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kimi ni furu shiro
人付き合いが上手くないとか、
愛想よくできないとか。
自分のだめなところを認めるのが上手で
嫌なことやツラいことが起こっても
仕方ないと思ってやり過ごしてしまう藍。
彼が自分の感情に蓋をするようになった理由も
重たいモノなのに
その苦しみを淡々と受け容れている
諦めが本当に悲しくて、
胸を締め付けられながら読みました。
成瀬とは客とボーイとしての出会いなので
対等な関係にはなかなかなれないけれど。
初対面から藍自身をしっかり見てくれた成瀬は
藍にとって初めて感じる"光"の存在に
なっていくのがわかったので
どうかこのまま気持ちが交わりますように…!
と、願っていたのですが
その後もことごとくすれ違ってしまうふたり。
遣る瀬ないことばかりが起きる日々の中で
光を求めることをやめてしまった藍が
自分自身で幸せを潰し、成瀬を深く傷付けて…
正直、ここまで拗れてしまったら
もう終わりかもな。とすら思いました。
でも。遠回りして傷付け合って
もう落ちるところがないところまで落ちなければ
心を重ねられるところまで進めないような、
面倒くさくも愛おしいやり取りを繰り返すふたりだからこそ恋が生まれたのだな。と、
最後の最後で納得させてくれて。
ふたりそろって幸せを抱きしめられる結末を
見守れて本当に嬉しかったです。
それぞれの気持ちを思って読み手としても
とても苦しかったし
静かな悲しみが降り積もるような展開に
何度もかき乱されましたが、
苦しみの果てに待っていた幸せに本当に救われて
じんわり温かな気持ちを味わえた作品でした。
昼は古本屋でバイト、夜は身体を売る仕事をして2年間過ごしていた藍。
ある日指名が入った相手からの指定は、白シャツに白い靴下。変態かと思いきや、抱きしめるだけで、それ以上はしてこない成瀬。
成瀬は藍を気に入り指名を繰り返すが。。。
夜の仕事に罪悪感はなく、暴力を振るわれても耐える藍が、唯一気に入っていた古本屋バイト。夜の事がバレて、店長に体を触られるようになり、信用していた人からの裏切り。読んでいて苦しかったです。藍にとって身体を売ること以上に、辛く感じることも悲しいし、店長が最後にしたことが、本当に酷い。
でも、朝丘先生の文章は、その酷さを明確に表現するのではなく、心情で伝えているので、読んでいて感じる辛さも、どん底ではなく、そこから成瀬とのやり取りが救い。
せつなくて、藍のマイナスな思考の意味もわかるからこそ、告白を断って分かれてしまった時には、不安になりましたが、予想外の救世主!私は宮野が店長と同じ類の人間なのかと疑っていたので、ここでやっと信用できました(笑)
夜の仕事の店長も、なんやかんやで藍を守ろうとしていたし、悪い人ばかりではないという終わり方が、私は好きです。
やっと掴んだ幸せを願わずにはいられない、せつないけれど、出会えたことの素晴らしさを感じられる、とても好きなお話でした。
電子書籍サイトを徘徊しておりましたところ、「あめと星の降るところ-Complete Book 1-」(と2)がセットでお勧めされていたので、「Completeとあるので、Completeなのだろう」と深く考えずにポチ。そうしたら、それは既存作品の番外編等を集めた本でした…というわけで、せっかくなので、そちらの本編を少しずつ先に読もうということでの初読みです。
ふんわりときれいで詩的な、女性的な作品でした。リアリティを追求するタイプではなく、登場人物たちの心の動きを詩のように表現している。夜中などに自分の世界に浸りきって、ひとときのファンタジーとして楽しむにはぴったりですが、表現が少々過剰…というか、ちょっと〝詩的な表現に酔いすぎかなぁ〟と思ってしまうようなところもありました。とは言え、これは個人的な好みもありますので、「これがいいのよ!」という方にはたまらないポイントだったりもするかもしれません。(私自身、初読みですので、繰り返し読んでいくとハマる瞬間が来ないとも限りません)
売春などの要素はあるのですが、ロマンティック極まる作風を読みたい時に良い一冊だと思います。
攻めの成瀬さん、いい人だけど奥手すぎて心配になります。
受けの藍は、育った家庭環境からこじらせ、夜のバイトをしており自己否定がとても強いです。
2人の距離は、もう、本当、もどかしいんですが、成瀬さんの藍への愛はとても深くと後半になってくにつれて、どんどん成瀬さんの見え方が変わっていきました。
奥手で消極的で頼りがないかと思えば、芯が強く本質を分かっている!そんな成瀬さんに萌えました!
二人は似ていないようで、本が好きだという共通点があったり、ずれてた歯車が合っていく過程がよかったです。あめと星の降るところcomplete bookでは8年後の二人が読めます。こちらも更にあったかい気持ちで読めるのでオススメです!このエピソードを合わせて読むと神作品です!
