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itoshi itoshi to iu kokoro
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
前作を超えてる二巻。
とくに高校生編の『ユキウサギ』が神でした。
どうしようもないほど切なくて、胸が締め付けられました。
やっとラブラブになれた『啼かぬ蛍が…』よりも、どうにもやるせない結末で別離を迎える高校生編がイイ。バッドエンド好きにはたまらんです。
一巻のレビューで私、「続編よりも高校生編が読みたい!」みたいなことを書いたんですが、それが見事に報われた感じ。
「片思い」っていうのは、醜さと美しさの両方を持ってると思う。
『啼かぬ蛍が…』は、攻めがばあさんを丸め込むシーンがかなりツボでした。
受けのためなら、苦手な相手をも懐柔する攻め。彼の愛は揺るぎないね。
あとがきを読みながら思ったのですが、やっぱかわい有美子さんは分かってるなーと。
そう、攻めは本来はアホウなんだよね。一途な執着愛はけして正義ではないのだ。ぶっちゃけただのストカなんだけど、作者が愛情深く描くことによって愛しい存在になるのだ。
ぜんぜんタイプの違う話だしキャラなんだけど、水城せとなさんの『窮鼠~』の、今ヶ瀬の人気と恭一の不人気を思い出しました。
いやぁ……前回、見事にモヤモヤエンドだったので、今回は素敵にほろ苦エンドでとっても良かったです。
無駄な甘さはなく、最後は静かに甘い。
苦いお抹茶を頂いた後に、落雁食べた時のような……そんな感じのいい塩梅でした。
甘酒と塩昆布みたいなね。甘すぎず、苦すぎず、しょっぱすぎず。
作品世界は相変わらず和風で、情緒の塊のような空気感です。
そして、ストーリーに抑揚は本当にありません。
こんなに山場のない小説も珍しい気がしますが、それが逆にいい味を出してます。
起承転結がはっきりしてて、次から次へと問題がわき起こるジェットコースターみたいな話が好きな方には向かないかもしれませんが、私はこういった淡々とした話は大好きなので非常にツボでした。
全体を通して静謐な空気が満ち満ちていて、ぬるっと話が進みます。
しっとりとしていて、静かな感情の動きも秀逸でした。
そうだ、京都に行こう。
と思い立って本当に京都に行きました。
前作の終わりが「えっコレでおわりなの?!」という終わり方だったので、読み終わった後そのまますぐ続編へ。
この作品、この二巻まで読まなきゃ本当の作品の良さに気づけないと思います!その点では損している作品ですよね…。
今は二巻まですぐ読めるからいいけど、当時リアタイで一巻を読んだ姐さん達は続きが無いことにかなり焦れたのではないでしょうか。。。
私は一巻の追い詰める攻めの千秋と、それに戸惑うユキちゃんの仄暗い関係性にも最初から萌え萌えしまくってたんですが、やっぱり千秋への思いを自覚してからのエッチは甘くて幸せ〜〜な気持ちになりますね!
ユキちゃんが千秋を自ら求める姿に、ずっと千秋を応援していた私は、千秋よかったねえええ〜と感無量でした。゚(゚^∀^゚)゚。
かわい先生の書かれるストーリーと京都弁がしっかりマッチしていて、全体的にしっとり、、、
な中に時折千秋の熱情が織り交ぜられて、
まさに冷静と情熱のあいだ(古い…)なこのお話が大好きです!
同人でもいいので千秋にもっと幸せな思いをさせてほしいです…!
