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togabitotachi no koi
ヤクザの双璧が護った大切なものは…。
母子家庭に育った景一(受)は事故で母を失い、その葬儀でヤクザである父親の存在を知り引き取られることに。
迎えにきた波瀬(攻)と大滝に面倒を見てもらいながら過ごすうちに無骨な中に優しさを漂わせる波瀬に惹かれる景一。
憎からず想っているような素振りの波瀬は保護者のように温く接しても熱い気持ちでは近づいてくれません。
景一は孤独で身につけた賢さから現状を壊すことを恐れ、つかず離れずを保っていましたが二十歳を迎えた夜に想いは叶います。
幸せもつかの間、組長である父親は殺され波瀬は姿を消し、兄のような大滝にも退けられた景一は独り、放り出されます。
景一はヤクザという生き物を頭では理解して成長したように見えても、やっぱり血以外はカタギの子。
事実は何も知らされず、度重なる【不幸】に追いつめられれば自分モノサシでしか計ることしかできず狂気にも似た想いを胸に突っ走るしかない。
異質なようで実は似ている景一、波瀬、大滝。
彼らにとって目的と覚悟は同義です。
波瀬と大滝は景一に自分たちの知らなかった、できなかった明るい生き方を求めていました。
だから景一を護る為に躊躇なく行動を起こし、事実を知りたがる景一に恨まれても口を噤むことができる。
それのみが景一を解放すると信じて。
景一に対する自分たちの『愛情』を引き換えにしても、と。
しかし景一が彼らが思うよりずっと波瀬を男として愛し3人での日々を大切にしていたことで話は大きく展開します。
駅のホームで対峙した瞬間ですら波瀬は景一の決意を勘違いしていたし、景一も波瀬の選んだ本当を知らなかった。
でも、そのブレーキをかけずに追い求めた末の行動が双璧を動かしたわけですから捨て身になって初めて見えるものがあるんです。
カタギとヤクザの話で『暗闇に近づけたくない』という想いから始まるすれ違いはテンプレですが、ありきたりに終わらせなかったのは大滝の存在感です!なんて男前!
大滝の存在がこの話の【分水嶺】の役割を担っている気がします。
大滝が主人公2人の想い、組長の本質を的確に掴んでいた為に彼らは更なる罪に堕ちずにすんだのですから。
こあきさんの描かれた最後のイラストの頼もしいこと!
大滝主役のスピンオフが読みたい!
話は淡々と進みますが景一目線の為、事実が巧くボカされ、景一と一緒にモヤモヤキュンキュンできます!
皆さんがおっしゃってるように大滝の格好良さに唸りました(笑)
最初、胡散臭い奴と思って申し訳ありませんでした。
途中、景一の追い詰められ感は読んでて可哀想で(´Д⊂ヽ
あそこで大滝来てくれて良かった、ホントに良かった。
そしてひとり出ていこうとした景一に真実を話してくれてよかった(´Д⊂ヽ
あのまま行かせてたら、大滝の言うように景一死んでたよね、きっと。
大滝いなかったら、景一と波瀬の未来はなかったよなぁって、本当に思う。
ふたりは大滝に感謝しなくちゃ。
あとがきのその後かもしれないを読んでて、なんかニヤニヤしちゃいました。
あ、花梨ママも大好き(*´ω`*)
火崎勇さんの本はそんなに読んでないのですが、「傷だらけの恋情」がすごく好きでこの本を読んでて、波瀬と大滝の関係とか景一を弟のように可愛がる様が笹子と御山を思い出させてくれて個人的に更に楽しませていただきました。
ヤクザとヤクザの息子との罪深い愛の行くへを描いた作品で、受け様は母子家庭で
父親の存在自体何も知らされないままに、生きてきたが、母親が事故で急死してしまい、
高校に入ったばかりの受け様は天涯孤独になってしまう。
そして母親の葬儀の日に受け様の実父からの迎えだと若い男二人がやってくる。
一人はロン毛茶髪の軽そうな男、もう一人は生真面目で堅物そうな攻め様。
