__モコ__
『雪よ林檎の香のごとく』同人誌8冊目。
前回の「Sturday night Paralysis」の続きになります(こちら単独で読まれても大丈夫です)。
幼稚園児の、志緒の妹・美夏。
彼女の成長をとてつもなく感じられるストーリー。
それと同時に、志緒本人が自分の(良し悪しは抜きとして)成長も痛感する瞬間もそこに埋め込まれていました。
しかし。
駄々をこねて猫を飼いたいと言い張る美夏への諭し方。
それが本当に、桂の言葉を借りるなら思って居る以上に志緒は志緒だな、と思いました。
理詰めにするにしても、あの美夏が黙る位の説得力ですから…よっぽどですよね(笑)
そして。
それをしっかり、幼児ながら自分の中でしっかり噛み砕いて、「せきにん」を理解した美夏に、心が持って行かれました。
かわいそうに、もっと一緒に遊びたかっただろうに。
もっと抱っこして、傍に寄り添って、自分で考えた名前を呼んであげたかっただろうに。
そう考えると、じわりと目頭が熱くなってしまいました。
でも、先生。確かにその日しか空いてなかったかもしれないけど。
潮の残り香を連れて志緒に会っちゃ駄目でしょう。
彼女の目論見は達成されてはいるけれど、いや、うん、女はしたたかですよね。
志緒の為にしてくれた事だけれど、それは……ちょっとまずかったですよね。
その上、まさか美夏としーっかり取引(?)していたとは。
志緒の思う大人と、桂の大人加減。
その部分が噛み合わないからこそ、何歳になっても『宇宙人』なのかな、なんて。
相手が読めないのに好きでたまらない、なんて、そうそうあるものじゃないでしょうね。
一穂ミチさんの清冽なデビュー作、「雪よ林檎の香のごとく」の番外編。
タイトルは、「しゅんじょうよもすがら」と読みます。
志緒の二十歳の誕生日を迎える少し前から当日の話。
妹の美夏(いつの間にやら幼稚園児、そしてmeet,againでは小学生になっているのよ〜)が
拾ってきた捨て猫の貰い主を探すのに、
相変わらず人間関係の狭い志緒がメールを送って頼んだのは、桂とりか(多分)。
職業柄顔の広い桂は、すぐに引き取り主をみつけてくれる。
飼いたくて大泣きした猫を諦め引き渡す時ボロボロ涙をこぼす妹を見て、
自分がそういう感覚から遠くに、大人になってしまったことを感じる志緒。
そんな自分を桂は好きでいてくれるだろうか…
そして誕生日当日。その後の話が、二人のラブっぷり全開でいい。
もう、なんていうのか、いくつになろうが相変わらず鋭いっていうかなんていうのか、
志緒くんだ!としか言えない。
ああ、もうっ!
そんな志緒に振り回されながら、愛おしくてメロメロに参ってしまっている桂も可愛い。
そんな二人にすっかりやられ、「神」をつけたくなっちゃうのはやまやまなれど、
限りなく甘くなっているのを自覚しているので、「萌×2」+αということで!