銀の雫の降る都

gin no shizuku no furu miyako

銀の雫の降る都
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神76
  • 萌×220
  • 萌13
  • 中立5
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
17
得点
504
評価数
115
平均
4.4 / 5
神率
66.1%
著者
かわい有美子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
価格
¥850(税抜)  
ISBN
9784344827851

あらすじ

あと数年しか生きられない不治の病を抱えるカレルは、内陸部の市場で売られていた少年トワを買い取り、ユーリスと名前を与えるが……。

表題作銀の雫の降る都

ユーリス・アラヤ,カレルに買い取られた剣闘士
カレル・エサイアス卿,エイドリア辺境伯

その他の収録作品

  • 瑠璃と玻璃と銀の蜜

レビュー投稿数17

格調高く純愛

かわい先生のレアな?ファンタジー。
作者様的にはアラブ世界のイメージらしいのですが、個人的なビジュアルイメージ的には、なんとなく「DUNE-砂の惑星-」でした。文明の格差で支配をするものとされるもの、未来的なものと歴史的な雰囲気が混在しているっていうエモいSF感はとても好みでした。ファンタジー苦手なんですけど、これはとても佳き…。葛西先生のイラストも純度高すぎラブにぴったり!!後半は尊さが涙腺にガンガンささって、2回読んで2回泣きましたw

大国の名門貴族の長子として生まれながら先天的な欠陥のために疎外され孤独に生きてきた美しい執政官カレルと、貧しいけれど武勇を誇るアラヤ族出身の剣闘士ユーリスの年の差、格差ラブでした。

ユーリスの左目の横の刺青設定が萌え。一人前になったときに、右側にも入れるものを、カレルが”蛮習だ”といってやめさせ自分のもとに引き取るのが二人の出会いなのですが、他人に無関心な執政官が職務を逸脱するレベルで、少年の存在に心惹かれていたということは後々わかってきます。自分から他人に関わっていくことを知らないから、ユーリスの想いに戸惑いながら、自分の好意や執着に無自覚…。

格差ということで愛情表現がとても間接的になるんですけど、それがむしろ萌え。ふたりの何気ない日常が尊すぎ…ただただ傍にいることの大切さ!!そこに静かに流れる愛や穏やかな幸福感がじんわりと伝わってきます。

執政官主催の剣闘士の大会でユーリスが優勝するエピは、もうその一連の場面が!!愛の告白そのもののように見えてしまって、攻めの健気さと一途に悶えました。指輪の件とか、普通設定だったら”重っ”ってなるかもしれないんですがw、この物語では涙腺に響いてきます。

後半は急展開があって切なさが止まらん!のですが、その切なさが物語の美しさをいっそう引き立てていました。”銀色の雫”ってこれで、都ってあれのことか~!!とお耽美好きにはたまらない設定回収もあって、読後の余韻がなかなかおさまらなかったです。

0

この美しさをどうやって伝えればいいのか・・・

今レビューを書いているのが出版されてから約8年前なんですね・・・
出版から時間が経っているにもかかわらず、色褪せることなくとても素敵な作品でした。

こちらの作品、個人的に大好きなファンタジー作品です。
表紙もイラストもとても美麗ですね・・・
どうやら電子はイラストがないサイトもあるみたいですので、どうにかして紙の本を手に入れて読んで欲しいな・・・と思います。
葛西リカコ先生の描かれる儚く美しいイラストはずっと見ていられます。

以下、重大ネタバレ含みます。
読んでいると中盤でなんとなく分かってきてしまうのですが、ネタバレは避けて読んだ方が楽しく読めるかと思います。


まず、受け様であるカレルについて。

なんといっても表紙からビジュアルが最高です。
この作品を読むと片眼鏡の虜になるに違いありません!(私の偏見)
そして、素敵な布多めの衣装に、美しい銀髪。
個人的好みがもりもりでした。
ありがとうございます。

キャラクター(性格)は侯爵の長子であるだけあって、美しい言葉に美しい所作で貴族らしい威厳を感じさせます。
でも心根はとっても優しくて、素敵な方なんです。
想いを伝えるのが下手で、でもそこがまた愛らしくって。
なんてかわいいんだろう・・・

