成澤准教授の最後の恋

narusawajunkyouju no saigo no koi

成澤准教授の最後の恋
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×210
  • 萌18
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
14
得点
147
評価数
41
平均
3.7 / 5
神率
24.4%
著者
高遠琉加 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
高永ひなこ 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
成澤准教授の最後の恋
発売日
電子発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784044550042

あらすじ

なにもかもつまらない――。そんな成澤は、非常階段から飛び降りようとしている蒼井を助ける。しかし、「ただ雨に濡れたかっただけ」と呟く蒼井が、なぜか気になり、無理やり担当編集者にさせるが…。
(出版社より)

表題作成澤准教授の最後の恋

31歳,フランス文学准教授
文芸誌新人編集

その他の収録作品

  • 春惜月
  • あとがき

レビュー投稿数14

最初で最後の恋( ´∀`)

惹き込まれる美しい文章、思い浮かぶ情景。
とても好きなお話の1冊です(^∇^)ノ


受け様の蒼井は、文芸誌の新人編集。
攻め様の成澤は、フランス文学准教授。

成澤は退屈な毎日を過ごす中、蒼井が密かに報われない純愛を大事にしている事を知り、それが見たいと思う。
初めは興味本位な気まぐれだったはずなのに、気付けば蒼井のことでいっぱいに。

攻め様である成澤視点で進むので、成澤が蒼井をどんどん気にしていく様子がとても萌でございました(≧▽≦)

好きな人の身代わりだったと知って傷付く姿、受け様なら見てきましたけど、攻め様はどうだったかな。
成澤としても、遊び半分のスタートだったから、ある意味攻めザマァな展開ともいえるのだけど、それを楽しむお話じゃない。
成澤が恋の淋しさを知り、恋に振り回されるサマが、情感たっぷりでとても好きです( ´∀`)


受け様である蒼井視点の『春惜月』
こちらもとても好き。

大人だと思っていた成澤の、案外子供っぽい一面にふふってなっちゃいます。
独占欲が強くて子供っぽいワガママで蒼井を困らせる事もあるけれど、大人の優しさもあって。
成澤の魅力を再確認でした(*^_^*)


イラストは高永ひなこ先生。
口絵が肌色(//∇//)

1

恋を知り、淋しさを知る…成澤恵という男

『欲しいものはなんだって手に入る。』
大学でプルーストを論じ、気まぐれなベッドの中でヴェルレーヌを暗唱する、そして全てに退屈して…若く美しく、それゆえに傲慢なハイスペック男成澤恵。
退屈しのぎに、純愛を隠しているらしい平凡な編集者蒼井に興味を抱く成澤。愛も恋も夢も信じない成澤は「純愛」を見てみたいと思う。
大学出たてのガキで世界も狭い、と見下していた男を自分が誘惑したのだ、と思っていた。それでも絡め取られていたのは成澤の方。
いつでも自分の思うがままにその身体を抱きながら、薄々感じている違和感。
ある日ついに蒼井の純愛の相手を知る。「でも、死にました」
なぜ自分と寝たのか問う成澤に「彼と似ていたから」と答える蒼井。
誰かの代わりだったなんて、と打ちのめされて、それでも…
成澤が初めて知ったのはその感情。それが、恋。
『「俺はこんな淋しさを知らなかった」淋しさを知らないなら、恋を知らないのと同じことだ。』

「春惜月」
二人が恋人になってからの、受け視点からのエピソード。
初恋の彼のお墓詣りと彼の実家への訪問、そして囚われの冬から解放されて成澤と春を歓ぶ蒼井。

高遠先生の紡ぎだす言葉たちの美しさに萌え、その華やかな語彙となんの矛盾もなく並ぶ「ほくろ攻め」のエロさに大いに萌えました。

5

大人になってからの初恋

成澤恵、フランス文学部准教授と新人編集者、蒼井友也。
最後じゃなくて最初で最後の恋(笑)
なんかこう、鼻持ちならない男、成澤の成長物語?
最初は、なんとなく自分を見ない蒼井の目を自分へ向かせようというゲーム感覚で蒼井にアプローチしていた成澤ですが自分から蒼井に落ちました。
うん、落ちて良かったね。
頼りなさげに見えていた蒼井が本当はけっこうしっかり者でした。
蒼井の過去は辛くてせつないけれど成澤はけっこうしつこいと思うのでずっと抱きしめていてくれると思います。
お幸せに・・・。

