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first egg
fifth egg、sixth egg、絶望の色彩を収録。
fifth eggは、現在の話で、forth eggで江東が呼びに来て連れ出された佐竹が、事件に協力するというもの。痴呆症の老人の死をめぐる事件。子ども達が疑われる。娘が自供するが、見える佐竹にはその娘が犯人でないことが分かる。さすがに佐竹の特殊能力に気づいている黒岩。佐竹は捜査能力自体も高いようなのだが、特殊能力と言われてしまうと、どう学んでよいか分からないよね。。
謎解き自体はミステリーとしては語られないので面白みはないが、淡々と語られる軽い文体が読みやすい。
6th eggの方は、現在の佐竹の脅迫事件の続き。切られるなどだんだんと危険が迫ってくる。
黒岩も実直そうに見えて、実は潜伏している別件の捜査官なのか?という影が初めて出てくる。元公安の野尻が佐竹に情報を提供してくる。気になる佐竹である。しかしやっぱりただの堅物のようでもあり。。野尻については最終巻で何か展開がある模様。
絶望の色彩は、過去編の続き。
連続殺人事件を追う佐竹のいる市場班。しかし犯罪をとめることはできず焦りのみが続く。謎解きなどミステリー要素はなく、同僚とのやりとりや、年末年始を家族のいないもの同士で過ごす高御堂×佐竹の様子などが描かれます。今後は解決編しかない、というところまできました。
おお!表紙が(これまでよりは)BLっぽい! イラスト収録のない電子書籍版で読んでいるので、紙版には収録されているのであろう、ちょっとセクシーなシーンなどを絵として見ていないこともあってか、今回の表紙はちょっとキュンと来てしまいました(笑)
しかし、中身はキュンというよりは胸が絞られるような描写が多い巻でした。佐竹の刑事としての過去、そしてもっと幼少時〜少年時代のこと…。ああ、もう読んでてつらい。
展開としては、まさかの黒岩さんへも疑惑が生じたりして、やっぱり続きが気になるぞ!というところで。ああ、もう上手いなぁ! 最終巻を用意してから読みましょうね。
ひとつひとつ、明らかになっていく佐竹の過去や事件。
高御堂に抱いているものも、もう認めなくてはいけないところまできています。
脅迫状を送りつけた犯人の魔の手も佐竹に及び、過去佐竹の手で終わらせた月岡事件の模倣にならい、犯人は直接佐竹に刃をむけてきました。
自分が傷つけられた程度ではまだ冷静だった佐竹。けれど、突然目の前に現れた人物によって取り乱してしまう。
それは、佐竹のトラウマともなった原因、亡くなったはずの叔父。
叔父との過去についても語られて、その異質さに怖くなりました。
だからこそ、捜一時代のメンバーが佐竹にとって大事なものだったんでしょう。
その仲間を失ってしまった佐竹が、以前とは違う意味で人との繋がりを築くことを恐れているかを考えると切なくなります。
どうして佐竹が人と関わることが下手なのか。
どうして切り捨てるのか。
──失いたくないから。
それからもうひとつ気にかかるのは、黒岩の存在。
佐竹といいコンビだと思っていたけど、彼は佐竹に仇なす存在なのでしょうか。
それとも、考えすぎなのか…また謎が増えてしまいました。
今回で、やっぱり高御堂は佐竹に執着していると強く思ってしまう。
もちろん奴はそんな雰囲気は見せないんですが。
ポーカーフェイスうますぎるよ、たかみさん!
佐竹ももちろんですが、高御堂もいい加減認めなさいよ、と期待も込めて言いたいです。
佐竹の捜一時代のお話を読むにつれ、苦しくなる。
そこにいる佐竹は無器用ながらもみんなを慕い、そして無器用な佐竹をみんなが受け入れ世話をやき…そんなあたたかい情景が書かれていて、結末を知っているだけに胸が痛む。
胸に残る息苦しさ、そして整理しきれない謎。
次、最終巻にてスッキリするのでしょうか。
長丁場になりそうなシリーズは完結してから読もうと思っているのですが、表紙の高御堂(メガネ攻)が素敵すぎて、3巻目にしてついに手を出してしまいました。
既読の方には周知の事実かと思いますが
色んな意味で非常にBL色が薄いこのシリーズ。
まず基本的に受け/攻め視点が少ない。
同僚の警察から見た佐竹という人物、
佐竹と高御堂との奇妙な関係について
俯瞰的に語られることが多く
ラブメインでない
群像劇的な刑事ドラマとしての面白さがあります。
もちろん佐竹の視点を通して
高御堂との強い結び付きを感じとることもできます。
恋人という関係ではないけど、
高御堂は佐竹を心配して見張らせているし、
佐竹はそんな高御堂の存在に
精神的にも身体的にも支えられている。
人を殺した過去があり、
亡き叔父のトラウマにも怯える佐竹にとって
余計な気休めは言わず
欲しいものを与えてくれる高御堂の存在は
かけがえのないものなのです。
人のオーラが「色」として見える能力を持つ佐竹。
人を殺した人間のオーラは「黒」であるため、佐竹には事件の犯人がすぐ分かってしまう。
それを周りの刑事にそれとなく仄めかして事件解決に導きます。
前述の通り、佐竹視点で彼の心情が細かに描写されることは少ないため、読者にも事件の真相はギリギリまで分からない。
そこに事件モノとしての面白さがあります。
事件自体も、認知症の母親を殺したと
自首してきた娘と、その影にいる放蕩者の弟の存在・・・という世相を反映したドラマとなっており、淡々とした描写が哀愁を誘います。
非常に気になるところで終わっているこの3巻。
既刊をおさらいしつつ続刊を楽しみに待ちたいと思います。
今年に入って三冊目、『ファーストエッグ』の三巻です。
連載が終了しているとはいえ素晴らしい発行ペース!
