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だめだとわかっているのに――好きになってしまった
higan no aka
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
残念ながら新刊購入が出来ず、たまたま図書館で取り寄せが出来て読めました。
優しくて自分より周囲を優先するばかりで、人生の負のスパイラルから抜け出せなくなった挙げ句にどことも知れない岸にうち上げられてしまったような攻めが、愛されることを知らない寂しさに命をかけて愛を得ようとして失敗してしまい、悔やみと、心中相手だけを死なせてしまった罪の意識に縛られて死ぬ迄
ひたすら自分を責めている受けちゃんとの、再生のストーリーとして読みました。
攻めにしても受けにしても、悪いところのない人間で、「どうしてこうなってしまったかなあ」という悔恨が中盤迄の展開を覆っていて、逃れられない不幸といったワードが浮かぶような雰囲気か続きます。
暗めの雰囲気なのですが、受けちゃんの幼なじみにしてスパダリ属性を持つ裏の大寺の若様(当て馬ではありません。)やら、受けちゃんが飼っている凶暴極まるハクショクレグホンやら、生命力やら社会を生きるたくましさを供給してくれる存在のエネルギーにはかなり救われます。
鄙びた地域での受けちゃんの慎ましい暮らしぶりの描写なども楽しみながら読みました。
終盤、何とか受けちゃんを救い出したい攻め様が、持ち前のスキルと愛で無理に展開を早めるあたり、ハラハラして、何とか間に合った!というぎりぎり感がありました。
ハピエンです。
自分達の一歩一歩で進んでいく覚悟をそれぞれが固めて一緒に生きることを選ぶことで、過去に二人が陥っていた限界が消し去られて、プラスの回転に舵がとられたような迫力を感じます。
このあたりの多幸感は、先生の、より最近の作品、花降る王子シリーズ等に共通すると感じました。
「二月病院」を初読みして以降、先生の作品はいつも覚悟が要ります。それでも今作もやはり読んでよかった、読めてよかったです。
以前から読んでみたかったこちら、私には初の尾上与一先生のご本になります。
攻めは、刑務所から出所したばかりの元ヤクザ、幸久。受けは、可愛らしい容姿なのに鬱々とした僧侶の恋慈。これだけ見ても接点ゼロの二人がどんなふうに出会うのかというと、四階建て程のビルの屋上で、心機一転やり直しを心に誓っていた幸久を自殺すると勘違いした恋慈が、どうしたことか突き飛ばしてしまい、幸久は宙吊り状態から落下。死にかけるところから始まります。
人生詰んでる幸久と、違う感じにドン詰まってる感じの恋慈は、被害者と加害者の関係でセックスをし、住む所も無くなった幸久が寺に転がり込む形で話が進行していくのですが、これが面白かったです。
「彼岸の赤」のタイトルからシリアスな方向を予想しましたが、重くなり過ぎずに軽妙な雰囲気なんですね。
視点は主に攻めの幸久になりますが、攻め視点のエッチ場面がすごくエロ!男っぽさと優しさが伝わって、ドギマギもののエロさがあります。
ただ、幸久は別にヤクザでなくてもよかった気はしますかね。ストーリーが進むごとに常識的な好青年度が増してくるので。
そして受けの恋慈。恋慈は自虐的で鬱々とした感じが絶妙でした。ちょっとイラッとしそうでしないのです。
お坊さんだけど、どこかまだ違和感ある恋慈は、過去に男と入水心中してしまいまして、そこで時間が止まってしまってるんですね。
なんだかんだあって、幸久は恋慈への恋心を自覚して告白しますが、恋慈は死んだ男が忘れられないと断わります。
後半に明らかになる、心中の真相が鍵です。
二人がちゃんと結ばれてよかったなと、祝福したいエンディングでした。
あと、太郎丸というメッチャ強いニワトリ(♂)が出てきまして、私のハンネは霧笛丸でありますのでちょっと親近感が。太郎丸とはいい散歩ができるんじゃないかなー。
2012年出版のこちらは残念ながら、現在は電子のみになってますが、甘い読後感の良作です。