2

恋はしてたはずなのに…。

遊びなれた攻が本気の恋に堕ちるという至極わかりやすいストーリー。
王道中の王道ともいえるこの領域でありながら、非常に面白かったです。
ルビー文庫だから…と躊躇している方がいれば、それは考えないで読んでみてほしいです。
ほかのルビー作品よりもしっかり読み応えがある印象(個人的な感覚ですが)

恋はたくさんしてきたと豪語する成澤ですが、実のところ、この出会いで気持ちが動いていくまで、それは「遊び」の領域でしかなくて。
駆け引きめいたことをしたりと、本当に「恋」と呼べるような必死にがむしゃらに縋りつくようなものではなかったんですよね。
今回も最初はちょっとした好奇心のようなところから始まって。
それが、恋とは知らないままいささか強引に距離を詰めていって。
それで相手が拒絶すれば終わりといえば終わりになっていたのですが、蒼井の方にもいろいろと思うところがあったから関係は成立したように見えて。
一緒にいれば一緒にいた分だけ抱き合いたくなったり欲しくなったりの成澤。
けれど、蒼井との心の距離は縮まるようで縮まらない。
どこか遠くを見ているような蒼井の心に深く根付いているもの。
その正体を告げられてからの成澤が、どうしても欲しくて蒼井を迎えにいったシーンのセリフがとても印象的でした。

「春悔月」では蒼井視点になります。
本編では結局語られることのなかった蒼井の過去への解答みたいなのがここで明かされて。
明かされたけれど、それは既に過去になっていて。
いつまでも抱えていくものではあるけれど、ちゃんと前を向いて「今」を生きていけるようになれているようでした。
成澤の子供のようなところとか淋しがりなところとかもかわいいです。
そんな淋しがりで独占欲も強そうな成澤が、蒼井の過去のことも知ったままちゃんと受け止めてくれるようなところもあってよかったです。

2

文化や芸術や思想は心の糧

高遠さんがルビー文庫?!
当初はカラーが違うのでは??と思ったのですが。
ルビーと高遠節の華麗なるコラボ。
なんだかとっても、面白かったです!!

厭世的で人との深い付き合いを避け、
刹那の恋ばかり経験してきた成澤准教授。
そんな彼が平凡だけど純粋で真面目な新米編集長に恋をし、
最初で最後の恋を手に入れるお話でした。

恋の駆け引きに手慣れた百戦錬磨な成澤が、
蒼井知らず知らずのうちに掻き乱されて、
オロオロする姿が可愛いです。
本気になればなるほど余裕がなくなる成澤が
とても魅力的だし、共感できます。

あと二人は職業柄、とても読書家で。
芸術や文学をこよなく愛しています。
「世の中が戦争や経済危機と騒いでいる時に、
悠長な学問をやっている」
と言った成澤に対して、蒼井がこう返します。

「本は食べ物や生活必需品を生み出すわけじゃない。
でも文化や芸術や思想は心の糧になって人を支えてくれるもの。
だから神様と同じようにどんな国のどんな民族の間でもなくならない」

この蒼井の言葉に、成澤はうっかり感動するのですが。
私もうっかり、ジーンとしてしました!

困窮した時代では、文化や芸術は真っ先に切られるものですが。
お金はかかるし、一見無駄に見えるものでも。
それは心の糧となり、人々を支えていくのですよ!!

