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キスした事への贖罪か、単なる友情か、それとも恋愛なのか。
oretachi wa kawaii uso wo tsuku
三十路目前の、製薬会社の営業×医師の話です。中学時代からの再会ものになります。
丸ごと1冊表題作です。熊田(攻め)の視点で進んでいきます。
要は、中学校の頃も好きだったし、再会してからも好きな気持ちは持ったままで、お互い両思いだったのに、相手の気持ちが分からないので嘘をついて探っていたということでした。
照れ隠しもあったり、虚栄もあったり。でも、吐く必要のないつまらない嘘はなかった気がします。恋する男は臆病なんだなって微笑ましかったです。
麻宮(受け)をストーカーする桂川も、最初病院で襲いかけたときはコラァッて思いましたが、最後には良い人になっていて、ほっとしたやら拍子抜けしたやら…という気持ちになりました。でも、ストーカーにさらわれたのを救出して思いを通じたというベタな設定じゃないのは良かったです。
シリアスではありません。さくっと気軽に読めます。題名どおり可愛い嘘をつく男達の話です。
今回はジェネリックが主力の製薬会社の営業マンと
攻様の初恋の相手で総合病院の内科医の再会ラブ。
仕事相手として再会した初恋相手との恋を成就まで。
攻様には忘れられない初恋の人がいます。
その出会いは
攻様が中学に入ってすぐに
行かされる事になった進学塾でした。
攻様は
母親の期待を一身に背負っていた為
わざわざ電車に乗ってその塾に
行く事になったのですが
そこで1人の少年に心惹かれるようになります。
白い肌に長いまつげと切れ長の瞳と
少年期特有の少し高めの声を持ったこの少年こそ
今回の受様になります♪
受様となんとか親しくなりたいと思った攻様ですが
受様はいつも1人でいた上に
授業ギリギリに来てすぐ帰るため
チャンスがありません。
それでも受様の落とし物をきっかけに
親しくなる事に成功します。
受様は看護師の母との2人暮らしのため
家事全般を手伝いながら
医師を目指して勉強していると言い
攻様は益々受様に惹きつけられていきます♪
そしてあるきっかけで
ついつい受様にキスをしてしまうのです(笑)
しかし
受様にキスした事で彼への恋心を自覚した為
更に墓穴を掘ってしまうのです。
女の子かと思ってた
ソレは恥ずかしさと悲しみから出た言葉でしたが
いたたまれなかった攻様は塾を辞め
物理的にも受様から逃げて出してしまいます。
しかし、
誓約会社に就職し
三十路目前となった今でも
攻様は受様を忘れられずにいたのです(苦笑)
そんな攻様が受様との再会を果たすのは
攻様が新規開拓先として向かった総合病院でした。
攻様は紹介状を携えての訪問でしたが
あいにく紹介された薬局が求職中で
代りにと対応したのが
医師になっていた受様だったのです!!
受様は昔以上に端正な美人(笑)になっていて
攻様の恋心は一瞬で再燃するのです♪
攻様は昔の事を謝って
新たに関係を築こうとしますが
受様には昔の事等なかったように
クールな対応しかされません。
果たして攻様の恋は叶うのか?!
その後
受様をストーキングしていた
同僚医師を諦めさせる為との名目で
攻様は受様の恋人のフリをする事になります。
受様に他意は無いとは知りつつも
恋人なら当然と腕を組まれたり
プライベートに接する機会が増えた攻様は
自分の気持ちを抑える事に精一杯♪
読者的には
受様の言動に攻様への思いがチラつくのですが
過去を引きずる攻様は
一歩を踏み出す事ができないのですよ。
実にジレッたい!!
2人の恋に受様に片恋している同僚医師が
いい感じに絡んでいて
受様の気持ちが暴露されるまで
ドキドキ連続で面白かったです♪
キスしてから恋を自覚した攻様は
その場を取り繕う事で更に墓穴を掘って
叶うかも知れなかった恋を手放した経験は
攻様の中で大きなトラウマになっています。
受様も実は攻様が好きだったので
攻様よりももっと傷ついたと思うのですが
それでも忘れられなかったって事ですよね。
ソレを思うと
攻様に対する多少のツンツンは仕方なし!
まぁ、攻様は
受様になら七にされても甘んじて
受ける覚悟はあるのでしょうけどね(笑)
後書きにある妄想後日談(笑)
同僚医師の光源氏計画もとっても気になるぅ!!
