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yokubou to junketsu no
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
華藤さんお得意の、京都を舞台に伝統文化を絡めたお話と、海外を舞台に、その国の人間と日本人とのお話の、両方のパターン2編で一冊の本になっている。
そう言う意味では、1冊で2度おいしい本。
この本の主人公。八幡蒼史は、陶芸の家に生まれながら、その出自の所為で、自分を封じるようにひっそり生きている大学職員。
一方のカレル・バロシュはチェコから留学してきている、挫折を知らない、若き天才彫刻家。
蒼史は、カレルとの関係は留学期間が終わるまでで、未来がないからこそ今を大事に燃え尽きようと思い定め
カレルは挫折を知らない傲慢さで、二人の関係は未来永劫続くのだと思いこみ
そんなカレルに、蒼史は賭けてみようと、カレルと一緒にチェコへ行くことを決心するのですが、、、
後半、チェコへ、蒼史が尋ねて行き、カレルに再会してからの展開が、これぞ華藤さん!!
ただの、復讐心に燃えたカレルの監禁陵辱物になってしまわないあたりが素晴らしい。
最後はちゃんとハッピーエンドを迎えます。
京都にいるときの二人の話がダリアのサイトにあり。
本編、甘々シーンはあまり無いので、こちらで糖分は補完して。
その生い立ちゆえに自己主張することなく、自分の幸福を望むこともなく生きてきた蒼史。そんな彼がチェコからきた留学生で天才芸術家のカレルと恋に落ちます。すべてを諦めて生きてきた蒼史の初めての恋。カレルは自分を殺して「死んだように」生きている蒼史の心を解放しようとします。そして、蒼史はカレルの情熱を受け入れ、自分の生き方を変えるべくカレルと共にプラハへ行こうと決心しますが、カレルの帰国前夜に起きた事件により叶わず、結果として彼を裏切ることに。
4年後、カレルを忘れることができない蒼史は、芸術祭でグランプリを受賞したカレルの個展を見るため、駆り立てられるようにプラハへとやって来ます。個展で蒼史が目の当たりにしたのは、「美しき亡骸」と題され、自分の姿を象った彫像。生が通っておらず、自分への憎悪を滲ませた作品に蒼史は愕然とします。そして、カレルとの運命の再会。カレルからすれば蒼史の裏切りは、初めて味わった挫折で、漸く立ち直ったと思った矢先の再会でした。蒼史に対して怒りを露にするカレル。償いたいと申し出る蒼史にカレルは創作のモデルになるよう命じ、病に冒され、残された時間が少ない蒼史はそれを受け入れ、命がけでモデルを務めようとします。
2人きりのアトリエという閉ざされた空間で話が進んでいきます。蒼史の愛は狂気にも近いですね。彼にあるのは、己の命が無に帰す前に、愛する人間の手によって永遠に彫像の中に自分の魂を閉じ込めて欲しいという願いだけ。彼にとってはカレルが絶対的な存在で、二人きりの世界でカレルの手が自分の姿を創りあげていく過程を眺めることに至上の喜びを感じている。蒼史の秘められた強い情念も相俟って、悲劇性の中にも静謐なエロスが漂います。
カレルの印象は前半と後半でガラッと変わります。前半京都に留学中のカレルは、いかにも天才肌といった鷹揚さが目だっていました。だけど、後半蒼史と再会してからは、青さを露呈してくれます。カレルは今も蒼史を愛してる。基本的にはとっても一途な人だと思います。でも蒼史の心が見えなくて苛立ち、冷たく接してしまう。苛立ちや怒りは結局愛の裏返しなんです。こういう余裕のない年下攻めは大好き♪
その後、蒼史の命を懸けた願いを知ったカレルは、蒼史を生かしたい、自分の手で生命力に満ちた蒼史の彫像を創りたいと祈りを込めて創作に打ち込み、カレルの作品は生の輝きを取り戻して行きます。そして、蒼史の表情もまた生き生きとしたものになっていく。切ない幸福感に胸を打たれます。
読み終わって再生の物語だったことに気付きました。カレルの作品は蒼史を取り戻したことで再生する。そして、蒼史はといえば、やはりカレルの愛と祈りによって生かされたのだと思います。
