茅島氏の優雅な生活 1

kayashimashi no yuuga na seikatsu

茅島氏の優雅な生活 1
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×235
  • 萌16
  • 中立3
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
25
得点
466
評価数
113
平均
4.2 / 5
神率
48.7%
著者
遠野春日 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
日高ショーコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
茅島氏の優雅な生活
発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784344816374

あらすじ

何不自由ない生活を送るはずの資産家・茅島氏の心を初めて捉えたのは庭師の青年!? 大人気シリーズ待望の文庫化!!
出版社より

表題作茅島氏の優雅な生活 1

その他の収録作品

  • 茅島氏の優雅な生活
  • 休暇の過ごし方
  • 春の嵐
  • 晩餐会と学友と奥庭
  • 続・休暇の過ごし方
  • くちびるの快感
  • あとがき

レビュー投稿数25

無垢だけど愛に貪欲な大富豪

作者さんの作品初読みでした。
このシリーズに関しても全く無知な状態で読みました。
茅島氏と"彼"という表現での第三者目線で書かれていて、彼がどういう関係なのか、2人はどんな人物なのかが不明のまま会話が続くという始まりなので、こういう書き出しに慣れてなかったので少々戸惑いがありました。

それと茅島氏が庶民には大抵想像つかないような生活環境にある上、氏の性格も世間知らず・無感情・浮世離れしているときていて、始めの方は没頭できる感じではなかったかも知れません。

ですが、茅島氏の中に眠っていた情熱がほとばしり始める時、普段の茅島氏からは予想できない言動をするのでどんどん引き込まれて、ストーリーにはまり込んでいきました。

意中の人を遠くから見ているだけだった茅島が、ひょんなことからおしかけ女房的な行動に走る過程がとても面白いです。
茅島氏にしかできない行動だなぁ、と思います。

「きっと将来別れなければならない関係」という部分に切なくなりながらもBLのこういう部分が大好物なので、3巻まであるのならこの設定、もうちょっと引っ張って欲しい気もしました。

エロに関してピュアだった茅島が欲望に忠実に、貪欲になっていくのも非常に良かったです。

最後まで庭師の名前が明かされず"彼"のままでした。
そういう部分も返ってミステリアスでいいのかも知れませんね。
続きも読むのが楽しみです。

1

・・・

漫画版の神評価が多いので、原作に興味を持ち、電子版を購読。

原作の方が、やっぱり面白味が深い。
これから、2-3巻を読み進みます。

1

此処が彼の原点・Ⅰ

遠野さんの小説を読んでいるとたまーに登場する神出鬼没な謎の紳士がこの人、茅島氏だ。
もうそろそろ肝心の彼のルーツを読まないとな、と長年積んでいたのをやっと読みました~。
(コミック版のほうはまだ読めていないけれど)
この新装版は2009年刊で、初版は1999年刊のリーフノベルズになる。

今までBLでセレブや貴族王族ものを多々読んできたが、この話を読んでみると茅島氏の唯一無二なキャラクターが際立っているね。
この人の周囲だけ空気の流れが違っていそうな雰囲気が漂っていそうと感じる事はなかなかない。
読み出して間もないうちから彼の浮世離れしている様子は充分に感じられたが、やんごとなき方々と同格の高貴さとは!!

もう一つ読んでみて意外だったのは、茅島氏が選んだ相手が常に側に居る執事でも見目麗しい秘書でもなく庭師の男だという点だった。
まぁ波多野氏は執事歴30年というベテランで主人・茅島氏を常に見守る立場が板についているし、秘書・小泉氏も立場を弁えているところからして相当有能なのが伺える。

ちなみに、1巻目の短編6本を通しての茅島氏の心は"恋するときめき"で占められている。
茅島氏の言う事やる事って大抵唐突だし、相手の空気を読まない一面もあるのに、KYだと不快な気分にならない不思議さがある。
いきなり庭師の家に乗り込んで告白したにも関わらず、まさか彼が茅島氏の想いに突き動かされて一夜を共にするとは…!!
しかも案外大胆な絡みに順応しているし(笑)

こうして庭師だけでなく、読んでいる側もあっという間に恋を知らなかった高貴な男に惹き込まれてしまったのだった。

0

原作も最高

リーフ出版のCDで大好きになり原作も読んでみました。
CD同様の感想です、とても最高…!!!