確かこの作品、発売したと思ったらレーベル廃止になっちゃって、残念感半端無かったのですが、電子書籍でも購入できるようになったようなので未読の方には朗報ですね。
尾上さん2作目ですが、前作よりも文章が読みやすくなってます。
硬質さが程よく抜けて、微妙にコメディタッチなのが尚良し。
元ヤクザ×訳あり僧侶という、とんでもCPですが、攻がヤクザになった経緯があまりに不憫で……。
不幸もここまで重なると、お祓いでもしてもらった方がいいんじゃないの?というレベルの悲惨な転落人生劇です。
それでも生来の人の良さから、この攻は底抜けに明るく人を惹きつける魅力を持ってます。
受は心中未遂をした訳あり僧侶ですが、これがもう死ぬほどネガティブでじめっとした根暗な性格……。
読んでる方がじめじめじめじめしてて、何この湿度の高さは! というくらいにじとっとした性格です。
後ろ向きもここまでくると、後ろ頭はたいてやりたくなるような感じですが、そんな受に惚れた攻は、それはもう気の毒なほど一途。
好きになった相手が生まれからして恵まれず、心中した恋人のことを延々と思い続け、おまけに罪の意識にも苛まれ。
度を超した後ろ向き男を、ひたすらその大きな度量で包み込んであげる姿がいじらしいです。
終盤の展開はぞっとするものがありましたが、無事に二人がくっついてくれてほっとしました。
ネガ受好きにはたまらない設定だと思いますが、私には卑屈すぎる感じが鼻につき、あまり好きになれなかったです。
攻が突き抜けた明るさで、それが救いであり萌えでした。
尾上さん初読み。
変わったカップリングで、設定にも趣向が凝らしてあって面白かったです。
ただ、後半かなり無理がめだってすんなり受け入れられなかったところ、受けが自虐過ぎるところで、ちょっと雰囲気に酔ってるだけでまとめ切れていない印象です。そこが残念。
前半の勢いそのまま全編突っ走ってくれていれば神だったかもしれない。
ヤクザで刑期を務めて出てきたら解雇、無職になった所持金502円の攻め、幸久。
対する受けは、お坊さん。といっても駆け出しで、何を言っても反応がなく生きる気力が感じられない。
そんな二人の出会いはなんと屋上での飛び降り未遂!?
幸久が飛び降り自殺すると誤解した恋慈は、止めようとした勢いで幸久を突き落としてしまう。一命をとりとめたが重傷の幸久を恋慈が看病する。ひたすら謝り、なんでもするという恋慈を抱いてしまう幸久。
出だしはちょっとブラックな攻めですが、体が治るまでと恋慈のいる寺に身を寄せると、規則正しく食べ物を大切にする寺生活の中で、器用になんでもこなし、本来の素直で細かいことに頓着しないおおらかな人間へと変わっていきます。
一方、無反応だった恋慈も、ふとしたことで笑うように。
この辺の人間関係とその成長の描き方はとてもよかった。
しかし、恋慈の過去のトラウマの種明かしあたりがかなり強引で、後半萎えてしまった。攻めの行動も意味が分からずかなり消化不良。
前半が独特のストーリーだっただけに惜しかった。
他の作品に期待です。
尾上さんの作品の中で一番読みやすい作品の様に感じました。
セックスシーンは他の尾上さんの作品と比べても多く、描写も丁寧でエロかったです。しかし、エロいだけではなく、2人のやり取りもほのぼのとしていて、どちらかというと甘いお話です。
恋愛を主軸とした話の展開で本当にBLらしい作品の様に感じました。
しかし、テーマ性のある伏線は健在で、人によっては少し重く感じられるかもしれませんが、ストーリーもしっかりしているのでおススメです(・ヮ・)
「天球儀の海」「二月病」に続いて3冊目の尾上作品。
個人的には3作の中では一番好きだったと思う。
シリアスなんだけれど、ちょっとコミカルな匂いがするのが他二作との違いか。
元ヤクザ・漆真下(うるまっか)幸久×僧侶・東恋慈
(*余談ながら、この漆真下という名字、岩手の方に多い名字で地名でもあるようです。
ただし、読み方はウルシマッカとなっていましたが。)
状況に流され、ついには人の罪を被って刑務所にまで入る羽目になり、
そこを出て来たものの所属していた暴力団からは解雇された幸久。
所持金502円、途方に暮れながらも心機一転やり直そうとビルの屋上にいたところを