次のゴールデンウィークには、2人を求めて京都へ聖地巡礼に行く予定ですw
前巻、かなり読み応えのあった『いとし、いとしという心』の二巻です。
といっても、前巻でなんとなくふたりは心を通い合わせておりますので、この巻の方が重さは少ないかな。
前半の『ユキウサギ』では、攻めの千秋も受けの侑央も高校生。
千秋が侑央への叶わぬ想いを封じ込めるために、東京へ出て行くまでのお話です。
相変わらず千秋が切ない。
いわゆるヤンデレのようなタイプは苦手なのです。
でも、千秋目線も書かれているせいで、彼の侑央への愛情や葛藤が手にとるようでひじょうに心がキュッとなります。
とくに『ユキウサギ』では、まだ千秋の兄であり、侑央の想い人である壮一が存命なこともあって、よけい千秋が不憫なんですね。
この頃のふたりのベクトルはまったく別方向を向いていて、一方通行の想いをお互い抱えながらいるのが切ないです。
ラストのバスの場面は不覚にも泣きました。
後半の『啼かぬ蛍が…』は、前巻の後のお話。
ぎこちないも、侑央が千秋を受け入れ始めた頃。
千秋に結婚話が持ち上がりるというお話です。
侑央は動揺しつつも仕方ないのかと、読めない千秋の本心に笑ってみせることしかできずにいるし、そんな侑央のことを千秋は自分のことのように理解しているんですよね。
家のしがらみにしても、この関係がいつまで続くのか、続けられるのかはわかりませんが、今はふたりの決意が良い方向に転がって見えるので一安心なのでしょうか。
でも実際千秋なんて将来共にいられなくなったら、本当に約束通り堕ちて心中しそう…(苦笑
後書きでかわいさんが、前巻の千秋に同情票が多かったと書かれています。
そのため今回は、侑央に力を入れられたとのことですが、わたしには変わらず『千秋切ない!苦しい!』でした(苦笑
一巻でお家事情や、複雑な恋愛関係を知った上で臨んだ二巻は、登場人物の過去の境遇や心情等がより鮮やかに描かれていて、更に物語に入り込める仕様になっていました。恋愛部分もしっかり描かれつつも、京都の街での家業の日々の営みや季節の風情も堪能でき、非常にバランスの取れた理想的な小説に思いました。味わい深い作品ですので、読み継がれて欲しいです。
高校生編では、侑央から荘一、千秋から侑央への一方通行の想いが決して交差される事が無い様に読んでいて切なかったです。千秋の家庭事情もリアルで、千秋が複雑な人間性を持つに至った過程に説得力がありました。一巻では、それほど侑央に思い入れがなかったのですが、一途で好き嫌いがはっきりしている所に好感が持て、途中から千秋目線で楽しめました。健気で可愛いw
一巻、二巻通して、千秋や侑央の気持ちが痛いほどわかり、続編の中で余りに長い年月を経てやっと二人の心が通じ合った時は感無量で本当に良かったなーと思えました。千秋と祖母キミとの和解(?)のシーンは涙がうるっときました。恋愛は辛口気味ですが、かえって味があって良かったです。
千秋と侑央は幸せになって良かったけれど、高校生編を読むと、荘一の事を考えてしまって辛い…。こういう事って世の中に普通にある所が人生ままならず、人生色々…と実感しますね。読後に余韻が残り色々考えさせられる作品でした。
感想
侑央がもし女性だったら、長男の壮一の嫁にすんなり納まっていたかもしれない。
侑央が男性であったから、この物語のようなおもしろい展開になったんだけど、本当に長男の壮一は、侑央の気持ちに気づいて居なかったんだろうか、と疑問。
薄々気づいて居たんじゃないかと思う所がありました。
二巻は、学生時代の思い出に頁を多く割り割かれていて、読みたかった新店舗開設とこれからの事についての物語が、頁数が詰まって少なくなってしまった感じを受けました。尻つぼみ。
それで、調べるとこの二巻の後の続きが、小冊子で出ています。
著者のHPに同人誌の紹介があって、HPからリンク先のサークル名義の頁に行くと、ダウンロード可能です。今現在の価格は¥462。会員登録なしでゲスト購入が可能でした。45頁ほどが¥462の価格設定が、安いのか高いのか分からない。
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https://bit.ly/32z6Fbw
寝ても覚めても忘れぬ君を… A5、P44 オンデマンド本
「いとし、いとしという心」の番外編。子供時代から、大人になって二人で花見に出かけるシーンまで、こまごまとした古都の日常です。千秋と侑央の子供時代から、今の二人のいる風景まで。
サークル名 Blue on the Heaven
2010年12月発売
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発売日が2019年03月24日付けになっているので、DL委託先を都度変えているのかもしれません。著者HPのチェックを是非お勧め、です。
いや、本当に神作。「神」評価って、こういう作品のためにあるんよね、と思うほど、恐ろしく余韻の残る片恋物語の完結編でした。
こんなにも切ない攻めの一途片想い、なかなかないよー……
特に序盤の、二人の高校生編。
もう美しすぎて素晴らしすぎて、息つく暇がなかった。。
いつかきっと兄ではなく自分を見てくれるんじゃないか、と淡く甘い期待を込めて手を出し続けるも、笑顔が失われ体も痩せていき、離れていくユキの心。
壮ちゃん(攻めの兄)を想っているのに、その弟と関係を持っている(本番はないけど)という事実に、自分のことを穢らわしい・汚いものだと思って一人涙を流すユキ…
二人のすれ違う思いが切なくて切なくて、、
「胸が締め付けられる」って、こういうことだよね、と実感。
だからこその、読後味わえる幸福感を噛み締めました。
「ボク、昔からユキちゃんとの約束、破ったことないやろ?」
ー「好き」という直接的な言葉はついぞ使わず、狡くて寂しい伝え方をする攻め・千秋に末長く幸あれ…!!
