優しい年の差ロマンス!

てのひらにひとつ

tenohira ni hitotsu

てのひらにひとつ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神13
  • 萌×222
  • 萌15
  • 中立3
  • しゅみじゃない14

238

レビュー数
15
得点
201
評価数
67
平均
3.3 / 5
神率
19.4%
著者
夕映月子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403523106

あらすじ

経営学部生の和音(かずと)は、塾講師のバイトをしている。
そこへ社会人の日下部(くさかべ)が、医学部受験のために入塾してきた。
本来の志望進路もゲイである己の恋心も、すべてを諦めてきた和音。
誕生日の夜、胸にしまい込んだその秘密を、和音は日下部に吐露する。
現実的ではない夢のためにひとり戦う日下部は、ただ黙って話を聞いてくれた。
そんな年上の男に、和音の心とからだはやがて惹かれてゆき……?

(出版社より)

表題作てのひらにひとつ

日下部拓道,32歳,医大受験の為塾に通う社会人
宮下和音,20歳,塾講師をしている大学生

その他の収録作品

  • 一本道を二人
  • あとがき

レビュー投稿数15

年下受け君と年上攻め様の魅力がギュッ!と凝縮されたお話

夕映月子先生の現代もの!

このところ立て続けにファンタジーものを読んでいたので、現代もの、沁みました。
一人称(「僕」)で地の文が進むお話って久しぶり…というか、実は初めてだったかも。

凡庸に見えるけれど芯のしっかりした大人の男性、日下部 × 友人に片想い中の大学生、和音というカプ。
32歳×19歳。年上攻めに年齢差、いい…(ღ*ˇᴗˇ*)。o

ある日、和音のバイト先の塾に、社会人の日下部(実は和音の歌謡大学の教務課勤務)が「医学部受験希望生」として入塾し、和音が英語の指導をすることになりー
と続くお話です。

ゲイである自分に引け目を感じ、大好きな音楽も職にするほどの才能はなく諦め(あえて諦めて弟に家のお金が使われるようにするんですよね…健気( ; ; ))、投げやりとは言えないけれど、諦念の体で生きている受け君。

そんな和音ですが、とても好感が持てたのは、自分の夢を諦めざるを得なかったからといって、決して誰かを恨んだり根に持ったりはしていない、ということ。
音楽の才能のある弟のことを心から応援していて、弟が防音室で練習している時にこっそり陰からニコニコ聴いていたり。
弟君も、そんなお兄ちゃんの行動を分かっていて和音の好きな曲を弾いてくれたり。

変にひねくれたり、拗れたりしてない兄弟愛に心が浄化されるーー

「です・ます」調の攻め様もね、どこかふわっとしてるように見えて、「医者になりたい」と社会人から医学部に編入を考えるという覚悟を決めた、しっかり核のある人です。
日下部は和音と違ってノンケで彼女もいた人なので、和音に恋愛的な意味で惹かれてくのはどうなのかな??って思っていたんですが、そこはもう、さすがの夕映先生。

後半、攻めの日下部視点の話の中で、どんなきっかけで意識するようになったのか、どんなふうに心情が変化していったのか、がごくごく自然に語られていました。

試験に落ちて落ち込む和音を、スカイプ越しについ撫でようとしてしまう日下部の仕草には、夜中に萌えが爆発しました…

そして他の方もレビューに書かれていますが、日頃丁寧な口調の日下部の一人称が、実は「俺」なのがすとっっってもいい!!!!!ギャップ萌え!

派手さはないかもしれないけれど、丁寧に綴られたお話。大好きです。

0

瑞々しくてきゅんきゅんで(///∇///)

純情と大好きとできゅんきゅんでございましたよ(*´∀`)


受け様は、ゲイで大学生の和音。
家計を支えるシングルマザーの母のためにも経済的負担を極力かけないようにし、好きだったピアノも、自分より才能があり、ピアニストを目指す弟のためにもやめて。
折り合いをつけていろんなものを諦め、身の丈以上の願いは持たない、という生き方をしてきた。
謙虚というか慎ましい頑張りやさん。

攻め様は、大学の職員として安定した生活を送っていたのに、それを捨てて医者を目指す日下部。
医学部受験に向けての勉強するための塾で、講師のバイトをしている和音と出会う。

2人の距離の縮まり方が、とてもよかったです。
過分な願いは抱かない、と思ってきた和音が、自ら日下部の胸に飛び込んでいって、それを日下部が受け止めてくれた時は、よかったねぇ、と胸を撫で下ろしました(*´∀`)


