条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
tsumibito no hana
帯「二ヶ月連続刊行第一弾。期待の新人、初ノベルズ」
255P(後書き2P、口絵カラー1P、本部内イラスト10P)
こりゃどえらい新人さんが現れたもんです、すげー。
これは迷わず神です、新人神!!!
初ノベルズにしてこの完成度の高さはまさに帯通り「期待の新人」ですね。
後書きに続刊報告があったので読み終えて即効買いリストに入れましたよ。
こういう表現は好きじゃないんですが、BL枠だけに留まらないものを感じました(うーん、やっぱりこの表現は好きじゃないけどこうとしか書き様がないです)
作中でタイトルの「つみびとの花」の言葉が出てくる部分で無性に感動しました。
喘息が北川[攻]と氏家[受]との2人にとってそれぞれ意味を持ち、2人を繋ぐ要因の一つにもなるのですが、一般小説も合わせてここまで喘息描写を丁寧に書いた作品も珍しいんじゃないでしょうか。
あと漢字とひらがなのバランスが絶妙、普通これは漢字変換するんじゃね?って字をあえてひらがなが使われてるんですがその匙加減がいいんですよ。
安さ優先で基本文庫大好き人間なんですが、これはハードカバーで読みたい!と思いました。
ともふみさんのレビューに「挿絵なしでもいい」とありましたが、それ凄いよく分かります。
ハードカバーの挿絵なしで読みたい、そんな作品です。
二段組でボリュームたっぷりなのでがっつり時間を忘れて読みたい、そんな時にお勧め。
深い作品でした。
シングルファーザーである攻めが、いきなり娘を事故でなくしてしまうところから物語がはじまります。
どうしようもない悲しみの中で、「本当は責任はないけど少しは責任のある男」をレイプする。攻め本人も、自分のしたことが無茶苦茶なことだというのを自覚している。
最初はやり場のない感情(悲しみ、怒り、苦しみ、その他ぐちゃぐちゃの名前もつけられないような感情)のはけ口でしかなかった受け。
でも受けは娘と同じ喘息の病気を持ってて、その看護をしたことから、攻めは受けを「娘の身代わり」として慈しみはじめた――ように思えました。
後半あきらかになってくる受けの半生も相当過酷なもので、読み進むうち、この二人が惹かれあった理由が分かる気がしました。
受けもまた、「親の愛」に激しく飢えてる人間だったのだ。
二人ともはっきり自覚はしてないけど、互いに求めるものが一致してたんだなって思って。
もちろん性的な関係があるわけだから親子愛じゃないし、恋愛感情も芽生えてくるんだけど、それ以上に「子供を慈しみたい気持ち」と「親から慈しまれたい気持ち」が合致して、ゆえに余計に惹かれあったんじゃないかなって。
読んでる間ずっと胸がちりちりと痛かったです。
最初に…ほんっとにこの方の作品素晴らしいです!!
デビューされたばかりとは思えません!
どうか、どうぞ読んでみて下さい。
何かを感じて頂けると思うのですが…
なんか回し者みたいですね(笑)
私はまだ、この作品は買ってはいないのですが、以前佐田さんが小説ブログをされていた時に『つみびとの花』読ませて頂きました。
ちょっと話の雰囲気として水城せとなさん寄りかな~と思ったり。
ネタバレはあえてしませんがとにかくお話が深いです。考えさせられるし、男同士、お互い対等な関係で書かれていますので女々しかったりショタが苦手の方にとってはかなりの確率でヒットなんではないでしょうか。
佐田三季さんのファンがどんどん増えたらいいなーと思う今日この頃です。
再びこんばんはです。
わー、わー、やはり同じ方なんですね!嬉しいです。
日記ブログのお知らせもありがとうございました。早速のぞいてきましたよ~。やはり小説の方は休止されたままなんですね。残念ですが、これからは商業の方での活躍を応援したいと思います。
そして明日の仕事帰りに、スキップで買いに行ってきまっス!押忍!
うわーコメント有り難うございます!!
そうです!まさにその方です!!
