王様、お手をどうぞ

ousama ote wo douzo

王様、お手をどうぞ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神15
  • 萌×227
  • 萌10
  • 中立1
  • しゅみじゃない10

--

レビュー数
12
得点
214
評価数
63
平均
3.6 / 5
神率
23.8%
著者
夕映月子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
周防佑未 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403523588

あらすじ

王様のようなその男に目を奪われた。まるで恋に落ちたみたいに―。大学生プロダンサーの杏里がレッスン先で出会ったのは、美しい肉体と強い存在感、あらゆる意味で日本人離れした同い年の江神。由緒ある出自の彼が男女混合練習を拒否したため、杏里は男同士で踊ることを提案する。予想外にダンスの相性が良く、また傲慢さの中にも不器用な優しさを持つ江神に、杏里は次第に惹かれてゆき…?社交ダンス部で始まる恋。

表題作王様、お手をどうぞ

江神暁範,名門私学社交ダンス部員,20歳
御園生杏里,ハーフの大学生プロダンサー,20歳

その他の収録作品

  • プリンス・スワロウテイル
  • 王と王子の休日

レビュー投稿数12

しなやかで強い受け様の魅力満載の作品

いや、もう、この作品の魅力はひとえに「受け様の魅力」でしょう!!!

自分の芯・核となるものを持っている人の強さ・格好良さを、まざまと見せつけられた感じ。
杏里!!!大好き……ああ、この気持ちを十分に表現できる語彙力が自分にあれば、、と残念でなりません;

自分を支える「ダンス」という核と、ブレない強さ。
「俺が受け側で固定なの?」とストレートに聞き、「俺は抱きたいが…」と怯む攻め様に「抱き合えるならどちらでもいいんだ」とあっけらかんと言う、その真っ直ぐさ。
で、見た目は身長180センチでストロベリーブロンドの髪を持つ王子様・:*+.
気になるものがあると、じっと見つめてしまうのが癖。

……こんなん、「好きになるな」っていう方が無理だよね!!!!!

”家柄”というものにがんじがらめになっている江神が、それこそ磁石に吸い寄せられるように杏里に夢中になっていく様にも、大・納・得!!です。

そして二人を繋ぐきっかけになり、杏里を支える大切な存在である”ダンス”。
夕映月子先生ご自身も社交ダンスをされていたか、またはとても綿密に取材をされたんだろうなということが分かる詳細で美しい描写に、挿絵がなくとも二人の踊る姿がイメージでき、うっとりしました。

先生がお亡くなりになっているため、この二人のそれから…は永遠に見られないのだなと思うと、本当に悲しく残念でなりません( ; ; )
別の作品のレビューにも書きましたが、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。。

0

存在感光る

おもしろかったー!
一気に読んでしまいました。

社交ダンスで始まる大学生同士の恋愛です。
最初は、攻め江神のまさに王様然とした傲慢な態度にムカムカしますが、それを補って余りある受け杏里の魅力ときたら。

生命力に溢れ、まるで内側から発光しているかのような杏里の描写に、とても惹き込まれます。
吸引力があるんです。
そりゃあ、王様江神も陥落しますよ。
とにかく素敵!
あぁ…杏里を絶賛する語彙力がない私。
伝えきれなく、もどかしいです。
このもどかしさを分かち合いたいので、ぜひぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

そんな杏里に恋をし(なんと初恋)、気持ちを浮き立たせる江神が、もうねー。
だんだん角がとれて丸くなっていく過程が自然で、本当におもしろ…いや、甘くて幸せな気持ちにさせられます。

後半あたりでは、最初の頃のふてぶてしさが跡形も無い状態。
もう一度アタマから読み返して「こんなオトコが、あんな感じになっちゃうんだぜ…」と思わず遠い目になってしまいました。



杏里と江神は、互いに手と手を取り、未来を共に生きていけるんだろうなと確信できる、とてもスッキリとしたラストでした。
社交ダンスの描写が随所に織り込まれ、華やかな印象の残る作品です。

0

面白かった

夕映先生は、文章が丁寧で読みやすい。
そして、読者サービスもマメな方だった。
この作品のSSは、ブログに投稿されています。まだ閲覧可能。

★『王様お手をどうぞ』SS
http://yueinfo.blog.fc2.com/blog-entry-60.html
クリスマスには素敵なダンスを

★王子のキスと王様のキス ―『王様、お手をどうぞ』SS
 http://yueinfo.blog.fc2.com/blog-entry-34.html

こんなに面白い作品を描いていた夕映先生が、突然亡くなったのは、昨年。

0

想像以上に良い

最初は、王様の攻めがスパダリ的で引っ張っていくのかと思いきや、受けの杏里がおっとこまえ!

