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運命という名の檻から あなたを解放してあげたかった。
ai wa shitsuin no yami ni naki
12歳差ですよー。
年の差好き(年上攻め)にはたまらない仕様です。
それに、受けがツンツンしておらず健気なのも好感が持てます。
こちらどうやら前作があるようでそちらは受けの弟のお話なのですが、わたしは未読です。
まったく問題ありません。
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受けの秀士は、特殊な血を持つ故に身体へ瘴気を溜め込み、それにより新月のたびに身体へ激痛が走る呪われた血族の少年。
攻めの透は秀士の従者で、秀士の家とは対極となる神社の息子。
秀士の父親の従者である真原の弟で、弁護士。
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新月の痛みを緩和し瘴気を中和させるには、第二次性徴とともに従者と交わらなければ耐えられない…
すごい設定です。
従者に抱かれることだけが激痛をおさえる方法で、そのために透は当主と兄の営みを見せられ学ばされたわけですが!
なんですかこの萌えシチュエーションは!
それを覗き見てしまった秀士と同様、こちらまでドギマギさせられました。
お話のスタート時は、透が22歳で秀士が10歳。
従者として秀士へ透が仕えることとなり、いつも共にいるようになったふたりですが、お互いボタンがかけ違っていて両想いなのにも関わらず、それから秀士が20歳になるまでこじらせております。
秀士は透に嫌なことをさせたくないと新月の苦しさをずっと一人で耐えていましたし、透は方便を駆使しても抱きたい、楽にしてあげたいと思っていまいました。
秀士視点なので秀士が透にベタ惚れなのが良くわかるのは当たり前ですが、読んでいるだけでも透が秀士を大事で大事で仕方ない様は伝わってきます。
お互いの気持ちを理解しあってからの透の箍の外れた感じは、ニマニマします。
可愛い連発です。
後半にSSが二本収録されています。
一本は透視点、もう一本は秀士の父親の宗士視点です。
二人の内面に触れられていて、とても良かった!
特に先代の宗士は本当に不幸で…
内容の割にスルスルと読めて、お時間がない方でも大丈夫かと思います。
「月は執愛の闇に濡れ」のスピンオフで、本家の兄のお話になります。
逃れられない運命を厭う主人公が、それを一緒に背負わされた従者を解放してやりたいと苦しむ姿がしっとりと描かれています。
新月がやってくると体に変調をきたして苦しむ秀士は10歳になった時、側に仕える者として、父に付いている弁護士の真原の弟・透が付くことになります。
朔久原の家というのが、男子にだけ特別な力が備わって生まれ、それを昔から神のようにして奉り、利用する組織がありという複雑な家であることが原因です。
新月になると現れる瘴気はいわゆる発情なのです。
そして真原の家のものだけができることというのが、その浄化。
なので、自然と性行為というのが伴って発生するのですが、父のそんな姿を見た秀士はショックだったのですね。
透を遠ざけるのも、父のその姿を見てしまったので自分もそうなってしまうことへの恐れもあったのですが、透が自分の事を好きではないと思っていたこと、
そして透は本当はやりたい事があったのに、自分の側に仕えなくてはならないという不自由を強いていることへの後ろめたさ。
そんなことから自分がいなければいい、朔久原の家なんかなくなってしまえばいいと思うのですが、そうなったら、朔久原の家と共存している真原の家がつぶれてしまうことになると、秀士は悩むわけです。
透は透で、秀士に冷たく当たるのには理由があって・・・
読者としては、両想いでしょ、という結末はわかるのですが、何せ家というものがつきまとうばかりに二人が不憫で。
また父というのもとても悲しい人だったのです。
初めて二人が交わる時、一度だけだからと騙された形で一緒になるのですが、お互いの気持ちが誤解を生んだままだったからそれがとても切なかった・・・
その点は「闇に誓う執淫の」で透視点で秀士への気持ちが。
「闇に描く愛情の」で父親の秀士への愛が。
そうやって補足されているので、とても秀士は愛されていたのだということがわかるつくりになっています。
透が従者であるだけに、攻めが敬語攻めになっていますのでそれが萌えツボか?
この作中では「月は執淫の~」の温士(秀士の弟)が5歳で登場。
なので、この本の後に「月は~」を読んでも二人の運命の違いを読むことが出来て楽しめると思います。