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shinkokyuu
イエ電と文通が現役だった時代のお話?谷地の何事もスローペースなキャラもあり、現代とは違う空気を楽しめる作品。榛野が人間らしい感情を知るまでの物語でもあるかも。こんなに情けなくなるか、と圧倒される人間描写が素晴らしかった。
会社をリストラされた谷地は冴えないおじさん。セリフ・行動・モノローグの全てが本当に冴えなくて、なんとなく生きてる感が伝わってくる。それでも人並みの感情やプライドはあり、ますます没個性なキャラって逆にすごい。
榛野は谷地視点の前半はロボットのような印象。谷地に執着し、ペースを崩して徐々に空回りキャラになっていくのが面白い。榛野視点の後半は、あまりに恋にのめり込んでいて驚いた。いつか仕事でも大きなミスをしそうでヒヤヒヤする。
榛野が告白しても、谷地が返事をしないまま関係が続いていき、曖昧な状態が結構長い。この間はずっと榛野視点で一喜一憂する様子が描かれ、榛野と同じ目線で谷地の気持ちが分からないと悩める感じがとても良い。
それにしても冷静に谷地をリストラし、仕事のデキる男だったはずの榛野が、ここまでダメダメな姿を晒してしまうのは呆気にとられる。さすがというかなんというか。
榛野が谷地に惚れたきっかけのエピソードを聞くと、人の心に触れた衝撃が忘れられなかったのかな、と思ってしまう。榛野の情けない姿の数々は、人間になるまでの工程の一つのような。
中だるみを感じたのは、榛野視点で前半の話をなぞるところ。一度見たエピソードを別視点で、というのが少々くどく飽きてしまうところがあった。時間を空けて読めば気にならなかったかもしれない。
「深呼吸」「深呼吸2」と2話収録されており、どちらも終わり方がめちゃくちゃ好き。最後の一文がじわっとくる温かさ。読後感も最高。
攻めも受けも人間らしくていいな思いました。特に受けの性格が気に入りました。生真面目白黒はっきり思考のデキる男と思いきや性関係はだらしないしシンプルにミソジニストだなと。嫉妬が混じってる、というか大部分を占めてるし本の中のキャラクターなので可愛く思えます。料理するシーンが好きでした。きのこの切り方をネットで調べてきます。って…可愛すぎました。切るのに失敗したきのこを捨ててしまいたいだとか、逃げ出したいだとか、子供っぽくて感情的で可愛いです。本人は「子供っぽくて感情的な人間?嫌いです。」とか言いそうですけど…笑
ちるちるの質問箱で、美しいことの松岡さんと似た受けが出てくる作品を質問したところこちらを教えてもらいました。
まず、リストラされた×リストラしたの組み合わせ本当に最高です。私は受けがステータス高い作品が性癖で普段から強気受け、高飛車受けを好むのでクリーンヒットでした。
でも、それだけじゃないです。やっぱりなんていうんですかね、、。木原先生の描く受けってなんかもう本当にいじらしくて可愛いんですよね。自分が攻めに嫌われたと思うと、電車から飛び降りて死にたくなる、みたいな思考回路とか。普段受けはそういうキャラじゃないのに凄く健気に攻めの事を好きでいて、恋するってこんな感じなのかな、、って凄く目頭熱くなっちゃうんですよね。感情移入させるのがとっても上手いなって思います。
攻めの谷地もゆったりした温厚なキャラで良かったです。やっぱり、40すぎて年下の上司にリストラ勧告食らうという屈辱も勿論持ち合わせているし、卑屈になったりもするけど、少しずつ榛野を受け入れていく様子も徐々にだからこそ読んでてなんだか心温まるものがありました。
最後のロンドンでの5日間も良かったですね。谷地はノンケなのにわりとスルッと男同士のあれこれを受け入れてましたね。もともと榛野の自分に対する好意は気づいていたから心の準備の時間が確保できてた分拒絶したりすることがなかったのかな。木原先生の作品は攻めが絆される事が多いと思うんですけど、私はそれが大好物です。
木原音瀬先生の作品は4作品くらいしか読んだ事ないですが、木原先生にしてはかなり優しい作品だと思います。おすすめです。
リストラされた職場の元上司が自分のバイト先に通い詰めているところから物語は始まります。
いい大人同士なのに、くすぐったくなるような初々しさ。
そこに猫がプラスされ素敵な時間を共有できます。
受けの榛野は情に流されず効率重視で動ける有能な男。
それは日常生活でも同じなはずが、谷地が絡むことにより歯車がズレていく。
相手を意識するほど、胸を張れるいつもの自分らしさがおかしなものに変わっていく。それに動揺し恥じる姿が可愛かった―。
谷地はゆったりとした独自の空気感、居心地の良さがこっちにまで伝わってきました。
注目すべきはラスト。
イギリス生活が終わる時は進展したどころかベストな関係になったにも関わらず、榛野があじわった喪失感のようなものに、こちらまで悩まされました。
幸せなはずなのにとんでもなく寂しい!!