今はブログの方は休止されてますが日記の方のブログは続けてらっしゃいますよ★(夜の終わりに ちょっと一服)
本当、佐田さんのお話は痛くて暗いんですが最後は救われるし、その救われ方が100パーセントじゃない所が自然でいいんですよね…
あ、調度今『あの日、校舎の~』がアマゾンから来ました(笑)
ともふみさんも書店へダッシュですねb
ルイさん、こんにちは!&はじめまして、ともふみと申します
ルイさんと茶鬼さんのレビューに惹かれて二作品ともとても気になっていました。
でも、あらすじを読むとものすっごくデジャブ感があって自分でも??だったのですが、ルイさんのレビューを拝見して、もしかしてネット小説として掲載されていた頃に泣きながら読んだ作品と同じような気がしてきて、確認したくていてもたってもいられずコメントしてしまいました。
作者さまのHNを全く覚えていないのですが、確かサイト名が「夜のホニャララに(←うろ覚え)愛について」というような感じで、BLの他に男女ものの作品も一緒に掲載されていた小説ブログさまでしょうか??
もしそうなら、好きな作風の方だったのに読めなくなってしまい悲しかったので、書店にダッシュしなきゃー!と、ウズウズしてます。
これまた不幸のオンパレード。
でも単純に、可哀想なシチュで泣かせるためだけのお話ではないと思う。
上手く言えなくてもどかしいんですが、物語の根っこには人と人の関わり合いがあって、切実で真摯な人間ドラマのような趣きがあります。でもちゃんと恋愛もの。
恋愛だって人と人が向き合う上で生まれる関係性の一つなんだから、人間ドラマとも言える。そんな風に感じました。
最愛の娘を事故で亡くした北川(攻め)の前に現れたのは、バス事故の時に運転していた氏家(受け)という青年。直接的な加害者ではないけれど、監督責任があった保育士です。
圧倒的な喪失感の中で自分を見失っている北川は、目の前に転がり込んで来たこの青年の罪悪感に付け込み身体を強要することで、自分が味わっている地獄への道連れにしようとします。
なんともシビアな始まり。
でも、テーマは贖罪や愛憎ではありません。
脅しという非常識な形で始まった関係の変化。それをもたらす心の推移がメインとなっていて、ヒリヒリとした重たい話ながらも余韻は優しく、心に残る良作でした。
主役である北川が色んな顔を覗かせていて、いちいち胸にきました。
娘を心から愛する父親、劣情を抱く雄、愛情深い世話焼きな保護者、脅迫する犯罪者、寂しくてたまらない弱り切った孤独者、恋をする一人の男。
そのひとつひとつの感情が、淡々としているのに切実で、身につまされます。
恐怖に近い孤独感に苛まれていた北川が氏家を求める様子は、陵辱ではなく、ほとんど溺れる者が藁をも縋るような切迫感があります。
そういう意味では完全な依存で、純粋な恋愛感情とは言えないかも。
でも、純粋な恋愛ってなんだろうな?
北川にとって氏家は、偶然見つけた八つ当たりの道具でしかなかった。多分誰でも良かった。でも、「だれもな、だれかのかわりになれないんだよ」という台詞が示すように、その後に生まれた関係性は氏家相手だから築けた。
娘の羽奈ちゃんの先生であり、同じく孤独を知る氏家だったからこそ、北川の苦しみや寂しさや優しさを違えずに汲み取れたんだろうな。
誰かを愛しく思う感情は、巡り合わせなんだなあとしみじみしてしまいました。
色んな箇所でホロリとなりました。
特に2話目でのまどかちゃんや柳瀬親子とのエピソードでは、やたら涙が出てしょうがなかったです。
なんていうか、脇役がみな生きているんですね。
キャラが立っているという意味じゃなくて、小さな子から年配者まで例外なく、それぞれの事情と価値観のもとで自分の人生を生きているんです。
日々を送る中で時にはそんな彼らと接点があり、その都度で何かを得たり、噛み合わなかったり。
主役たちの目を通して彼らを嫌だなと思うシーンはあっても、(主役を含め)そこには「いい人」「悪い人」という作者による線引きがありません。そういう人と人の関わり合い方が描かれている。
もはやBLとしての感想なのか自分でも疑問ですが、単純な勧善懲悪ではないそんな世界観が、個人的にはとても好きだなあと思いました。
それとこのお話、イラスト無しでいいかもと感じたり。。
レーターさんには申し訳ないんだけど、漫画的な挿し絵にもの凄く違和感が…って、わたしだけでしょうか?萌えを求める話ではないからかな。
そんな話が好きな方は、是非是非読んでみてほしいです。
こんばんは茶鬼さん!