本当にハッピーエンドになるの?とドキドキしましたが、書下ろしの二人の甘々で幸せな姿を見て救われました。
収録作品に表題作はありません。
・美しき亡骸
・甘美なる誓い
この2作品で一つの物語で「欲望と純潔のオマージュ」というタイトルなんでしょうね。
まさにそういう物語でした。
攻・若き天才彫刻家のカレル・バロシュ(25歳)
受・芸術大学の職員・八幡蒼史(27歳)
蒼史は著名な陶芸家である祖父の運営する芸術大学で事務職員として働いていました。
留学生のカレルは下宿を探して事務局に来て、2人は出会います。
カレルの求める条件の下宿を探し、陶芸を学びたいという希望をかなえるために祖父に口ぞえをしたり。
そんな付き合いから次第に惹かれあい、恋人同士に。
カレルの留学期間が終わる頃、一緒にプラハへ行こうと誘われ承諾します。
しかし蒼史は「ごめん、行けない」というメールを送ったきり音信不通に。
(理由は、蒼史の出生と家庭環境の歪が爆発したことが原因です)
それから4年、パリの芸術祭でグランプリを受賞したカレルの作品展を観る為に、蒼史はチェコの首都・プラハに降り立ちます。
しかし受賞作品を見て蒼史は愕然とします。
蒼史の胸像につけられたタイトルは「美しき亡骸」。
自分を許しいてない、憎まれている、そんなマイナスのエネルギーの満ちている作品。
それ以上に、その彫刻には、他の彫刻から感じられる「生命力」がありませんでした。
ショックを受けているところにカレルが現れ4年ぶりの再会。
「どうやって償えばいい?」と尋ねる蒼史にカレルは「これから1ヶ月、俺のものになれ」と。(モデルをしろ、という意味ですよ~(笑))
蒼史は少し悩んで、それを承諾しますが、彼には時間が残されていませんでした。
持たされていた薬は2週間分。
それを半分ずつ飲んで痛みを誤魔化しながら蒼史のモデルを務めます。
カレルは才能に恵まれ、若くから芸術界に認められてきていました。
挫折を知らず、そこから立ち直る経験をしていなかったカレルは、作品に心を入れることかできず、満足できない。
そんな2人がカレルのアトリエに閉じこもって1ヶ月間。
蒼史の病は過ごしずつ進み、カレルは蒼史の謎を探り、4年前の別れの傷から立ち直ってゆきます。
「(死んでしまう前に)俺を本物の石膏にして」と迫る蒼史。
謎を解きほぐした後でも蒼史の思いを尊重して約束の日がくるまで、黙って蒼史をスケッチをし、全身の石膏型どりをするカレル。
カレルも蒼史も、お互いに健気でいじらしくて。
この閉鎖された空間での2人だけの生活が…なんともエロチック。
セックス描写はそんなに多くはないですが、漂う雰囲気が艶っぽくてエロくて。
それに文庫なのに新書のような読後感。
読み応えアリで満足・満足~♪
この作品を買った時は正直、特になにも考えず表紙のイラストと
タイトルの響きだけでの表紙買いでした。
あらすじも読まずに本当勢いだけで購入したのですが…
読んでいくうちにぐいぐいとお話に引き込まれて、
読み終わった後のなんとも言えない充実感が半端なかったです。
主人公の蒼史、そしてチェコからの留学生で天才彫刻家のカレル。
最初は自分を責めてばかりな蒼史に少し苛立ちの気持ちがありましたが、
彼のカレルへの強い想いが伝わってくると
お互いの狂おしい程の想いに心が締め付けられるようで
この二人ともへの感情移入が自然にできて何度も涙しました。
あと特に素晴らしいと思ったのはカレルのキャラクター。
個人的な嗜好ですが彼はかなり私好みの攻めくんでした。笑
年下攻めはもちろん、前半の冷たいような印象のあと
蒼史への揺るぎない愛が序々に露になっていくところがツボでした。
儚げで受身気味な蒼史とバランスが取れていて、
この二人にはずっと幸せでいて欲しい、と本気で思えました。
今まで読んだ本のなかで一番と言えるぐらい、
素晴らしい作品だったと思います。
偶然でしたがこの作品に出会えて本当によかったです。
あらすじ読んだ時点で覚悟はしていましたが、案の定泣かされてしまいましたよ!