ただ、2人が恋人になるまでの和音視点までなら、じれじれからのきゅんを楽しむだけだったのですが、恋人となった後の日下部視点が、めっちゃ好きでした(≧▽≦)

穏やかで大人だと思っていた日下部の中にある熱情。
そういや医者になるって行動する情熱のある人だったんだよな。
和音に対する"好き"の想いが深くて誠実でいいわ〜
普段一人称が『私』なのに、モノローグは『俺』なのもいいし、思わず出る『俺』はなおいい(≧▽≦)
そして『和音くん』呼びなのに、ラストのえちシーンでの『和音』呼びに滾りました。
人畜無害からの男!ぶりのギャップ萌えってやつですね。

また、日下部から見える和音のいじらしさ、初々しさ、かわいさよ。

恋してるっていいなぁ、と思える素敵なお話です(´∇`)

1

真面目と真面目の静かな恋愛

ドラマチック過剰を嫌う私をして、それにしてもドラマがなさすぎるんじゃ?と感じるほどの地味な物語。
勿論、それが悪いわけじゃない。
静かな恋愛の中での誠実な言葉や行動は、じんわりとした暖かさをもたらしてくれる。
本作は二部構成的な作品で、まず主人公の大学生・和音(かずと)視点での恋のはじまりを描く表題作、続いて恋人となった年上の日下部視点からのその後を描く中編が収録されています。

「てのひらにひとつ」
和音は真面目でいい子。
でも心の中は色々なことで縮こまってる子。経済的な事、弟の方に音楽の才能がある事、シングルマザーの母が弟にかかりきりになる事、同性愛者という事…
塾講師のバイトをしているが、そこに医学部受験を目指して入塾してきたのが32才社会人の日下部。
親友への失恋、はじめての泥酔。それがきっかけで日下部が気になるように。
…という和音側の視点としてはいいんだけど、元々ノンケであろう大人の日下部が和音を恋愛的に好きになって、というのがちょっとわからなかった…かなぁ。

で、事後。
和音にとっては初体験。
なのに日下部が1人でカップ麺食べるんですよね。本文内で和音本人はその気楽さはありがたいと言ってたけど…(私だったらコレやだわ。)


「一本道を二人」
こちらは日下部視点で、時間軸は表題作の一年後。2人は遠距離恋愛になっている。
2人は毎日スカイプで対話して、日下部が住んでいる学生寮の友人達も羨むようなラブラブぶり。
だけど、にじむ空気感はなんとも不穏なイメージを伝えてくる。
会えない距離、会えない時間。
そんな現実がじわじわと危機を炙り出していく…
読んでいてなんとも不穏を感じて、そこが微かなサスペンス風味も感じさせて面白かった。
とは言っても現実の危機ではありません。和音の不安と日下部の鈍感は和解し、2人はより強く結びつくラストになります。
私としては逆に面白みがなくなったけど、漂う微かな不安や不穏を描く手法はとても良いと感じた。
夕映先生はお決まりのハッピーエンドじゃない路線が合うのかも、と感じました。

0

とても好きです

やっぱり好きです。
お気に入りの作家様がまたひとり増えました。
嬉しいー

優しい文章と優しいキャラクター。
なんてことないラブストーリーかもしれませんが、お互いを愛しく思う気持ちが溢れていて、心がほこほこします。

家庭の事情で色んなことを諦めながら生きてきた和音。
そこに現れた大人で努力家の拓道。
お互いが影響し合い、成長していく姿に感動しました。

真面目で地味な拓道さんの「俺」呼びにキュンとします♡
そして、Hがとってもエロい!
じっくりゆっくりねっとり。
けっこうキザだし(笑)

胸が熱くなるラストも良かった。
日常に溶け込むふたりが素敵で、ちょっと涙が出そうになりました。
もっと他の作品も読んでみます!

2

2人がいつまでも幸せでいて欲しいと願ってしまいます

塾バイトをする大学生の和音。その塾に医学部受験の為にやってきた日下部。
一回りも年の離れている日下部は、物腰が柔らかく優しい。
和音は、大学で実らせるつもりもない片思いをし、幼少期からやっていたピアノや、将来のことなど、あきらめる事で平凡に生きてきた。
そんな2人が、惹かれ合うお話です。

表題作は、和音目線で語られています。
大学生の和音ですが、純情で可愛い。片思いだと思っていた相手だったが、恋ではなく憧れだったと気づいた時や、日下部を意識し初めて、彼を見ると触れたいと感じてしまう和音がたまらない。
日下部がどうゆう気持ちの変化で和音を好きになったのが気になっていたら、『一本道を二人』で日下部目線でわかりました。
遠距離恋愛になってしまったけれど、2人は好きで好きで仕方がない感じが、すごく伝わります。
甘々過ぎ!ってくらい。
これと言って大きな事件も嫌な人も出てきません。
相手の事を考えて、2人が幸せを感じる、ほっこりしたお話。
私は好きです。

