流れじゃないどころか、イくことすらなかった。だからこそのあの転機となる弟の涙がとても輝きましたね。
私もストン、ときた。
大事なところのピアスネタもしっかり書いてくれているので、好きな人にはたまらないのでは??
それにしても尚深さんがマジでいい人すぎて惚れざるをえないしいい人見つけて早く幸せになってくれという気持ちがとても強いです。
あ、あと両手縛りーのそれを首にも結んで…って苦しいんだけど萌える拘束でした。挿絵でも見れてうれちい。
実の弟×兄。兄弟ものは萌える設定の一つなのでそれなりに読んでいるが、自分の読んだ中でもかなりシリアスなテイスト。
母親にネグレクトされ、ほとんど二人きりで生きてきた兄弟。弟は大好きな兄のために、子どもの時分から女性を相手にして金を貰い、とうとう中学生の時には売春までしてしまう。
その金で兄は進学し、ホストになった弟とは対称的に、大手企業に勤めるまでになったが、その金が自分達を捨てた母からのものではなく、弟がその身を削って得たものであると知って衝撃を受ける。
兄弟で体を繋げる罪悪感にとらわれる兄と、愛情と執着を一途にぶつけてくる弟の温度差が切ない。弟の独占欲がいっそう強まった結果、兄の性器にピアスを開け、所有の証を施すシーンはとても萌えた。
紆余曲折を経て兄弟がお互いだけを信じあって求めあう方向へと話は進み、なんとかハピエンにはなるものの、実の兄弟なので、メリバっぽい雰囲気がそこはかとなく漂うラストシーン。この感じは私はとても好きだった。
沙野先生の兄弟ものは「兄弟の定理」を先に読んだのだが、どちらも登場人物がとても真面目で、兄弟で愛し合うということにたいして、かなり悩むし、抵抗感を持つタイプ。それが萌えでもあり、時と場合によってはしんどくもある。
私は大好きな兄弟ものを読んだわりには、珍しく重苦しい気持ちが勝ってしまったのだが、それは兄弟の禁断の愛がどうこうというよりも、冒頭のネグレクト描写や、薬物に溺れる人達がちょいちょい出てくるのが苦手だった、ということが大きかったと思う。
好きな人と助け合って生きていくとか、好きな人のために自分を犠牲にするというのは、もっと甘いお話に発展してもよさそうなものだけど、それが幼い子供となるとやはり話は別で、萌えよりも胸が痛んでしまった。
二人には、この先穏やかで幸せな時間が訪れることを願う。
終始胸が痛い。
始まりから辛い。
別に兄弟ものがどうということではないのですが、
病んでるなぁと思いつつ読破。
弟の愛の重さも、
それを拒みつつも受け入れてしまう兄も、病んでる。
けれど、それが作られてしまった土台を、丁寧に描写されて、
ついつい読んでるこちらもそれに感染させられていく。
海理はきっと、上司の尚深と結ばれた方が幸せだった気がするけれど、
それでは翼久が救われない。
過去の出来事と、二人が重ねた肉親の強い時間が、
結局海理に翼久を選ばさせた。
その辺が兄弟の繋がりの強さで、恋愛に勝る愛だった。
それが尚深さんがどうしても翼久には勝てない要因なのかと。
それにしても尚深さん、いい男すぎるでしょう‼︎‼︎
全部分かった上でのあの態度!
惚れてまうやろ〜!
海理も彼にしておけばよかったのに……
文庫版の書き下ろしも、更に胸が痛くなる。
私がこの話に感じるのは、やはり閉ざされた暗い空間。
二人きりの世界に浸る未来に安定した幸せがあるのか……
その辺を考えると、疑問を感じずにはいられないのですが、
とにかく二人が幸せと感じているならそれでいいのかなとも……
そんな私もやっぱり毒されてる……?
評価的には、私の大好きならぶらぶとはかけ離れていて、
全く個人的評価で「中立」に。