はい、ようやく読めて嬉しいです~。
ネットで読んでいるので多分3度目なのにのめり込む様に読んで、またしてもボロボロ泣いちゃって、鼻が詰まってオエッってなりました。
悲しい話なんですが、癒しがありますよね…タイトルも沁みました。
ほんと、色んな人に試してみてほしい本だと思います。
おふたりのレビューのおかげで再び巡り会えてよかった…。ありがとうございますーーーーーーーーーーーー!
マイページの好きな作家さんリストに加えねば!
ともふみさま
よまれましたね♪
「神」がついていて、感激しました!!
本当に、BLっていう枠を超えてズシンと心に響くお話でしたよね。
自分も、共依存が始まりだなとは思いましたが、ものすごく納得のいく展開でした。
涙もボロボロでした~
イラストは、、気にしなかった、というか話に熱中するあまり、絵があることにもあまり気がつかなかったくらいです。
この本、もっと皆に知ってもらいたいし、読んでもらいたいと思いますっ!!
作品全体に漂う雰囲気に呑まれてしまいました。
泣けるところは沢山あるんですが、どこかでドバーっと泣くというよりは、全編を通してず~っとじわっと涙目で読んだ感じです。
主人公である北川がとても人間らしくて、悲しんだり、途方にくれたり、理不尽な八つ当たりをしたり、酷いとしたり、優しくしたり、甘えたり、大事にしたり、落ち込んだり、無理したり……、本当に沢山の感情を見せるのですが、それが全然ブレて見えないのはバックボーンがしっかりしてるからなんだな、と、佐田さんの力量と丁寧さに感嘆させられました。
当人同士だけじゃなく、脇のキャラたちも、漫画的いい人でも極悪人でもなくて、それぞれに事情を抱えている普通の人たちで、ホントに人間くさい。
BLというよりも、ヒューマンドラマを見たような気がします。
いや、もちろんちゃんとガッツリBL要素はあるんですが。
こんなに切ないお話の中、私は北川が好意を隠さない人だったことが、本当に救いでした。
強姦から始まった関係だから、好きだと自覚しても「今更好きなんて言えない」って展開に転ぶこともありえたと思うし、実際BLではそういう展開のほうが多い気がするんです。
それももちろん好きだけど、このお話に関しては「好きになったから傍に居て」と言ってくれて良かったと思いました。
縋るようで痛々しくはあったけれど、北川が氏家を求めるたびに、「この人はまだ大丈夫。何度も一人ぼっちにされてしまった人だけれど、まだ誰かに優しくしたりされたりすることを諦めてない」と、そう思えました。
この作家さんの書かれるお話を、もっと読みたい!
もっといろんな人に読んで欲しい!
いや、きっと近いうちにとても大きく羽ばたかれる方だから、今くらいはこっそり宝物として大事にしときたい!
読み終えてそんな気持ちになりました。
必ず泣けると言う高評価作品だから、期待を胸に取って置いたのです。泣きたかったから手にしました。
「北川」の一人娘を亡くした喪失感や絶望感は、想像して果てしないです。
誰を恨めば良いのか怒りの矛先も見えない。
茫然自失の内に葬式が済んで、気が付けば1人ぼっちで骨壷を前にしている。未来は無い絶望しかない。
そんな時に、体を震わせ頭を下げた「氏家」が、心ならずの慰謝料を持って来てしまった。
細かな背景や心情が、紙面からずんずん伝わってきました。
北川の悲しみや怒りを思うと、誰かにぶつけ壊してしまいたくなるのも分かります。
それが、1人ぽっちの悲しさを知る氏家だったから“理不尽”でも北川を受け止めたんだと思うのです。
北川の、加害者が得る“ある種の充足感”が、留まったままの自分を動かす燃料となり、被害者の氏家を思い遣る気持ちも湧かせていきます。
負の感情が別の負を覆い隠そうとする図が浮かんだんですね、北川と氏家の両方に。
そして、北川が揶揄した、ヨブ記の「主は与え、主は奪う」
善人で家族に恵まれ金持ちのヨブが一瞬で全てを失って、それでも神を崇めたというあの話。
ここで、
「無が全って事なんだろう?」
「“我が神、我が神、何故、我を見捨てたもうや”の方じゃないか?」
と逡巡する自分に、作者はその直後、氏家に「好き」「とても好き」と告白させました。
北川も(自分も)救われる希望が、心にじわじわと浸透してきます。
表題作は、北川と氏家がお互いの気持ちを確かめあう迄。
【苦しい息もたえだえに】は、
主に、氏家と婚約者家族の悶悩の部。
同性愛・・・刹那の関係だからと、沢口や当事者のまどかが嫌悪するのは仕方ないです。
(【どうしても触れたくない】を思い浮かべた)
でも、氏家は北川をきっぱり取ってくれた!潔い清々しさが良い!