そして、病気を患っていることもあり、余命はそう長くはありませんでした。
性交をすれば寿命を確実に縮めることになる、そう分かっていながら攻めさんの想いに自分も応えたいと、攻めさんのお部屋に訪れるんですね。
あ~・・・もうここ、、、好き。

カレルの最後の場面では自分のみっともない姿をユーリスに見せたくないと、最後の強がりを見せます。
こんな強がりが彼らしい最後だったなと思います。

私は普段、攻めさんか受けさんが亡くなる作品はあまり読みたくないのですが、この作品は最終的に再び二人が幸せになるというエンドだったので読めました。
(途中、とんでもなくつらい目を見ましたが・・・笑)

次に攻めさんのユーリスについて。

最初から最後までずっと(特に最後の場面では)カレルのことを尊敬し、大切にしていたという印象です。
今まで読んできたBLのなかでも5本の指に入る「静かに、でも激しく恋人を愛した」攻めだと感じました。
カレルの強がりを受け入れ、(というか、この人はこういう人なんだろうなと思っているんだと思います)いつも彼と大事に大事に接する様子はぐっときました。
そして、カレルが亡くなった後も、「みっともない姿をみられたくない」という彼の思いを尊重しています。
とっても素敵な攻めさんでした。

先ほどから「亡くなる」なんて物騒なことを書いていますが、終わり方はハッピーエンドですので!
安心して読んでいただければと思います。
レビューを書いているといつもまとまりのない文章になってしまいます・・・

最後に、この物語に出会えて良かった。

4

鶏とバターのピラフ

ひかりは挿絵がないです。本当はあるよね?大変残念。

◾️ユーリス(表紙右上)×カレル(表紙左)
静かで綺麗な話でした。海外の古典作品というか大人の御伽噺というか、そんな。
6割ぐらいまで波風なく淡々としていましたが、そういう作品だったんだな、という納得感。べったりするシーンはほぼなく、その点もそういう作品だったんだな、と腑に落ちて、むしろ好き。ユーリスとカレルの2人の間にしか築けない他にない関係性を読むことができた。
かわい先生の作品は「蒼穹の絆」「透過性恋愛装置」既読で、セクシーな作品が書けないからこういう方向性なのではないって分かってるからより良かった。

老けない容姿、胚を残している…などのSF設定は、2人が幸せに生きるために作られた舞台だな〜と冷静になったものの大人の御伽噺的ロマンチックさには、いいよね。

1

きれいなお話だけどあんまり萌えない

世界観のとてもきちんとしたファンタジーで、種族の違いによるふたりの寿命の問題などもあり、切なくてきれいなお話。
世界観がしっかりしているのはいいんだけど、説明的過ぎて、肝心のふたりの心情にうまく入り込めなかった。もっと言うと、お互いを大切に思う気持ちがいつ恋愛になったのかを読み取ることができなかった。
カレルというキャラクターの生き方、恋愛に対するスタンスのせいなのだろうけど、全体的に非常に淡々としていて、熱量が低い感じ…。敢えて重苦しいムードを避けたのだろうけど、亡くなる場面もなんだかさらっとしていて…、悲しいのは苦手だけど、どうせならもっとドラマチックさが欲しかったかなあ。

ラストもめでたしめでたし、な風に終わってるけど、蘇ったカレルは病気はどうなっているの? 寿命が長いなら、今度はユーリスが先に亡くなってしまって、カレルが1人遺されるってことはないの? それともうまいこと同じくらいのタイミングで、天寿を全うできるのかしら。最後までモヤモヤとしたものが残ってしまい、なんだか萌えそびれた。

3

パクリというより、リスペクト?

