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奪うな。他と代えられないものをもう失いたくない。
gonin no ou
評価が高かったのでなんとなく
サイトの試し読みから入りました
そして見事にハマりました…面白い(笑)
もともとファンタジーは好きな方なのですが、この作品は世界観が 王道だけどきちんとしてるなぁという印象。
確かに、説明が理解できないところや、
時間軸の前後や移動についていけなくなったり、
あれ??いきなり半年後??
半年間ウィロウから音沙汰無かったのに気にしなかったの??とか…(ある意味歴史モノだから感覚が長いのかな??)
赤の王が後半は空気!!てか、5人中、2人くらい王が空気!!とか… まぁ ありましたけれども…
そこは文章の勢いにまかせて読み進められました。
一番キツかったのは…
なんかもう、セージは本当に幸せになるのか??
ってくらい 次から次へと不幸が押し寄せて来るのが…
精神的にきましたね…
大切な人を失って、裏切られて、反乱、裏切られてボロボロになって、また大切な人を失って…反乱、さらにボロボロに…
いやいや!!
辛い!!!!
西方の混乱が全く治まらない!!!!
妹ヒソクを救うのも難しい…
作者様は受けをどこまで不幸にできるか考えながら書いたとインタビューでおっしゃっていました。悪い方に悪い方に行くんですよ…もうやめてあげて(泣)
そんなにも過酷で辛い本編なのですが
『いつか…青の王がデレてくれるはず…』
と、それだけを希望に頑張って読みました。
傲慢で不遜で冷徹でドSで この人 本当にセージのこと好きになんのかな??無理じゃない?? と最後の最後まで思わせる難攻不落の要塞の如きブラコン(重症)青の王。
たまりませんね。
たまに見せる甘さが たまりません。
余談ですが 本編読了後に
サイトに掲載されている「5人の王 外伝」も読みました。
シアン視点で語られる 青の王(アージェント)が難攻不落すぎてヤバいです(笑) 近衛時代の若い頃なんで更に殺伐としてる(笑)
率先して争いの種を振りまきまくる、浅慮なお子さま王のお話も漸く終結です。
はぁ……長かったような短かったような、不思議な読後です。
読んでる途中、だんだんと自己中度が上昇してゆく受の、あまりの身勝手さにムカムカすることもありましたが、この度が過ぎた甘ちゃんっぷりも含めて、彼の魅力なのだと思います。
考えなしに人に迷惑を掛けまくってしまう愚かな受ではありましたが、どこか眩しくて愛さずにはいられないようなキャラでした。彼に惹かれてゆく周囲も、わかるような気がします。
とにかくこうと決めたら一本道で、絶対に何があってもブレないその姿勢が、ある意味この世界の中では一番男らしかったかもしれません。
そしてそして、これだけ広げた風呂敷を一体どうやってたたむつもりなのかと思ってましたが、そうですよねー、そうしますよねー。というか、そうするしかないですよねー、というほど予想通りな展開でした。
まさか3冊四六判でバッドエンドはないと思ってましたけど、ハッピーエンドにするにはそうするよね、というファンタジー読みには簡単に想像の出来る結末だったのは、ある意味で安心しました。良かったです。
受がひたすらに不幸で不憫、一体どこまでこの受をどん底に突き落としたら気が済むのかというくらいの作者のやりたい放題っぷりがいっそ清々しく、ぞくぞく震えるほど。
攻のわかりにくすぎる愛し方には私のM心がくすぐられてたまらなかったです。
お互いの献身的な愛が見事に成就してほっと一安心。
やっとのことで甘い桃色エッチが堪能できたのも、ここまでの長い話を読んできた甲斐があったってもんですね。
天然ド淫乱なビッチ受も大好きなので、ある意味この話は私にはたまらなく好み設定だったのかもしれません。攻も色んな意味で好みすぎて……。
これでもう終わってしまうのは寂しい、と思っていたところに丁度良くシアンとウィロウのスピンオフが発売されたので、有難く読もうと思います。
ファンタジーで興ざめしてしまう矛盾についてはもう正直どうでもよかった。
どうでもよかったと思えるくらい、受と妹の絆を一貫して書ききってくれた。