小説ならではな情報量の多さにも大満足です。
流れを知っていても、新たな魅力に惚れていく。

茅島氏はやっぱり可愛いなぁ。
かやしま すみと って流れるようなフルネームからしてもう全部素晴らしい。

感情の起伏が少ないかと思いきや庭師に見せる情熱的な愛には読者側もドキドキさせられます。
こんな大金持ちに好かれたら私だったら堕落しきってしまうと思うのに(笑)ストイックに付き合いを続けつつも庭師側がなだらかに妥協し二人の時間が増えていくのにはニコニコでした。
好かれた側の特権というか(笑)高貴な雇い主にも動じず主導権を握っている初期の庭師も凄く好きでした。
好きだとたくさん伝える主人に反してよくぞあそこまで…!

BLで見飽きた様な典型的なカップルにはならず、二人を眺める時間がとても楽しかったです。
早く次巻も読むぞー!!!

3

名前を~~~!

 日高ショーコ先生のイラストにつられて、1~3巻をまとめ買い。ストーリーにも期待していた以上に惹きこまれて、3巻まで一気読みできました。

 御曹司の茅島氏がとにかく健気で可愛い!最初の登場シーンはお高く止まった御曹司って雰囲気なのですが、話が進むにつれて、彼を包んでいた堅い伝統のあるお家柄の殻が剥がれ、素の茅島氏が見えてくると、攻め共々にイチコロでした。
 ただ一つ気になったのは…、何で攻めの名前が出てこないの!?ミステリアスさを演出する意図なのかもしれませんが、名前がわからないってこんなにもイライラモヤモヤするものなんだな、ということに気づきました。
 神評価にするか迷ったのですが、攻めの名前がなくてモヤモヤさせられた腹いせ(笑)で、萌2にさせて頂きました。

2

タイトルで敬遠しててゴメンナサイ

だいぶ前から存在は知っていたのに、タイトルで敬遠して長いこと読んでいませんでした。どうにも語感から坂田靖子先生の名作コミック「バジル氏の優雅な生活」のパクリ!? みたいに思ってしまって…。ですが、ある時ふと思い立って手に取ってみたら、これが存外面白く。
確かにタイトルは、「バジル氏〜」を意識しているのではないかな? とは思います。上流階級を舞台としていることからも。ですが、こちらはこちらとしてとても素敵な作品でした。よく知らずに長いこと敬遠してて本当にすみません。

舞台を日本に置きながら、浮世離れした人を登場させる設定と語り口が秀逸です。リアリティどうこうではありませんが、茅島氏の心を捉える庭師の名前が出てこないところとか含め、雰囲気を出すのがとても巧み。1巻目を読んだら、立て続けにシリーズを読破してしまいました。

よく知らずに評価しちゃうのはよくないですね、と自戒。

2

天然な茅島氏が面白い

茅島氏シリーズ1作目。

茅島氏の浮世離れした言動や、自分にも人にも嘘をつけない真直ぐさが可愛いです。
お坊ちゃまだけどそれを鼻にかけず、むしろ不器用なところに好感がもてます。

そして、お相手の庭師のツンデレな感じも大好きです。
二人になると雇い主と雇われ側の立場が逆転し、
茅島氏に対して上から目線の強気な口調になるのが最高です。
この二人いいコンビです。

そして茅島氏の優雅な生活は、羨ましくなる優雅さでした。
社交パーティーやら骨董収集やら、資産家たちの優雅な世界観も
読んでいて面白かったです。
続きが早く読みたい。

3

コミックでも小説でもいいものはいい!

ほんとです、読むタイミングってありますー
(すいません。前のお姐さまのレビューを受けて書いてしまいました)
私は違法行為(笑)ついコミックから入ってしまって。
麻々原先生の可愛いめ茅島様の印象がぬぐいきれず、しばし放置してました。
今回、ようやく読めましたー。

コミックは萌2でしたが、小説は神ー。
1.庭師を好きだという気持ちにじんわり気が付いて、行動にうつすまでの
  心情がとってもよく分かったから。
  コミックだと 今一つ好きになった理由がぴんとこず。
  今回じわじわじわーーーっと茅島さんの心情が伝わってきて、
  すっごくよかった!
2.庭師側の気持ちも、文字になるとじっくり伝わってきて
  コミックもいいけど、小説もいいじゃーーーーーーーーん と
  とても嬉しくなりました!
  「こんなに完敗していることには気づいていなかった」なんて
  もうメロメロじゃん!私も完敗ー
3.コミックでは出てこなかった聖司(きれいなお医者さん)が、
  どう関わっているのかがわかって、なんだか納得ー。
  このキレイなお医者さんで何か読みたいーーー
  茅島様とも不思議に絡んでて、なんだかうっとりしちゃいました。
  (同人誌に載せてたやつを大幅改稿して文庫化したそうです)

