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ルビー文庫初登場! 農業系起業家×フリーライターが育てる愛のつぼみ
koi no shuukaku made atosukoshi
冴えなく暗い性格でネガティブな受け様が取材対象の攻め様に
恋をして人間的に一回り成長していくストーリーでした。
受け様は叔父の雑誌社でフリーライターをしていますが
全てにおいてネガティブさんなので仕事もぱっとしないのです。
IT事業の経営者から農業実業家へ転身した攻め様の取材を
する事になった受け様ですが、対人スキルが低いので初めて
インタビューから記事までを一人でこなさなければならない事で
かなり緊張してしまうのです。
そして攻め様に出会った時、全てに恵まれているような攻め様に
羨ましさを感じて、自分を卑下しがちな受け様。
気が進まなかった農園での取材をするうちに次第に記事を書く
事に熱い気持ちが湧きあがってくる受け様だったのですが
攻め様への取材終了後にこんまま会えなくなることが無性に
寂しい感じがして、取材の延長を願い出てしまうんです。
そして攻め様のところに宿泊させてもらいながら、農園での実地体験
をしながら深く掘り下げた記事にしようと・・・・
受け様は何かに傷つく前に諦めてしまうことが当たり前のように
なってしまっていて、攻め様からの優しい言葉や思いやりに
勘違いしそうになる自分を都度戒めてるんです。
恋を自覚してしまってからは、そこへ健気な感じもプラスして
ちょっとイラっとする展開もあるんですが最後は歳の離れた
攻め様に甘やかされ、でも攻め様に釣り合うようにと奮起して
成長していくんです。
農園で葡萄の収穫前に恋の収穫をしちゃうストーリーです。
夏乃さんの心理描写が好きで私の中で最近お気に入りの仲間入りをした作家さんです。今回も楽しく読ませていただきました。
暁彦は思春期に嫌われたり怖がられたりした経験や吃音があった為恋愛には非常に臆病になっていて恋愛経験が皆無で20代半ばにして未だに童貞。人付き合いが下手なくせに人と関わる事に憧れていて雑誌の取材記者をしている。ある時富樫の果樹園を取材の為訪れて、とても魅力的に感じた暁彦は密着取材をする事に。富樫と関わりあう内にどんどん彼に惹かれていくが自分に自信がない暁彦は最初から諦めている。そんな時彼の婚約者らしき女性が訪ねてきて・・・
非常にネガティブな受でした。ネガティブ受が好きな私にはツボでした。他人がポジティブな事を言っても対象が自分だと話1割位しか信じません。でもネガティブな事を言われた時は150%信用する筋金入りのネガティブさでした。本当は綺麗なのに自分が醜いと信じている『みにくいアヒルの子』のようだと富樫が言ってくれたのにそれもスルー。富樫が不器用な人をほっとけないタイプの男だったから良かったものの、暁彦一人だったら一生恋愛できなかったでしょう。自分が富樫だったら暁彦みたいな人と付き合うのはきっとイラッとすると思います(笑)
残念だった点は、中盤から後半に出てきた富樫の婚約者もどきの女がかなり残念な感じでした。あと後半駆け足気味に話が進んだので急に転結が来た様な印象を受けました。
それと全編暁彦視点だったので最後に富樫視点の話も入れて、富樫の暁彦に対する溺愛っぷりが読みたかったです。でもエンターテイメントとして充分楽しめる作品だと思います。