それだけ谷地の存在を色濃く感じさせてくれたんですよね。
ハッピーなのに切ない!!
絶妙な塩梅の終わり方が新鮮でした。
イラストもベストマッチだったと思います。
谷地の容姿を見て某走り屋を思い浮かべたのはきっと私だけですよね(笑)
でも所々無意識ながら三木さんボイスで変換されていた気がしてきた(笑)
二人の空気感を身近であじわえる読みやすいお話でした。
「たくさんあげたから、お腹がいっぱいになったはずだ。あの鳩は今晩、寝床できっといい夢が見られるよ」
そこまでネタバレはありませんが一応付けました。
木原さんのお話では地獄や性悪な人間を読むのが楽しく、「ほっとする」「癒し」は求めていなかったので後回しにしてしまっていたのです。それが読んでみたら本当に素敵で。無駄を省き合理的な現代人の榛野と同じように、ほっと谷地さんに癒され、家に居つきたくなりました…
ちるちるさんの作品評価基準は「万人にお勧め」なのが神評価との事。ですが私を含め多数の方々は、一部の人は受け付けないけど抜きん出て素晴らしい作品を神と評価する事も多いと思います(違っていたらすみません)。この作品はどちらに於いても神評価だと思いました。
自分と違う性格や考え方に触れて視野が広がるお話が好きです。木原さんの描く、側からみれば特別な特徴の無いような主役然としていないおじさんがどんどん魅力的な人になって好きになるお話も大好きです。
リストラされて弁当屋のアルバイトをする谷地さんは、きっと現実で出会っても会計を終えれば忘れてしまう人に過ぎないのですが、彼の時間の過ごし方、生き物との向き合い方に触れるとどうしようもなく『好き…』となります。
完璧なエリートで仕事人間の榛野が、聞きたいこと言いたいことをスッパリというのも気持ちが良いし(谷地さんも鈍感だから二人の会話が面白い)、話が進むにつれてどんどん甘ずっぱくなっていくのも良いです。彼の人間らしい部分、甘い部分が谷地に触れられ撫でられて猫のように流れていくのがとても可愛い。この猫という表現はありふれていますが、この作品にとっては根底に流れているキーワードであり、榛野の変化であるので、読み進めると何だか胸がいっぱいになります。
谷地の数々の台詞と行動が繋がり、本当に優しくてあたたかくなるのですが、それと同じく恋の切なさも凝縮されたラストは悲しいとか嬉しいとかでなく、愛に涙しました。
情事シーンは多くはないですが露骨具合も繊細さも、相手が好きで大切にしている感じがしてとても好きです。台詞も甘い…!
