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孤独な貴公子と無垢な青年のラブロマンス
yami wo terasu kimi no yubisaki
この設定はツボです。
稀(攻)と満智流(受)が、それぞれ違った不幸、不遇といった不の境遇に
阻まれ幸せを享受できていなかった。
お互いがお互いを必要とし、埋めあう存在になっていく…
なんとも美しい物語でした。
もちろん波乱も満載で何度、ああ神様~と思ったか知れません。
連れて行かれた満智流を助けに行くため、傷だらけになる稀の姿と言ったらもう…
後半は泣きっぱなしでした。
でも最後はハッピーエンドで嬉し涙になりますので、ご安心を。
第2回B-PRINCE文庫新人大賞受賞作商業デビュー作品です。
良い感じの裏切り感がある内容だと思いました。
受け様、攻め様共にかなり不幸な環境なんですよね。
だからと言って傷を舐め合うようなじめっとした作品で無く
心がじんわりするようなストーリーでした。
攻め様は伯爵家の長子に生まれ、たぐい稀な美貌と知性を
兼ね備えた完璧な紳士なのですが、なぜか父親の伯爵から常に
侮蔑と嫌悪の視線、もしくはいない者として冷遇されています。
そして受け様は遊郭遊女の子供で、しかも指先で物を見る
透視能力を持っていますが、既に男娼としてはトウが立っていて
さびれた遊郭でも持て余していた受け様をある貴族が余興の
見世物として受け様を買い取ります。
どちらもかなり辛い目に遭っているのですが、読んでいると
攻め様の方が精神的にはかなりキツイだろうなと思いましたね。
どちらも可哀そうではあるのですが受け様は買い取られるまでは
生まれた場所だし、取りあえず居場所はあったと思うのですが
攻め様は生まれながらに高貴な身の上なのに居場所がなかった。
それも本人の預かり知らぬ事で・・・
歪んだ愛情ってやっぱり怖いですよね。
そしてこの攻め様は全然受け様を守る強いヒーロー的な感じは
無いのですが、自分が出来る精一杯の力で受け様を助け出します。
攻め様にとって受け様は初めて安らぎを与えてくれた存在。
素直な感情を表す事の出来る唯一の人になっていきます。
何もかも諦めているような攻め様が受け様と出会った事で
心の奥にしまい込んだ感情があふれ出てくるようでした。
受け様を引き取り、何も出来ない受け様に子供に接するように
色々な知識を教え、そしてどんどん受け様を愛しく思う。
後半で大きな困難に立ち向かう攻め様はやっと呪縛から
解放されたのではないかと思いました。
描き下ろし部分では二人の穏やかな日々と攻め様の弟の
事などが綴られていて穏やかな幸せを感じる内容でした。
しっとり胸を打たれるようなお話でした。
面白かったんですが、すごく好きかと訊かれれば、ちょっと困るんですよね。
でも、とても新人さんとは思えないくらいよくできた作品だったとは思っています。それは確かに。
読み終わって(というより読みながらも、ですが)これがホントに受賞・デビュー作!?と感じましたから。
ストーリーとしては、華族・身分差・不幸な健気受と、まさに『時代ものの王道』だとは思うんですが、稀(攻)も薄幸だったのがちょっと違う?薄幸CPなんです。
満智流(受)は、いかにもな『不憫で儚げで無垢な健気受』そのままなんですが、もともと好みの範疇なのでそれはいいんです。
いやもう、設定自体は結構好みなんですが、なんというか『不幸・不憫の度合い』が行き過ぎな気がしてしまったんです。そこまでやらなくてもいいよ、と。トーンが重く・暗くなり過ぎだと感じたんですね。
ただ、これはあくまでも私の好みであって、ストーリー展開にも無理はないし、綺麗に纏まってはいたと思います。
正直なところ、この作品単体では『すごく好き』とは言えません。決してキライではないし、悪くもないんですが。どちらかと訊かれれば、間違いなく好きです。
これはホントに細かい好みの問題ですね。
ただ、この作家さんの書き方とでも言うのか、文章や雰囲気はすごく好みなんです。ですから、このまま読み続けていたら、もしかしたらものすごく嵌るものが来るかも!?と期待してしまいます。あ、もちろん『私の個人的好みにおいて』ですが。
というわけで、とりあえずは作家買いしてみようかなと思っています。好き作家さん(候補)が増えたというだけでも当たりでした。