そこで受け様は自分がヤクザの組長の息子で、母親が亡くなって一人になった受け様を
引取りたいと父親が思っている事を知る。
二人に連れられ、父親と面会し、寂しいから傍にいて欲しいと言われ、母を失くし
寂しさに包まれていた受け様は父親の言葉通り家族として暮らす事になる。
その後3年過ぎ受け様を迎えにきた二人は共に組の若頭となっていながらも、
一人ヤクザとは関係の無い離れで暮らし、離れに来るのはその二人だけで、
受け様が思い描いていた父親との家族的なことは無いに等しく、その分攻め様とあと一人の
兄貴的な大滝だけが離れに来て受け様の面倒を見てくれるようになっていて、
いつしか受け様は二人に懐き、ある日酔って風呂で溺れそうになった受け様を助け出し
てくれた攻め様に恋心を抱くようになるが、攻め様は何も気が付かない素振りで、
受け様は片思いする事になるのです。
そもそも、攻め様は受け様の父親に恩があり、常に忠誠を誓っているから、受け様に
手を出す事なんて出来ないのですが、受け様に押し切られる形で抱いてしまう。
しかし、そんな最中に受け様の実父である組長は受け様を組の利益の為に、
利権に絡んだ相手に売り渡そうともくろんでいる。
それを知った攻め様は、恩義のある組長に牙を剥くのですが、同時に受け様から何も言わず
離れてしまう事になり、何も知らない受け様は父を亡くし、攻め様にも会えず、
更に父親が攻め様に殺されたと告げてくる人物が現れ、精神的に追い詰められる。
愛する者に裏切られたと思い込む受け様と愛する故に離れようとする攻め様、
危機的擦れ違いストーリーですが、やはり離れるなんて出来ないラスト。
罪は犯しているが、その罪が許せる罪だと感じてしまうお話でしたね。
主人公・景一(『俺』)は母の死後、ヤクザの組長である父に引き取られる。
構成員・波瀬の世話になるうちに恋心を抱くが、波瀬は景一を突き放し、
ある事件を機に姿を消してしまい…というシリアスな話。
事件が起こる後半までは、物語の輪郭がつかみづらく、どこか靄がかかったような印象。
マメな改行に、ほぼ会話文だけで埋められたページも多く、
地の文は「今日は~だった」「だから~した」…というような、ト書きのようなシンプルな語り。状況説明も心情描写も少なく、主人公がどんな状態にあって周囲からどう思われているのか分かりにくく、語り手の視野の狭さを感じる。
しかし事件が起きてからは!!!
この視野の狭さこそが景一のよるべのなさ、無力さを表していたのかな?と思え、とたんにシンプルな語りがすごく効果的に思えてくる後半。
事件の真相について何も知らされず、訪ねてくる警察や組の構成員に翻弄される景一。
頼れるのは波瀬と、同じく構成員で兄貴分の大滝だけなのだが、波瀬は姿を消し、
大滝も詳しいことは教えてくれない。
実は、景一の知らないところで様々な思惑が動いていて、
波瀬は景一のためある暴挙に出ていたのだが、景一は何も知らない。
波瀬から見捨てられたと悟った景一は、それまでのか弱いイメージが嘘のように肝が座り、バイオレンスな行動に。
その行動は波瀬に傷を負わせることになるが、
それがきっかけで波瀬の景一への想いと、事件の真相を知らされる。
展開は暗いんだけど、一気にタネ明かしされたことで読み手の視界も一気に開ける。
暗さと明るさを同時に体感するような高揚感あるラストです。
文章はやっぱりシンプルすぎて個人的に苦手なんだけど、
ラストにそれまでの靄が一気に晴れていく面白さはありました!
事件の真相、波瀬の想い、景一を裏切っていた人物の存在など、
景一にとってはショックな事実もあったけど、
それを受け止め、波瀬と一緒に生きていくと決めた景一は芯が強い。
ヤクザだけど堅物で世話焼きな波瀬に見守られ、立派な社会人になってほしいw
ラブラブになった二人を見届け、部屋から静かに去る大滝のラストカットが格好良い!!!