(まぁ、そのせいで肝心のBがLらしくなってないという失敗もありますが)
ただひとつだけ、どうしても納得出来ないのが女性の扱いについて。
ルリのエピソードはどう考えても物語に必要だったとは思えませんでした。
あれでは受もルリ自身もあまりにも可哀想です。
私はBLにおいて女性が不当な扱いを受けることが好きではないので、このエピソードについては書かれなかったこととして脳内処理したほど。
王宮もので世継ぎ問題のために攻が側室だ正室だのを娶って、こどもを作っても気にならない方ですが、今回のこれはそういった問題とは関係のない部分で描写されていたので不快感しかありませんでした。
自分の中ではなかったことになっているので、それ以外で作品が構成されたと考えての神評価になりました。なかったことにしなければ、このエピソードだけで一気にしゅみじゃないレベルにするくらいの気分の悪さです。
そして序盤トライアングルを期待しちゃったギルが、蓋を開いてみたら一番の空気だった罠。思わせぶりなこと言ってたセーブルも、何かもう生温かく見守り隊みたいになってるし……全然5人の王じゃないよね、2人の王でよくない? と野暮なこと思ってます。
この手のファンタジーを書くには、正直力不足感が否めないですが、でも面白くて転がるように読ませてくれましたので、最終評価としてはお気に入りのシリーズとなりました。次回は作者が書きたいものだけを押しつけるのではなく、読者がいることを考えた書き方にしてくれると親切だなと思いました。
磨けばキラキラと光りだしそうな素敵な作家さんなので、担当さんはぜひ指導に力を入れて欲しいです。
薄雲さま、コメントをありがとうございました。
そうなんですよね、タイトル『2人の王』の間違いだろうっ!って
言いたくなりますよね?(笑)
あるいは『率先して争いの種を振りまきまくる、浅慮なお子さま王』
というタイトルもいいかも……!(笑)
>作者の勢いに呑まれてすっかりこのシリーズの虜です。
私も全くその通りです。
いろいろと突っ込みどころはあるにせよ、この巻き込む力は稀有。
本当に今後が楽しみな作家さんですね!
2人の王……だよね、表紙も中身も。
最後まで読んでも、結局他の王達は影が薄く
脇役としてもシアンなどの存在感にはかなわず、
タイトルの『5人の王』というのは主人公を示しているのではなく
この世界観を表す言葉なのだな、という納得をする。
非常に面白かった。
どんどん広がる風呂敷を一体どうやって畳むのやら?
時々ツッコミたい気分になりながらも、
勢いに巻き込まれ休むことなく2巻3巻と読んだのだが、
これでもか!という怒涛の展開からなんとか大団円。
正直一読では収まりきらない(整合性的も感情的にも)部分もあり
評価の難しい作品。
この「畳み方」の大雑把な未熟さは、致し方ないところなのかな。
それより何より、最後の最後まで私は主役セージが嫌いだったので
神をつけるのは憚られるのだが、
まあ、神様の国の話だし、こんなに夢中にもしてもらったし、
挿絵はとても素敵だったし、
最後の青の王に萌えまくったし、「神」にします。
⌘ ⌘ ⌘ ⌘
読み終わって、何かを読んだ時の感覚と同じだと思ったのは
名作の誉れ高い『BASARA』。
勿論あちらは少女漫画だし、世界観も全然違うし、なのだが
時間を忘れて夢中になって読まずにはいられないものの
終始主役を好きになれずにイライラさせられ
でも、彼女を取り囲む男達は非常に魅力的で
萌えもあって……という感じが、とても似ているのだ。
⌘ ⌘ ⌘ ⌘
主人公緑の王ヴァートことセージ。
彼には本当にイライラさせられ続けた。
ウィロウがよく「ばかおう!」と罵っているが、私もそう言いたいっ!
"EVERY MAN IS THE ARCHITECT OF HIS OWN FORTUNE"
(だれもが自分の運命の設計者である)
って、そうやって過去に戻って運命を変えていくことじゃないのでは?
と首を傾げながら、というよりセージの首根っこつかまえて
説教したい気分になりながら読んだけれど、
そういう奴のキャラクターごとまんまと作者の術中なのかも……?