北川側の、同情する周りのおせっかいのあれこれ話も、小説に現実感を出しているのだと思います。
悲しみは消えるものではないけれど、薄めてくれるものはあるんです。救いがあって良かった。
ちゃんと心の中で泣いたと思います。有難うございました。
ノベルスでしかも二段組み…本を開いた瞬間に怖じ気づきましたが、みなさんのレビューを信頼して読み進めること数ページ。
そこでもう、二段組みなんて苦ではなくなるくらいお話にのめり込んでました。
主人公の二人ともが不遇の人生であり、その人物の背景が暗くてそして深いです。
物語を彩る周りの人たちも、個性的というか…本当にお話の中で生きてるんだなと感じる自然さ。
こういう人いるいる…!と感じるリアリティがありました。
お話はこれでもかというほどの不幸とやるせなさ。
設定自体がずるいくらい悲しいので、泣くものかと悔しくなりつつ…
やっぱり涙を我慢できませんでした。
ずるいです。こんな設定じゃあ泣ける話になるのは必至…!
でも、本当に泣ける話に出来るのは佐田先生の文章力の成せる技なんでしょうね。
なんだか、雰囲気がBLではなくJUNEのようで、昔っぽさというか…
なぜか懐かしい気持ちにもなってしまいます。不思議。
ハッピーエンドが当たり前で、ほんわか明るいBLが好きな方には合わないかもしれませんが、たまにはこんな深くて暗くて切ないお話もいいものです!
ページをめくると文章は二段組み。
あらすじを見ると娘をなくした父親が、怒りを保育士へぶつけるという、大変に重苦しそうな内容。
しかし読み始めると、すっかりのめり込んで、胸が痛くて痛くて、、、鼻の奥がツーンとして、、、一気に読み終えてしまいました。
読み終わっても胸がいたかったです。
保育園のバスが衝突事故を起こし、運悪く娘が亡くなってしまった妻を亡くし男手一つで育ててきた北川。
誰にも怒りをぶつけられなくて、謝罪に来た保育士の氏家を強姦し、教会系の保育士であることから脅し、謝罪するなら毎週家へ来いという。
逃げようとする氏家と、氏家に段々執着する北川。
婚約者がいるという氏家と北川が、どのように寄り添っていくようになるのか・・・?