と願わずにはいられない、素晴らしい余韻の残るラストでした。
はあ……神。
つくづく、惚れた欲目って恐ろしいなあ、と思います。あれほど頭が切れてしたたかで、周囲の人々の思惑を読むのにも長けていて、向かうところ敵なしに見える千秋。なのにただひとり、心から愛した侑央(ユキ)を見る目だけは曇ってるんだよなあ・・・それが千秋のすべての不幸の源のような気がします。
作者のかわいさんご自身がおっしゃる通り、ユキは天然毒婦の素質おおいにあり、です。「ユキウサギ」で描かれた高校時代にさかのぼる千秋との関係の発端も、1巻の再会後のふたりの歪んだ情事も、すべて原因は千秋のユキへの一方的な邪恋が原因で、ユキは姦計にはまった哀れな被害者であるかのように、当の千秋も、ユキ自身も思いこんでますがはたしてそうでしょうか? 本当に身もちの堅い未亡人なら、どんなに脅されようがすかされようが、手篭めにされるくらいなら舌噛んで死んでますって。だけどどんなに欲望に負けて痴態をさらそうと、千秋の瞳に映るユキちゃんは穢れを知らぬ白雪姫のままなんだよなあ。
ユキがずっと思い続けてきた千秋の兄荘一は、ユキの想いに微塵も気づくことなく死んでいった。たとえ健在であっても、極めてノーマルで、全てにめぐまれすぎたがゆえに些か鈍感なところのある彼が、ユキに応えることなどあり得ない。強引な形で千秋に奪われなければ、ユキは一生あのミダラなカラダを誰にも許さず墓場までもっていっただろうか?それで幸せな生涯だったと心から思えるようなタマなら、千秋の所業はただの卑劣な暴力といわれても仕方ありませんけどね。
とどのつまり、千秋はどうしたってユキには勝てない。惚れた弱みで、初めから勝負になんかなりはしないんです。ユキの身体を強引に手に入れ、その欲望に奉仕してても常に自責の念はあり、このままではユキを壊してしまう…との懼れから自ら身を切られるような思いをして東京に去る。再会後、曲折を経て関係の深まったいま、「誰かに奪われるくらいならいっそめちゃくちゃにしてやる」などと物騒なことを考えてはいても、いざとなったらユキを手にかけることなど多分千秋にはできっこない。そして最後の最後まで、ユキは本当の意味では千秋を理解していない。なぜ彼が別れも告げずに突然上京したのか。どれほどの長い時間千秋がユキだけを見つめ、どれだけの手をユキのために尽くし、何を想って過ごしてきたのか。私が千秋の親戚のおばちゃんとかなら、「やめときなよ、あんな悪女」と忠告してやりたいのはやまやまだけど、これも余計なお世話でしかないんだろうなあ…
それにしても、かわいさんの京都モノって格別ですね。男のひとの京ことばってどうしてあんなに艶っぽく響くんだろう。着物の微妙な色遣いとか、歳時記にのっとった暮らしとか。主要登場人物のものを除けば、実在の京都の老舗がたくさん出てきて、京都ビギナーの方には上質な観光案内として重宝しそうだし、土地勘のある向きには「ふたり歩いてて雨にふられたのはあのあたり」「ええとこのぼんぼんのいく私学ってやっぱあそこかな」といつもの妄想に臨場感がプラスされること間違いなしです。あの町で、ぼんやり路地にたたずんで、千秋の都々逸が聴きたい。(夜桜お七も捨てがたいけど)
前半の『ユキウサギ』は高校生編で、荘一を密かに想う侑央と侑央を一途に恋する千秋の切ない心情が描かれていなす。