挿絵目当てで買ったので知らなかったのですが、大賞入賞作なんですね。
あとがき読むまで気がつかないくらい、安定して読みやすい文章でした。
恵まれたセレブ×薄幸の少年ではなく、攻も薄幸な珍しいCPですが、やはり年の差いいですね!年上受けも好きですが、年の離れた攻が幼い受を守る話も好きです。若紫計画(笑)やはり何にしても、唯一無二な関係はたまりません。
本当、受けの満智流がえらい可愛いです。不幸が当たり前だから不幸だと分からない子がツボなんだと最近気が付きました。
贅沢を云えば、ずっと手を出さないで愛で続けて、最後にやっとという方が好みかも。でも濡れ場が少ないのは、小説では宜しくないのでしょうかね。
野郎二人でつるんでても「デキてる!」とは思いませんでしたが、攻めの親友さんとのやりとり好きです。
父親の兄への執着が、書きたい事は分かるんですけれど何となくうまく伝わってないなあとか、満智流の能力って必要あったのかしら?とか色々思うところはありますが、幸せそうなラストなので、それだけですべてよしと思ってしまいました。
不幸だった今までの分、二人で幸せになって下さいね。
初読み作家様でした。
あとがきを読んだところ、こちらの作品がデビュー作との事で非常に驚きました。
終始上品さを感じる丁寧な文章でとても読みやすかったです。
葛西リカコ先生の挿絵も見事に作品の雰囲気とマッチしていて美しかった。
不運な運命の元に生まれた青年と少年が出逢い、居場所が無い者同士が救い救われ、拠り所を作っていく…というようなお話です。
全編攻め視点です。
今作の攻めである主人公・稀(まれ)は「稀なほど美しい」と称されるほどの眉目秀麗さに加えて、学力共にとても優秀と、人々から羨望の眼差しを受ける伯爵家の青年。
作中に出て来る稀の美しさの描写の説得力がすごい。
しかし稀には出生に関する秘密があり、裕福な伯爵家生まれてはいるものの、秘密を抱えたまま居場所の無い空虚さを感じ生きています。
この秘密がまあなんとも不憫と言いますか、稀には全く非がない事なのですよね…
稀の父親の歪みきった憎悪と愛情紙一重の感情が全てを狂わせ、稀は華族の大人達の勝手に巻き込まれてしまった被害者なのです。
うーん、ここの父親と叔父のあれこれはもうちょっとじっくり読みたかったな。
掘り込んだら1冊書けてしまいそうな愛憎なので…
ただ父親も母親も勝手だなと思ったまま終わってしまったのが残念。
そんな彼が弟にせがまれ、渋々訪れた夜会で偶然にも出逢ったのが、華族達に見世物として透視のような能力を使わされていた少年・満智流(みちる)。
まるで玩具のように扱われる満智流を見て、どこか自らと通じるものを感じ、思わず保護し慈しむようになる。
こちらの満智流も境遇は違えどなかなかの不幸さなのですが、自分が不幸な事にすら気が付いていないという、庇護欲がそそられる無垢さと純粋さを持っています。
いじらしくも素直に稀を慕う満智流がとても可愛い。
居場所のない孤独な2人が出逢い、やがて小さな世界で静かに惹かれあっていきます。
満智流に対しての稀の態度が常に穏やかで紳士的なのですが、ものの教え方ひとつとってもかなりの優しさなので、受けに優しい攻めがお好きな方はたまらないのではないでしょうか!
身分違いの恋で、受けが攻めに助けられて〜というよくあるパターンではなく、どちらかというと攻めの稀が満智流に救われたお話かななんて。
受けよりも不幸な境遇の攻めというのも珍しい気がします。
美しくも穏やかで淡々としていて、どこか植物のようだった稀が満智流と出逢ってから一気に行動派になる描写にグッと来ました。
そして、弟の清継が自慢の兄に振り向いて欲しい一心で犬のように懐く姿がいじらしかったです。
(しかしながら意外と大きい子で驚きました…)
いつの日か満智流と仲良くしている様子も見られたら良いなあ。
親友の瑞穂のキャラクターもすごく好きでした!
あとは満智流の特殊能力が終盤はあまり活かされていなかったのが勿体なく感じましたね。
大人になれば使えなくなってしまうかも…という点を含めて、結構おいしい設定だったと思うんですけど…
と、やや惜しく感じる部分もありましたが、世界観と文章が美しくとても好みだったので、作家さまの他作品も読んでみたくなりました。