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豪華客船で起こる恋と事件の結末は……。
eikokukizoku wa senjou de hizamaduku
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
豪華客船が舞台のロマンティックな再会愛と、保険絡みの事件を追うサスペンス展開。
この二つがうまく絡み合い、読み応えのある内容となっています。
英国貴族、パブリック・スクール、女装しての舞踏会、船上アクション…などなど
BL的お約束/萌えアイテムも盛り沢山v
オリエンタルな美貌を武器にターゲットと寝て情報を引き出すことから
「枕探偵」と呼ばれる日本人のフリー保険調査員・融(とおる)。
彼は、差出人不明の告発文をもとにあるクルーズ客船の案件を引き受けることになる。
船主である会社の大株主は名門英国貴族のローズカッスル家であり、
その子爵であるエイドリアンは融のかつての恋人であった。
パブリック・スクール時代に永遠の愛を誓うも、融の突然の退学・帰国により自然消滅した二人が十年ぶりに再会し、互いの胸中を探りつつも強く求め合う。
若き日の融がエイドリアンの前から消えた理由、貴族の不正と陰謀、一癖もふた癖もありそうなセレブの乗客達。
一見バラバラに思われた謎が、実は複雑に絡み合っていたことが明らかになるとともに、
様々な思惑が交錯して危機的状況に陥る客船ディアーナ号。
スリルある脱出劇の渦中、二人がすれ違いを経てようやく想いを重ねるラストはとてもドラマティックで惹きこまれました。
おっとり優しいお坊っちゃん・エイドリアンのキャラクターがとても好きでした。
武道の達人で床上手、誰にも隙を見せず生きる融が、
エイドリアンにだけはメロメロになってしまうのも分かる。
重いものを背負う融ですが、エイドリアンの明るさやまっすぐな愛情には弱く、
二人の一連のシーンは一貫してラブラブ・甘甘なところがいいです。
無自覚な絶倫というオプションも付いている、良い天然ワンコ攻めでしたv
お気に入りシーンは、ラストの結婚初夜にコンドームをずらっとベッドに並べ「足りるかな…」とつぶやくエイドリアン。
融が明日の自分を心配しつつもその想いをガシッと受け止めていて、
最高にラブラブで熱い大団円でした。
作者既刊でデビュー作の「旗と翼」や2作品目「花と夜叉」そしてこの作品が3作品目、
1,2作とはまた一味違った内容ですが、タイタニックが自沈だったのではと言う
「トンデモ説」を題材にした内容でした。
まぁ、出てくる船はタイタニックでは無いのですが英国貴族で名門船主一族にかかわる
保険金詐欺の陰謀とその一族の嫡男であり子爵エイドリアンとスクール時代の後輩で
恋人でもあった融との10年にも及ぶ勘違いと苦悩や後悔、そんな二人がエイドリアンの
一族が所有する大型客船で再会しすれ違いながらも永遠の愛を誓い合う話。
内容的にもBL作品として凄く良かったけれど、やっぱり完全無欠のハッピーエンド論者の
個人的な思いは、そんなに人が死んでしまったら二人が幸せでもわだかまるわ。
そんな感想が出てしまう、これが戦争を舞台にしているなら端から承知だから
さもありなんで終わるけど、陰謀を知りながらも何も手を打てなかったし、
攻めである、エイドリアンの天然ヘタレ具合も愛すべきお坊ちゃまだけれど、
やることなす事全てが裏目に出て邪魔しているのが痛々しい。
受けである融は、10年間も誤解しながら、エイドリアンの一族を破滅に追い込む
復讐を心に秘めていて、更に死をも覚悟するほど思いがあるのは素敵。
10年にも及ぶ苦節は、全てもう1度エイドリアンに会うためと言って過言でない程
ビッチと蔑まれても目的を遂行する為には手段を選ばない保険調査員。
簡単に言えば10年前から二人の気持ちは変わっていないが、10年の間にそれぞれの
環境が変わりその変わった環境がトラブルに発展し、他者を巻き込んで最悪の結末。
しかし、二人はなんとか助かり同性婚をしてのハッピーエンド。
作者の既刊程には心惹かれない内容に思います。
でも主人公二人を助けた富豪の老年御曹司と深い絆で結ばれた主従関係の秘書兼ガード、
この二人の最後が1番ある意味感動したかも、生まれ変わったら同じ年頃になり、
運命の相手として仲睦まじく生きて欲しいなどと、ウルッときます。
しかし、今回の受けである融は性格が男前で意地っ張りなビッチでしたが、
攻めのエイドリアンは天然で頼りなくて使えないヘタレである意味最強でしたね。
人は自分に無いものを求める傾向にあるとはいえ、ダメな子ほど可愛いと言う
言葉がこれほどしっくりくる攻めもいないと思えました。
全寮制のパブリックスクール、英国貴族、豪華客船、凄腕保険調査員、別れて10年後の再会。
萌えアイテム満載の割には残念ながら私の萌え心をくすぐるお話にはしてもれず、この評価となりました。
シリアスな中にも笑える場面があったり和むひと時はあってもいいし緊張の連続は疲れますが、エイドリアンが出てくると無駄にドタバタして内容を軽薄なものにしてしまうのが残念でした。
何か深い考えがあるのかとも思いましたが、本当にバカなボンボンだったとは…
詐欺でいくつも会社を潰すような騙されやすいお人好し、ただ愛したひとを思う気持ちだけは一途でした。
融も訳あって意識的にそうしてきたとはいえ、尻軽なビッチなところは好きになれない。
判断ミスと我が身可愛さから1000人近い人を死なせてしまったのに罪悪感もなくあっけらかんと幸せな新婚生活に入っていくというのもなんだかなーという感じ。
しかし、二人とも親や祖父から騙されたり傷つけられ引き裂かれ融は母親まで失うという生い立ちがストーリー展開に生かし切れなかった。
もし、エイドリアンの祖父が彼の資質を見抜き次期当主として一族やグループ会社を率いる器でないとわかってたなら、そして、その補佐というか指導役に融をあたえておいたなら、いい当主となれたような気がします。
人参をぶら下げられて目一杯突っ走るでしょう。
経営者としても教育者としても融は秀でているでしょうから。
王子様なエイドリアンは表の顔としてのいい仕事ができると思うし、負債どころか右肩上がりで資産も増えたのではないかと思いました。