しかしまあ、今から思えば、コミック、すごい!
原作の雰囲気を忠実に忠実に再現しつつ、麻々原先生の味をちゃんと出し・・
恐るべし。

2

その不器用さがなんともかわいい。

一度手にしてみたけれど、イマイチ島氏のキャラに馴染めず数ページでリタイアしてしまい、長らくの間本棚のすみっこに…。
なんとなく気になり、再び読みはじめ…見本にハマる。
つくづく読むタイミングというものがあるんだなと思いました。

ジワジワ~っと染みてくる茅島氏の魅力。
コミュニケーションはとれない、言葉も足りない、偏屈で不器用で気難しい。
けれどおそろしいぐらい純粋で裏表がなく、取り繕うことをしない茅島氏。
潔いまでの自己中心的に、『こんな人間になってみたい』と憧れがあったりするのかもしれません。

茅島氏が悩み揺さぶられる、唯一の存在といっていいぐらいの存在、庭師。
けっこうクセモノだなぁ。
どう攻めてくるかわからない茅島氏に振り回されている姿が楽しいです。

完全ヒキコモリの茅島氏。
一日中屋敷にこもり、自発的に何かを求めたりしないそんな彼が、庭師のことになると行動的になり饒舌になる。
ちょっとずれていて、それでも一生懸命庭師を好きだと言う不器用で可愛い茅島氏にすっかりハマってしまいました。

4

コミカライズを先に読みました。

先にコミカライズを読んで大ハマりしてからの、原作です。
普通は順番逆ですよね。
コミカライズの言葉少なく斜め上思考のぼんやり澄人さんが好きなので、ちょっと原作に手を出すのはためらわれましたが、思いきって購入。
コミカライズ以外のエピソードが色々あり、大学に行く話とか、担当医師との馴れ初めとか、これはこれで楽しめました。しかし、この話をあれだけ簡素にまとめられていて、コミカライズにも色々感心。
でも矢張り、何考えてるか分からない澄人さんが好きなので、コミカライズの方が好みかなあ。いや、こっちが原作だから、そうなるとコミカライズが外れれている事になるんですかね??
日高さんの挿絵も美麗で、どっちもそれぞれいいなあという感想でした。
澄人さんは麻々原さんの方が本当に何考えてるか分からない感じで好みですが、庭師は日高さんの方が無口で無骨な感じがします。コミカライズの庭師さん、別に無口でも傲慢でもないですよね。普通にいい人。
そして、どちらも執事さんが好き。たまらんですね!

さて、2巻!

2

1冊目

1冊全部ひとつのストーリー。
コミックも出てますが、原作の小説。

まぁ!みなさんの仰るように何てかわいいのでしょう、茅島澄人さん。

最初に読み始めた時の印象と、読めば読むほど
どんどん澄人さんの印象が変わって行きます。

最初はひたすらワガママさん・・・だと思っていたけど
そのワガママが、澄人さんの生活ぶりや
今までの人生を知ると、変わってくるんですね~。

それに”庭師の彼”が変わっていく様子もいいですね♪

あまあま大好きな人には、安心して楽しめる一冊です^^

1

茅島氏がどんな行動取るか予測不能

時系列バラバラな短編集です。
最初存在が突飛すぎて取っつきにくいかな?と思っていたんですが、読み進めると…めちゃ可愛いじゃないかーっ、茅島氏!!!

庭師の名前が最後まで読んでも分からん(´Д`)


1.茅島氏の優雅な生活
 執事の波多野に起こされる→秘書兼話し相手の小泉とお茶&本屋go→大学の同窓生・小川女史との交流→庭師とベッド…まで。

2.休暇の過ごし方
 茅島氏と庭師の初めての夜+2人で過ごす休日の話。
庭師目線。

いや…確かに吃驚だよねー嵐の夜に旦那様が自分のアパートに突撃訪問、しかもずぶ濡れ。
挙げ句にろくに喋ったこともないのに告白され…。

3.春の嵐
 茅島氏が常人じゃなくて良かった(>-<)
本人気付いてないけど(不快感は有)危なかったよー。
淫靡なパーティーでした。
茅島氏が庭師に心惹かれる要因となった回想有り&天使のように綺麗だと言わしめる聖司、初登場。
…聖司めちゃ気になる…幸せになってくれorz

4.晩餐会と学友と奥庭
 大学時代の話。久住という学生をパーティーのパートナーに誘います。
彼と話すうちに「好きな人が同性」「恋愛感情」について考えるように。
…めちゃ唐突だな、おいと思った告白…実は少しずつステップアップしてたんですねぇ。

5.続・休暇の過ごし方
 庭師とドライブ&ラブホ…「1.茅島氏の優雅な生活」でチラッと出た観葉植物パキラの使い途はそれだったのかー
庭師やるな(*´艸`)

6.くちびるの快感
 聖司GETー(笑)
担当医にしちゃいます。
なんだろーキスとか触りっこ(上体)あるけど…のほのほ~って感じ?
二人とも可愛いのですよっ!

