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okusan ni naranakya
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「お嫁さんになりたい」から延々と続くスピンオフシリーズの6作目。
今までのシリーズの中で、1番受けになる人物が明るくて能天気で行動的でした。
タイトルから解るように受けである颯矢から攻めの信高にプロポーズする展開です。
それでも初めはイベント会社の上司である「一夜妻になれたら」の攻め役十和田に
片思いしている設定なのです。
それも片思いしていることが楽しい、もしかしたら恋人と別れて自分のターンが
あるかも知れないと思える楽天的なノリなのです。
それも嫌味の無い純粋な明るさで、十和田の恋人に嫉妬すらしないのです。
そして十和田の恋人で資産家の佑樹の学生時代に友人と佑樹の隠れ家的な店で
偶然出会い、その後別の店で再会し意気投合して仲良くなる。
仲良くなりすぎて佑樹の友人である攻めの信高に気に入られ口説かれる事態になります。
十和田一筋だからと断っていたのに、颯矢の住まいが火事になったことで
一人暮らしの信高の所に保険が下りるまでの間居候することになり、
同居するようになって更に二人は意気投合していく展開です。
内容的には十和田への片思いは亡くなった父親の姿を重ねていただけだと
気がつくまでは信高との関係は進展しないかと思われるのですが、
信高が女性にストーカーされていた事を知り、突然信高の家に現れた女性を
咄嗟にストーカーだと思い込み、声高らかに信高と恋人だと宣言してしまう。
そこに来てやっと自分がいつの間にか信高を恋愛の意味で好きだと自覚するが
実はその女性は信高の実の姉だったというもので、
颯矢の底抜けなおバカぶりと粗忽さが愛しく思える内容でもあります。
家族にカミングアウトしていない信高、それを聞き及んでいた颯矢は
落ち込むなんて言葉が無縁だったのですが、初めてと言っていいくらい
自分がやらかしたことに動揺しすぎて取りあえず不在中の信高が戻る前に
大慌てで逃げ出してしまう。
全体的に明るくてテンションが高めでイケイケな感じの恋のお話です。
駆け引きやじれったいような擦れ違いも誤解も無くてあっさりしていて読みやすい作品。
一冊通じて上司の十和田が後輩社員である颯矢の事をやたらと「能天気な馬鹿」って連呼しすぎで正直疲れたが、読み終わった後に確かにその通りだよなぁ…としか思えなくなってきた。
本当に颯矢の人物像として良くも悪くも『後先考えない能天気』な性格ってのを見事に書き切ったな、とは感じた。
何しろ、流されでもほだされでもない、理屈ゼロで何も考えずに攻めの好意をキャッチしている受けってのに初めてお目にかかったので。
そんな中で話のヤマ場として、颯矢が私生活での災難に見舞われたところ、信高に一時的な同居を快諾してもらう事になる。
しかし、留守番の最中に訪ねてきた女性に対して信高の秘密をうっかりバラしてしまうって流れで、その後の颯矢の判断、行動が読んでいてもう駄目じゃん!!とドン引きしたのでいい印象が湧くはずもない。
まぁ、信高が許したのだからそこまで引く事ないのだけどさ…。