飛び降り自殺だと勘違いされ、パニクった恋慈に誤って突き落とされてしまう。
幸いビルの上から落ちたにしては軽症だったが、それでも大怪我には違いなく入院、
退院後も行く所も金もなく生活に支障をきたす幸久は、恋慈の寺に居候することとなる。
なんでもします、という恋慈。
自虐的で暗い性格の彼は、死ねと言ったら本当に死にそうな様子だ。
一方の幸久は、ついていない人生の偶然に流されるままヤクザにまでなってしまったが、
本来は暖かくて人がよく、器用に何でもできて(それが仇になった人生だが)前向きな性格。
恋慈を心配しながら一緒に暮らすうちに惹かれていくのだが、彼には過去があり……
尾上先生の作品、私は読んでいて後半気持ちが失速してしまう。
何故だろう?と考えてみたのだが、世界観も表現の方向性も好みなのに
最後のピースがうまく嵌らないような感覚がある。
ストーリーも、最初は惹かれるのだけれど収まりどころがピンとこない、
表現も技巧的過ぎて心から浮いてしまうようなひっかかりがあって、
個人的な好みの問題なのだろうか、細部も全体も自分の中でうまくまとまっていかない感じがある……
過去を抱えたまま、死んだように生きていくのが自分に課せられた義務だと思い込んでいる恋慈。
正直途中のグルグル以降、過去の話とその決着がつくまでが、正直面倒くさい感じがしたし、
感想と評価に困るのは、今まで読んだ尾上作品と同様。
Hシーンは、慰謝料がわりに最初から登場する。
幸久も面白い人物だが、恋慈の友人・憲照がカッコ良くて素敵。
そして、なんと言っても一番インパクトがあったのは巨大で凶暴な鶏の太郎丸かな!
恐ろしくネガティブで自虐的な受けに、ほぼ寺の中と周辺で進行するストーリー展開。
良く言えば繊細、悪く言えば閉鎖的で気詰まりな世界観で
随所に「赤」のモチーフが登場するにも関わらず作品のテーマカラーは中間色のような、
ぼんやりした印象がぬぐえない作品だと個人的に感じました。
この陰鬱な空気感の中にあるそこはかとない可笑しみは
文学的とも言えるし、ほのぼの/コメディ系のカテゴリにも分類できそうですが、
そうした味わい深さよりも設定の痛々しさの方が気になり、楽しめたかと言われたらNO.
『二月病』のような完全シリアス作品だったら気にならなかったであろう要素が
今回は露悪趣味に思えてダメでした。
コメディっぽい要素と、妙に重苦しい要素(受けの過去、身体中に残る傷、痛そうなセックスの描写など)が混在していてどちらにも入り込めず。
所々でハッとするような鮮烈な文章表現があるものの、作品全体としては強く訴えかけてくるものがないどっちつかずな印象でした。
元ヤクザが、心中未遂経験のある病弱な僧侶に出会う。僧侶を面白半分で抱いていた元ヤクザだが次第に心惹かれ、僧侶を幸せにしたいと思うようになる。僧侶もまた元ヤクザを好きになり…
あらすじとしてはシンプルですが、その過程で二人が過ごす日常風景や心情描写の美しさ(受け視点だと自虐的すぎて、形容が達者なだけに少々鼻につくかも…)を味わう作品としては秀逸かなと思います。
尾上与一さん。今後、炸裂する「何か」がある作家さんゆえ、
少し、辛口レビューといきましょうか。
この方の作品はまだ二作目ですが、「なんだなんだ!?BL版梶井基次郎か!?」と
思わせる強烈な色彩感覚と、独特なシュールさはありますが、
下手すっと破綻寸前の危なっかしさが残る…。
風景の書き出しは非常にいい。
「二月病」では寒々とした田舎の風景、本作では山寺のゆっくり流れていく時間が体感できるレベルまで書かれています。「二月病」では前衛的すぎて世界観に入りにくいところもありましたが、本作では割とすんなり。
とばっちりで半年、ムショに入り出所した幸久は、
ひょんな勘違いから若い僧侶に故意ではないにせよ怪我をさせられ、
それがもとでひなびた山寺で同居することになります。
若い坊さんである恋慈はなぜか剃髪もしておらず、幼く見えるのですが
口癖のように「なんでもします」と言い、幸久の言われるままにセックスさえ許し、
生きていることにたいして執着がなさそう。
可愛いのに笑いさえもせず、ただ黙々と激務な寺の細々をこなす毎日です。