重い病を抱えながらもそのことを告げようともせず、今この瞬間カレルと共に過ごせることに幸せを感じる蒼史。その姿がいじらしくて、胸が締め付けられます。
カレルと共にプラハへ行けなかったのにも理由があります。
あのメールを打った時の蒼史はまともに動ける状態ではなかったんですよね。その事をカレルは知る由もなかったのですから、捨てられたと憤るのも無理はないかと思います。
そのことはカレルの作品に影響をもたらすほどの心の傷にもなっていますしね。
どちらの辛さもわかるからこそ、プラハで再会してからの二人にはやるせなさを感じます。
罪悪感を感じながら一心にカレルを想う蒼史。対するカレルも亡骸の彫刻を創ってもなお、蒼史への想いは捨て切ることが出来なかったんです。
お互いがこんなに想い合っているのに5年前の事で踏み出すことができないのが切ない…
日に日に弱る蒼史に見かね彼の服用する薬を調べたカレルは彼の重い病を知ることに。そして蒼史の親戚の口から5年前の真実を聞かされます。
ここから先は涙線注意報です!
クリスマスのミサでカレルとの最後の幸せな時間を過ごした蒼史。病のことを知っていたカレルに別れの言葉を告げますが、真実を知ったカレルが蒼史を手放すはずはありません。
ここでのカレルの台詞にぶわっと涙が溢れました。
蒼史への深い愛に感動せずにはいられません。この二人は死ぬまで一緒にいるんだな、ということを自然と思い描く事ができました。
また本編がすごい所で終わってしまうんですよ!
短編は手術後の後日談。いや~良かった!正直死ぬことはなくても、昏睡状態で何年も経てしまうんじゃないかと心配していたので。
退院後のラブラブな二人がみられてすごく満足。
本編+短編合わせて本当の完結です。華藤さん、素敵なハッピーエンドをありがとうございました!
とても雰囲気があって読んでいて引き込まれる話でした。彫刻家のチェコ人と陶芸家の家に生まれた日本人の恋。京都もチェコもその地の雰囲気まで感じられるようで、さすが華藤さん。
蒼史が最初うじうじした奴だな、ちょっと苦手かもと思ったのですが、後半の命を削りながらもモデルをする彼はとても素敵でした。カレルも誤解が解けた後は献身的で、思いが通じて安心しました。
すごく雰囲気があって綺麗な作品なだけに、挿絵がちょっと、ちがうかなと感じてしまって、残念でした。
初めて華藤えれなさんの作品に手を出したのですが、よかったですよ。
色々と細部まで取材をされているのが読んでいてよくわかりますし、ストーリー作りが素晴らしい。
文章も美しいのですが、そこに描かれる情景がなんとも綺麗で目を瞑ればそこにありありと浮かぶ様でもありました。
なので、挿絵が非常に残念でなりません。
綺麗ですが、この作品には個人的には違うと思いました。
本当に挿絵、綺麗ですよ。
天才や芸術家を作品に登場させる作品は数多くあると思いますが、なかなかに私はそういった人たちが登場する良作にめぐり合えずにいました。
でも、この作品はうまいなと思ってしまいました。
芸術家をよく書ききっただけでなく、その成長までも見せるのですから。
怖いもの知らずの若手新進芸術家が初めて挫折し、苦悩を重ねその先に見えるもの。
本当、うまいなとその一言です。
泣いてしまったのが蒼史がカレルの前で水で溶いた石膏をかぶり、その身を石膏の中に留めたいと狂気に願うシーン。
もう、蒼史の狂気が痛いほどに溢れ出て涙が出ました。
私は昔、石膏を扱う時期が何年かあったのですが当時を思い出しました。
水で溶いた石膏は固まる時に熱を発散させるのですが、蒼史はその熱を愛しいカレルの温もりのようだと思うのですね。
切ないです、本当に切ないですが最期は幸せでなによりで、読後感が幸せでした。
プラハの若き天才彫刻家が日本留学中に出会った大学職員との恋物語。
「欲望と純潔のオマージュ」
プラハからやってきたカレルは新しい下宿先を探すために訪れた学生課で職員の蒼史と出会う。
カレルの求める物件を紹介し、更に工房を提供することになった蒼史とカレルは次第に惹かれ合い恋におちる。
留学期間限定での恋。
そう最初から思っていた蒼史に、カレルは「プラハに来ないか」と告げ、2人は一緒に行く約束を交わすのだが…。
確かに愛しあっていたはずなのに、蒼史は最後の最後でどうしてもついていくことができなくて。
彼のおいたちが、環境がそうさせてしまって。
蒼史は自ら、別れの決断をすることになるんだけども。
それが、その後のカレルに昏い影を落とすことになって。