ファンタジー好きでしたら読んで損はないですが、
細かいことには目をつぶって、
3冊一気に勢いで読むことをお勧めします。
snowblackさま、こんばんは。
>この世界観を表す言葉なのだな
に、なるほどーっと思わず拍手してました。
本当に悲しくなるくらい2人の王というタイトルしか思い浮かばなかったので、snowblackさまのこの言葉に救われました(笑)
私はセージにイライラしながらも、結局なんだかんだと憎めないな、という感じで読んでいたのですが、作者の勢いに呑まれてすっかりこのシリーズの虜です。
読みきったーーーっ・゜・(ノД`)・゜・目が痛い。
楽しみに楽しみにしていた完結巻。
アリガトウゴザイマス。
あとがきを読むと、そりゃすんなりくっつかんわな。。。というのが結論ではあるのですが、紆余曲折あってのハッピーエンド。
結局、うまい具合に関係がまとまっても
相変わらずの意地悪な青と、それに翻弄される緑が可愛い一冊でした。
お話は、妹の命を救うために、力が欲しいと緑が懇願するところから。
恋人にするように・・という青の条件と緑の本当の心と。
しょうじき、このあとの展開が二転三転するので、
青さまどーなのよ!!!!?な場面までの甘い期間。
これまで手ひどい行為しかなかったものからの激甘プレイに萌。
ネタバレになるので多くは語りませんが
読めて満足満足でございました。
ついでにいうと、ウェブに公開されている外伝が更に萌なのでオススメ
シアン様が可愛すぎるヽ(´▽`)/や、酷いの含め
追伸
青が意地悪なのは地なのね・・・忍耐忍耐で本当は甘やかしタイプなのだと思ってた(笑
セージが西を救えたのは、セージの純粋さだけではなく、これまで青の王のもとで、失敗し、失い、絶望した経験から生まれたものの集結だと感じました。青の王だけではない、これまで出会い別れた人たちの意思を、セージは汲み取って生きているというのが、心に突き刺さりました。
てっきりあの子の最後がセージの妹が視えた未来だと思って号泣したんですが、この物語、ほんとうに最初から最後まで兄妹愛に溢れていたことが、胸を打たれました。
こんなに長い物語で、最初から最後まで求めているものがはっきりとつながっている。それが、虚しさと悲しみと、成し遂げられたことの償いと…どれも当てはまるようで違うような、なんともいえない気持ちで。
生涯セージが、ことなくしあわせに暮らして行けることを願わくはいられません。
最後に、私は原作は読んだことはありませんが、この物語を大きく削ることなく、3冊に大きく分割してまで発行して下さったフロンティアワークスさんに拍手を送りたいです。
最終巻なのにセージには次々に不幸が襲いかかって、お話に気を取られながらも「本当にこの巻で完結するのであろうか?」と思ってしまったんですが……ちゃんと終わりました。
まあ、疲れたのなんの。
しかし、これは心地良い疲れなのでした。
時間軸があちこち飛ぶのは(そもそもそういう作りのお話が好きなので)良いとしても、重要なキャラクターの一人であるウィロウの安否を長い間放置していたり、青の王がセージに対して自分の気持ちを隠さなければならない理由に絡む『コインのエピソード』が何度もほのめかされた割にはそれほど重要でなかったり、正直な感想としては「こなれていないなぁ」と感じた部分もありました。
でも、そんなことよりも何よりも「いい話だねぇ」と思う部分が多いのですよ。
一言で言えば、多分私が良しとする人生観(大げさで申し訳ない)が書かれているからだと思うの。
他者の命や尊厳を出来る限り尊重しようと思うこと。
自分に与えられた使命を果たそうと努力すること。
現場の声を、物事を考える起点とすること。
じぶんの力で足りない部分は人に任せること。
力で押し込めるのではなく、違う考えの人を説得しようとすること……etc.
セージがそんな風に考え、それ故に成長していくのがとても面白かったんだと思います。
何より好きなのは、このお話が『恋も仕事も』のお話であることなんです。
色々と迷った2人ですがそこに辿り着いて、いやー、良かった良かった。
人を幸せにするためには、まず自分が幸せになる必要があると思うのですよ。
お話の初めでは妹を幸せにするために自分の不幸を取ったセージが、ラストでは様々な悲しみを抱えながらも幸せになろうとする。これが感動的でした。
青の王の盛大なデレに大きなカタルシスを感じるのも、ここまで引っ張ったからだと思いますしね(笑)。
ストレスにまみれながら頑張って読んだ長編小説が終わってしまうのは一抹の寂しさを覚えたりします。
長期休暇にじっくり、しかし一気に読むべき物語だと思いましたです。
さすが書籍化されるだけあって、面白かったです!!