かわい先生を読むのは久しぶり。
BL小説を読み始めたころに何冊か読み、合わないと感じたので、それから避けてきましたが、萩尾望都が好きなら読んで、と友人から勧められて読了。
あとがきで、かわい先生も萩尾望都の「マージナル」をあげていましたが、そちらとはさほど・・・むしろ、クローンを題材にした「A-A'」? これはパクリというより、リスペクト? かわい先生も萩尾望都が好きなのね、と感じました。そして、やはり自分の好みとは合わないと再確認。

3

こんなにも美しい愛は初めて

ファンタジーは苦手なので、ずっと避け続けてきたのですが
「骨太な作品を書かれる作家さんのファンタジーだから…」
と、思い切って手に取ってみました。

読んで正解!
静かで穏やかだけれど、一途でとっても熱い想いにウルッとくるお話でした。

とはいえ、一読目の時は
予想していたよりも淡々と話が進んでいくため
涙ポロポロとはならず、何となく物足りなさを感じました。

なので、しばらく放置してから期待感を抱かずに再読したら
きましたっ!
淡々と進んでいく話の中で
ユーリスとカレルそれぞれの愛の美しさが浮き彫りにされていて
ジンときました。

ユーリスの愛は
表面的には静かで穏やかだけれど、
その実、肉欲をも凌駕する激しくて熱いものでした。
こんなにも禁欲的で純粋で美しい愛に、心ときめかずにはいられませんでした。
カレルへの想いに生きる姿には心を鷲掴みにされました。

カレルの愛は
どこまでも静かで穏やかで、そして美しい。
その美しさが寂しくも悲しくもありました。

ユーリスの愛が青色の炎(静かで穏やかな色なのに最も高温)だとすると
カレルの愛は冷たく冴えた氷(触ると冷たさより熱さを感じる)のようだと思いました。

私の例え方が拙いために誤解を招くかも知れませんが
彼らの愛に温度差はありません!
それぞれが、それぞれの精一杯、全身全霊で相手のことを愛しています。

本当に美しい愛のかたちを、この作品では見ることができます。
ファンタジーが苦手な方であっても
SFアニメとか『間の楔』とかが大丈夫ならOKな設定だと思いますので
是非読んでみて下さい!

私的読書時の注意事項としては以下2点だと思います。
・作品に何も期待せず淡々と読む
・初読み時にイマイチだと思った時は結構な日数を開けて再読する

静かでロマンティックな雰囲気の作品だと思うので
これからの寒い季節に向いているような気がします。

気に入ってもらえると嬉しいです。


6

かわい先生異色のSFもの

文章はさすがかわい先生という素晴らしさで、イラストもすごく世界観にあっていました。あとがきで、かわい先生が葛西リカコ先生のえの雰囲気はSFものの方が合うのではと担当の方にいわれたと書かれていましたが、まさにSFにぴったりの、どこか現実味がないくらい繊細で美麗なイラストでした。

ラストは少し物足りないと思いました。でもその物足りなさというのは、ストーリーの詰めが甘くてこれで終わりかい!なんだかな!というものではなく、もっと2人を見ていたい、もう終わってしまうのかというものです。2人の甘甘な後日談とかあればいいのになとも思うけれど、ご飯ももうちょっと食べたいくらいの腹八分目に食べるのが一番美味しいように、ここで余韻を残して終わるのもいいのかもしれません。

最終的にカレルはクローンなので、私は読後に一抹の寂しさが残りましたが、そのもの悲しさも作品の雰囲気とあいまってなんともいえない気持ちで、しばらく世界観から抜け出せませんでした。でも、カレルが最初は廃棄するつもりだったクローン胚をユーリスのそばにいるために使ったことで、愛を知らなかったカレルにユーリスの一途な想いがちゃんと届いたんだなとしみじみ感動し、ハッピーエンドだなと思えました。オリジナルではないとはいえ、記憶も復元される設定なので、これから2人が長く幸せな日々を過ごしていけることを願うばかりです。

7

かわい有美子先生風アラブ

受けに貰われた剣士×遺伝子に瑕疵のあるエリート。
普段ファンタジーやSFは私にとってハードルの高いジャンルなのですが、
楽しく、スラスラ読めました。

あとがきでは、先生の好みをたっぷり詰め込んだとって書かれていました。
かわい先生風アラブはこんなにも上品で刹那的になるのかと…
さすが情緒の巨匠!(と私は思っています)