江神は傲慢な王様で由緒ある家を背負っているが、後妻の息子としての苦悩も、家の事業も色んな見えない鎖に縛られている。杏里はプロのダンサーとして江神のいる大学のクラブの指導をしにいくのだが、最初は険悪な関係から始まる。
社交ダンス界では男同士のダンスはマナー違反として避けられているが、結婚前の男女が接するのはしたない、とのことから杏里と江神がペアになってダンスを踊ることに。
ここで杏里は江神のことを特別に思うようになり始める…

この世界観ってキラキラしていて上流階級の話になるから情景を妄想しますが、それが素敵ですー。
攻めのエスコートはお金持ちのそれですが、受けの方は外交官の息子なので、普通よりは上流でもまぁ一般市民。でも受けの方がしっかりしていて(海外が長いせいもあって、めっちゃ自己主張、はっきりしている)何なら精神的には攻めなんちゃうか、くらいの。二人のパワーバランスの描き方が良いんです。
杏里によって江神が良い意味で変わっていくのが萌。夕映月子さんのブログはまだオープンなので、そこで読めるSSも是非堪能して頂きたいです。

0

じゃじゃ馬受が魅力的

良家の子弟のサロンのような大学の社交ダンスクラブを舞台に繰り広げられる、尊大な王様とやんちゃな王子のラブストーリーでした。マイナススタートの出会いから、なにかと挑発しがちな二人が、徐々に気持ちを通い合わせていく、お金持ちな上に見た目もいい、でも性格に難アリな攻と、優美な見た目のわりには思ったことをガンガン口に出すチャキチャキした受。攻より受の個性的なキャラに魅力を感じました。海外を転々としてきた幼少時代の影響なのか、人間関係において、誰にでもオープンマインドだけど、実は慎重という複雑さがあり、感性豊か(やや直情的)で努力家、とっても負けず嫌いという、なかなか手強そうで攻の狩猟本能を刺激するタイプとお見受けしました。

真逆な個性で衝突しがちな二人が、ときに甘くなる場面の官能みがたまりませんでした。夕映先生の繊細で丁寧、美しい文章が印象的でした。書き下ろし、”プリンス・スワロウテイル”で、しばらくぶりの再会、江上邸の四阿の逢瀬の場面はめちゃくちゃエモかったんですよね。全能の攻が自由な魂の受に屈服するんですw。大好きすぎるやろ~~とニヤケが止まりませんでした。攻が受の筋肉質な背中に執着して愛撫するところは、フェチ感あってよかったです。

また、リバにはならないのですが、受(負けず嫌い)さんが毎度”俺がこっちなの?”って確認するところが、めちゃくちゃ性癖にささりました。”同じ男なのにな~”っていうもっともな理屈で。なんやかや丸め込まれて、結局抱かれてしまうわけですが、許容する受の気持ちこそ愛ですよね!と思ってしまうのでした。

1

四作目にして

夕映先生はこの作品から追うのをやめてしまったので、本作から再出発。

ご自身がお好きな題材を基に、丁寧に世界観を作りあげられる印象があるので、そこはとても信頼している作家様です。タイトルやカバーイラストから、どんなお話だろうと期待が膨らみました。

前半受け視点、後半攻め視点。前半では二人のファーストコンタクト、後半では恋に落ちた二人のその後の試練が読みどころでした。江神の祖母が主役のパーティで、「社交ダンスにまつわるエピソード→希望に満ちたエンディング」への流れが最高で、読後感がとても清々しかったです。

身分差からくる束縛と自由のせめぎ合い。初めて恋をして得るものと失うもの。離れているからこそ、気持ちを言葉にして伝えることの大切さ。二人の関係からたくさん伝わってくるものがあり、それらを自然な形で社交ダンスと絡めてくる塩梅が絶妙でした。

