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高校時代、寮で同室だった圭と聖人はつきあっていたが、圭の裏切りで決別した。その後、互いに教師として母校で再会し…?
kimi wa boku no hatsukoi no hito
「神様も知らない」三巻を読んで、心に刺さる作品を描く人だなーと思って、
他の作品を読んでみました。
この作品は、圭視点、聖人視点と、視点主が変わる書き方で、ちょっと疲れる。
舞台は、全寮制の進学校。「壁の中の嘘と秘密」と同じ、主人公は別の人。
殆どの生徒は、親族が卒業生で、各地の優等生。
何方かというと、この作品のほうが「壁の中の嘘と秘密」といった内容だった。
棚橋 圭:
愛されて不自由なく育つ。容姿も頭脳にも恵まれ、如才なく常に笑顔。
父親が、学校理事、校医。堅実な運営の地元医院経営者。
優秀な兄姉が病院を後継予定。末っ子の圭は自由。
大卒後、大手旅行会社に就職。退職して、母校の社会科教師に転職。
朝倉聖人:
帰国子女、日本語がぎこちない。三白眼、人見知り、人間関係不得手。
父が卒業生。高卒後、紅茶の貿易会社経営。 父に紅茶を教えた年上女房の母。
母の死後、学校裏の桜の樹の下に、母の遺灰の一部を父が埋めた。
ルームメイトの圭に恋をするが、圭の隠ぺいを赦せず、拒絶。
卒業を待たず、英国へ留学。 帰国して、母校の数学教師として勤務。
新見:女優の息子。聖人を虐め、罠に嵌める。
田丸:人懐こい大阪出身の同級生。圭と聖人の友人。
篠塚:主席で入学した同級生。圭と聖人の友人。 察する男で、まとめ上手。
聖人はコミュ障、圭の気持ちを理解しようとせず、ずっと圭を赦せない。
忙しい父、母の病死、親族の反対・・色々有ったせいで、聖人の人格形成は不完全。
もうちょっと大人の視点を持ってもいいんじゃないかと思う、生徒の指導なんてできない視野狭窄な教師だと思う。
人気者の圭が、初めて欲しいと思ったが聖人。初恋だった。
サイコパスとは違う。
これをサイコパスというなら、恋する人は、みんなサイコパス。
圭は、ただ聖人に見て欲しくて、守りかった。
不器用で純な猛愛。気持ちがずっと変わらない一途な圭。
聖人のどこが可愛いのか理解できない
ひょっとしたら、圭の執着は、桜の木が聖人の為にかけた母心の「魔法」なのかも。
「壁の中の嘘と秘密」のスピンオフ。
あのー正直なところ、前作があまり好きじゃなく、こっちはどうしようかな~なんて思ってたんです。あと高校の寮ものにそんなに惹かれないというのも。
でもこっちはツボでした。神と悩むくらいに。
この本、分厚いんですが、半分ちょっとは棚橋(攻)と朝倉(受)の高校時代のお話で、残りが現在のお話です。
前半は棚橋視点でふたりがくっつくまでと離れるまでが丁寧に綴られていて、
後半は朝倉視点でふたたびくっつくまでが綴られている。
桜の木が重要アイテムかな。特に最初の桜のシーン(挿絵あり)が印象的で好き。
とにかくこれは棚橋が朝倉を思い続けているお話。
カテゴリ的には執着攻めなんですが、あんまり熱量を感じさせないんですよね。
暑苦しいことしてるのに、暑苦しくない。不思議w
これは高遠マジックかな、という気がします。高遠先生の書かれるキャラクターって、みんな低体温そうというか。
高校生のころの嫉妬心や執着心からくる愚かな行為がふたりを別つことに。
若いころ余裕がなかったんだよね…と思わせておいて、大人になってからもあまり余裕がなかった棚橋に萌えです。
一歩間違えたらストーカーちっくなんですけど、朝倉側の揺れる気持ちが伝わってくるから、はらはらとふたりを応援しながら読めました。
前作のふたりも出てきます。あのBBQのシーンですねー。
たぶん前作読んでなくても大丈夫だとは思うけど、読んでたほうがより今作のふたりの空気も感じられていいと思います。
こんにちは、snowblackさま、はじめまして!