侑央が無邪気に荘一を見つめ続ける同じ時を、千秋は振り向いてもらえないことをわかっていても諦められないし告白もできない状態で見守っています。そして、追い詰められる気持ちが痛いほどに表れています。
荘一を好きだ好きだオーラを出しまくる侑央に勉強を教えたり、好物をあげたがったり、自分の気持ちは二の次にしても侑央を喜ばせたくて兄に誕生日プレゼントを用意させたりと健気すぎでしょう。
いくら自分の一方通行の想いにいっぱいいっぱいでも、これほどまで幼い頃から甘やかし大切に守ってくれている千秋の気持ちに全く気がつかない侑央をちょっぴり憎らしくさえ思えてきます。
最後には、これ以上そばにいると侑央を笑わせてあげられなくなるしもっと酷いことをしてしまうからと東京の大学に黙って旅立っていくシーンは泣けました。
『ーもう逃がしたるわ』のセリフが良かった。
ラストシーンの旅立ちの朝、京都駅に向かうバス停から侑央が通学する姿を一目見てバスに乗り追い越していく場面は、映像が浮かんでくるようです。
声に出さずに、「バイバイ、ユキちゃん」と言いながらきっと必死に涙を堪えてほんのり充血した目で小さくなる侑央の姿を見つめていたことでしょう。
できるなら、10年堪えろといってあげたいですね。
また会えるからねと。
後半の『啼かぬ蛍が…』は、一転して1巻めの後日談でラブラブ編。
頭が良くて口も気もまわるという要領のいい千秋が祖母を手玉に取り、縁談をなきものにし当分結婚話もなくなるよう丸め込むところが痛快でした。
また、結婚話に心を痛める侑央に問い詰めさせあわよくば好きと言わせたいという企てもセットになっていて、侑央の言う"狡いキツネ"の面目躍如?といったところでしょうか。
侑央の支店の秘密部屋は居心地良さそうで素敵です。
1巻のイラストはあまり好きではありませんでしたが、この巻の後半はよかったです。
侑央の膝枕にご満悦の千秋と共に描かれたキツネとウサギ。
着物姿の絡みは最高にいいです。乱れた着物の裾からはみ出した侑央の脚と足袋を履いた足をシーツに押し付けてるところなど萌え萌えでした。
2巻まとめての感想です。
電子なのであとがきはなし。
・京言葉素敵。
・作品に満ち満ちている京都の風情が、関東のマンション住まいの私からするともはや異世界。
・侑央の未亡人感ときたら……!!
・気持ちの一方通行感がすごくて「ままならなさ」を強く感じた。
大好きな侑央が、兄に想いを募らせていく様子を傍らで見続けなくてはいけなかった千秋の苦しみ。ツラァ……。
そして想い人が死んじゃった侑央。
おまけに死んでもなお侑央の心をとらえ続けている兄。
・弟への不遇な扱いに気づく事がなかった兄にやり場のない怒りが……なんで気づかない。
不憫な千秋……
・やっぱり執着攻め、最高。粘り勝ち。
・壮一へのあれほどの想いから、やがて千秋へと移り変わっていくところが、なんか微妙にはぐらかされてる感。
壮一への想いを完全昇華してほしかった。
・心のうちでユキに別れを告げるシーン(下巻)が切ない。
・あの女帝のような祖母をギャフンと言わせてほしかったけど、ああいうふうに人誑し全開でだまくらかす方が千秋っぽいなと納得。
「一緒に、地獄まで墜ちよ」というところが痺れたけれど、最強の狐となった今、周囲をうまく籠絡して「男同士云々よりも、千秋に井筒屋を去られるほうがよっぽど地獄」みたいな状況に持っていくんだろうなぁ。むふふ。