榛野の周りがちょっかい出すのも楽しいです。要らんことを谷地に吹き込む(勘違いで)医師、榛野とのワチャワチャも見てみたかった。イギリスの同僚も。
何度も読み返したくなるお話ですが
間を空けると序盤の谷地さんが気の毒なのと
坂口に「あいつは(榛野が)リバだから楽しいでしょ」って言われて
リバを若者の流行言葉だと思ってしまうどノンケ谷地さんに
わぁああああってなってしまうんですよね。
そして「坂口てめぇ何言ってくれてんだ!」になるまでセットですww
途中まで、リストラされた43歳の悲しさが書かれているので
妙な話ですがBL作品と意識しない感じなので
読み返すたびに驚くんですけど私だけかもしれません…。
谷地さん視点だと榛野の考えてることがわからず、
榛野視点だと谷地さんの考えてることがわからないので
随分もだもださせられるんですが
すごくリアルな心情でぐいぐい引き込まれてしまうんです。
自分でリストラを言い渡しておいてわざわざ弁当屋に来るなんて無神経だな、とか
あまりにも歯に衣着せぬ物言いが凶器みたいで
もう関わらないでいてくれたらいいのにと榛野に対して思いますが
榛野は榛野で初めての本当の恋に戸惑っていたなんてなぁ…。
自分の根底をひっくり返してしまうほどの相手が谷地さんだというのが
つい後からじわじわ来てしまいます。
ロンドン編ではとにかく谷地さんが絶望的に鈍いな!!と思ってしまうww
だけどそれも込みで榛野はどうしようもなく好きだから
自分の落ち度を呪いたくなったり恥ずかしさで消えたくなったり
日本人観光客の女性に嫉妬したり忙しいんですよね。
幸せの意味を知ってしまったあとの寂しさがまたしんどくて
あの榛野が…………と感慨深くなるのです。
谷地さんがあんなに頼りない感じだったのに
榛野視点だとなぜか別人のような余裕のある年上のひとに見えてしまうのは
もしかしたら榛野フィルターなのかなぁww
いやいや、実際谷地さんはいい人ですからね。
真面目過ぎて榛野の行為を途中で拒んだ時はつい怒りを覚えてしまいましたけども。
あんなに非効率的なことが嫌いだった榛野にずいぶんと人間味が出て、
ラストはちょっと切なくなりますがとても充足感を得られます。
もしかしたら木原作品で一番好きかもしれません。
イタイお話が大の苦手で、なかなか手を出せない木原先生。これは大丈夫な方と答姐で書かれていたような記憶があり手に取ってみました。はい、イタくはなかったです、じわじわ萌えーとする作品でした。教えてくださった皆様、有難うございます。
b-Boy2002年11月号に掲載されたもの100Pほど+その続きの書き下ろし140Pほど。40代と30代という分別あるはずの大人のもどかしい恋模様 です。色っぽいシーンは少なく、地雷として40代おっさんに少々女子が絡むこと でしょうか。
とにかく年齢層がほんのちょっと高い・・・ので萌どまりです。この年齢でないとこの味はでないと思うんですけどね・・・やっぱり美しい~★というビジュアルの方が好き・・・・
継続して淡々と業務を行うという点において優れている40代さん。評価としてはやはり劣後となりリストラ対象になります。そのリストラした方が30代さんで、40代のおっさんが始めたバイト先(お弁当屋さん)に弁当を買いに来る。1回のみならず何度も・・・。
登場人物はこの二人と40代さんの親戚筋(♀)、30代さんの同僚、セフレ等 です。
弁当何回も買いに来てるやん、なんか気がつけよ と思うのですが、このおっさん、もともとの性格に加えて40代だからか、とことん気がつかない。そんな二人がちょっと近づくところまで が前半で、後半はロンドン赴任した30代さんのところへおっさんが電撃訪問してくるというもの。そんな行動力あるんやったらもうちょっと早くに動けよ という気もしますが、ここまで焦らしてくれたからのこの最後の感動かもしれないです。
とにかく最後がいいです。じれったくて途中苛々もしたのですが、この最後で全部OK!と思ってしまいました。