読み進めるうちに、共依存・転移・逆転移 という言葉がよぎりました。
北川も氏家もまったくのノーマルな男性です。
しかし、それぞれに事情を持ち、幼いころのトラウマを抱え、愛を求めていたのは間違いないのです。
特に、北川の娘と氏家が同じ病気を持っていたと言う部分が大きいでしょう。
無理矢理な性交渉であるから、逃げたくてしようがないのに、今まで与えてもらえなかったぬくもりを氏家は知ってしまったからです。
そこで、お互いに失くしたもの、欲しかったものへの依存が始まってしまったのかもしれません。
氏家が、とてもうじうじ(洒落ではない?)した性格で色々なものを呑みこんでしまう人なので、余計に苦しさを感じます。
北川が一人になったことでの周りの人間が色々な形で関与して出てきますが、女性の存在がまた一つ大きな役割を担っていました。
氏家の婚約者である、里親の娘。
北川に縁談を勧める会社の社長の奥さんと、進められた子持ちの女性。
いずれも、とても自分勝手に見えるのですが、それはこの話の主人公もそうであるかもしれないのです。
ただ、接点が交わらない人達であるということ、だからここの女性達を嫌ったり、蔑んだりすることはできないのです。
氏家の婚約者が帰国するまで、と期限を付けて氏家を自分のものにした北川が、手放す時、彼の心もまた切なくて、どれだけ氏家に依存していたかわかります。
北川の為に、それとなく知られないように九官鳥を託す氏家の心のおくゆかしさは、そんな意味があったのかとまた切なさを誘いました。
『苦しい息もたえだえに』
北川も氏家も弱い人間です。
でも一つの事故を通して離れられない存在となったときに、氏家は、北川は二人でいる為に勇気を振り絞ります。
婚約者の女性の思惑はずるさを感じさせるが、人の幸せを踏み台にして自分の幸せは成り立たないのですよね。
決して明るい話ではありません。
全編通して、重く、苦しく、時には怒りさえ感じます。
新人作家さんで、ご自身のブログで書き連ねてきた作品だけにとてもこの世界にのめり込んで作られているような感じも見られますが、この丁寧さが逆に初々しくて、こなれた作品を次々に出す中堅の作家さんの作品よりも、読ませる作品になっていることは間違いありません。
来月の刊行作品、そしてまたその先も期待したいですね。
静かに泣かされました。
初っ端から、北川が唯一となった家族の娘を事故で亡くすという悲劇から始まります。
北川の過去が既に凄惨なもので、愛した妻も亡くし、たった一人の大切な娘ですら失う絶望。
どれだけ傷付こうが、苦しくて息が出来なくなりそうでも、時間は平等に巡り、必ず朝もやってきて刻一刻と時を刻んでいくその中で感じる孤独。
氏家は運転していた、その事故の当事者として重い責任を感じ、こちらも苦しんでいます。
氏家にも凄惨な過去が有り、愛されない絶望を知っています。自分だけの温かい家族という憧憬も強くあります。
仲睦まじい親子を、憧れていた家族を自分が壊してしまった(と背負い込んでいる)過ちから、北川に虐げられても償いだと受け入れる氏家の苦しみにも泣かされました。
お話の中で何度か出てくる、夜が明けていく空の色は、彼らの悲しみや苦しみが徐々に緩和されていく過程のように思えました。
時間と、そしてお互いの拙い人肌という温もり。ぎこちなくはあったけれど、当たり前のように差し出される思い遣りや気遣い。それらが、北川と氏家それぞれの抱える痛みや哀しみを、静かにゆっくりと薄めて夜が明けていくんだなぁと。
ジワジワと胸に突く、北川と氏家の孤独や愛情に飢えた幼少期、事故の被害者と過失者という立場、それぞれが抱える苦しみや哀しみに、とにかく終始涙がはらはらと溢れていきました。
嗚咽が漏れたり、声を上げるのではなく、本当に静かに泣かされました。
そういう意味では凪いだ切なさを孕んだお話です。
でも、静かな真っ暗だった夜から、少しずつ明けていく東の空のグラデーションのように、ゆっくりと二人が闇から這い出し、歩み始めていくという表現に、痛くて切ない話で終わるんではなく、ある種の爽やかな読後感を味わいました。
傷の舐め合いなのかも知れませんが、北川は庇護できる存在を、氏家は自分が大切にしたいと思う家族(人)を求め、お互いに優しく思い遣る関係を築いていたんだと思います。この先、この二人にはたくさんの障害や繰り返す哀しみ、苦しみがあるだろうけど、ゆっくりと二人で肩を並べて歩いて行くのだろうなぁと想像できる、優しいラストでした。
自分の当たり前のように存在している家族を大事にしていきたいと思わされました。
久々に泣ける作品と出会えた、佐田先生の本は初めてだが、とても実力のある作家さんです
他の方々も言ってたように、号泣するような展開ではないが、じんわり、ホロホロと涙が零れる。悲しくて、愛しくて、苦しくて、切なくてそして優しい気持ちになれる一冊でした。救いようのない展開だが、最後の結末にちゃんと光が見えて、また泣けた。どうかみんなに幸せが、と思わず願いたい