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――喪服は、そそるな。
今回は数々の関連会社を持つ企業の辣腕副社長と
葬儀社のセレモニーコーディネーターのお話です。
攻様の親族を欺く偽の恋人からかけがえのない恋人になるまで。
受様は葬儀社で働く一社員です。
大学時代のアルバイトから正社員になり
今では葬儀を仕切るチームリーダーの一人。
ホテル傘下の勤め先もアットホームで
仕事も会社も気に入って働いています。
対して攻様は
受様の会社の後ろ盾となるホテルグループの
更に上に位置する会社の大会社の副社長です。
物語は攻様の父の急死から始まります。
葬儀を依頼された葬儀社の担当として
受様が向かった攻様の自宅は思った以上の大豪邸。
かなりの規模の葬儀となると
慎重に対応しようとする受様ですが、
喪主として現れた攻様は
受様を見て何かを思案している様子。
何も言わずに着いて来い。
もし一言でも喋ったら他の葬儀社に替える。
嫌な予感がつのる受様ですが、
近親者を亡くしたばかりのお相手に強く出られず、
親族らしき人々の集った部屋に連れて行かれ、
「俺の恋人だ」と紹介されてしまいます。
どうやら遺産目当ての親戚一堂が
跡継の攻様に自分の薦める縁談を押し付ける煩わしさを
一掃する為の爆弾宣言のようですが、
有無を言わせず役を振られた受様は正に寝耳に水。
彼らを黙らせる為にキスを仕掛けて
受様にぶたれてもソレすら芝居に利用する攻様には
親戚達を立ち付けてでも知りたい何かが有る様子。
受様は仕事の一環としてシブシブ芝居を引き受けます。
しかし葬儀の手配をする中、
人知れず父の死に悲しむ攻様の姿に父親への愛情を感じ、
不器用な姿に本来の彼の姿を見るような・・・。
少しづつ良好な関係を作りつつあった二人ですが
葬儀が無事に済んだ晩、
行き違いから受様は攻様を怒らせて強姦されてしまいます!!
何が攻様の怒りを買ったのか?!
そもそも芝居の目的は本当に単なる虫除けなのか?
そして二人の関係は芝居のまま終わるのか?!
仕事は出来る攻様ですが、
あまりにもワンマンで口数が少ないので
受様にとってはかなり厳しい展開ですが、
火崎作品はハッピーエンドがお約束なので
どうやってまとまるのかドキドキして読めました♪
本編は受様人称で展開するので
受様は攻様の真意がわからずグルグル状態ですが
某通販社の購入特典小冊子では、
攻様人称での二人の出会いと
本編後の二人の様子が楽しめますよ。
今回は同じく誤解から始まるカップルの恋愛模様で
火崎勇さんの『始まりはミステイク』をご紹介します。
帯「-喪服は、そそるな。」
萌えポインツを押さえたコピーですな。
火崎さんは常に平均クラスの作品を書かれるので安心して読める作家さんなんですが~。
葬儀会社勤務の沖奈[受]が、葬儀先の喪主、宮部[攻]に始終引っ張り回される話。
突然、お前の会社に決めて料金3倍って条件で初対面宮部の婚約者を務めさせられる沖奈。
魑魅魍魎の如くに故人の財産を狙ってくる親戚に対して宮部がとった策で、沖奈は会社の為、仕事の為と恋人役を務めるです。
一緒に居る内に彼の孤独や人となりを多少なりとも知って行く内に魅かれ始める沖奈。
しかし口喧嘩中に、宮部が強姦ーーー!!
恋人役なんぞやってられっかー!!!状態ですがなんだかんだで疑似恋人続行。
葬儀も無事終わり、事件も片付いてお別れすりゃ終わりなんですが、もう出来上がっております、この2人。
それはいい、まあそれはいいです。
んでも最初から攻が受に一目惚れで手放したくなかったから、恋人役を提案したって、オイ、勢いですかー!!
最初から好きなら好きって言えよ!
怒濤の後出しじゃんけんかよーーーー!!!!
作中でもうちょい、攻が受に対する感情や複線の欠片があればもうきっと楽しめたと思います。その辺でマイナスポイント。ただ流石、火崎さん標準ラインはしっかりこなしてますが
この辺りは自分的好みで。
受攻共に魅力的なんですけどね。リーマン物好き(喪服も有りだ!)でしたら好みに合うんじゃなろうか。
挿絵は口絵カラー1P、本文10P、かんべさんの前髪鬼太郎率は今回控え目。