3

じわじわ



じわじわきますね。茅島氏。
世界観がステキに独特です。

商業らしく、といったら何ですが
読者が興味をそそられる展開というかシュチュエーションをよくご存知で。という感じです。
茅島氏にぐわんぐわん振り回されました。

1~3巻通してのレビューにしますが、
澄人さん可愛くてしょうがないですっ!!

しつこく詮索してしまう自分を無作法だと恥じらったり、セックス時の恥じらいはあるものの素直な反応も愛らしい。
庭師にだけ臆病な彼はもう萌えすぎてなんかでそうなレベル。

庭師もいい具合に男前。
茅島氏と並ぶと野獣感が増しますよね。
んー素敵。

あと忘れてはいけないのは、脇キャラの面々。皆ほんとにいいキャラしてます。温かい人たちです。

ということで、平和で面白く、読みやすい本です。


1

これは腐女子の理想なのだろうか?

ドラマCD→コミックス→原作。
読んでビックリ、遠野先生のくり出すさまざまな仕掛けとシンプルな文にヤラれた!

茅島氏は早い話が、大金持ちのヒキコモリです。
まるでヴィクトリア女王のように「余は退屈じゃ」と暇をもてあまし、
ひがなテラスで庭をながめ、何にも興味を持たず、植物のような美青年です。
コミックスやドラマCDでは不思議ちゃんのようなイメージですが、
原作ではもっと鬱屈している。

ですが、それを打ち破り、茅島氏が執着にとらわれる、
それが作中に名前すら出てこない「庭師」なのです。
ここらへんは「チャタレイ夫人の恋人」を彷彿とさせますが、
原作でもっとも興味深いのは、腐女子の理想みたいな世界に出てくる女性たちです。

これはドラマCDにもコミックスにもあまり出てこないので注目していただきたいところ。
茅島氏と大学の同期で、大学助教授をつとめている美帆、
舞踏会で茅島氏と小泉の仲をいろいろ噂する良家の女子たち

彼女らは従来の貴族社会モノにありがちな、「なにもできないお嬢さん」ではなく、
自分の仕事を持ち、かなりのリベラル派で、しかもあわよくば茅島氏とくっつけようとする周囲に反発心を強く持っています。
女性がヒールとして描かれることも少なくないBLで
これほど親近感のわく女性たちもないのではないかと思いますが。

読者の大多数である腐女子と、茅島氏の周囲にいる女性の視線をかぎりなく近づけて、読者をストーリーの参加者にしてしまおうというもくろみなのでしょうか?

ドラマCDでも「庭師」の素性や名前、年齢いっさい伏せて聴者の想像にまかせてしまう手法が面白かったのですが、こうした「読者参加型」の手法がとても刺激的。

一見、古典的なBLと見えて、あちこちに面白い仕掛けがあります。

7

文庫版とコミックス

コミックスの方を読んだら、原作も読みたくなったので…(^^;)

挿絵が違うのでちょっと違和感ありましたが
内容(流れ)はほぼ一緒難です。
でもやはり小説の方が細かい描写まで書かれてるので
読んでてこちらの方が面白かったです
(余計にコミックスの方がアッサリし過ぎてるのを再認識してしまった)

私が新装版を買うのは書下ろしを期待してる為。
そして今回は同人誌からの掲載らしいです。(持ってる方は楽しみがないのかも?)

うわ~っ、定期健診をしてくれてるお医者さんと澄人さんの秘密って感じでよかった。
この2人には独特の雰囲気があっていいかもvv


3

表紙が美しい

日高ショーコ先生のイラスト。
綺麗で美しい。
うっとりして購入。
続き物ですね。
ここの本屋は1巻しかないぞ!!
また どっぷり嵌まっていく私。
だって美しいモノは欲しくなるでしょうよ。
絶対嵌まるから小説の続き本は買わないでおこうと 心に硬い決心をしたはずが。
まんまと引っかかってますよお。
で 庭師の話。
庭師の名前がでてきません。
面白いアイデアですね。
ミステリアスで興味そそっちゃうもんね。
ウマイ戦略だ。参ったよ。完敗だ。

1

茅島氏の魅力に唸ります。

お金持ちの坊ちゃんと庭師。
ありきたりだけど確実に萌のある設定…これは狡い。
嵐の中告白しにくる茅島氏と庭師のやりとりが好きで何度も読み返しています。
茅島氏の可愛さに魅了されるせいで、庭師の意地悪の度が過ぎるあたりに嫌悪感を感じるからか、追いかけ続ける茅島氏が余計に健気に見える。
パキラを許した茅島氏。もっと優しく愛してあげてください。

1

こんな設定慣れてるはずなのに!