杏里が爽やかな子で、読んでいてとても気持ちのいい受けだったので好感度大。だけど、彼も江神も大学生なんですよね。海外育ちの杏里はさておき、江神は老けすぎではないでしょうか笑?やっぱりお家事情ゆえ苦労しているからなのか、三十代後半くらいの俺様攻めみたいなイメージで読んでいて、ハタと我にかえること多々ありまして。

修学院大学のありそうでなさそうな環境がまた個人的に微妙な路線で、きっとこういう文化を残す大学ってあるんだろうなと思いながら、あえてBLのための舞台設定!と言い聞かせて読んでいました。攻め受けが成長するための大事な背景なので…

四作目にして作者の魅力がつかめたような気がしました。作家様にとってもそれまでの地味な作風から脱しようと挑戦をされた作品だったようですね。地味かもしれないけれど『てのひらにひとつ』は結構わたしの中で印象に残っていますが…。

作家との相性をはかるのに最低3冊読むことにしていましたが、4冊目に可能性が出てくるかもしれないとは笑。安易に合わないと決めつけない方が、後々自分の楽しみが広がることに気付かされました。

2

王様を救う超絶男前な王子様受け

読む前はまったくピンとこなかったのだけど、読み終わってみたらこれ以上素敵なタイトルはない!!と思うようになりました。

受けの杏里が惚れ惚れするほど男前で、そこがすっごーーーーーく好き。
この神評価は男前の受けに対して捧げられています。

杏里はハーフで海外育ちということもあり、広い視野を持つ自由闊達な青年です。
そして大学生でありながら世界を舞台に踊るプロダンサーなので、プロとしての矜持、鍛え上げられた肉体、誰もを魅了する優雅な容姿を持っています。

そして名家の子女が通うことで知られている大学でも名門中の名門として異色の存在感を放つ江神。
彼が所属する社交ダンス部にコーチとして呼ばれた杏里と、ダンス部のトップである江神は最初反目しあうも、試しにペアを組んでみたらあらびっくり、相性抜群。
尊大な江神VS率直な杏里なので、口を開けば険悪になりかけるのだけど、一緒に踊ればこれ以上ないほど相性抜群で、杏里が思わず気持ちが高揚していくところがとってもいい。

ここが妙にエロティックなんです〜。エロの気配もないんだけど。
お互いが持ち合わせている根源的なリズムが本能にピッタリくるとかエロすぎる。
だって、めくるめく世界が待ち受けてるのは間違いなしだもん。

そして杏里は、無理な注文も難なくこなす江神が実は非常な努力家で、「持つ者」としてのあれこれに雁字搦めになっている孤独な王様である事も見抜いていきます。

そんな王様が、恋(初恋)に落ち、不器用に、そして人間臭くなっていくというかヘタレた姿を見せてくれる攻め視点の「スワロウテイル」もすっごくいい。
江神の婚約者騒ぎが原因で杏里から距離を置かれてしまうんだけど、突如江神が悟るんです。
杏里を手に入れたのではなく、彼が彼の意思で自分の腕の中に収まってくれているだけだということを。
そして自分がいくら名家の出とはいえ、親に養われている身であるのに対し、杏里は自由でその気になればいつでも世界へ行ける人間であることを。
そして焦る江神……。
ここのシーン、好きです。

そしてタイトルに繋がる「きみを攫いにきた」と言う杏里が痺れるほど男前なんですーーーー!!!
作中でここが一番好き。
義理としがらみで雁字搦めになっている王様の目の前に立って、「王様、お手をどうぞ」とばかりに手を差し伸べる。
かっこよすぎるーーー!!!
そして、そんな凛々しい受けを前に「どうか見捨てないでほしい」と懇願する王様という構図もこれまた壮絶においしい。

男前受けが好きな方でしたらすごく楽しめると思います。
軽やかに、そして優雅に、攻めよりも半歩先を進んでいるような受けです。

夕映先生のブログに番外編SSが二つ掲載されていますので、そちらも読後に是非!