やっぱ世間の腐女子が認めただけはありますね。私も読んで良かった。
ちょっと冷たい青の王が、時々、緑の王を可愛がるとこに萌えました。
王族ファンタジーと特殊能力ネタが大丈夫な人なら、きっと最後まで楽しめると思います。
セージは妹の死を受け入れられず、それでも緑の王になった自分の責務を果たそうと頑張るのですが、臣下に裏切られたり、命を狙われたり、その上、愛してる人を失いそうになったりと波乱万丈、一寸先は闇の物語。
文章のテンポが良く、三冊があっという間に読み終わってしまいました。
緑の王の気持ちが、焦りが、手に取るように迸っていて、読んでいる私まで切なくなりました。
早く読み進めたくて、家事放棄したくなりましたもんね。
読後は、すべてのピースが噛み合い、大きなパズルが完成したような満足感でいっぱいにまりました。
ラスト、少しだけ後味引きますけど、きっと、彼らは幸せになってる筈だと信じています。
あと、下のレビューでスノーブラックさんが書いてる「二人の王だよね」に思わず吹き出してしまいました・・。うん・・確かにネ・・!
でも緊迫感があって、とっても面白い作品でした!
イラストが綺麗で品が有ります。
セージは、作品中のイメージだと余り頭が良くなくて失敗が多い、優しい子がこれでもかとイジメられて常に泣いている、という印象ですが、イラストだととても育ちがよくて賢そう。
なので、脳内変換しながら読む小説版より、比較すると漫画化されたコミック版の方が安心して読めました。
恵庭 先生のHPに、3巻の先の続きが掲載されていましたが、セージはもっと気の毒な体験をすることになっています。
セージが逝ったあとの青の王が失明していることや、黒の王が昔は良い人だったことなどが掲載されていました。
でも、これから出るだろう続巻が、そのままではなく、もう少し明るい内容に編纂されていたら嬉しい。
セージがいつも泣いていて、可哀そうすぎる。
試し読みしたところ、世界観がすごく素敵で思わず3冊一気に買ってしまいました。
最終的には、ハッピーエンド・・・でいいんでしょう。
小説としてはすごく読み応えがあって面白いです。
設定もよく練りこまれてあるなあと(伏線も多いため)わかり辛い点も時折ありますが、
気になるほどではありません。
舞台が華やかな宮廷だけでは終わらない点もまたよかったと思います。
良い意味で、色々と裏切られる作品だと思いました。
ただ、ここからはちょっと自分的にはダメだった点を。
まず、このお話って青の王がダメな人、好きな人で大いに評価が分かれると思います。
見目麗しく、ドSで鬼畜な攻めが好きな人にはたまらないのかもしれませんが、私にはあまりにも愛が感じられなくてダメな方でした。
変な話、全く愛がない身体だけの関係のBLというのも世にはたくさんあると思いますし、むしろ私はそういった話はそういった話で面白いと思えるし受け入れられるのですが。
正直この話にはもうちょっと愛が欲しかった。
ルリの妊娠に関して「宮廷物、ファンタジー王宮ものなら仕方ない」という意見もあるとは思いますが、世襲制でもなく、世継ぎの必要のない王様になぜ子供が出来る必要があったのか。
セージを精神的に追い詰めるために必要だったのかもしれませんが、愛もないのに子供を身ごもることになったルリにも、兄との約束を何をも優先した青の王に対しても正直なんとも言えない、まあはっきり言ってしまえば後味が悪いなあと。
いや、別に大切なお兄さんとの約束を自分の大切な人(って書くのもすごく違和感)より優先するって悪いことじゃないと思うんですよ。
ただ、BLの攻めにはして欲しくなかった(笑)
攻めや受けがお互い以外に大切な人がたくさんいるっていうのは悪いことじゃないと思いますけど、そっちの→ばかりが目立ってしまって肝心の青の王からセージへの気持ちがいまいちわからない。
もっと言ってしまえば、セージも正直健気すぎてついていけなくなりました。
何より、なんでセージはこんな青の王のことが好きになったのかもよくわからない。
(立派な王様だと評価しようにも、諸外国の事情が文字の説明のみで具体的に書かれていないため、薄っぺらい)
まあ、BLなので恋愛関係にならなければ仕方ないのかもしれませんが、二人の関係性はしっかり書かれてる割に思いを育み伝い合うって過程が全くなかったような・・・。
まあでも、青の王は大切な大切なお兄さんとの約束も守ることができ、可愛らしい健気な
年下の恋人もでき、ついでに子供まで出来たと。
もう、青の王にとってはとってもハッピーエンドなお話だったんだろうなあと。
というわけで、青の王に萌えられる人にとってはより楽しめる作品だと思います。