なんだろうこの衝撃。いや衝撃って感じのお話じゃないからもうちょっと静かな驚きというべきなんでしょうけど、これは本当にもう一度日の目を見てくれてよかったなと思える作品でしたね。
今はなきリーフ出版から出てたようですけど、悪いけどレーターレベルがこちらの方が素晴らしいのでこちらで読んでよかったと思いました。すみません…。

茅島氏の静かで浮世離れをしていつつも、こと情事に関してだけは恐ろしく激しい物語です。
普段の茅島氏の生活や、行動、言動が静かで予定調和的であまりに「静」なだけに、庭師に向ける情熱と情欲が対比的にとても激しく「動」に感じるのです。
それだけ「動」であってもどこか浮世離れしていて上品で、でも取りすましてなくて、淫乱でも下卑てない、すごく不思議な描写につながるんでしょうね。

正直このレベルの富豪が出てくる話は、BLではなぜかもう「良くある話」になってる所がありますけど、このお話の茅島氏は絶対あり得なくお金持ちな上に浮世離れしてるのに何だか血肉を感じるんですよ。
ああ、そんな人いるかもしれないね、日本のどこかにはという感じで。
茅島氏はとても性格的に偏ってるのに、結局誰も彼に酷い事が出来ない状況になり、茅島氏の思惑どおりに事が運ぶのが、ご都合主義でなく「ああ、そうなるよね」と不思議に納得させられる。
ある意味少し狂った世界にいるのに、それすらも心地よい感じになる。なんとも不思議な魅力のある人です。

庭師はそんな茅島氏に最初はいらだちながらも結局は落ちるように惹かれて行ってしまう。
そこにあらがう気持ちになるのは何となく感覚としてわかります。
でも結局はそこへ落ちることを選んだ庭師の気持ちもわかる。
これだけ真摯に思われるというのは稀有な事だよなと思わせられるんですよね、読んでて自然に。
言葉でその辺を「解説」する小説が多い中、これだけ読んでて感覚で感じさせられるってのはすごいなと感心してしまいました。
私もすっかり茅島氏のとりこなのかもしれません!
時系列が前後しながらも、ストーリー展開は無理がなくとてもよくわかります。
わからないのはなぜ茅島氏が庭師にそこまで惚れ込んだのかという事くらいでしょうか。
しかし、恋とはそういうものという言葉で収まってしまい、それでいいような気がしてしまうのが茅島氏なのかもしれないですね。

あと、イラストがとてもマッチしてて素晴らしかったです。
茅島氏の雰囲気を描くだけで空気で感じさせてくれる感じがしました。

10

茅島氏と彼のはじまりの物語

10年前に発刊されたノベルズの文庫版とは思えないほど、新鮮な印象でした。
文庫化されていなければ私もこの作品のことを読むことは無かったと思うので、文庫化には本当に感謝です。
いつまでも手元において読み返したいと思える作品に出会えるのって、とっても幸せ。

物語は茅島氏の優雅な生活について追っていくことで進められていきますが、冒頭の「彼」とのただ事ではない雰囲気のやり取りはひとまず放置されてしまいます。
澄ましているかと思いきや不思議な魅力を放つ茅島氏にときめきを感じ始めるころ、ようやく「彼」が登場、茅島氏と読者のハートを奪いにやって来るのです(笑)
秘密の関係ゆえに、いつ忍んでくるかもわからない彼を待つ茅島氏と、そんな茅島氏を翻弄して楽しんでいるかのような彼。
彼に抱かれて幸せで涙してしまう茅島氏は健気で、切なくて胸がぎゅっとなります。

すべてが時系列順に語られていないので、二人のなれ初めである嵐の夜の出来事や、茅島氏が彼に惹かれるようになったきっかけなど、物語を読み進めるうちに徐々に疑問だった部分が明らかになっていきます。
欠けていたパーツがそろっていく感覚がたまらなく好きです。
読み進めていくうちに茅島氏という人物を知り、読者も彼同様に茅島氏を愛さずにはいられなくなるのではないでしょうか?
高貴で何者にも囚われない茅島氏が、彼だけを一途に思う姿は素敵です。
この1巻では、片思いだと思っている茅島氏と、身分の差を思い彼に惹かれていく気持ちを抑えようとする彼が噛みあわないのがまた切ない。
傍から見たらどんなに熱い二人でも、一線引いている姿がもどかしく、またそれがたまらないのです。
普段の様子からは想像できないくらい、彼の前で淫らになる茅島氏、本当に可愛い・・・
彼のSっ気満載のエロスシーンは、エロいのに切なくて綺麗なのです。

