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kimi no hitomi no daisy
おもしろかった
2013年発刊の古い作品。発刊当時は人気作だったみたい。
子猿とライオンの童話の一節が各章の初めに入っていて、
それが大まかな粗筋になっている。凝った構成。
主人公の海里には、施設に入る前の記憶を失っている。
孤児院育ちの主人公は、外観が理由で、住む場所も仕事も失う。
茶色の毛髪と日向に出ると緑色に見える瞳の美貌が災い、
職場でトラブルと起こしてすぐ解雇される。
中々決まらない仕事、やっと清掃会社に雇用が決まる。
新聞広告の探し人「デイジー 女性 緑の瞳 黒髪」を見て、
探してくれる人がいる「デイジー」を羨ましく思うデイジ
清掃会社の依頼を受け、梶家に行き、梶と出会う。
海里は、梶家専属の担当となり、色々あって、海里は失った記憶を取り戻す。
ハピエン。
傲慢でセレブな攻めに熱愛される元気な庶民受けという
王道で、手堅く萌えをちりばめたラブラブなお話♪
これだけだと、ちょっと捻りがないな…となるところでしたが、
幼少の記憶がなく血にトラウマをもつ受というサスペンスタッチな設定や、
本編の展開を暗示する各章はじめの童話など、
これからどうなるの!?とゾクゾクする感覚も味わえ、楽しめました☆
赤みがかった茶髪と深いグリーンの瞳をもつ海里(19)。
身寄りはなく天涯孤独の彼がハウスクリーニングの仕事である洋館を訪れ、屋敷主でホテルチェーン社長の舵(28)に出会う。
海里のハッキリした物言いが気に入ったのか、
舵はその後も海里を指名し、食事にプレゼントにと豪奢にもてなし…。
海里は、どんなに辛くても気丈に振舞う、サッパリキッパリした健気受。
容姿だけでなく内面からもキラキラした魅力が伝わってきて、かなり好きな受でした。
舵はかなりの執着攻で、28にもなって嫉妬の仕方がガキすぎw
が、海里に恋をして、誕生日プレゼントを一生懸命考えたり、
不器用なりの愛情がビシバシ伝わってくるところは萌えでした!
素直じゃない海里が、舵に優しくされ感極まって
「舵さん、好き。すげー、好き」と抱きつくところもイイ☆
すごく可愛くて好きなCPでした♪
(嫉妬してゴーカン…はちょっと引いちゃいましたが;;)
舵が探し続ける初恋の女性「デイジー」とは誰なのか。
海里の母親の死の真相と、血へのトラウマの原因は。
舵はデイジーを忘れて海里を選んでくれるのか。
これらの問題が解き明かされるクライマックスは、
童話のような美しさと現実の血なまぐささが交互に襲ってきてゾクワク。
ロマンティックに結ばれた二人が、自らの意志で
問題が山積みの現実に戻っていくというラストが良かったです。
二人の可愛い会話に癒される~~♪
面白かったのですが、童話パートの文体がちょっと気になりました。
一文一文の長さや、最後の文言の分別くささなど、
あまり童話っぽくないな~と感じてしまって。
もっとシンプルにまとめた方が素朴な味が出て良かったんじゃないかな~。
でも全体としては、甘さとビターのバランスがすごく好みなお話でした♪
夢を叶え起業家になった海里が、舵と肩を並べる未来の話も読んでみたい。
一歩間違えればヤンデレになりそうな執着攻めが出てくるのですが、
この攻めが個人的にかなり好き、誰か一人を妄執に近いくらい想えるのですから、
でも貞操観念は無くて、傲慢で冷血漢なのにたった一人愛するものを手に入れてからは
何処までも甘く過保護に執着する。
実際こんな彼がいたらウザくて怖いですが、作品の中に登場していると萌えます。
受けの印象は攻めと初めて出会った時とは全然違う印象のやんちゃで強気、
そして可愛いもの好きで甘いものが好きな心優しき受け様です。
そんな二人の再会ものですが、受けになる海里は子供の頃の記憶がトラウマで無く、
攻めになる舵も海里の髪の色がある事情で違う事で相手が子供の頃から
探し求めていた相手だと言う事に気がつかない流れ。
そして、この作品の面白いのは本編が描かれている要所要所に、舵と海里を
彷彿とさせるような童話的な話が盛り込まれているのです。
そこだけ抜き出して読めば、この作品の二人とシンクロします。
本筋は海里視点で、章に入る冒頭部分が舵視点を少々入れているのですが、
作者が読みづらいかもとあとがきで書いておられますがそんなことは無かったです。
舵視点での気持ちにふれられている事で二人の気持ちのズレや考えている事が
読み手にはっきり伝わる感じで面白い。
独りぼっちのライオンとオレンジの子猿、童話の主人公たちが本編の二人と
ぴったり重なるのも面白い内容です。
立場も環境も全てが正反対のような二人なのに、たった一人だけをいつも求め、
探している感じがとても似ている二人なんです。
二人の再会ものに、かなり危険なトラブルや誤解からくる擦れ違い、嫉妬から
相手を傷つけてしまったり、誘拐事件に巻き込まれたりと飽きさせない展開で
たっぷり読みごたえもあって基本甘い溺愛型の作品で楽しめました。
どこがどうと上手くお伝えできないのですが「惜しい!」と感じました。
良いところは沢山あって、舵と海里を彷彿とさせるライオンとサルの童話が章ごとにインサートされる構成や、数少ない舵のモノローグで彼の心境の変化が分かる点はワクワク感が増して楽しかったです。また、自分の愛情の重さを自覚しつつ海里を独占したいと苦悩する舵もなかなか不器用で愛おしいキャラクターでした。
ただ…オチ自体は前半でなんとなく読者も分かるからいいとして、その種明かしがとにかく強引で、最後の最後で緊張の糸がプツッと切れたような印象を受けました。クライマックスもまあドタバタで…。
また、海里は序盤ではハウスクリーニングという仕事に真剣に取り組む描写が沢山あったのにどんどん舵に手懐けられてペット?愛人?と化していくし、意味深なキャラクターかと思われた同僚達もいつの間にかフェードアウトしてるし、舵は舵で初エッチの時点でかなり重い愛情を持っている上にいつの間にか「デイジー < 海里」が確立してるし…で、私は少々、置いてけぼりを食らった感がありました。
最後、ラブラブになった後の二人の様子をもっと読みたかったなぁと思います。