だから私もお金がかかっても本を買うのはやめられないのだ!と。
BL本も心の糧となり、私を支えてくれているのです(笑)
蒼井の言葉は趣味に情熱を注いでいる人間には、
とても響くのではないかと思いました。

4

泣きぼくろっていいな

私大の准教授でフランス文学の翻訳家でもある成澤は、順風満帆な人生を歩んできた。
順調すぎて毎日がつまらなく感じるくらい。
恵まれた容姿を持ち、付き合う相手には不自由していないが、常に冷めていて恋に溺れたことはない。
フランス文学以上に彼の心を動かすものはなかったのだ。

そんな彼が恋をした。
お相手は真面目で地味な新米編集者の蒼井。
最初は気にも留めない存在だった・・・。

ゲームのような恋愛をしてきた成澤が、本当の恋を知って変わっていく。
そういうお話でした。
挿絵が高永さんのせいか、私の中では和泉桂さんの『有罪』シリーズとちょこっとだけかぶる部分が・・・。
それから挿絵には主役の二人しか登場しません。
別にいいんですけどね、挿絵買いじゃないし。
だけど葛城だけはちょっと見たかったかも。


いよいよ来月には評価の高い『好きで好きで好きで』の新装版が発売されますね。
高遠さんってうまいなーと思うのですが、ハマるところまではいかなくて数冊しか読んでいません。
でも1月はこの本の発売を心待ちにして過ごします。

4

成澤准教授の最初で最後の恋

面白かったです。
高遠琉加さんの小説って、なんでこんなに読みやすいんだろうな。
文字を見て脳内で意味を把握するまでの時間ってコンマ以下の世界の話だと思うんですが、高遠琉加さんの小説の場合、私、他の本の10倍ぐらいのスピードで意味を把握してる気がする。

(……ふうん)
 ふうん、と思った。
 それだけだった。

冒頭、実は↑この三行↑にヤラれちゃいまして、コレダ!と思いました。
うまく説明はできないのですが、この三行には私が高遠琉加さんの文章を好きな理由が凝縮されてるんです。

(……コレダ!)
 コレダ、と思った。
 それだけだった。

すいません、遊んで。
というわけで説明できないので、話の中身の話をしますw

主人公は成澤教授。
他人が羨むようなあらゆる高スペックを持ってる男なのに、人生に退屈しきっている。軽い変人です。
そんな男が平凡な青年に出会う。なぜか彼が気になり、やや強引に口説いて身体を重ね、いつの間にか囚われていく。
成澤教授にとっては、自分自身の感情を把握することも分析することも制御することもできないのは始めてだったんですよね。このあたりの心理描写が秀逸でした。
これこそ恋だな。
これこそ恋だね。
成澤教授がカワイイんですよ。抱いても抱いても足りない、会っても会ってもまだ足りない。簡単に墜ちてきはずの目の前の男は、実は心まで墜ちてくれてない。
三十路のオッサンの初恋だ。
成澤教授の混乱や焦燥がストレートに伝わってきて、キュンキュンしました。

4

まさによい意味で大人の恋の物語でした

評価は神に近い萌えでありますよ!
お話は、外見も才能もあり、それなりに順調な人生を歩んで、でも恋愛には今一つのめりこめないでいる成澤准教授が、何でもない印象の薄い平凡な青年と出会って、最初はからかいのつもりが、段々その彼の持つ影の理由を知りたくなり恋愛にのめり込むということを初めて体験するという物語なのですが。
ささっとあらすじを書いてしまうと、いつものよくある恋愛パターンの話よね、って思ってしまいますが、そこは高遠さんの文章のうまさ!
一つのフレーズ、引用、展開の持って行き方、どれ一つをとっても無駄がないように見え、そしてスマートに(かといってこじんまりしているわけではない)惹きつけ、納得させる。