リトマス試験紙的な作品だと思います。ここにきて作家さまの作風が好きな人と苦手な人とにはっきりと別れる、微妙なラインの作品なんじゃないかな。デビュー作(コバルト文庫だったのも何かしら影響していそう)で、先生の萌えがツボだな~と感じてハマり、この作品でもキャラクターや人物の関係性に萌えたので、わたしはとても好きな作品。受けの心と身体の傷を、攻めが優しく優しく癒していく物語です。
高校卒業後、日中は古本屋、夜はウリ(コスプレ)のバイトをしている藍が主人公。実の母親の兄夫婦のところへ養子に出されて育った藍。彼がちょっとばかし人間不信で、人と深く関わることを避けているのはそういった背景があるからなのでしょう。古本屋では優しい佐藤店長や気さくだけどガサツな?野宮と共に淡々と働き、夜は客の要望に応え、身体に傷をつくるような日も。そんな中、藍は夜の仕事で成瀬という客と出会います。
成瀬は藍に白シャツとソックスを着せて満足するチラリズムフェチで、月に一、二度ほど藍を指名するけれど、行為を要求することはありませんでした。いつしか藍は、他愛のない話をして、ただ自分を抱きしめるだけの時間を過ごす成瀬に心を許していきます。
成瀬さんのムッツリなフェチに激しく共感したのと、藍が彼に振り向いて心が通じるまで辛抱強く待つところに萌えました。よくよく考えれば、はっきりいって成瀬はストーカー。しかもちょっとマニアックな。かなりの執着攻めだと思いますが、キャラのせいなのか全く嫌な感じはしなかったです。
古本屋が舞台にもなっているため、お話の中では何冊かの本が二人を繋ぐ大きな役目を果たしています。他の作品でもそうなのかなと思うんですが、朝丘作品の作中作品って、先生によるオリジナルなんですよね。その文章とか一節にもジーンときちゃって…。既存の有名作品を借りてくるより、オリジナルの方が作品の世界観が崩れず、どっぷり浸れるような気がしました。ただし、作家さまと相性が合わなければ苦しいかもですけど。。
先生の初期作品は、根が純粋な受けと包容力のある攻めの王道な組み合わせが多く、悲しい終わり方ばかりのイメージでしたが、今作でやっとハッピーエンディングに到達して感無量でした。
この作品を読み、作家さまが一つ一つの物語を魂を込めて大切にしていらっしゃるのがヒシヒシと伝わってきましたし、挿絵を担当された麻生ミツ晃先生のコメントからも、藍と成瀬への特別な思い入れを感じました。作家さんご本人とイラストレーターさんの両方に、とっても愛されている作品なのだなぁと思いました。
坂道のソラから朝丘さんの本を読むのは2冊目なのですが、読みにくいと感じること一切なく1日で読み切ってしまうほど良い作品でした。
主役の2人だけではなく、周囲の人間もひとりひとり魅力を感じました。店長も前まで優しく穏やかだった面もそれは必ず店長の一部であると信じていたかったと思えるようになった藍の心の変化など細かく表現されていて感情を自然とリンクさせながら読み進められました。
軽い気持ちで読める話ではないと思いますが、人に勧めたいと思う本でした
昼は古本屋でのバイトをし、夜は体を売る仕事をしている藍。
そんな夜のバイトでお客として現れた成瀬は、1時間抱きしめたり手をつなぐだけで、それ以上の何も求めてきません。
そんな変わった成瀬から伝わってくる今まで味わったことがない暖かさが藍の心を変化させます。
客としてではなく藍を大事に思う成瀬に対し、藍は本当は惹かれているのに、自分にはその資格がないと一歩を踏み出せません。
うまく絡み合わない二人の関係が切なかったです。
汚い自分が相手を求めてはいけない、でも失いたくないと思う藍の葛藤に涙でした。
個人的には成瀬のキャラも藍のキャラも好きではありませんでした。(暗いし、はっきりしないし、ずっと敬語なのも気になりました)
でもストーリーはとても切なくてよかったです。
朝丘先生の作品は評価に苦しむ。
読みやすいかどうかで言えば、なかなか読みづらかったです。
読んでてすごく苦しい。ちょうどこの小説を読んだ頃天気が曇っていて気分が暗いから余計に重く感じます。
朝丘先生の小説って、BLの中の純文学だよな。
暇つぶしの気分で読めるような小説ではないですね。
ストーリーのメリハリより、主人公の精神世界を築き、読者をそこへ引き込むような神描写です。これを頑張って最後まで読みきった自分を褒めて欲しいぐらい、この小説を読むときは苦しかったです。
切ないものは好きだけど、これはもう普通の「切ない」範囲ではないです。相当の心構えがないと、朝丘先生の作品を手に取れないですね。
優しくて淡々としたお話でした。