受けのカレルと攻めのユーリスの間には、
生まれ育った文化レベルの違いで寿命が大幅に異なり、ユーリスにしてみたらカレルは自分の何倍も生きてるおじいちゃん…ということになるのですが、カレルは見た目に全く歳をとっておらず、美しいままです。
探した時の長さからなのか、育った家柄の問題なのか、カレルと彼を取り巻く空気は只々静かな印象です。
ユーリスは段々とカレルとの静かで密やかな時間を大切に思うようになります。
一方カレルは、恋愛と自分がかけ離れているせいでユーリスの想いを理解することができません。
常に「静」であるカレルですが、
ある事件をきっかけにカレルの中でのユーリスの立ち位置が変化して情熱的になる場面があります。
ユーリスのひたむきな恋心、カレルの気持ちの詰め方に無理がなく、先生さすがです!と思いながら読み進めました。

BL的萌えとは違うところにあるかもしれませんが、
とにかく美しく、儚いお話です。
しっとりしたい気分の夜にオススメの本です。

余談ですが、長髪受けが苦手でしたが電子書籍で挿絵がなかったのであまり意識せずに読むことができました;;
ユーリスの外見も自分の想像と表紙のユーリスになんとなくギャップがあったので(葛西リカコ先生大好きなのですが)、今回は挿絵なしで読んで正解でした(^_^;)

2

作り込まれた世界観が極上のSF作品

電子書籍で読了。挿絵なし(葛西画伯の表紙絵はとても美しいのでちょっと残念)

評価はそれほど高くありませんが、お話はとても面白いです。
SFとして世界観もかなり作り込まれていますし、お話の底辺を流れている「悲しみ」が胸にグッと来ます。私にとっては哀切度の方が強くって「萌」評価っていう範疇では測れなかったんだよね。

私はこのお話を「異なる文化を持つ人が慈しみ合う」ものとして読みました。
カレル氏の民族の寿命はとても長い。ゆっくり老いて行って「400歳を超えるとやっと老人の見た目なる」という部分を読んだ時に「あ、どっちかっていうと樹木に近い」と思ってしまいました(ロマンチックじゃない感想で申し訳ない)。いや、これは人生観や世界観自体が私たちの世界とは全く違うだろうな、と。

それに加えてカレル氏は遺伝子の病を抱えていて、若い頃から老成していた感のある人。
カレル氏に感情移入して読むと、ユーリスの若さ(おまけに剣闘士だ)から来る真っ直ぐな想いがさぞや眩しかっただろう、どれだけ戸惑っただろうと思うと、なんか「萌える」を通り越して悲しくなっちゃいました。

ラストもね……
私、クローンはやっぱり本人ではないと思うのですよ。
だからカレル氏の選択は、あくまでもユーリスの幸せを願った上での選択だとしか思えない。
変な喩えですけれども、屋久杉が人間を愛したらこんな風な結論になるだろうなと思いました。

愛は深くて大きくて、そして、それ故悲しいものだと思い知らされました。
繰り返しになりますが、萌え評価は低いけれど、いい話です。

3

儚い、綺麗なお話

ずっと気になっていたかわい先生をようやく読めました。
静かな文章で紡がれる日常が素敵でした。

あと少ししか生きられないカレルが、少年剣士ユーリスを買い取ります。ユーリスが日々の日常の中で、だんだんとカレルに惹かれていくのですが、その描写が素敵なんです!
ユーリスが好きになってその人のために頑張るところや、恋に対しての向き合い方や、形で残るものをプレゼントとか、純粋さがとにかく可愛い。
カレルも、最初は毎日を静かに過ごして、日常に対しての執着がなかったんですが、ユーリスに想われ、想い、少しずつ毎日を大事に過ごします。

静かで美しいお話でした。ただ、萌萌にしたのは、甘くなってからの日々をもう少し読みたかったということ。それから、クローンに意識や大事な日々の思い出が映されているとはいえ、悲しすぎました。儚いからこそのお話ですが、もっともっと、カレル自身に幸せになってほしかったです。

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