1

好青年と好壮年の、ふつうの恋愛

夕映月子さんの『天国に手が届く』が個人的にヒットで、『てのひらにひとつ』も続いて作家買いしました。

受けの和音は「本当に好きなものは自分の手に入らない」と思っている、ちょっと諦めグセのある大学生。でも、ありがちな投げやりタイプじゃなくて、ただ「自分が誰かから求められる存在だ」っていう想像が自然に浮かんでこないような、自己評価が低めのタイプ。実際は、ピアニストの卵である弟のためにも自分は安定した職業に就こうと、学業と塾講師のバイトに精を出す努力家の青年です。

攻めの日下部は、安定した社会人という立場から医学部受験を決意した年上の男で、和音の塾の生徒になる。じんわりとした優しさで和音を癒し、また日下部自身も、医学部受験という目標をバカにしなかった和音の優しさに励まされていく。

いうなれば、地味な日常系のラブストーリー。でも、日常の小さいイベントが当人たちにとってはオオゴトなんだよね!ってしっかり分かって、萌えポイントは高めでした!和音目線の前半でじゅうぶん良作だと思ったけど、個人的には日下部目線の後半に突入するやいなや、ぐぐっと萌えアクセルが入った。

和音目線では、穏やかで優しい印象が強かった日下部。実際は、年相応に性欲も経験値もある大人の男でした。あんまりにもお付き合いに無垢な和音に、戸惑ったり、萌えまくったりしている「おじさんの喜び」がびんびん伝わってきました(笑)

総じてすごく良かったです〜。夕映さん、やっぱりいいな〜と思いました。

4

心のどこかで普通がうらやましかった彼

夕映さんの作品を読むのは二冊目です。
本編は受けの一人称、書き下ろし作は攻めの一人称です。


受けの宮下は経済学部の学生で、大学受験用の進学塾でアルバイトしています。
友人への片想い歴、一年半のゲイ。

攻めは、医学部受験のために宮下に個別指導を受けることとなった、大学職員として働く日下部。


ゲイであることは仕方ないと自分でも思う宮下。
しかし、片想いにドキドキしたり切なくなったり。
そういった感情は、普通の異性間の恋愛と同じでいたい、変わらないのだと思いたい。
そう考える宮下は、心の奥底ではゲイというものにコンプレックスがあるのだなと感じられます。
そして、異性間の行為にどうしようもなく生々しさや嫌悪感を抱いてしまう自分を、それと同じように嫌悪する宮下。
このせつない感じがかなり序盤に語られるおかけで、一人称という、そのキャラに共感がもてないと苦痛になる手法でもスッと入っていけたのだと思います。

前作でも感じたことですが、夕映さんはキャラの感情表現を書かれるのが、生意気な言い方ですがお上手だな思います。
つけ足しのようなわざとらしさがない。
片想いだとか失恋だとか、よく存在するシュチュエーションだったりしても、読み手までも同調させてしまう。

日常系の作品は、わざとらしく感じたらアウトだと思っています。
32歳の日下部が定職を捨てても医学部に挑戦するというのは、珍しい設定かなと思います。
が、そういったものが奇をてらったものと感じないのは、キャラにしっかり肉づけがされていて、かつ、心情に自然に添えるような書かれ方がされているから。
そして、日下部が素で言葉が出ちゃう時は『私』から『俺』になっちゃうのが、小さいけれどキュンポイントです。

帯には月村奎さんによる『ピュアで真摯な二人の恋に、涙、涙でした』とあって、ヘソが横についているわたしは「ホントかいな」と正直思っていました。
言い訳ですが、帯にはよく騙されているので(苦笑
でも読んでみましたら本泣きはしないまでも、「ホントだったよ!」と現金にも思ってしまった次第です。
さらに正直言えば、表紙はそそられません(すみません)。
でも、中の挿絵、特にえっちシーンは萌えます(笑

5

じわじわ進む感じがたまらない

大学生の和音(かずと)は、公認会計士を目指しながら、ダブルスクールの学費を稼ぐために塾講師のバイトをしている。
和音はゲイの自覚はあるものの、これまで男性と付き合うことはおろか、誰かに気持ちを打ち明けることは一生ないだろうと諦めている消極的な男子。
そんな和音が、新しく入ってきた受験生を受け持つことになったのですが、その相手は自分の通う大学の教務の仕事をしている32歳の日下部さんなのでした。
固い職業を持っていながらも、30過ぎて医大を受験しようとしている日下部のサポートを続けていく内に、親しくなり、だんだんと彼の人柄に惹かれていく和音。
最初にゲイであることを、うっかり日下部に知られてしまったために、自分の気持ちを悟られてはいけないと必死に隠そうとする和音が、いじらしいやらもどかしいやら。