藍は両親が健在なのに叔母夫婦の養子になるが、そのことを苦にしないようにと気を使われる度に居場所がない思いにかられ、実の親にすら愛されないことから自己否定してしまう。
ただそのことから身を売るに繋がる状況はよく見えませんでした。
登場人物に悪人はいないんです。
ただ自分本位だったり少し狡かったり考えが足りない人たちばかりで、どこにでもいつ普通の人たちだと思います。
でも、藍の両親たちは親として足りないことが多すぎる気がしました。
実の両親は息子を養子に出した事情を話さず姉の結婚式に招待します。一人息子は人にあげたのに大事にしている娘が幸せになる席に呼ぶのは皮肉としか考えられない。
養父母は養子にも関わらず実の子のように愛し愛されていることを他者に認められたいがために育てているようです。
藍の視点で描写されている展開なので実際は違っていても、藍が親に捨てられ養父母には自己のプライドだけで養育されていると思わせる何かがあるのだからどんな事情があったにせよ対処を間違ったと思います。
会社員の成瀬は白いシャツと靴下だけの男の子を抱きしめるのが好きという性指向を変態じみていると恥じながら、藍に会って好きになるけれど抱きしめる以上はしない優しいけれどヘタレなお兄さんです。
藍がだんだん、成瀬を意識してついには好意を自覚しながら釣り合わない相手だからこれ以上好きになってはいけないと離れようとしたり、贈られた指輪を会うとき以外なるべく身に着けないようにする努力が切なかったです。
藍の昼間のバイト先の古書店のバイト仲間の野宮が面白いです。
面倒見の良い気のいい美大生ですがそれほど親切でもないしいい加減で的外れなところもあるけれど不器用な優しさで癒してくれる不思議な人でした。
また、人を愛することに臆病な藍の背中を押してくれたり、成瀬の性指向が男のロマンスと言い切りなんだそんなことかと思わせてあげられた恩人でもあります。
思わぬ行動をしそうな彼主役のスピンオフがあったら面白そうです。
古書店のセクハラ店長は気持ち悪いです。
藍のことが好きらしいけれどそれはそれは厭らしくねちっこく、ギリギリのところでとどまっていたいるけれど絶対身近にいてほしくない男でした。
後日譚の『温かい白日』はバカップルの愉快な一日でした。
訪ねてきた野宮はあてられてやれやれな感じでしたが、ちっともへこたれずこれからも度々二人の邪魔をしにきては追い返されるのでしょう。
なにより藍をちゃんと愛して受け止めてくれる人と出会えてよかったなと思います。
孤独で無愛想な藍は、昼は古本屋で、夜は体を売るバイトをしている。
藍にとっては、体を売る事も単なる肉体労働、
親に捨てられ心に巣食う自己否定感に、感情が動かずに過ごす日々、
世の中は灰色だ。
そんな彼が客として出逢ったサラリーマンの成瀬。
体を求めず、ただ温かく抱きしめられる時間を過ごすうちに
少しずつ動き出し色づいていく世界…
友人が泣いた、と言って貸してくれた本です。
あああ、こういういかにも私が好きそうなモチーフを並べてくれちゃって!
でも、それなのに、なんでこんなに好きじゃないんだろう?
よく一穂ミチさんと、並び称される朝丘さんなのですが、
どうして自分の中でこう極端に位置づけが違うのだろうか?と考えてみました。
一穂さんの描く人物には、確固たるその人らしさがある。
透明感とか、叙情性とか、そういう点では共通なのだと思うのですが、
朝丘さんの描く人物は、ふわふわと軸のはっきりしない絵空事に感じて乗れないのです。
この話も、そもそも藍が何故こんな生き方をしているのかちっとも分からない。
こういう頑な可愛げのない性格のキャラは好きなのだけれど、
親に捨てられたと言っても、うーん、売春をする必然性って何なのだろうか?
意地悪な言い方をすれば、一人芝居をしているように映る。
いや、藍の一人芝居じゃなくて、作者の一人ファンタジーなのか。
攻めの成瀬さんも、風俗に行って白シャツ着せてただ抱きしめてるって何?
その上、大阪に藍がやってきて雪の中やっと想いが通じ合った、はずなのに
そこから1ヶ月半何もないって、優しいっていうより気持ち悪っ!と思ってしまいました。
藍をカタカナのクン付けで呼ぶのも、個人的には苦手。
それと、最後のバイトの先輩野宮の下りは、急にコミカルなトーンになって
(こっちの方が好きだけれど)これまた違和感がありました。
ということで、私自身は好きではありませんが、
お好きな方はいらっしゃるだろうなーとは思います。
いつもでしたらこういう時には「中立」にするのですが、
なんとなくムシャクシャとして(笑、すいません;)☆一つマイナスにしてしまいました。