それにしても茅島氏の高貴っぷりはファンタジックに壮大です。
茅島邸や英国式庭園の描写は、私の想像力と知識では脳内に再現しきれないのですが・・・
この雰囲気はとてもツボです。
BLにはロマンチックがなくちゃ!(笑)




6

庭師に名はない。

先日麻々原絵里衣さんのコミックスも買いましてなかなか端正な絵が素敵だったのですが、庭師視点の心理描写が少々物足りなくって。
文庫の復刻版が出たので、いそいそと買いましたわ。
なにしろ挿絵も日高ショーコさんですからね!表紙がもう美麗です。

この作品、高貴でやんごとなき茅島澄人氏と、名のない「庭師」の恋のお話なのですが、
とにかく茅島氏の高貴さがハンパない!まるで英国貴族そのものです。
広大な敷地にイングリッシュガーデン、ボート遊びのできる池、そして馬場。
執事の波多野も素敵だし。

働く必要も全くない、ため息が出るような御身分ですが、両親を亡くしてしまってから、茅島氏の生活は、大金持ちは大金持ちでも、孤独で無為で空虚なのです。
そんな茅島氏が恋をしたのが、広大なお庭の世話をする逞しい庭師。
自分の仕事を愛し、世話する庭を愛しているけれど、ただ優しい純朴な男ではなくて、けっこう皮肉屋でイジワル。

羊は第2話の、庭師視点で語られる、茅島氏一世一代の大告白!「休暇の過ごし方」が大好きです。
なにしろ茅島氏は一般人とはかけ離れた感性の持ち主ですから、嵐の夜に、使用人の庭師のせまっ苦しいアパートまで、「好きだ」というためだけに押し掛けてくるわけです。
なんだっていきなり好きだなんて思ったんだ、と問われて、
「いつも庭で見ていた。好きになって悪いとは考えなかった。」
単刀直入で素直で、「そうですか・・」としかいいようのない、この返答(笑)。
プライドがないわけじゃないけれど、そんなもので自分の気持ちや考えをごまかしたりはしないんですね。
どう聴いても嘘がない、とわかるこの態度。無敵です。

この茅島氏の浮世離れした素直さがこの作品の大きな魅力ですが、名のない庭師もまたいいんですよね~。
無骨な職業で、そこそこ遊んでて、程よく加虐趣味(笑)。
フツーの庭師は、ご主人さまのあらぬところにパキラの茎挿したりしませんわ。
もう大告白の嵐の夜から、とっくに茅島氏を可愛いと思っているくせに、焦らされて泣いたり、庭師の気を惹くために大胆なことをする茅島氏が見たいばっかりに、なかなか好きだとはいってやらないし。

この作品は、短編集の形をとっていて、時系列に沿って話が進まないのですが、
それがとてもよい効果を生んでいると思います。
告白の嵐の夜の顛末話も別途語られていて、なぜいきなり茅島氏がずぶ濡れで庭師の部屋へやってきたのかわかったり、そのきっかけに、遠野さんの別の作品の主人公が重要な役割をはたしていたりと、サイドストーリーもなかなか楽しめるし。

続けて刊行されるようなので、全巻もちろん揃えますわ!

3

非凡さが魅了する素晴らしさ

同タイトルのコミックを先に読んでいたのですが、文章で読むと改めて好きな作品だと実感しました。
コミックとは違い、文章で表現されると細かい描写が脳内で想像の映像を映し出します。
挿絵の日高ショーコさんの繊細なイラストが、二人の微妙な心情をとてもステキに表現しています。

御曹司と庭師の恋、とても萌えました。
身分違い、と言ってしまうのは簡単ですが、細部で二人の生活水準がいかに違うか表現されています。
考え無しに直球な茅島氏と、思慮深い庭師。
リードするのは庭師で、茅島氏が金持ちぶりをひけらかして彼を振り回すことはありません。
この、反対にも思える二人の個性がとてもよかったです。

非凡であることががこんなにも新鮮で魅力的だなんて…と、私達レベルの生活も悪くないものだとかんじましたね。
御曹司にはこんな非凡な世界が楽しいのでしょうね。
背伸びせず、自分のレベルでのエスコートが自然にできる庭師の度量もすごいかと感じました。

「好きだ」とストレートにぶつかってくるところや些細なやきもちなど、まるで初恋をした少女のような茅島氏がとても可愛いです。
こんな無垢なお坊ちゃまに言い寄られたら、自分色に染めたくなる庭師の気持ちは如何ほどでしょうね?

