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kaoho
とぅるとぅるーっと読めて、物語のバリエーションが豊富で、一冊につき一度は萌えさせてくれるので、ついつい手にとってしまう火崎作品。ガッツを感じるこの作品を読んだ時、やはりベテラン作家さまなんだなと惚れ直しちゃいました。暗くて重くて…。このお話は元高校同級生同士の捻じれ愛とでもいうのか、ある意味純愛なのかなと思いました。
高校卒業式の日、一度だけ不堂と関係を持って冷められてしまった海江は、彼のことがずっと忘れられなかった。社会人になり、自宅近所の古本屋で偶然不堂と再会する。なぜ彼は自分のもとを去ったのか、海江は真意を確かめる機会を得るのだが…。
古い作品なのもあって、嫌んなるくらい暗いし重いし、考えさせられます。それは海江の境遇に拠るところが大きいのですが、その人にとっては触れたくない闇の部分と、あえて直面させられることがいかにキツいかを知っていたら、よくBLでこういったお話を描いたなぁと思われるかも。むしろ、BLだからこそ描けたのかもしれませんね。だって、愛(情)の助けがなければ、実行するのはなかなか難しいことだから。
機能不全家族と取り残された子供。深刻で複雑なテーマを上手に描き切っているかといわれたら、全面的には肯定しにくいかもしれません。でも、言いたいことは強く伝わってくるし、これが描きたいの!っていう作家さまの情熱に気圧されてしまうんです。海江と不堂の間を取り持つ暢気な脇キャラの存在と、無理矢理だけれどサスペンスのようにも読めるところがせめてもの救いでした。一応、ハッピーエンディングですが、ネガティヴな物語でもカタルシスを得られるM属性の方には、読み応えを感じていただける作品ではないかと思います。