挿絵だけ見ると、波瀬と景一よりよっぽど主役っぽいですw
ぶっちゃけ、普段は大人しいのにキレると怖い主人公二人よりも(それはそれで激しい愛や爆発の魅力がありますが)、普段いいかげんに見えても冷静に立ち回り、二人のフォローに回ってる大滝の方が素敵だと思いながら読んでましたw 大滝のスピンオフ出ないかな…。
唯一の身内である母親を亡くし、突然現れた父親と名乗るその男はヤクザで。
顔も身の上も何も知らなかった相手だが、家族が出来たことが嬉しくて父親の元で籍は入れずに暮らすことになった主人公・景一。
そんな彼を引き取ったときからずっと見守ってきた、兄のような存在である若頭の波瀬と彼への恋心がそだった景一との、景一を守るが故のその事実を呑みこんで罪を共に背負って生きて行くことを決めるといったお話。
いつもの淡々とした温度の低い熱を表現する文章。
ラストの急展開を見せるための、主人公達の恋愛を育てていくためのエピソードがちりばめられ、そして怒涛のタネ明かしといったいつもの火崎流。
しかし、この話の中で一番きになり、そして一番男前だったのが、波瀬と共に若頭を務め、景一を弟のように可愛がってくれた兄のような存在大滝。
彼、カッコイイよ!!
景一の恋心に気がついて、邪魔するでもなく奨励するでもなく、でもさりげなく後押しをして、ほんとうの兄のようで、波瀬が寡黙で朴訥とした雰囲気をかもす分、しゃべる大滝のほうにより愛情と親しみを感じてしまった。
そしてラストの彼等を見守る姿といい、波瀬よりイイ男じゃないか(笑)
ま、主人公は波瀬がいいんだから仕方ないw
この父親、とんだ狸オヤジだったわけです。
だけど、大滝や波瀬にとっては恩人で慕う対象なわけですよ。
なんで?とも思うのですがそこがヤクザの世界と言ってしまうと身も蓋もないが、だからこそ親分なんだろうな~
しかし、可愛がってきた景一と親父を天秤にかけるとそこに葛藤が生まれるわけでして。
それが見せ場の波瀾となるのです。
当の景一は何も知らず、彼等のいいなりになるしかなくて。
思いっきり突っ込んでしまえば、仮にも組長が殺されたわけですから、こんな簡単な隠ぺい工作が通用するのか、実に不思議で仕方ない。
しかし、本編中にヤクザの仕事描写は一切出てきませんでしたから、そこがここを明かさない点にも繋がる、作者さんの上手いボカし方なんではないかと?
でも、ちょっと思いますよね?欺けられるのかって。
案の定、チンピラが出てきておかしな事をしますが、彼は頭わるいね~(笑)笑うのは失礼かもしれないけど。
ヤクザ風味をまとわせながら、シリアスだけどそんなに重さを感じさせないものとなっておりました。
大滝さまさま、彼の存在でこの評価をキープです♪
母子家庭で育ち、母が事故で急死してしまって天涯孤独となった景一。
その母の葬式に、男が2人、父親の使いだと言ってやってきた…
…と始まります。
母親は父親の事を一切明かさなかった、それもそのはず、父親はヤクザの組長でした。
やってきた2人は組の若頭の波瀬と大滝。
「父親」が自分を気にかけてくれた事が嬉しくて、言われるままに組の屋敷の離れに住むことになった景一。
波瀬と大滝がそのまま世話係となるが、景一は波瀬が好きになって…
前半は、好きを隠さず懐く景一と絶対手を出さない波瀬の描写が主。
でもまあBLですから、結局は独占欲に駆られた波瀬が景一を抱き…となるわけです。
が、そこで父組長が屋敷内で殺される!という事件が起こり、物語は急展開。
波瀬が去り、大滝が次の組長になり、景一はカタギだからと放り出され。
しばらくすると組の下っ端が景一に色々吹き込んでくる。
この辺りは、景一のグラつきぶりが簡単すぎて物語に深みが感じられなかった。
でもこれが「恋は盲目」という事なんだろうし、周囲から見放された状態だったわけですからね。
母は何も言ってくれず。
父はやっぱりひどい人間。
それでも、波瀬は恋人になり、大滝はお兄さんのよう。これから景一はどうなるかしら?波瀬と大滝の希望は真面目なカタギだけど…フロント企業就職で経済ヤクザになっちゃうかもね?