コメントありがとうございます。
前作もどこが駄目だったの?と言われるとよくわからないのですが…
おそらくキャラの組み合わせかなぁと…お話自体が嫌というわけでもなかったですし。
ただ好みから結構遠く離れてた、みたいな感じでした。
高遠作品はひんやりした印象が強くて、そこが好きなところです。
私のレビューがお役に立てたのなら、嬉しいかぎりですー
ランプの精さま、こんにちは。
snowblackと申します。
高遠作品は基本好きなのですが、私も前作がイマイチピンとこなかったので
こちらはそれほど積極的な気持ちになれず、未だ読んでおりませんでした。
ランプの精さまの、同様に迷いながらも読んでみたら神と悩むくらいにツボだった……
というご感想を読んで、背中を押された気分。
ありがとうございます、早速読んでみたいと思います。
「壁の中の嘘と秘密」のスピンオフ。
前作で気になっていた大人組の過去と現在。
高遠作品は大好きで、基本作家買いなのだけれど
これは前作が今ひとつピンとこなかったので、ちょっと躊躇していたのだけれど
こっちは好みででした。
山の中の寮制の男子名門高校、
そこに勤める社会科教師棚橋は、明るい二枚目の人気者。
一方同い年で寮監も勤める数学教師の朝倉は、三白眼で無愛想。
そんな彼らは高校時代、ルームメイトだった……
時は遡り、彼らの高校時代、
帰国子女で人見知りで愛想のない朝倉が、唯一心を開いた棚橋。
二人はお互いに惹かれ合って身体を繋ぐようになったが、
棚橋の幼い独占欲が朝倉を傷つけ、朝倉は去っていく。
そんな10代で恋をして破局を迎えた2人が、10年経って再会する。
ぬぐいされない過去のわだかまり故に、頑に背を向ける朝倉と
それを突き破ろうとする棚橋。
拗らせた初恋、再会、とストーリーはありがちだけど、
隔絶された山奥の学園という仕掛けや(これは、いかにもファンタジーだけれどw)、
キャラクターの個性もあって読みでがある作品になっている。
高校時代の二人は甘酸っぱく気恥ずかしいような感じだし、
二人を引き裂いた事件は、個人的には分かるなぁ!と愛おしい思いがした。
後半の大人になってからの二人は、前作を読んで予想したより
ずっとピュアで高校生の頃のまま。
執着する棚橋は個人的にはタイプじゃないけれど、
こんな風に何もかも持っている男が、
浮き世の全てを捨てても初恋の君を求めるという図は好みでした。
冒頭の夜の桜が非常に印象的。
BL読み始めの頃に読んだ『楽園建造計画』の印象が強かったこともあって
高遠先生と桜は切り離せないイメージなんだな……。
前作「壁の嘘と秘密」で登場した、寮監先生達のお話。
高校時代に寮の同室だった二人。
ある事件をきっかけに、熱病のように甘い関係に溺れ、
そしてあっけなく崩壊した、
そんな初恋。
この本は、そんな初恋の顛末と、
それぞれ学校から一度外に出た二人が、
一方は教師として戻り、
それを知ったもう一方が、外の世界の全部と引き換えに、10年前の初恋を取り戻しに来るお話。
前作は、いろいろな要素を盛り込み過ぎな感じで、私としてはちょっと…だったけど、
今作は、もう、そのものズバリ、
どんなに好きだったか(前半「十六歳 春」棚橋視点)
だからこそ、どんなに憎いか(後半「二七歳 夏」朝倉視点)
それだけを描いていて、
その潔さに、萌萌ズッキュ~ンでした。
朝倉視点の現在パート(27歳)→棚橋視点の過去パート(16歳)→再び朝倉視点の現在パート(27歳)、という面白い構成の作品です。この仕掛けがとても効果的で、二人が抱えるそれぞれの思いが切なくて堪りませんでした。
最初のパートでは、無愛想な数学教師の朝倉と何やら因縁がありそうな棚橋との関係が少し不穏なムードで描かれています。二人の過去に何が…?
