碧暗い水
usukurenai no otogibanashi
攻め視点です。
短編で無理なく、しっかり纏められています。
バツイチ寡黙男がひとりきり、残りの人生を忠実に生きるなか、失いたくない宝物に出会ってしまった。
いままでは農家同士の付き合いで必要な作り笑いが多かった男にとって、心からの歓びを得られた。
愛する歓びがひとすじの光となったんですね。
攻めの歓びは読者としてもとても嬉しく、胸に沁みました。
しかし、失いたくない宝物ということはやがて…
ですが!とても優しいハッピーエンドなのです。
心に刺さりながらも優しく沁みる文章、小説の醍醐味です。
先生の投稿作とのこと。ということは実際に書いたのはデビュー前?!なんという才能でしょう。
先の方のレビューに書かれている「おやすみなさい、また明日」を彷彿とするストーリーという点、言われてみて気がついた感で納得です!
凪良ゆう先生の「憎らしい彼」を読了したあとなので、先生の作品を検索していたら、こちらの作品が気になり詳細をクリックしたのが読んだきっかけです。
早速電子のサイトに登録して拝読、読了しました。
新年そうそう、今年の初BLがこの作品で嬉しいです。
小説花丸2008年春の号に掲載された短編。
諸事情あってお蔵入りとなっていた幻の作品らしいです。
たまたま電子書店を検索して歩いているうちに発見し、¥162円というお手頃感もあって即買いしましたが、読んで号泣してしまいました。
物語は、一人の老人の独白から始まります。
幼い少年に語り聞かせる昔話の形をとって、自分の人生を振り返るという筋書きですが、桃の妖精に恋した男はやがて人としての天寿を全うし、神仙の許しを得て天界へと導かれ愛する人と再会するのです。
どこか「おやすみなさい、また明日」を彷彿とさせるストーリーです。桃農家のバツイチ男と、天の桃の妖精との純愛ファンタジー。愛し合う二人は途中で引き裂かれる運命にありますが、ラストはハッピーエンドですから安心して読んでいただけると思います。
私も、おそろいの茶碗でずっと一緒にご飯を食べるひとが欲しくなってしまいました^^;
凪良ゆう先生の小説家としての実力がうかがえる傑作です。