ファンタジックな世界観とたくさんの魅力的な登場人物たち、王宮のきらびやかな描写や方々に張り巡らされた伏線など様々な要素がお話を盛り立て、この全3巻中に幾度となくハラハラしました。たいへん読みごたえのある作品だと思います。
もちろんこの3巻でもセージの危なっかしさは健在ですし(最後まで彼は彼のままでした、一切ブレない!)、ジェントのなにを考えているかわからないのにグイグイくる感じも変わりません。
また、ようやくパーピュアの心境やエールとの過去諸々がセージのタイムリープによって明らかとなります。
既巻でとても気になっていた部分であるだけに、胸が締め付けられる思いも二度三度ではすみませんでした。恵庭先生ご自身がインタビューで仰っていた「どこまで不幸にできるか…!」が受けであるセージだけでなく、その他のキャラクタたちにまで及んでいるんじゃないかと感じるくらいです。(笑)
幸いなことに、愛しているのに結ばれない…といった結末ではなくハッピーエンドですので安心して読むことができました。このバッドエンドの予想ははじめからしておりませんから(シャーから、セージへの執着愛の雰囲気が存分ににじみ出ておりました)、どう終わるのかな…というのも楽しみな点でした。
特にこの結末に関しましては唸りました。個人的には一番納得のゆくエンディングだと感じます。
なにしろ、前触れなくティンクチャーを宿してしまったがために彼・彼女らはみな突然(いうなれば)現人神になってしまうんですもの。それまではいち人間として生きていたのに、まったく違う別物のような自分に変わるのですから…。
初代パーピュア王はそうしていつでも振り下ろせる小さな斧を持って苦しい嘘を唱え、今のパーピュア王と先代のアジュール王(エール)はその苦しい嘘に苛まれ、現アジュール王(ジェント)は弟を喪い本当に孤独となり、主人公セージは最愛の妹・ヒソクとの世界を失ったのです。
だからこそ、この「5人の王」の象徴でもあり幾度となく読者を翻弄させたティンクチャーが現れなくなることこそ、本当の意味での結末だと思います。
幾千年の時が過ぎ、ふたたびティンクチャーを持つ者が現れて先読みの力を発揮したときはまた、その者がかのオーア神の成り代わりとして崇められるかもしれません。それまでシェブロンが健在であるか、むしろオーアを崇めることが続いているのか、他宗教が台頭するのかそれらすべてわからないのですが…。けれども、そうしてつい色々な未来を考えてしまいますね。
以下、感想と理由などなどです。
・ルリが子供を宿す必要はあったのか…
前巻のレビューで「王族モノBLの障壁である嫡子いらないからイイ!」と書きましたがまさかの展開ー! 予想だにしていなかったので、いまだ衝撃を拭えません。
これは「ルリが恒久的に幸せであるためには、『エール』との子が必要」とジェントが判断したということでしょうか。嘘を嘘で塗り固めまくって…第三者ながら心配です。
・グリニッジには肝を冷やしまくる
グリニッジパニックパート2! むしろ彼在るところにセージの不幸あり。
すごく不運な境遇のキャラであるからこそ苦しくなる反面、またかァァアと頭を抱える現実があり、読みながら感情がブンブンあちこちに振れました…。
・ところで青の王は、いつヒソク=セージとつながったのか…
これが何度読み返しても分からず、いったいどこからシャーがセージに恋しているのか判断できませんでした。
俺の知ってるヒソクはまだ死なない的な、あのセリフはどこからきているものなのか…。もしかして最後の最後、セージがヒソクの最期に立ち会ったときにすれ違った姿を見てのことなのか。完全デレ期の過去ジェントと今のジェントの差が大きい。
・ギル
1巻で彼が魅せたすべてが素敵すぎて、以降ずっと再登場なりちょいちょい茶々入れなりそういうことをわずかながらも期待していたのですが、ようやく登場かと思いきや完全に過去の甘い傷みな感じ! 致し方…な…い!
まだセージが宮殿に来たばかりの頃の思い出は、読み手にとってはついさっきの話でも彼らにとっては結構前になるのですものね…。ギルが幸せなら、結果オーライ…だ!
・総括
セージのシスコンと、ジェントのブラコンが全開の王宮BLでした。そこでなぜ弟妹のことを…と感じても、いや弟(or妹)ラブだったな、なんて不思議と納得します。(笑)
物語として決して尻すぼみではなく、むしろタイムリープを繰り返すようになった後半こそ読み応えある展開ばかりです。が、個人的に昇華できぬ点があり中立といたしました。
ファンタジー要素は抜群にありますし、この世界観はなかなか面白いので、試し読み(ひととおり読んだ方が傾向を掴めるかと)で肌に合えば萌え云々を抜いてもお話として楽しめるのではないでしょうか。