過去パートでは一転、二人の出会いから蜜月、そして別れまでが棚橋視点で描かれます。学園寮モノとしての楽しい雰囲気もあり、二人が初恋に夢中になる様子が丁寧に表現されています。この展開がもう…!!切なくて胸が詰まりました。棚橋は若さゆえの狂気にも似た感情を持っていて、その至らなさが可愛く、愛おしかったです。
朝倉の拒絶も棚橋の執着も分かった上で読む最終パート。どうなるんだろうとドキドキしましたが…素敵なエンディングだったと思います。
桜舞い散る季節にぴったりのBLです。桜が陰の主役みたいなお話。山奥にある全寮制エリート男子校が舞台です。ある思春期の少年達の16歳から17歳までを描いています。
攻めの圭は受けの聖人に夜の桜の木の下で初めて出会った時、桜の精みたいだと思いましたが、実際の聖人は三白眼でぶっきらぼうな感じの帰国子女でした。でも笑うととっても可愛くて…クラスにいまいち溶け込めていない聖人と同室の圭はその笑顔を自分だけ独り占めにしたかったのです。
思春期特有の残酷さで圭は聖人を深く傷つけるようなことをしてしまいます。唯一の味方で恋人の圭に裏切られたと思った聖人は圭と絶交したまま父親の住む海外へ戻ってしまい、ケンカ別れしたまま大人になって10年後に再会するのです。
傷つきやすい少年達の世界が瑞々しく描かれていて一気に読まされるうまくできたお話だと思います。10年後遠回りして2人の恋はやっと成就するのですが、こういうお話っていかにもBLって感じだけどやっぱり好きなんだよなあ、10年愛。
キュンキュンする男子寮ものを読みたい! と思っていろいろ探していたところ、素敵なタイトルに惹かれました。ムク先生の表紙も、ほんわかしていていい!
内容は、タイトルどおり、初恋の人と再会してやり直すという話。
前半は攻めの圭視点で、高校時代のエピソード。
圭は家柄にも容姿にも恵まれ、性格的にも誰とでも打ち解けやすく、生まれながらになんでも持ってるような子。受けの聖人に出会うまでは、他人に対して熱くなったりすることがなく、独占欲や執着心を抱いたりすることもなかった。
それなのに帰国子女でなかなか馴染めず、周りから浮いていた聖人の、自分だけに向けられた笑顔を見たその時から、彼をひとりじめしたい、という欲望にとらわれてしまう。
ある日、寮で盗難騒ぎがあり、聖人が濡れ衣を着せられてしまうという事件が起きる。だが、それは圭にとっては彼を自分だけのものにする絶好の機会だった。
思惑通り、聖人は手の中に落ちてきて、ふたりは蜜月のような甘い時間を過ごすようになる。だが、やがて事件の真相が明らかになった時、無情にも終わりが来てしまう…。
ここで前半のお話が終わり、後半、27歳になった聖人の視点のお話が綴られるのだけど、この構成がなかなかニクい!
高校時代の聖人の心理は、あくまで圭の推察でしかなかったため、聖人が圭をどんな風に思っていたか、あの事件でどれだけ傷ついたかということがようやく詳細に語られる。
大人になった聖人は、圭は自分を裏切ったと思ったまま、ずっと彼を憎んでいた。「世界で一番嫌いな男」だと言ったり、冷たい態度を取り続ける。
どちらの気持もよくわかるので、受け攻めどちらにも感情移入してしまい、胸が痛い…。あまりにも聖人がツンツンしてるし、圭がまた、聖人可愛さに構いすぎてしょっちゅう怒らせるのでハラハラした。
でもどこか、ケンカップルみたいないちゃつきにも見えたのは気のせい? 嫌いだ!ってあんまり向きになって言うと、逆の意味に聞こえるよ…。
読み終わってからこの作品がスピンオフだったのを知ったのだけど、読んでいて引っかかるところはなかった。後半に登場した生徒二人の話ということで、そちらもぜひ読んでみたい!
