霧笛丸
life goes on
一穂先生の「ふったらどしゃぶり」の番外編同人誌です。レビューはまだ書いてませんが、私もこの作品は大好きなのです。
整とカズアキ(名前の変換が苦手でして、すみません)が二人でまったり元日を過ごしていたところに、カズアキの先輩の代わりに京都旅行に突如行くことになった「life goes
on」。
両親の事故以来、遠出を避けてきた整がひそかに浮きたっているのが可愛い。予定は何も決めずにふらりと出かけて、京都のバーではもしかしてカップルじゃないの?なんて軽い問いかけにそうなんです、とあっさり認めちゃうカズアキ。
たった一泊の京都でもしっかりやることはやります。翌日はおみくじを引いて東京に帰り、淡々と年始休みが過ぎていきました、な感じ。
新幹線の中で、整との関係に思いを馳せるカズアキの場面が好きでした。昔の自分に、男と恋愛するなんて教えても絶対信じないだろうけど、ここに確かに整はいて、これが二人の現実で人生だ、今のところ。という場面。
「love goes on」は会社の人が亡くなり、総務部として葬儀の手伝いをすることになった整の話。
これは、読んでいて向田邦子のような雰囲気をほのかに感じました。
年上の女性社員が出てきまして、常識的な素敵な人なのだけど、焼香の際に外した手袋の下から真っ赤なマニキュアをした爪が・・・のところが向田邦子みたいで良かったです。
短編2編ですが楽しめました、らら先生の表紙もスタイリッシュでお気に入り。
「ふったらどしゃぶり」番外編。
表題作は、「ハートがかえらない」の続きの年始の話。
先輩からの電話で、突如京都旅行に行くことになった二人。
迷った一顕に反して、整は即決で「じゃあ行く」と答える。
かといって何も計画しないのが彼ら流。
たった一泊の初めての旅行、いつもと違う街で過ごす二人っきりの時間。
一見さんのバーで、「カップルやったりして」と冗談を言われ
何の迷いも躊躇いもなく肯定する一顕に、
整が、お腹からふつふつ暖まるような幸福感を抱く下りが好き。
新幹線の中で、神社でおみくじをひいて……
彼らのやりとりのどれもが、じんわりと心に沁みる。
Hは濃いめ……、いや、一穂先生の文章はものすごく好きだけれど、
もっとシンプルに書いて下さっていいんだけれど……とちょっと思ってしまった。
時々理解する為に頭が一瞬止まるのは、私の言語能力の問題なんだろうか?
「LOVE GOES ON」は、整が総務部の仕事で出向いたお葬式での出来事。
女が持つ怖さと優しさが、見事に描かれている小品。
自身の辛い経験故に、葬儀の席でいつも気分が悪くなっていた整が、
一顕と共に過ごすようになったから、甘えられるようになったから、
強くなっていくのがとても愛おしい。
*追記:
写真だと全体が伝えられないのだけれど、
竹美家先生の装丁がスタイリッシュで素晴らしい。
表表紙と裏表紙は繋がった艶やかな一枚の絵で整が描かれ、
その裏同士もカラーの繋がった一枚の絵で一顕。
興奮が倍増!
もともと一穂先生の同人誌は、
小説同人誌にしてはかなり素晴らしい装丁だと思うが
(それなのに、お値段安くて嬉しい!)
「ふったらどしゃぶり」のシリーズは装丁も神!!
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