大人な二人なのに、少年少女のような純真さを大いに楽しめた作品でした。



6

まだまだ導入なんですよね?!

茅島氏シリーズ、初読みです!麻々原さんのコミック版も一緒に購入しました。
でも一番の購入の決め手は日高ショーコさんの挿絵!相変わらずお美しい…!!
「憂鬱な朝」ともイメージが似ており、高貴な雰囲気がとってもよく出ていて、話にピッタリなイラストですねー!
茅島氏といい、「憂鬱な朝」の桂木といい、日高先生は気位の高い美人さんを書くのがお上手ですね!もーほんと綺麗!!
そしてお相手の庭師のもっさり具合も好きです(笑)!!
お話は茅島氏と庭師の恋がメインなんですが、この茅島氏が可愛いんですよねー
クールといいますか、世間知らずといいますか、またはお子様なのか。
いいように言えば純真無垢。穢れを知らない純粋な心の持ち主です。
お坊ちゃまなので色々とズレたところはありますが、庭師のことが好きで、本当に好きで、まっすぐに気持ちをぶつける様は気持ちがいいです。
庭師のことが好きだと気づき、好きな人とは抱き合いたいものと周りから聞かされたら、その足で庭師のもとまでやってきて告白!庭師でなくても驚きます。
でもそのまっすぐな気持ちに庭師もすぐにノックアウト。茅島氏にどんどん惹かれていきます。
しかも庭師と関係をもつようになってから、一生独身でいることを誓い、遺言まで残し、自分の人生を全て庭師とのものにしようと思っています。
なおかつ、それが当然のように口にするのでした。
庭師もこれには感動。感動という言葉では表せないくらいの気持ちだったでしょうね。
そりゃぁこんな自分よりも位の高い、自分とは縁遠いような茅島氏が自分のことをそこまで想い、こんなことまでしてくれるのですから。
すごい人だなぁ茅島氏。こーゆー気位の高い人がHのときに乱れるのって…萌えますよね♪
茅島氏も「いい」とかいって善がっちゃって、とても興奮してしまいますね!!!!
感じていても耐えるタイプかと思ってましたがそんなことはなく、快感には素直なタイプのようです。
…ところが茅島氏はきれいなものをみると側においておきたくなる習性があって(子供のような純粋な心の持ち主なんです!笑)、美青年を側におくんですよねー
これには庭師もやきもき。私もやきもきしております。
小泉や聖司ともキスしちゃうし。うーん…いいのか?

庭師のほうも、ワンコ系だと思ってたのですが俺様な男で意外でした。でも、その分茅島氏が庭師のことが大好きなんで、茅島氏の可愛らしさが際立っていいですvv
それにしてもこーゆー上流階級の方々の優雅な生活を眺めるのはいいですね。
自分とは縁遠いので、ある意味ファンタジー…BL自体がある意味ファンタジーですが!
茅島氏の優雅な生活を最後まで見届けたいと思います。

5

これはずるい作戦(笑)

ついこの間、麻々原さん画の漫画を買ったばかりだったのに・・・。日高ショーコさんのイラスト見たさに手に取ってしまいました。本屋で、ぐずぐずと挿絵をバラ見して「これは買わずには居られない」と諦めて(?!)レジに持って行きましたよ。それほどに!また麻々原さんとは違った美麗な茅島氏がそこには居たんです。
どれだけ日高ショーコさんの絵が好きなんだ、私・・・でも、そんな私と同士な方は多いと思います!だって、私が買った本がその本屋(割と大手)で最後の1冊だったんだもの~

さて、この小説版茅島氏を読んで、コミックスがどれだけ忠実に描かれていたのかが分かりました。そして、コミックス版では説明しきれなかったと思われる様々な枝葉の話も入っていて、「なるほど、そうだったのか!」と納得いく部分が多々ありました。秘書の小泉君を凌駕するほどの美形の医者が通って来ることになったいきさつとか、庭師のところに突然訪ねて行った茅島氏の行動の原因とか、小泉君以外の美形男子とのダンスを踊ったという話の詳細とか。そして、逆に文字で描かれている茅島氏と庭師のあれとかこれとかは、分かりやすく絵になって頭に浮かんできました。同じ本(内容的には)を2冊買うとは・・・と、少し躊躇していたけど、これはこれで面白くてよかったのかもしれません。