はじめは面白半分で恋慈を抱いていた幸久ですが、恋慈の空虚な心と、
体中に残る傷に違和感を覚え、次第に恋慈に生きる幸せを与えてあげたいと
強く思うようになりーー。
うすら寒そうな山寺のスローライフが魅力的にさえ感じます。
なんでもホイホイ受けてしまうお人よしの幸久にはすごく共感できる部分ありますが、
恋慈のかたくなさや、心押しつぶされるような過去の呪縛はもうちょっとじっくり追っていただきたかったところ。
一方で、愛すべきは巨大化した凶暴なニワトリとの格闘、
やる気のなさげな文具店の爺さん
話がバンバンすっとぶ花屋のおばちゃん
こうした一癖ありそげな片田舎の人々が面白くて、
鬱々とした雲の間からときおり差すお日様のような清涼感があります。
コンセプト的に木原音瀬の強い影響を感じますが、木原作品の一種病的な執着愛とはむしろ真逆、それよりも繊細にしてのどかな風景や人物描写に期待できそうな作家さんです。
坊さんには一切萌えを感じないもので、最初はためらっていたのですが、『二月病』があまりにも素晴らしかったので、勇気を持って読み始めましたら。
夢中になりました。大変面白かったです。仏教の教えが大変わかりやすく書いてあり、しかも登場人物たちのありようがまさに深く仏教的なのです。
「恋慈って変な名前だなあ…」って思っていましたら、その謎が彼の生い立ちによってわかり。恋慈が幸久を一見誤解で助けたつもりで怪我させて、一方的に恋慈が幸久に救われる話のように感じましたが、読後しばらくたって、いや、幸久もやはり恋慈によって救われていたんだなと思い直しました。幸久がいなければ未だ恋慈は自分を無価値な生き物として思い、それになんの疑問もなく生きていたのと同じように。
幸久も恋慈に出会わなければ、また自分が望まないまま流転の人生を歩み続けたかもしれません。仏教的には多分幸久の業は恋慈と変わらない辛い重い業であるように思えます。
でもだからこそ二人には因縁があり、出会い、影響しあうのでしょう。
蓮の花は汚泥の中でこそ咲く。
仏様は罪深い二人を救わんと願って、願い続けている。
それがわかるのがラストのタイトルの由来です。
恋慈は僧侶になって、一生懸命修業し、その姿は心うちますが、ご法話がみんなに響かない。それは彼が僧侶としてはもっとも重い罪を背負っていることに自分で未だ気が付けないからかもしれません。それは彼が過去にしてきたことではなく。
仏智疑惑の罪。
自分が仏さまから救いたいと願われている存在であることを信じられないこと。
もちろん彼の過去を考えたら当たり前のことです。
だからこそ、まわりのみんなに大切にされ、自分も大切にして。
大好きになった檀家のおばあさんやおじいさんの葬儀をしなくてはならなくなったとき。恋慈はその悲しみを苦しみを呑み込みながら、それこそ人の心を打つ法話をするお坊さんになっていくのかもしれませんね。
と、えらそうなことかいていますが。偶然、虎の穴さんでこの作品の番外編の同人誌を手にすることができて、読んで。
恋慈に逆にやさしく諭された気持ちになったことが一つ。
彼は幸久とのデートにおしゃれしてくることを指定され。
ちょっと良い僧服を着てくるのです。
最初、笑ってしまいましたが。次の瞬間、自分が恥ずかしくなりました。
彼は自分が僧侶であることに、それを他者に知られることをちっとも恥ずかしいと思っていないのです。むしろ、誇りに思っているのです。無意識に。
素晴らしい僧侶になるだろう恋慈の将来が楽しみです。
他にも憲照がかっこ良すぎて。ずるいよ、本当。
なんだか本当に知ったようなエラそうなことばかり書いてすいません。
でも内容はわかりやすくて、『二月病』よりライトな仕上がりになっていますので、ぜひこちらもご一読頂ければ幸いです。
大切な人を亡くしたことのある人なら、なお響く物語かもしれません。
2月にホーリーからデビューした作家さんの今月はドルチェから。
視点や表現が独特でユニーク(面白いと言う意味ではなく)なんだと思いました。
「二月病」では少し切なさが表立った作品だったのですが、今回も切なさやりきれなさが満載かとおもいきや!?