やはり男子寮っていくつになってもときめく、萌えと煩悩の塊だと思う。
再会物語。
今の私の大好物です。
棚橋は地元でそこそこに名前の知れた病院の末っ子次男坊で、愛想もよく、何でもそれなりにこなして生きてきた。
そんな棚橋と高校の寮で同室になったのは、三白眼で無愛想な朝倉。
棚橋は自分にだけ心を開き、笑顔を見せる朝倉に徐々に惹かれていく。
しかし、棚橋は朝倉に対して、裏切りともいえるような行為を行っていることがわかり、朝倉は棚橋を拒絶する。
それから数年が経ち、母校で数学教師を勤める朝倉の元に、棚橋が社会科教師としてやってくる。
という話でした。
穏やかで。
誰も何も言わないですが、棚橋の朝倉への執着に脅威を覚える話。
でもまあ、再会物ってどちらかが執着しないと偶然でもない限り、再会しないですよね。
必要悪♡
ちょっと別の作品の登場人物が出てくるので、そこの詳細がないのだけモヤモヤするかと思いますが、適度な厚みで読みやすいので。
本と再会物がお好きな方にはオススメします。
なんかとてもすごく小説していた……情景の全てが目の前に浮かんでくるって小説では当たり前のことなんだっけ?BL小説を続けて読むと、そうでないものに慣れて麻痺してくる。おかげでただの描写にもものすごく感動した。
ストーリーやメインキャラは好きなタイプでもないし、萌えツボにもはまらない。でも読み応えとサブキャラの魅力が抜群で、読後の満足度は最高。これってちるちる評価的には何が正解なんだろう?知らんけど★4てことで萌え×2。
高校でルームメイトになった、要領の良い金持ち次男坊と人付き合いが下手な帰国子女のお話。二人の関係性に変化が訪れるのは、聖人に泥棒疑惑がかけられてから。当然聖人はやっていないが、この事件の真相の半端さがとてもたちの悪いものに感じた。
それまで散々独占欲を見せてきた圭が、これを機に聖人を手中に収める。自分が直接手を下して聖人を孤立させたわけでなく、他人の後ろめたさに付け込み利用して、窮地に陥る聖人を興奮しながら見守っている。
自らの手を汚していないところが狡猾で、冷静さを失うほどに病んでいないのがとても厄介。それでもまだ男子高校生で、若さ故の暴走として、前半の圭視点は失恋という結末に納得して面白く読めた。
社会人になり、圭のストーカー行為からの再会後、聖人視点から見る圭はめちゃくちゃ怖い。笑顔を「へらへら」と表現されているのも聖人の憎しみが伝わってきて、圭の好感度が上がらない。
これでどう決着をつけるのかと思っていたら、登場時から個人的に推しキャラとなっていた篠塚が登場し、電話一本でまあいいか、と思わせてくれた。正直メインカプより断然篠塚に魅力を感じる。寮での振る舞いも際立ってカッコ良かった。
話を戻して聖人の件。危機からの吊り橋効果的ショック療法で、聖人は圭を受け入れる。好きだったあのときの気持ちが戻ってきて……という描写なので不自然じゃないが、もう少し圭に変化が見られてからの方が良かったかなあと思う。まあこれはただの読み手としての感情だけど。
前半は黒い思惑丸出しの圭視点で、サイコパス傾向のある自己中気味な性格のブレなさが素晴らしく、小説として面白かった。
別作品のスピンオフらしい、知らずに読んだが問題なし。スピン元も読んでみようかな。
『壁の中の嘘と秘密』のスピンオフ。
前作で意味ありげに登場していた二人の教師の高校時代~母校で教師として再会し結ばれるまでの話です。
【あらすじ】
お坊ちゃん育ちで世渡り上手な高校生・圭は、帰国子女の聖人と寮で相部屋になる。
無愛想だが本当は可愛い聖人を知るにつれ惹かれていく圭は、他生徒と親しくする聖人に嫉妬し、孤立してほしい、自分だけのものでいてほしいと願ってしまう。
その独占欲が、聖人を嫌う学生の策略を間接的に手助けし、聖人を陥れる結果になってしまった。
金を盗んだ濡れ絹を着せられ、孤立した聖人に圭は手を差しのべ、ますます親密になった二人は一線を越える。
だが、圭の裏切りを知り傷ついた 聖人は、圭の前から姿を消し…。
【感想】
前作同様、全寮制の高校という舞台で青く切なくロマンティックな世界がたっぷり描かれます。
二人が桜の木の下で初めて出会うシーンは梶井基次郎の詩を思わせる幻想的な美しさがあるし、
再会後、嵐の夜の告白もひたむきな想いが溢れていて良い。
ただ、陽×陰のカップリングや展開が前作とデシャブであまり目新しさがないのが残念。
前作は「屋根裏部屋」や「天体観測」等の小道具が印象的でしたが、本書は相当なページ数を過去編に割いたわりにそうした核となるモチーフが弱く、せっかくの描写が冗長に感じてしまいました。
若き日の圭の過ちは分からなくもないのですが、再会後はもう少し大人な口説き方をしてほしかったかな。
ピュアさが本書の売りなのでしょうが、27にもなって「好きだから」一辺倒はどうなのかな~と、個人的にあまりノれませんでした;;
前作を読んだときは
教師カップルはもう少し大人な関係だと思っていたので、ふたを開けてみると思いの外ジュブナイルでピンとこなかったのも敗因です。