今回は火崎さんの既刊から
本作とは違ったシチュですが初恋物語で
『初恋の未来』をご紹介作としますね。
進学塾で同級生同士の幼かった初恋を何時までも忘れられなかった二人が
大人になって再会してから始まる初恋のやり直しラブみたいな感じでした。
美人で無駄口をたたかないようなクールな医師になってる受け様と
製薬会社営業で優秀なMRとして働いている攻め様との再会は、受け様の勤務する病院。
偶然新規開拓する事になった病院で、担当者不在の代理で現れたのが受け様。
昔と変わらぬ美貌に、攻め様の忘れられない初恋が再燃、受け様の態度はクール。
中学生の時の過去の思いは、相手に告げる事も出来なかった程のピュアさなんです。
攻め様が一方的に好きになって、受け様に触れるだけのキス、でも受け様に男だと
言われたことで、茶化すように女の子と間違えたと・・・
そして攻め様はその日から逃げるように塾を止めてしまってからの再会。
でも、再会した時に互いに忘れていなかったことを知るが、過去の出来事が
二人の関係をギクシャクさせてるんですよね。
受け様は、過去を忘れたかのように素っ気ない態度、でも受け様が先輩医師に
迫られていて、それを助けた事から偽装恋人になる事に・・・
攻め様にとってはどんな形であれ、受け様と過ごすことが出来ることに可能性を
見出すのですが、未だに受け様に惹かれている心を素直に告げる事が出来ない。
攻め様視点で描かれているお話なんですが、オレ様で強引なくせに、恋には
若干ヘタレ気味だったり、受け様については自信が持てなくて、なかなか再会後の
二人は進展しないのです。
そもそも、初恋も男女の中なら簡単にうまくいっていたのでは?なんて思わせる
雰囲気があったのですが、同性故にお互いが素直になれなくて、そして子供だったから
前に進む勇気も無くて逃げてしまった攻め様。
それでも、再会して二人でいるうちに、やっぱり性別なんか関係なく受け様が
好きだと自覚してしまうのですが、何処か余所余所しい受け様の態度に手をこまねく。
お互いに初恋が忘れられなくて、再会しても思いが消える事がなく、逆に強くなる。
だけど、男同士だと言う事に互いが過去のこだわりがあって、素直になれない。
一見クールな受け様の、張り詰めていた心が崩れた時なんて萌えちゃいます。
そして好きなくせに、上から目線の偉そうな攻め様の態度もなかなか良いです。
素直になった時の受け様が過去の姿と変わらない様子もいじらしい感じでしたね。
この作家様は、いつもあとがきまで、物語の後日展開などがさり気に記されていて
二人の今後を想像させてくれるのも楽しいですよね。
受け様狙いのストーカー医師の幸せな姿を是非読んで見たいなんて思います。
何となく毎月新刊が出ているような印象がある火崎作品ですが、ちょっと久しぶり♪な感じがします(先月はなかったかな?)
いつもの火崎作品の、ラストに真相が暴かれて円団というスタイルは貫かれていますが、この作品は最初からとても解りやすく(先の予想がつきやすい)とてもライトな作品に仕上がっていました。
ところが、とても意外であったのが、二人の障害になりそうな人物が実はイイ人だったということです!!
きっと、とんでもないトラブルを巻き起こすんじゃないか?って予感がしたので、その辺りはちょっとビックリだったかもw
そして、お話とタイプとしては結構純粋な二人だったんだ~って、子供時代にこだわってひきずっている、読み終わってみれば可愛らしい恋だったな、って初心な感じがしましたよ。
中学校の頃予備校で出会った熊田と麻宮。
麻宮の綺麗な見た目に友達になりたい、近づきたいと願った熊田は落とし物を拾ったのがきっかけで少しずつ仲良くなれたのですが、思わず引き寄せられるようにキスをしてしまい、そのバツの悪さを「女子かと思った」という言葉でごまかし、そして恥ずかしさと自己嫌悪から勢いで塾を辞めてしまい、それきりになってしまいます。
そして改めて再会したのは、製薬会社の営業と医者としてでした。
子供の頃の事など、気にしてないような、関心のないような麻宮のそぶりに、彼が気にかかる熊田でしたが、
麻宮が同じ病院の医者の桂川にストーキングされて困っていることから、恋人のフリをすることになるのです。
いつまでも過去のキスしたことのいいわけにこだわる熊田も
感情や心が見えないようにふるまう麻宮も
読者から見ると、意識しまくりがまるわかりで初心いな~なんてニヤニヤしてしまいます。
でも決してもどかしさはありません。
大人だし、男同志だし、何よりストーカー避けという名目があるので、このくらいの距離は当たり前かな?という距離感。
麻宮をストーカーする桂川に諭す熊田に、逆キレされたらどうするんだ!?って心配したりもしたんですが、実はこの人がものわかりのイイ人で。
きっとドラマティック展開なら、この桂川が犯罪一歩手前までやれば、よくある話で劇的効果はあったかもしれませんが、そうでなかった意外性がこの話をありきたりにしなかったのかもしれません。
そのせいで、起伏は激しくはないのですが、主人公達の日頃のスタンスのままで、きちんと気持ちが進んでいくのを描けたのかな?と思います。
そして、桂川に恩を売ったのが、最後の最後でいい風に仕えたのも思わずクスリとw
麻宮があれから一体どういう青春を送って、どういう経験をしてきたのか、そんな色々も知りたいな~とも思いましたが、初恋をずっと心に遺していた純粋な男性だったということで。。。
本当にいつも、作者さん後書きにその後の妄想話があるんですが、それがおもしろそうなんですよね。
桂川あたりは、作者さん妄想はアリアリかもしれません♪