その理由や事柄は悲惨であるものの、対照的な生き方をする二人が主人公であったために、そして何よりラストでの或る意味ドンデン的な展開。
絶望的な僧侶以外は皆前向きであり、何と、マスコットのような鶏の太郎丸の存在などあったりして、一見重苦しく痛いような作品が何故かちょっといい話に変身する様は見事でした!
2段組に戦々恐々とした自分ですが、かなり面白く引き込まれました。
幸久は成り行きで会社をクビになり、それから再就職先が倒産、それから働ければと勤めた先がブラック企業、そこがヤクザともめ事を起こしOA機器が扱えることから半ば強引拉致連行されてヤクザ企業で働くバッヂをもらった社員になっていてのだが、先輩を庇って思わず刑務所に入ることになり半年で出所。
しかしヤクザはクビになり(!?)金も家もなく行くあてもなく気分をリセットしようとマンションの屋上に上がっていたところを投身自殺と僧侶の恋慈に勘違いされ、間違って突き落とされて落ちてしまい、平身低頭謝る恋慈につけこんで寺で世話になることにする。(はぁ~長かったwww)
幸久を怪我させてしまったのは、恋慈の過失ではあるが、恋慈のそれにたいする態度はあまりに自らを罰するかのような、親身といえば親身だが、ただのネガティブだけではない何かがある。
恋慈の友人で、寺の繋がりもある憲照がざっくりとその理由になる過去を幸久に語るのだが、それは恋慈の生い立ちと心中事件でした。
恋慈の苦しみの姿は、それがいつしか幸久の恋慈への愛しさを呼び
生きている意味を見いだせず、でも幸久に与えられる喜びに感じる好きな気持ちを否定しようとする恋慈。
明らかに心を揺さぶられているはずなのに、徹底的に自虐的でネガティブな恋慈はどうしようもないのですが、心中の裏側にある真実を暴かれる事で、恋慈はひとつ、生きる赦しをえられたのかな、、、
とそんな結末に思いました。
幸久は実にポジティブな人だと思います。
人がいいのもあるのでしょうが、苦境にあっても絶望せず、その中でちゃんと生きて行く道を見つけ(たとえそれが転落であっても)それなりに、その中で器用に生きている。
(けっきょくは人の良さが災いしちゃうんだけどw)
何かと恋慈の面倒を見る憲照は25歳と思えないほどに、すごく人間観察するどく頭も良く、まるで本当にお坊さんに説教もらっているようなそんな人ですが、
そんな彼でも恋慈の心を溶かすことができないのは、彼を昔からしっている、そして近くに居すぎるためなのかな~と。
だからよそ者で偏見や噂などの知識のない幸久が、もちろんそのポジティブさをかって、恋慈の傍にいさせることで、何か恋慈に新しい風を吹きこんで欲しいと、そんな思いがあったのですね。
これって幸久は上手くはめられたことになる!?(笑)←やっぱりいい人w
恋慈はとにかくネガティブです。
とりあえず生きている、僧籍に身をおいているけど、ほんとうはいつも死にたいと願っている。
彼が幸久に性欲処理を頼まれても嫌がらずに受け入れる様は苦行のようですが、ほんとうに自らを罰するという態度がぴったりな様子で大変に痛々しい。
結局のところ、彼は小さい頃からネグレクトで愛情を与えられずに、自己否定されて生きてきて、すでに人生に絶望していたのかもしれません。
そこへ現れた最初の相手が悪かったんですね!
いつまでもその”愛”にしがみついて、自らが生き残ってしまった事に罪の意識を重ね、最終的に幸久に生きる喜びと許しを得たのに、彼がそれを克服するのは時間がかかりそうです。
ただし、もう死のうなんては思いません
それが後日談の『明日のはなし』になるのです。
作者さんの独特な文章使い。
四文字熟語や仏教用語の引用など、小難しを感じるんですが、でもそれはイメージとしてとても良く伝わってきます。
恋慈が良く働く様を「鬱々と働く」と書いてある表現に日頃そんな使いかたはしないよな、と思いつつも、その様子が目に浮かびます。
辛気臭い顔で黙々と仕事をしてる恋慈www
作者さんのHP(ブログ)でまた後日談のSSが披露されています。
不器用な恋慈に思わず笑っちゃいます!
一見重苦しい風な作品ですが、すがすがしさと、その裏にあるユーモアに微笑まされた作品でした♪