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gyutto zutto dakishimete
寂しさを紛らわすため、ゲイ専門の高級会員制クラブのホストをしながら、客との束の間の疑似恋愛を楽しんでいた玲は、ある日店のドアの前に立つ人の良さそうな男・孝一を見かけ声をかけます。
孝一は最近になって自分がゲイだと気付き、大学生の男の子に恋をしたので、どうやって付き合えばいいのか店のホストに教わるつもりだったと言い、玲はこのままだと孝一が騙されてカモにされてしまうと、自分から手ほどきすることを申し出ます。
草食動物系男子×ビッチ(実は繊細)というカップリングです。
読む前から好みのシチュエーションだなとは思っていたのですが、草食系キャラの孝一にまんまとヤラれちゃいました。
孝一は人が良く大らかで優しいんだけど、どこか無神経なところがあるんですよ(ここ結構ポイントかも)。受け身のようでいて実はこちらが振り回しているところに「コイツめ~」と思わずニヤニヤしてしまいました。
逆に言えば孝一を調教しているようで、実は玲の方が振り回されちゃってるというのがまたいい感じで、最初から最後まで二人の関係(やり取り)はかなりツボでした。
またHシーンもあまりガツガツしていなくて、雰囲気を重視していたところが良かったです。
普段は草食なのに、Hのときはいきなり肉食になっちゃったらちょっと興醒めだったかもしれないんですが、ちゃんと適度にエロく、でもほんわかした感じもあるというバランスが取れていたと思います。
ストーリー自体は王道で先の展開も読めてしまうのですが、孝一×玲のやり取りだけで個人的にはもう[萌]レベルだったので全然問題なかったです。
逆に変に意表を狙った話になっていなかったので、キャラの魅力が引き立っていて良かったのかもしれません。
「もう傷つきたくないから人と距離を取ろうとして殻に籠り、ホントは寂しいのに強がってわざと露悪的に振舞うタイプ」の受は、読んでると時々すごく疲れてくる場合があります。
話のトーンや作家さんの書き方によりますが。
しかし、読み始めた時はまたそれか・・・と思ったんですが、読み進むうちに、好きになってしまった今野に対して、たとえ期限付きでも、素直に健気に感情を表す玲はそう悪くない気がして、意外に楽しんでしまいました。うしろ向きではあるんだけど、与えられた時間を大切にしようという可愛らしさがあって。
お話としては、よくあるものだとは思いますが、さらっと読めて、どことなくほのぼの可愛くて読後感も良かった。
攻の今野の「野菜卸売業」という職業も、気取らず、仕事に真摯な姿勢が良いですね。
「擬似恋愛」に悩む話であっても、今野はどこまでいっても裏表なく、優しくて不器用で駆け引きをしたりワザと策を弄して気を引こうとしたりするところもないので、誠実さが伝わってきて読んでいてとても安心。
この今野の優しさのせいで、ほんわか暖かい感じがしていたのかもしれない。
でっかいけど草食系・・・キリンみたいな穏やかな感じだからかな(笑)。
「今野の好きな男の子」のことも、玲の仕事のことも、とんとんと片付いてしまうので確かに山はないかもしれないけれど、読んでて疲れないし、私はわりと好きでした。
攻は私の好きなポイントをいくつも持ってたしね(笑)。
そういう点で甘いかもしれません。
個人的には楽しみましたが、BL百戦錬磨で、波乱万丈を好むかたには向きません。
ゲイ専門の高級会員制ホストクラブでバイトしてる男の子と、三十路をこえてからゲイであることを自覚した純朴な男の恋の話。
「男相手の恋のやり方を知らないオッサンに、経験だけは豊富なホストくんがエッチなどを教える」というシチュエーションは好きなもんで、シチュエーション萌えに助けられつつ読みました。
面白かったです。
ただ、主人公のホストくんの心理描写が、かなりくどかったのだけは、いただけなかったです。
「今まで愛を知らずに育ってきた」というの、ことあるごとに何度も何度も書かれるんですが、一度か二度書けば分かるよー、と。
丁寧なのはいいんだけど、この手の説明が過剰だと、むしろ萎えちゃうんだよね。