それにしても、小説では、最初の方の茅島氏は結構傲慢な感じで、漫画で感じた可愛さがないな・・・と残念に思っていたところ、まるで計ったようにそこに日高ショーコさんのイラストが入るんですよ・・・。ああ、小泉君にキスしている茅島氏!!小泉君も可愛い!!で、テンションが上がって、また読んで行って、「うーん」とか思ったところで、今度は寝台に座る茅島氏の顎を掬い上げ、上から見下ろす庭師のイラストが!!!いやー、これはたまりません。ページをめくる手が進む♪
っていうか、すみません、イラストの話ばっかりで。ホント、日高さんの絵が好みなのです~。
遠野春日さんはラッキーですね!素敵な絵師さん達に作品を飾ってもらえて。どちらの絵師さんも、この雰囲気に合っていて作品を盛り上げてくれていると思います。

内容的には(今頃ですが)、茅島氏(受)は可愛いけど私の萌えタイプというには物足りなく、お話にも「萌え!」という激しさはないのですが、くだんの「美形医師」聖司君が気になりました。黒髪黒瞳だったらもっと萌えたのですが、栗色の髪と緑の瞳の「被虐に慣れた淫乱」君です。彼と兄との話が一番気になるよ・・・。そっちでスピンオフしてくれたら、買ってしまうなぁ。兄弟ネタって、どうしてこんなに魅力的なのかしら。実の兄弟ではないようですが、兄×弟が好きな方は、ちょっと楽しいかもしれません。あ、でも直接の絡みはありませんので妄想力をフルに働かせてくださいね!

5

マンガも楽しめたけど、原作はもっとイイ!

先日、マンガを読んで庭師と御曹司の雰囲気が気に入ったので、小説も買ってみました。
小説はもっとせつない雰囲気で描かれており、胸がズキュンとしました。
御曹司がなぜ庭師の家を訪ねたのかという経緯も書かれていたし、新しく来た医師のこともわかり非常に満足。
マンガには描ききれなかったことがこの小説でいろいろ暴かれているので、マンガを気に入った人にはぜひとも読んでほしい原作です。
続きが来月以降にまた発売されるので、そちらにも期待大です!

4

お話自体は勿論、構造にヤラれた!

全3冊からなる茅島氏の麗しき生活…そして性活をお送りする作品。
その一般離れした豪華絢爛贅沢三昧と彼の無機質さのミスマッチが興味深い!
発行の2週間前に、他の絵師の先生が花音よりコミックス化をなさっています。
原作のこちらは、日高ショーコ先生により掴み所の無いクールな茅島氏が描かれています。

時には大臣クラスの人間も脚を運ぶという格式高いお屋敷の当主である茅島氏は、
元から豊かだったのに重ね、早くに亡くなられたご両親の保険金により莫大な資産を保持し、
働かずとも悠々自適な日々をお過ごしになることができるお方。
財力の象徴ともいえるお屋敷の庭はとても美しく、その管理をするのは、専属の庭師―――

このお話は、もちろんとても良かったのですがその作りがとても好きになりました。
表題作のラストで突然現れた庭師。それまでの七十数ページの中でちょい出しただけの彼…。
読者も“えっ”となる、2人の秘密が突然に明かされるのです。
だけどそれが無理やりな感じではない…むしろ実はしっかりと伏線が張られています。
しかし謎だらけな終わりを迎えてしまう…。
2人は、いつ、どこで、なぜ、どうやって…というのが謎のまま。

それが判るのは、続いての「休暇の過ごし方」。
前のお話では想像もできないような茅島氏の積極性が明かされます。
しかしここでも解らないことが出てきてしまう!
茅島氏は、なぜ…と。

そしてそれが明かされるのは、続いての「春の嵐」。
茅島氏の積極の理由が解ります。しかし金持ちの考えている事は良くわからない…!
突然登場人物が増え始めますが、ここにも実は伏線が張られているのです。
その次には「晩餐会と学友と奥庭」。
茅島氏の学生時代の…庭師への恋の始まりが窺えます。
ここまでで一層解るのは、茅島氏のこれまでの生活は、
どんなに恵まれていても必ずしも幸せではなかったという事、庭師だけが彼を幸せにする事。
そんな庭師も、「続・休暇の過ごし方」にて茅島氏をとても思っている事が解ります。

…と、一般的には過去→現在、もしくは現在→過去回想→現在となりそうな小説の構成が、
現在→過去→過去の過去→過去の過去の過去→現在と
一見解りにくそうなのに解る、未来からの伏線がとても興味深かったです。
主従ネタなど他にもそそられる物が多々ありましたが、その構成にとても感心しました!

4

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