4

設定は「嘘でしょ」だけど、中の人はリアル。これってフィクションの醍醐味

電子書籍で読了。挿絵有り。

今まで読んだ夕映さんの本は『鉄道』『山』だったので、今回の『財閥の御曹司×プロダンサー(社交ダンス)』の読み始めは「やたら派手だな」と不安に思ったのですが、面白かった!
何せ、当初は江神に対して「嫌な奴」と思っていた杏里くんが彼に恋するきっかけが『ダンス部のレッスンのため、江神のリードで踊ったこと』というのが、なかなかの説得力だったから。
こういうこと、ありますよね?どんな人かよく解らなかったけど、その人の作ったものや、描いた世界を観たら「あー、あなたってそういう人だったのぉ」ってこと。特に、杏里くんにとってダンスは自分自身を表すものであり、コミュニケーションの一手段でもあるが、とても強調されているので、すんなり共感しちゃいました。
この手の『道を究める人の恋』って、同じ世界で生きている人との場合が多いような気がするのですけれど、このお話はそうじゃない所が余計面白かったんです。結婚も家の事情で決まってしまう江神が、どうやって 恋(それも初恋!)を貫くのかが、同時収録の『プリンス・スワロウテイル』で描かれるのですけれど、こちらも現実的な解決。
現実離れした設定なのに、リアルな展開だったものですから、大変萌えさせていただきました。

1

華やかな世界

社交ダンスがテーマのお話。
おそらく探せばあるのでしょうが、私はダンスがテーマの小説を読んだのは初めてでした。でも分かり易く説明があって読みやすかったです。

テーマがテーマだからか、登場する人物らは華やかな世界で生きる優雅な雰囲気を持つ人ばかり。
主人公の杏里はハーフでプロのダンサー、お相手の江神は名門校に通うセレブです。

杏里はある名門大学でダンスの指導をすることになったのですが、そこの生徒はあまりダンスに関心がなさそう。とりわけ江神は男がダンスなんて…と言う感じで、最初は感じが悪いなぁと思いました。

何でも出来て、家柄もよくて、王様のようにどっしり構えていて、でも何事にも興味が薄そう。
杏里はダンスの相手は皆「お姫様」だと言っていますが、練習で一緒に踊ることになった江神は「女王様」だと表現しています。

杏里は外国気質で、感情がオーバーで言いたいことははっきり言う、元気のいいキャラ。江神とは静と動のようでした。
でももともと雑誌掲載作だからか本編は120Pくらいと短くて、杏里の気持ちの変化はわかりやすいのですが、江神の気持ちが杏里に傾いていく恋愛部分の様子がとにかく早いなぁと感じてしまいました。それが少し残念だったかも。

でも短い中にダンスを小ばかにしていた江神が杏里を尊敬するようになっていく様子などを上手くまとめていると思いました。
社交ダンスというはっきりしたテーマを1つにしぼっているからか、ストーリーはぴったりまとまっています。
江神サイドの気持ちもその後のお話で補充されています。
ストーリーそのものはあたりさわりのない、割とスタンダードなものだと思ったのですが、丁寧に書かれた作品だと思いました。

1

踊る、そして恋に落ちる。

傲岸不遜な御曹司の江神と、ハーフのプロダンサー安里。

デビュー作の『天国に手が届く』ですっかり魅了された夕映さんの4作目。
今度は前作からのインターバルも短く登場。

華やかな舞踏会、ハーフの双子、名家の子弟ばかり集まる大学の社交クラブ、
などなど、昭和の少女漫画か?と突っ込みたくなるような王道ネタ。
筆者曰く「脱地味」を目指したそうだが、はい、キラキラな世界観でしたよ。

御曹司達の設定にリアリティがなく、今時……と苦笑したが、そこは王道で許し
その他の描写が丁寧で上手いので、細かい突っ込みどころは忘れて世界を楽しめる。


主役二人のキャラがとても魅力的。
彼らはダンスの相性が最高で、その踊っている時の快感が伝わってきて、
そこから恋に落ちてしまうというのも、ウキウキと共感できる感じ。
なんていったって、ダンスはセックスみたいなものですからね!?
20歳という年齢の、大人な部分と子どもっぽい部分を持っている感じもいい。

対等な感じの二人が、攻受を決める下りも可愛いなぁ。
結局受けの安里の男前度が数段上なのも好み。


切なさ……という、私の萌要素的には不足な話なのだが、
気持ちよく楽しく読める話だった、
不満があるとすると挿絵。

周防さんの挿絵は魅力的なのだが、特に江神がイメージと違う。
もっと端正で硬質、でも実は可愛いって感じに思えるのだけれど……
……もしやこれって、別のダンス漫画に毒されている……のかしらん?(笑)


4

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