大人の男たちの切ない恋のお話。
温厚で多くを求めない谷地、冷徹で向上心の塊の榛野。二人は、リストラされた者とリストラした元上司。
真逆な二人が静かにゆっくり近づいていくのがよかった。
表紙イラストも、片思いする榛野と戸惑う谷地の関係をよく表しているなあ、と思いました。
とても好きで、読み返すたび、じっくり眺めてしまいます。
表題作の「深呼吸」では、谷地と榛野がやっと友人のようになったと思ったら、榛野は谷地から遠く離れてロンドンに行くことを決め、自爆のように想いを告げます。後日談の「深呼吸2」では、半年後に谷地がロンドンの榛野を訪ね、一緒に観光したり料理をしたりといい雰囲気に。小さな波乱はあるものの最後は恋人同士に。
「深呼吸」は谷地の視点で書かれていて、一読目は、榛野がなぜ、どのように谷地を好きだったか分からなかったのですが、「深呼吸2」で種明かしのように榛野の気持ちが書かれているので、あらためて「深呼吸」を読み返すと、榛野が驚くほどいじらしい人物に見えました。榛野の気持ちを思い出しながら読み返すと、すごくドキドキします。
一番好きなのが、野良猫にエサをやる谷地の話。
猫にエサをやるのは自己満足のためかと問う榛野に、谷地は、自分が野良猫ならその時だけでもお腹いっぱいになりたいし、誰かがエサをくれると期待するのは希望ではないか、と答えます。
谷地の深い優しさに触れて、榛野は「猫なんかじゃなく自分を見てほしい、自分に優しくしてほしい」と切なく、自分の恋心を自覚したのですが、ロンドンに発つ前、谷地には「そういう考えの人もいるんだと思いました。」と、淡々と話しています。
こういうことがあったから、あなたを好きになった、と素直に言えなかった。
猫みたいに素直に甘えられない榛野が、すごく可愛い。
猫が、この二人を結ぶ小さなキーワードのようです。
日本で、夜遅くに谷地の家を訪ねたいことがあったときも、榛野は「猫にも会いたいので」と口実にしていたし、ロンドンで谷地を誘惑しようと膝に乗り上げても気づかない谷地に、「猫の真似です」と。
ハラハラしましたが、最後、両想いになれて、よかった。
谷地は榛野の家の冷蔵庫を食材で満たしてからロンドンを発っていきます。
榛野がそれに気づいたのは、谷地を空港に送り一人寂しく帰宅してから。料理が苦手な榛野のために、そのまま食べられるものをたくさん。日本にいた時より痩せた榛野を心配して。
谷地は本当に榛野を好きなんだな、と分かるエピソードの一つなのですが、正直言えば、谷地がなぜ榛野を好きになったのか、もっと知りたいと思いながら読み終えました。
ネットで、その後の話は何かないかしら、と探していたら、「plus story」を電子書籍で読めると分かり、思わず喜びの声をあげてしまいました。
それを読んだら谷地の気持ちが分かり、「深呼吸2」を読み返したくなり、また「深呼吸」に戻り、続きの「深呼吸2」、「plus story」を読むという無限ループにはまり…。
何度でも読み返したくなります。
何度も読んでしまう私の中の一冊。
執着具合とか、なぜか私のドツボ。短いスパンで4度目の再読。
読むものがなくなると、ついつい読んでしまう不思議な作品。
そしてほっと〇っとの前を通ると、想像して楽しんでしまう変態な私。
攻め様の懐の深さなのかな、私を捉えて離さない理由。大人なんだよな~
自分にリストラを言い渡した相手なのに...その受け入れ方が...(私なら受け入れられない)
なんかね、胸がきゅっと苦しくなるのです。
谷地さんが怪我をしたバイトの代わりに夜のシフトになり、榛野さんが来て「夜の時間帯に勤務を変えたのは、私のせいですか?」の場面、息苦しくて死ぬかと思いました。執着具合がたまりません!
木原さん、素敵な作品が多い。でも、この作品は上位ではないのですね。
私的には木原作品断トツのNO.1なんですがね(笑)
多くの人に読まれるといいな。