最後の旅にプラハでカレルの作品を見た蒼史に衝撃を与える。
自分と一緒にいた頃のカレルが作るような作品ではなかったから。
会いたくないような会えたらいいような。
そんなプラハへの旅はカレルに見つかったことで償いの旅に代わる。
病気になってよかった。
おかしな言い分だが、確かに蒼史の場合、病気になってよかった、と言えなくもないのだろう。
それが死の予感のある病気であればあるほど。
末期の可能性も拭えないほど。
そうでもなければ、全てが終わった後でもきっと蒼史はカレルのところへ行くほどの気力を見せることはなかっただろうし。
結果的に、それは危険なことに違いないのだけれど。
最後に見たい、会いたいと思うのがカレルだったのなら、蒼史はその想いを遂げることが出来て本望だろう。
ただ、そこでもカレルに全てを打ち明けてしまえば彼に負担を与え、もしかしたらまた「別離」を繰り返すことになるかもしれない。
そう思うから、自分の気持ちは変わらずとも封印したまま。
ただ、償いのために。
彼の役に立つために、そこにいるのだというように存在する。
全てを打ち明けないから気持ちは噛み合わない。
噛み合わなくていいのだ、と蒼史は思っているところもあって。
それがとても切ない。
体調をおしてまで必死にカレルのモデルを務め、自分のかわりに残そうとするような姿勢がいじらしい。
石膏をかけられて思わず本音を吐露してしまうほどに意識も朦朧として。
カレルが不審を抱き調べなければわからなかった真実。
カレルがその真実に一緒に立ち向かってくれる人物でよかったと思う。
蒼史の意志を汲み取って形に残してから手術に送り出せるような人物でよかったと思う。
「甘美なる誓い」
手術を終え、リハビリをし、カレルの元の戻る。
カレルが欲しているのは自分の「造形」だけなのでは、と蒼史は淋しく思うが…。
遺書と湯呑みのくだりにどれほど蒼史がカレルのことを想っていたのか思い知らされた。
華藤えれなさんの作品では「シナプスの柩」をCDで聴いたくらいしかなくて、今回実際に初めて書籍を購入させていただきました。
京都の芸大に務める蒼史(受)は一族が陶芸家である中、卓逸した才能を持ち合わせているわけでもなく、また、母親の私生児として肩身の狭い生活を送ってきたため目立たぬよう生きてきました。
あるとき蒼史の目の前に現れたのがチェコからの留学生であり若き天才彫刻家・カレルだったのです。カレルとの出会いにより蒼史の世界は一転、今まで気づかなかった人間の中にある悲しみや喜び、また日本の文化に触れることで蒼史自身が豊かになりそのなかで初めて「人を愛すること」を知っていくことになります。一方、異端児だったカレルも蒼史の優しさに触れ、芸術に対しての価値観に共感し惹かれます。
カレルの留学期間中2人は濃密な関係を築いていくことになります。
しかし、あるとき2人の関係を引き裂く事件が起こります。それは2人にとって大きな禍根を残すものになりました。改めて再会した2人。「裏切られた」と思うカレルと「許してほしい」と願う蒼史。2人の擦れ違い模様がとにかく切なかったです。蒼史は裏切る形になってしまった本当の事実を必死で隠してるし、その事実をしらないからカレルは誤解し蒼史を憎んでいる。読み手としてホントじれったくてやりきれない気持ちになりました。
印象的なシーンはほかの方もおっしゃっていますがやはり、蒼史の意識が混沌とし錯乱している状態でカレルに「大理石に封じ込めて本物の亡骸にして!」と激しく乞うシーンです。死に近づいている恐怖とカレルを失ってしまうのではないかという恐怖。すべてが入り混じり生まれた蒼史の言動に胸が締め付けられました。
私は数回にわけて読んでしまったので、ぜひとも一気に読んでもらいたい作品です。
私が一気に読んでたら評価は上がってただろうな…ちょっと後悔の念を抱きながらも「萌」評価にさせていただきます。
俺様外人と、うじうじ系日本人のカップル。
チェコ人留学生の彫刻家と、留学生対応する大学職員として知り合い、深い仲になった二人。しかし、帰国時にプラハに誘われ、いったん承諾しにも関わらず家の事情で行けなくなり、4年後にプラハで再会。当時の事情も、自分が病気であることも頑なに隠す蒼史(受け)の気持ちが全然理解できませんでした。ハッピーエンドのために作られた谷、という感が否めない。
種明かしのところも、全部自分で日本に電話をかけて一瞬で調べた、という説明が非現実的で。。
全体に文章があんまりこなれていなくて説明調なので、なかなか引き込まれませんでした。
辛口済みません。