最初は和音視点でのお話だったので、日下部の気持ちがはっかりわからなかったのですが、後半日下部視点になった途端、俄然萌えました。
大人のはずの日下部が、和音の初々しさやひたむきさにのめり込んでる様子がわかり、くっはーっ(*°∀°)=3となってしまう。
二人共どちらかというと地味だし真面目だし、年の差はあれど、あ、あと同性だけども、どうということのない普通の恋愛小説なのです。
なのに、このあとどうなっていくの?と読むのをやめられない。
二人がとても好き合っているということが染み入るように伝わってきて、あー良いお話読んだよー!と、幸せな気持ちに包まれました。
どこかで数年後の二人のお話を少しでもいいので、読みたいものです。

9

ほっとするようなお話

本当に本当に地味で真面目な二人のお話です。
変わっていると言えば、攻めの日下部が32歳にして医学部受験生(後に医学部学生)という事だけ。

受けの和音は、弟に対する無自覚なコンプレックス(だと私は思う)や、ゲイである事の後ろめたさから
いろいろ諦め超超引っ込み思案です。
二人は塾の講師(受け)と生徒(攻め)という関係ですが、最初のうちは本当にお互い
”そういう”意識はほぼ全くありません。
なぜ”ほぼ”なのかと言うと、潜在的にはあったようなので……w

そんな穏やかな二人の関係が変わったのが、和音の失恋。
親友に恋してたのですが、彼女の妊娠により結婚するや大学を辞めるやの話を聞き、取り乱してしまいます。
ここまでで和音の「諦め」がいろいろ書かれるのですが、やっぱショックを受けて取り乱すって事は
どんなに小さくてもちっとは期待してたんだと思うんですよね。
だから良かった。
失恋にも「フーン」で済ませられる人だったら人間味がちょっと薄いと感じてしまうので……

このショックを宥めてくれたのが日下部さん。
お酒に酔ってゲイである事のカミングアウトをしても変わらず優しい。
それどころか徐々に関係も親しくなっていくようなジワジワ感w
日下部さん自体受験生だし、恋愛一直線ってわけにもいかないんですよねぇ。
お互いが惹かれ合っているけど、和音は臆病で身動きがとれず、
日下部は和音の気持ちに気づいているけど機会を伺っているという状態。
最初に日下部が行動を起こしたあたり「ヨッシャァ!」なんて思ってしまいました。
でもやっぱ臆病和音は最初にスタコラ逃げてしまうのですが……

「一本道を二人」では日下部視点のその後が読めます。
遠距離恋愛になってしまった二人がすれ違うお話。
恋愛慣れしていない和音はやっぱり言葉が少し少ないです。
日下部は大人なんだけど、大人だからと言って恋人の何でも許せるわけではないのです。
特に遠距離なんだからきちんと言葉に出すべきものは出さないとね。
それより日下部の身軽さに驚いたのは私だけかしらー。

5

なんとなく違う・・・

淡々とした日常も、この上なく地味なキャラクター・ストーリーも、好きな方なんですが、この作品はどうも好みに合いませんでした。

悪くはないんです。キライでもない。読んでて疲れたとか嫌になったとかもないんですよ。だからって、いいところも別になかったなあ、という感じです。キャラクターもストーリーも、これといった魅力はなかったです。実際、設定もストーリーも、何ら特筆すべきものはない、ホントに『よくある』ものでしかなかったし、『この作家さんならでは』というものは、一切感じませんでした。

設定もキャラクターもストーリー展開や雰囲気も、何を取っても私の好みにはすごく近いんです。それは読み終わった今考えても確かなんですよ。だからかなり期待して(好き作家さんに加わるかと)読んだんですが、自分でも『なんでだろう?』と思うくらい入り込めませんでした。

別に、作家さんに問題があるとは思っていません。お話作りも文章も、2作目とは思えないくらい完成されています。でも、残念ながら、私とは『何か』が合わなかったようです。それが何なのかは、自分でもわからないので説明のしようがないんですが、目には見えない微妙な分かれ道があるんでしょうね。

帯に、月村奎さんの推薦文がありましたが、私は月村さんとはあまり相性がよくないんです。ですから、もしかしたら月村さんの世界がお好きな方にはピッタリなのかもしれません。

2

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