最初成澤は地味な蒼井に対し、無関心の「ふ~ん」次が少し興味のある「ふ~ん」そして蒼井を手に入れて「何だこんなものか」こんな正直な表現あるでしょうか?
それが最後には「君といると淋しくなるんだ」「君がそばにいない時間が寂しい」に変化します。
蒼井の心を手に入れたい必死の気持ちが何気ない表現で、ものすごく大人を感じさせるセリフで語られる部分が惹きつけます。
蒼井に関しても、決して子供ではなく、真っ直ぐに成澤を見つめる黒い瞳、雨の日には消えたくなってしまう程5年もひきずる過去の想いを抱えているにも関わらず、決してネガティブではなく、むしろ成澤より分別のあるキチっとした青年であることが好感が持てます。

成澤はフランス文学なので、引用としてよくヴェルレーヌが出てきます。
ランボーとヴェルレーヌのあの破壊的関係をひょっとしてなぞらえたカプリングに持っていくのかと思いましたが、ある意味執着という点で成澤はヴェルレーヌだなと苦笑いたしました。
しかし、蒼井はヴェルレーヌを翻弄するランボーの小悪魔的部分は持ってはいないとは思います。
他にもコクトーなどフランスには優れた詩人や作家がいますが、BLではこの二人の詩人を出すことは、容易に関係を示唆しやすいのかもしれません。
ただ一か所、バーのBGMにゲーンズブールという引用はちょっと歌詞的にはあまりに淫猥で、曲としてはバーには不向きではないかと・・・

「春惜月」で恋人となった二人が本物の恋人として蒼井が亡くなった恋人との本当の決別をできるお話が追加されており、これがまた味があって雰囲気がお洒落なのであります!

しっとりした雰囲気と洒脱さも兼ね持つ本作品、大人な御姐様方にお勧めです。
またヴェルレーヌに興味を抱かれたかたもあればその生涯を知るとかなり萌えの半生ですわよ!(美少年と駆け落ちしてますから)
ランボーとヴェルレーヌはディカプリオ主演で「太陽と月に背いて」という映画が出ております。

3

これはよいルビー文庫

自分の才能にも容姿にも自信があり、恋なんて真剣にするものではないと思っているような男・成澤(フランス文学部准教授兼翻訳家)が、真面目なだけで美形でもない新人編集者・蒼井にどんどん惹かれていくお話しです。
ちょっと気になり、追いかけ、執着し、寂しがり、嫉妬し・・・大の男が「これで最後にしたい」くらいの恋に翻弄されるお話が面白かったです。

態度こそ優しげですが、けっこう俺様で子供っぽくて、ロマンチストで嫉妬深い成澤と、流されているようでいながら意外としたたかで、素がなかなか見えてこない蒼井の駆け引きのような関係にどう展開するのかドキドキしながら、純愛な部分にキュンキュンさせてもらいました。
歩道橋の上のシーンは、もう、胸がキュンキュンしすぎて涙が出てきました。

意外なところに伏線があり、なるほど納得なのでした。
また、成澤の気障と心の変遷を象徴するように、ヴェルレーヌの詩の断片がそこここに引用されているのですが、この部分を堪能するには詩の全篇を把握していなくちゃいけないなぁと、不勉強な私は思った次第です。

季節が梅雨時なので、何かにつけ濡れるシーンが出てくるのも印象的でした。(それには他にも意味があるのですが。)

3

恋したことなかったんだね。

正直なところ、キャラクターは特に好きなタイプではないのですが、作品としては結構好きですね。成澤(攻)が、最初の余裕綽々からどんどん蒼井(受)にのめり込んで、なりふり構わなくなって行くところがよかったんですよ。調子に乗ってまわりを見下してるような嫌なヤツが、おろおろ・あたふたするさまはホントに気持ちいいですね。

タイトルは直球そのままですが、厳密には『最初で最後の恋』だよな、と思いましたね、はい。

高遠さんのルビー文庫、結構好きなんですが(他レーベルよりルビーの作品が、という意味ではないです)、確かに高遠さんの他とはちょっと違う気もするものの、だからと言って『いかにもルビー』っぽくはないんですよね。特に受のキャラクターに『実は』があるあたりが。

最後に『ナルナルのナルは~』吹き出すかと思いましたよ。

3

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