谷崎さん、リンクスさん、ありがとうございます。
でもちょっと忘れてしまったところもあったので、おさらいは必須でした(苦笑
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シリーズ通して受けは佐竹、攻めは高御堂。
佐竹は捜査一課の吹き溜まりである五係の捜査員で、過去の事件で現在も脅迫されています。
高御堂は元ヤクザで、現在は築地の高級料亭の主人。
ふたりは一緒に暮らしています。
…こう書くと甘い同棲生活のようですが、口うるさいお父さんとダメ息子って感じです。
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佐竹はシリーズ通して不思議な能力を捜査に活用しています。
警察物ですしリアルさがないと途端に冷めてしまうわたしですが、突飛な設定なのにも関わらず、妙に『佐竹』という男にしっくりくるのです。
彼が生活感というか、生きるということに覇気や意義を感じていなそうだからでしょうか。
この設定がスルリと受け入れられ、なんだかあまり特別なことのように感じません。
これって、わたし自身が佐竹と同じ怠惰で面倒くさいことが嫌いだからかも?(笑
佐竹の能力については今回かなり判明します。
人を殺したことのある人間の色。
彼はそんなものが見えるんですね。
捜査一課の市場班に在籍していた頃の佐竹は、このシリーズの根っこにある事件の被疑者を射殺しています。
その後自分も、人を殺めたことのある者たちと同じ色になっているさまを鏡で見た佐竹が感じたこと。
それは、高御堂と同じになったことに安堵したと言うもの。
なんかもう、切なかったなあ…
そんな前から佐竹はすでに高御堂というブレない強い存在に心の底で依存して、そして自分を繕うこともせず高御堂の側だけが息のつける居場所となってしまった原因を背負っていたんだなあ。
高御堂がなぜ自分を受け入れてくれているのか、本心はわからなくても。
この巻は佐竹が高御堂に対して、縋るような依存するような心情が本当にたくさん吐露されています。
流されるままに生きてきたような佐竹であっても市場班は、身内に恵まれなかった彼の初めての『家族』のようなもので。
その家族を理不尽な形で亡くし、そんな佐竹を乱暴な形で拾い上げたのが高御堂で。
何年も同じ家で暮らすうちに、すっかり生活自体は『家族』なのにね。
それから目を逸らさなくなったら、佐竹ももう一歩進めそうですね。
そして攻めの高御堂の方ですが、何も感じないような顔をしながらも、前巻で佐竹が脅迫されていることを知ってからは部下にずっと尾行(ガード?)させています。
この人の佐竹への愛の源のようなものは、まだよくわからないのですが、佐竹が高御堂にとって他の人間とはまったく違う存在なのはわかります。
寡黙な人の不器用な優しさとはまたちょっと違うんですよね。
なんか神様みたいな?(苦笑
何もかもお見通しという感じなんですよねー。
ただ、それでも佐竹から話させたい、心を差し出させたいと思っているのかな。
とにかく佐竹の体もですが、心も決して甘やかしはしないけれど守ると決めているような感じですね。
次が最終巻ということで、内容は今まで謎だった部分や五係の面々の不審な動向がクローズアップされています。
語られる佐竹の幼少時のトラウマは、そら恐ろしいなというものでしたし。
特に先生がいなくなるとかね。サイコ?
彼の性質は、なるほどこの頃に培われたものなのかと妙に納得です。
そして、このトラウマの原因となった人物が、どう今後関わってくるのか。
この人に関しては、肩透かしな終結にならないと良いなあと思っているのですが。
今回、序盤からかなりの率で登場している捜査一課の江東は、過去に佐竹が属していた捜査一課・市場班での先輩。
佐竹が脅迫を受ける原因になったであろう月岡事件で命が助かったのは、佐竹とこの江東だけです。
佐竹は今でも記憶の中の市場班と、共に生き残った江東を最優先にし大事にしている様子が伝わります。
既刊でも市場班での佐竹の様子が書かれてきましたが、それを読んでから市場班は本編には出ていないにも関わらず、わたしの中で現在の佐竹が所属する五係の面々より特別なものになりました。
それは今回のSSでも同じ気持ちでしたし、このSSが進めば進むほど彼らの終わりが近いのだなと切なくなります。
ただ個人的にはサブキャラのお気に入りは江東ではなく、同じく捜査一課在籍の飄々とした井筒なのです(苦笑
うーむ、相も変わらず表紙も口絵もカラーが地味ではありますが、それでも三巻は表紙に色気があるなあ。
彼岸花も季節にも内容にもぴったりです。
ただ大きなお世話ですが、やっぱりもう少し目をひく表紙だと良いのになあと思いました。
今回は『ここで切りますか!』というところで終わって、あとは過去編が書き下ろし(こちらは再び市場班にいた頃の話で、市場の懐の深さにホロリ。しかもこちらも気になるところで)収録。
そのために、今まで以上に先が気になりました。
年末年始くらいには出るかなあ。
待ち遠しいです。